成績発表2
和希たちが職員室に近づくにつれ、すれ違う人たちが多くなる。
「見られているような……?」
和希はすれ違う人たちの何人かが自分を見ている事に気づいており、その視線に首を傾げるのだった。
「そりゃそうやで。」
「ん。」
「そうね。」
訳を知っている三人はしきりに頷いているが、残念ながら当の本人である和希はその答えを理解できるわけもなく、ただただ首を傾げるのだった。
「もう、一体何な訳。」
「見れば分かるわ。」
「……。」
決して答えを教える事のない桂子に和希は溜息を零す。
「和希ちゃん、最近溜息多いんちゃう?」
「そうかな?」
「せやで。」
「ん。」
「そうね。」
三人に肯定され、和希は苦虫を噛みつぶしたような顔をする。
「そんなにも?」
「ええ、最近特に増えている気がするわ。」
「……うーん。どうしたものかな。」
最近の出来事を思い出し、和希は納得しながらもまた溜息を零しそうになるのを何とか留める。
「和希ちゃんの事やし、自分で解決しようと思っとるようやけど、なんかあったら遠慮なくうちらに相談してな。」
「勿論よ。」
「和希ちゃん、体壊す、怖い。」
「大丈夫よ。」
「そう言って、小学生の時に高熱を出して倒れたのはどこの誰よ。」
「……。」
和希は思い出したくない思い出を思い出してしまい、目を逸らす。
「あん時は和希ちゃんが死ぬかもってほんまに怖かった。」
「ん。」
「その節は大変ご迷惑をおかけいたしました。」
「まあ、それが和希ちゃんやしね。」
「無理、駄目。」
「無理もそうだけど、無茶も駄目よ。」
「はい。」
確実に三人の目が真剣で恐ろしいものを宿しており、和希は大人しく頷く事しか出来なかった。
「そう言えば、三人の順位は?」
「三十位。」
「十位だったわ。」
「…うちは載っとらんかった。」
和希は三人の順位を聞いて予想通りだったな、と納得する。
「そうなると…私は四位か五位くらいかな。」
私がそういうと何故か三人はにやにやと笑い始める。
「何か違った?」
「ふふふー。」
「ん。」
「珍しく和希ちゃんの予想が外れているからよ。」
機嫌よさそうに笑う瑛瑠。
無表情の中でも機嫌がいい分類の表情をしている紅葉。
そして、答えに限りなく近いヒントを言う桂子に和希はもっと順位がよかったのかな、と呑気な事を考えている。
そして、和希は掲示板に近づき、下の方から名前を見ていく。
三十位に紅葉の名前を見つけた。
「紅葉ちゃんは理数系で足を引っ張ったのかもね。」
「……ん。」
順位と名前の下にある総合点を見て、和希はそう結論付けると、図星だったのか紅葉気まずげに目を逸らす。
「もう少し順位を上げたかったら期末は理数系を中心にして勉強しようね。」
「ん。」
和希は少しやる気がある紅葉を見て苦笑しながらまた目で順位を見る。
そして、十位に桂子の名前を見つける。
「桂子ちゃんはケアレスミスかな?」
「多分ね。」
「気を付けないとね。」
「そうね、でも、何度見直しても見落とすのよね。」
自分でも分かっているのか桂子は溜息を零す。
「まあ、この成績なら文句はないでしょうね。」
「そうね。」
「それにしても、桂子ちゃんは苦手なモノって少ないよね。」
「そりゃね、ゲームでクイズ系の物をやっていると色んな知識が必要になるから、必然的に覚えていくわ。」
「うーん。」
桂子の言葉に和希は苦笑いを浮かべる。
「ゲームはほどほどにね。」
「分かっているわ、そうじゃないとお母さんに没収されるわ。」
「そっか。」
「さて、十位までみたら、あと少しね。」
「うん。」
和希は頷きながらサッと先の順位を見て固まる。




