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前世の俺は攻略キャラだったらしい  作者: 弥生 桜香


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成績発表1

 和希はいつものように登校し、そして、鞄からノートや教科書を机の中に仕舞っていると、バタバタと走る音が廊下から聞こえた。


「和希ちゃんっ!」

「順位、凄い。」

「……二人ともそれじゃ、分からないわよ。」


 何故か興奮して、顔を真っ赤にいている瑛瑠、無表情のはずなのにキラキラと目を輝かせている紅葉、二人を窘めながらも、それでも、喜色を浮かばせている桂子に和希は首を傾げながらも、手を止める。


「おはよう、三人とも。」

「おはようっ!」

「おはよう。」

「おはよう、和希ちゃんはまだ見てないわよね?」

「何を?」


 桂子が何を言っているのか分からない和希はさらに首を傾げる。


「今回の成績の順位が張り出されているわ。」

「ああ。」


 桂子の言葉に何故こんなにも二人が興奮しているのかようやく理解した。


「私結構よかったんだね。」


 苦笑を浮かべる和希に桂子は笑う。


「分かるの?」

「そりゃね。」


 目で瑛瑠と紅葉を見た和希に桂子は確かにと頷く。


「何二人で笑ってるん?」

「二人、ずるい。」

「ずるくはないわよ。」

「そうね、二人の態度で何となく察せられるよね、と微笑ましく思っているだけよ。」

「……和希ちゃん、それって褒めとらんよね?」

「そうかしら。」


 嘯くような和希に対し、瑛瑠は少し唇を尖らせる。


「和希ちゃんのそういうところずるいわ。」

「ふふふ、そうかしら?」

「そやで。」


 瑛瑠はそういうと苦笑いを浮かべる。


「まあ、今回はうちも紅葉ちゃんも分かりやすいのは一目瞭然やな。」

「まあ、そこが二人のいい所ね。」

「……表情、読めない。言われる。」

「まあ、それはね。」


 紅葉の言葉に三人はそれぞれの反応を見せる。

 瑛瑠は言いにくそうに。

 桂子は苦笑。

 和希は頬を掻き、そして、微笑む。


「それは紅葉ちゃんを分かろうとしないからだね。」

「……。」

「あー。」

「……はは…。」


 和希の言葉に紅葉は俯き、微妙に震えている。

 確実に紅葉を落とした事を悟った二人は呆れ顔と、から笑いを浮かべている。


「和希ちゃん。」

「何?」

「お嫁になって。」

「はぇ?」

「絶対、幸せ、するっ!」


 ずいずいと近寄ってくる紅葉に和希は顔を引きつらせながら後退する。


「いや、いや、私も紅葉ちゃんは生物学的には女だし。」

「大丈夫。」

「何が大丈夫な訳。」

「和希ちゃん、なら、何でも、オッケー。」

「いやいやいや。」


 和希は爆弾発言をする紅葉にどうやって彼女を止めるか頭を働かせるが、残念ながらいい案が思いつく事はなかった。


「まあ、和希ちゃんを嫁に貰いたいのはうちらも一緒やしね。」

「そうね。」

「何で二人もそう言う訳、というか、紅葉ちゃんを止めてよね。」

「無理や。」

「無理ね。」

「お願いだからっ!」


 土下座でもしそうな和希に瑛瑠と桂子は互いの顔を見合わせる。


「うーん。」

「……紅葉ちゃん。そろそろ、移動しないとホームルームが始まるわ。」

「……。」


 物凄く残念そうな顔をする紅葉に和希はホッと息を吐く。


「今は、ここまで。」

「……。」


 和希は思いっきり突っ込みを入れたかった、しかし、そんな事をすれば間違いなく先ほどの二の舞になってしまう。


「えっと、どこに張り出されてたんだっけ?」

「職員室の近くの掲示板よ。」

「それじゃ、行きましょうか。」

「りょうかーい。」

「ええ。」

「うん。」


 朝からどっと疲れた和希だったが、この後またひと悶着が起こるのだが、残念ながらこの時の彼女たちは予想だにしていなかった。


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