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春遠からじ

村の特産は異世界です


・春遠からじ


 令和の峰不二子、謎の美人秘書Xです。そこで鏡を見ろと言わないように。それから、可哀想な子を見る目をしないように。これもすべて、世を忍ぶ仮の姿なんですからね。

 ええっと、色々と近況をお知らせします。まずはですね、春から大学生になる陽佳ちゃんのことです。もう入学が決まったこともあって、とっても頻繁に奈良に出かけています。学生じゃ無いのだから、出席日数を気にしなくても良いのは確かなんですけどね。ただ入学してから恥を掻かないように、帰ってきたときには慶子さんと二人で詰め込み教育をしています。

 それでも、大学生になる自覚が出てきたのかな。以前に比べて、真面目に勉強に取り組むようになってくれました。だから、教える方も熱が入ってしまうんですよ。ええ、熱が入ってしまうんです。だから慶子さん、悪いとは思っているんですって。


 何があったとは言いません。ただ、ちょっと陽佳ちゃんが怯えた目をしてくれるんですよ。おかしいな、優しく厳しく勉強を教えただけなのに。

 それとは別に、立木さん家族は奈良旅行に行ってきました。立木さん夫妻に、陽佳ちゃん、シオンさんと言うのが出席者になります。目的は、家族水入らずの時間を過ごすこと。後は、新しい住環境を整備することだそうです。ただ一つ疑問なのは、シオンさんが居て『家族水入らず』が成立するのかと言うこと。間違いなく、気にしちゃいけないことなんでしょうね。

 住環境の整備だけど、IMO研究所の拠点としてマンションを購入しました。ただ人が住むには、色々と手を入れる必要がありますよね。ベッドとかダイニングテーブルとかテレビとか……洗濯機とかも必要だよね。後は、可愛らしいラグとかも必要だし、そうそう、食器も揃える必要があるんだよね。だから立木さん夫妻が乗り出して、必要なものを買いそろえたと言うことです。

 住居整備に丸二日掛けてから、後はのんびり奈良観光をされたそうです。ただですね、もう文化交流事業は始まったりしているんですよ。従って、立木さんは自由にして貰えなかったみたいです。『藤原教授が離してくれなかった』と立木さんがぼやいていましたよ。


 それで、立木さんだけ集落に帰ってきました。慶子さんは、残って住居の整理を続けるようですね。後は、自炊生活の指導もあるのかな。掃除の仕方とか洗濯の仕方とか……間違いなく、指導が必要だと思うから。

 それで、戻ってきた立木さんは京都へと出張。もうね、あの人って忙しすぎると思うんですよ。でも不思議なのは、アスカさんを連れて行ったこと。オルティアさんとは別行動って、なんでと思っても良いよね? まあ、ラズライティシア様は付いて行ったんだけど。


 それで3日経ってから、立木さんたちが戻ってきました。そこでの問題は、立木さんが美女一人連れて帰ってきたことです。赤みがかった金髪の、スタイルもかなり良い女性だと思いますよ。後は、綺麗な青い瞳をしていますし……それは良いんですけど、この美女は誰なんですか?


「アスカですけど、それが何か?」


 それが何かって……確かアスカさんって、メガネを掛けていないと前が見えないぐらいのド近眼でしたよね。目にものを入れるのが嫌だから、コンタクトもダメだと聞いた気がします。あと、レーシックは断固拒否だった記憶がありますよ。つまり、コンタクトとかレーシックとか、ついにする気になったと言うことですか?

 そのアスカさんですけど、立木さんの頬にキスをして居なくなってくれました。ひょっとして、お友達のお嬢さんにまで手を出したとか言いませんよね?


「頬にキスをされたぐらいで、どうしてそんなことを言われなくちゃいけないんですかね」


 これまでの素行が理由ですけど。それはそうとして、アスカさんの目はどうしたんです?


「今回彼女を京都に連れて行った理由なんですけど、目の治療と武見君に発破を掛けるためです。もうちょっと本気を出せとお尻を叩いてきたんです」


 ええっと、ですね。武見さん、すでにオーバーワークになっていると聞いた気がするんですけど。それなのに、『本気を出せ』は可哀想だと思うんですよ。

 なんです、忙しさと本気を出すことは結びついていないと言うのは。忙しいと言うのは、逃げの言葉とまで言ってくれるんですか?


「シアに協力をして貰って、一つIMO研究所の商材を作ってきたんです。まだ臨床試験が必要ですから、商品化は先になるんですけどね」


 商材、ですか? どんなと聞いて良いんですよね?


「小谷さんも、異世界ものをいくつか見ていましたね。その中に、『魔道具』と呼ばれるものがあったかと思います。確認ですけど、魔道具がどのようなものか理解されていますか?」


 魔道具って、魔法を使う敷居を下げる道具ですよね。確か翼人たちが飛ばされてきたのも、魔道具が暴走したのが理由だったと思います。魔法が道具に付与されていて、誰でも……は極端にしても魔法を使えるようにする道具……でしたっけ?


「おおよそその理解で間違っていないと思いますよ。それでですね、その魔道具を武見君に作らせたと言うことです」


 魔道具を作らせた……その発想がぶっ飛んでいると言って良いと思いますよ。しかも武見さんに作らせたのですか? それで、どんな魔道具を作ったんです?


「今回作って貰ったのは、治療の魔道具です。その魔道具を使って、アスカの目の治療をしたと言うことです。魔力供給の問題がありますので、使用回数に制限はあるのですけどね。使用者が命令することで、水晶体を含む眼球全体の細胞をリプログラムしました」


 ええっと、ぽちぽち、どうしていきなりそんなものが出てくるんです? 細胞のリプログラムは、元々研究していることと言ってくれますか。魔道具にしても、ラズライティシア様のところにもあったって……確かにそうかもしれませんけど、治療に使うのは別物ですよね?


「なぜ別物と考えるのかが理解出来ないのですが……シアの説明や武見君の分析で、魔法と言うのは魔力に命令を与えた結果と言うがわかっているんです。そして魔法の結果は、想像力の制限を受けると言うものもあります。だとしたら、医者が使うことで治療に使えると言うのは不思議じゃないと思いますよ」


 それを平然と説明する立木さん、それがどれだけ異常なことか理解されていますか? どうして、ふらっと行ってそんなものを作らせることができるんです? あり得ないと思うんですけど。


「あり得ないと言われても、ですね。魔道具自体はアンのチョーカーと似たものなんですよ。そう言えば、アメリカ大統領にも飛行の魔道具を贈呈していたと思います。魔道具自体は、すでに集落で作っているんです。それがあるのに、遅々として活用を考えていなかったんです。『本気を出せ』と言うのは、もっと視野を広げろと叱咤する意味もあったんですよ」


 それを指導できる立木さん、あなたは一体何者なのですか?


「何者と言われても……退職時に慰留もされなかった、二流のエンジニアなんですけど。ちょっと、持病に厨二病があるだけです」


 そうやって、私を煙に巻いてくれますか。最近思うんですけど、立木さんってかなり変じゃありませんか? 確かに諸星さんの能力は、神様に等しいものと言って良いと思っています。ですが立木さん、私は諸星さん以上にあなたの得体が知れないと思うようになったんです……


「得体が知れない……ですか。失礼を承知で言いますが、小谷さん、あなたはどれだけ世界のことを知っているんですか? 異世界に関係なく、この世界で研究されている科学技術。本山の所の幹細胞もそうですけど、何が出来るのか理解されていますか? 大芝の所で研究している、ニュートリノ天文学もそうですね。ティアの研究している理論物理学……彼女の場合、高次空間理論なのですが、説明されて理解出来ますか?」


 それは……理解出来るとは言いませんけど。でもですよ、あの人たちは研究の積み重ねがあったから今があると思うんです。でも立木さん、あなたはITベンダの技術者でしか無かったんですよね?


「だから、根幹部分には手を出していませんよ。こう言った発想を実現することは出来るのかと、シアと武見君に問いかけを行った。その結果が、新しい魔道具になっただけです……まあお待ちなさい。似合わないのを承知で、ちょっと説教をさせて貰いますから。小谷さん、あなたはこの集落に来て、何か勉強されましたか? 諸星さんの監視、そして誘導……それがあなたの仕事と言うのは否定しません。ですが、集落の一員として何か勉強されていますか? IMO研究所に、どうやって貢献しようと考えていますか? 私の問いかけに対して、答えを教えてください。得体が知れない……視野も広げようとしない、あなたの狭い視野で他人を図ろうとしていませんか? 答えてくれないのですか?」


 ………………ごめんなさい。反論の余地がありませんでした。


「人のことを偉そうに言えた義理じゃ無いんですけどね。小谷さん、詰問する相手を間違えていると思いますよ。だから、そんな顔をしないでください。私は、あなたを泣かせる意図は全くなかったんですからね」


 で、でも、私は自分を棚に上げて失礼なことを言ってしまいました。


「あなたはまだ若いんです。今は失敗をしながら成長していけば良いんですよ。老い先の短い私ですからね、回り道をしている余裕なんかないんです」


 まだ立木さんは元気だと思います。だから、老い先の短いなんて言わないでください。


「私の両親は、70代前半で死んでいるんです。それよりは長生きできると思いますが、さほど時間が残っていないのは間違っていないと思いますよ。勿論、今日明日のこととは言いませんけどね。それからですね、泣き止んで欲しいんですよ。人から見たら、私があなたを虐めているように見えてしまうんです。例のゼリーを買ってきましたから大部屋でおやつにしませんか?」


 その、立木さんに失礼なことを言ってしまったんですけど……


「まあ、かすみちゃんや陽佳ちゃんにも『変』と言われていますからね。今更小谷さんに言われても、また一人増えたか程度だと思ってください」


 その程度のことなんですか? だから『鈍感力』なんて言わないでください。色々と苦労したから、結構打たれ強くなっていると言ってくれますか。


「そんなことより、アスカって美人だと思いませんか」


 それは……否定しません。またぞろ、各方面が煩くなるんじゃありませんか。


「彼女、昔から美少女だったんですけどね。どう言う訳か、男っ気が無かったりしたんですよ。誰か相手を見つけないと、ティアの二の舞になりそうな気がするんですよねぇ……ただタッド、ええ、あのタッドです。『男に指の一本も触れさせない!』とか馬鹿親をしていたんですよ」


 あの人ですか。あの人が凄むと怖そうですね。それはそうとして、オッティさんはどうするんでしょう。しっかりと搾り取られていましたよね?


「あそこの夫婦仲は良いんですよ。今回のことは、事故だと思って気にしないことにしました」


 事故、事故と言ってくれますか。ラズライティシア様が指導する前ですからね、うん、事故と考えた方が無難な気がするのは確かですね。


「事を荒立てない方が良いと言うのは言ってはいけないことでしょうかね。そう言えば、自衛隊幹部にも問題児がいましたね」


 ええ、所帯持ちの方が翼人に手を出しています。それを考えたら、くよくよしても仕方が無いのでしょうね。ええ、忘れることにしましょう。

 それはそうとして、お土産を買ってきてくれたんですよね。だったら、早く大部屋に戻りませんか?


「実はですね、ほかにも色々と買ってきたんですよ。お互い、給料が使い切れませんから」


 仰るとおり、ここで暮らしているとお金を使う機会が無いんですよ。もう貯まる一方と言えば良いのか、ちょっと怖いと言えば良いのか。


「将来の政治資金だと思えば良いのではありませんか?」


 将来の政治資金ですか……ここに居ても、世界を動かすことが出来ると考えるのはおかしいですか? それに、私が勉強不足……違いますね。勉強していないのがわかってしまいました。だから政治家と言われても、まだ自分で納得がいっていないんです。


「道を決めるのは、小谷さん自身がすることですからね。私のような老人は、あなたのような方たちに選択肢……場でも良いですかね。それを用意することなんですよ」


 でも、立木さんに色々と教えて貰っていると思います。その意味では、友池さんたちにも色々と教えて貰っていると思います。お陰で、自分の足りないところばかり気づかされたと言えば良いのか……


「それは、間違いなく比較の対象が悪いですね。まあ、急ぐ必要がないのは確かだと思いますよ。菅谷総理が退陣するときが一つの節目になるのではありませんか」


 その時には、私に与えられた役目の一つが終わるからと言うことですね。確かに、それが節目になるのでしょうね。それまでは、足場を固めておくことにしましょうか。なんです、汗を掻くことも重要って。でもですよ、今外に出ると汗じゃ無くて凍えてしまいますよね。セレスさんもそう思いますよね?




 なあ御衣黄さん、いつものことだが愚痴を言って良いか? 何を言いたいのかわかっている。だから、あまり聞きたい気分じゃないと言ってくれるのだな。でもな、吐き出すことで気持ちが楽になることもあるんだよ。それは否定しない……だったら生々しい方の愚痴を聞いて貰えるかと返してくれるのか。

 それなんだがな、ライトな方なら聞いても構わないぞ。ああ、アスカさんのことを言いたいんだよな?


「どちらかと言えば、セフィーロさんの方かな。お父さん……お父さんと言っておくけど、エルフコレクターになりかけてるのよ。諸星さんに王女様コレクターって言ってたけど、人のことを言えなくなってるのよね」


 でも、『まだ』手を出していないよな。そうか、『まだ』を強調したことを理解してくれたか。ああ、俺も時間の問題だと思っているんだ。ただ疑問なのは、立木さんは俺たちの常識で言えば『男として終わった年齢』だと思うんだよ。


「終わったは言いすぎじゃないのかな。表現としては、そろそろ終わると言うのが正確だと思うわよ。ちゃんと、シア母さんたちの相手を出来ているんだし」


 だったら、そろそろ終わりそうと言い換えるか。それなのに、どうしてエルフの女性は年齢を気にしないんだ? アスカさんだって、『お父さん大好き』レベルだっただろう?


「私は例外なのね。それはそうとして、シア母さんに質問したことがあるのよ。そこで鏡を出されたのは忘れるとして、『われは神話の時代から生きている』と言われてしまったわ。どう言うことかと言うと、10年20年は誤差でしか無いって意味らしいの。ほかの若い男を選んだとしても、せいぜい20年、30年時間が延びるだけなんだって。私たちにしたら、20年、30年って長い時間よね。でもシア母さんにとっては、気にするほどの時間差じゃ無いってことらしいわ。どう言うことかと言うと、今を大切にしたいってことらしいの」


 だとしたら、エリシオンさん……彼女も、1千年以上生きてきたんだな。インテグラさん……インテグラさんも600年以上生きていたか。その事情は、セフィーロさんも同じと言うことになるわけか。つまり、俺たちとは時間の感覚が違っているのが理由と言うことだな。


「私も同じって、言っても良いかな?」


 ああ、言いたいことは理解出来るぞ。残された時間の長さではないと言いたいんだよな。


「そう言うことなんだけどね。ただ、理屈じゃないと思うんだ、こう言うことは」


 ああ、理屈じゃないと思うぞ。それでも、慶子さんを悲しませたくないんだろう?


「そう言うこと……こんなこと聞いてくれてありがとう。確かに、吐き出すことで少し楽になれたわ。それで、魔道具のことで愚痴を言いたいのかしら?」


 まさしくそのことなんだ。学会発表をしたら、それだけで世界中が大騒ぎになる代物だと思っている。それぐらい凄いことと言うのはわかっているんだ。ただなぁ、その興奮以上に理不尽なものを感じているんだ。


「本山教授が、大至急活用に向けた検討チームを作るって言ってたわね」


 魔力供給の問題はあるのだが、魔道具さえあれば魔法を使うことが出来るんだからな。しかも治療に特化した魔道具だから、俺以外でも扱うことが出来るんだよ。そう言う術式を付与したのだから当たり前なのだが。


「だったらもの凄いことを達成した……って興奮してもおかしくないんだけど?」


 ああ、本当なら踊り出してしまうようなことだと思うぞ。ただな、俺の中にはそれ以上の疑問が生じているんだよ。

 ラズライティシア様たち、異世界ものでもそうだが、魔道具が珍しいものじゃ無いと言うのは理解しているつもりだ。そして魔道具の動作を決めるのは、そこに刻まれた術式と言うのも理解出来る。更には、魔道具が作動するには魔力が必要と言うのもわかってる。フローリアンさんのチョーカーだが、あれも魔道具の一種と言うのも確かだ。


「言いたいことは理解出来るわよ。でも、おかしいのはお父さんだけじゃないと思ってる。武見君、あなたも十分以上に非常識なことをしているの、ちゃんと自覚しているのかしら?」


 それにしてもだ、ソースをラズライティシア様に貰ったからと言うのが大きいんだぞ。いや、普通じゃ無いことをしたことぐらいは自覚しているつもりだ。


「翻訳魔法から言語解析機能を取り出して、それを別の魔法に組み込んだ。そして組み込むことによって、言語で魔法の動作を制御することが出来る。その仕組みを作り上げること自体異常だと思うわよ。今回はさ、アスカさんの治療に使ったんだけど……あれって、もっと汎用的に使えるものだよね?」


 もう、使ってるよなと言っちゃいけないか? ああ、細胞の改造のことだ。がん細胞だったか、試してみたら通常細胞に組み替えることが出来たんだろう?


「その意味で言ったら、私でも治癒魔法が使えたわよ。勿論、魔道具の魔力が続く限りはって制限があるんだけど。これをばら撒くだけで、医学の常識が変わってくれるよね? 今現在で作れるのって……あなたとラズライティシア様……シオンさんも作れるのかな?」


 組込む術式さえ指定すれば、翼人にも可能だと思うぞ。後は、フローリアンさんも作れると思うんだ。それから、俺だけじゃ魔力を込められないからな。


「つまり、これもIMO研の商材になるのね。お父さん、成果は私たち……と本山教授のものにして良いって言ってたけど……」


 手取り足取り指導されたって言って良いんだよな。だから論文には、立木さんの名前も書くつもりなんだが……ただなぁ、論文に出来るのかが疑問なんだよ。こんなもの、一体誰が査読することが出来るんだ?


「本山先生じゃ、第三者にならないものね」


 そう言うこと。しかも、誰も追試験が出来ないんだぞ。つまり、これまでの仕組みでは学術論文として成立しないことになるわけだ。


「でも、意味を考えたら発表しないわけにはいかないわよね?」


 そうなんだよ。問題は、どの学会で発表するのかと言うことだ。後はだな、発表なんかすると研究している暇が無くなるのも問題だと思うぞ。


「発表は本山教授のところに任せる?」


 そんなこと、認めてくれると思うか? だろう、思わないよな。


「それはそうとして、あの魔道具はとても危険だと思うのよ。組み上げられる魔法だけど、どこまで制限を掛けてる? 音声や思考で命令を入力、その命令に応じて魔法の効果を発動させる。今は治療に使ってるけど、それって治療に限定されたものなの? 空を飛んだり、炎を出したり、破壊をしたり……そっちにも使えるんじゃないのかしら?」


 それなんだが、試してみないとわからない……と言うのが答えなのだが。それから、ほかの魔法と同じでイメージが必要なんだぞ。普通に考えれば、別の目的に使うのは難しいと思うんだ。


「だったら、試してみればいいわけか」


 それはそうなのだが、俺じゃ意味が無いからな。


「だったら、私が試してみるわよ。幸いなことに、魔力が空になっていない魔道具があるから」


 大した魔力が残っていないから、危ないことにならないとは思うがな。それで、どんな魔法を発動させるつもりなんだ?


「私には、魔法で空を飛ぶイメージがあるのよ。だから、空を飛んでみるのだけど……すぅっ……私の身体を1m浮かせなさい……浮いたわね」


 これで、魔道具が汎用に使えるのが証明されたと言うことか。ああ、確かに機能制限を考えた方が良さそうだな。渡してある魔道具を回収して、制限の術式でも書き足しておくことにするか。だとしたら、立木さんからも回収した方が良さそうだな。


「お父さんだったら大丈夫じゃ無い?」


 あの人が一番危ないと言っちゃダメか? ダメじゃ無い、その意味も理解出来ると言ってくれるんだな。非常識なことはする、でも限度をわきまえていると言ってくれるのか。だから手を出して貰えない……なあ、どうしてそこに戻ってくるんだ?




 はい、私は女神です。誰かって、取りあえず誰でも良いと思いませんか。最初に女神と言っただろう、ですか。それはそれと言う、便利な言葉があるのはご存じですか。

 それでですね、最近危機感なんてものを覚えていたりするんです。なぜか、なぜかと聞いてくれますか。よくぞ聞いてくださいました。実はですね、存在感のことを気にしたからなんですよ。どう言うことかと言うと、これまで女神様って私のオンリーワンだったと思うんですよ。それなのに、変な国から押しの強そうな……露出の大きな女神が現れてしまったんです。そうなるとですね、世間に於ける『女神様』の認識が分散してしまうんです。由々しき問題だと思いますよ。

 しかも問題は、あちらの方の露出が大きく……衣装じゃありませんよ。起こした問題の大きさと言うことです。よく言いますよね、悪名は無名に勝るって。タカビーなところとかも、個性を際立たせているんです。もう、私としては大きな問題だと思うんですよっ!


 ええと立木様……今の愚痴、聞いていましたか? そうですか、聞いていたんですね。忘れてくださいと言うのは、身勝手な言い分なのでしょうか?

 そこで呆れないでいただきたいのですけど。女神の力は、信者の数によって増すものなのですよ。人々に忘れられたりすると、女神と言うのは力を保つことが出来なくなるんです。名前の長い世界でしたか、その世界が現れてから力が弱くなった気がするんです。



 むぐっ



 えっ、どうして口付けを。いえ、嬉しいんですよ、ちょっと驚いただけで。でも、今まで相手にしてくださいませんでしたよね。なのにどうして……そこまでしてくださるんですか。でしたら私の部屋までゲートを……なぜ私の部屋に居るんです? 転移なんかしていませんよね? どうしてなんですかっ!




 国連なんだけど……結論なんかでないと思っていたんだ。だって、竜人とか魔王様とか、結局曖昧になってくれたよね。だから今回の問題も、先延ばしをされて曖昧な決着になると思っていたんだよ。思っていたんだけど、どう言う訳か結論が出てくれました。

 それは良いんだけど、だったら竜人と魔王様たちはどうなるの? 今更議題にすることじゃ無い……誰も気にしていないと言ってくれるんですか。今の状況でうまく行っているので、現状を変更する理由が無いと言うのですね。それって、無責任と言っていいと思うんですよ。


「諸星さん、それは問題の所在が理由になっているんですよ」


 もしもし友池さん。それって、どう言うことなんですか?


「竜人の事情について理解が深まり、上里集落での生活で危険性が低いのが認定されたんです。それでも、竜人が大きな力を持っているのは変わっていないんです。従って、現状を変えるリスクを誰もとろうとはしなかったと言うことです」


 だったら、魔王様たちは?


「魔王城公開を通じて、『善』で宜しかったですか。魔王様の本質への理解が進んだのが理由です。魔王城の移転が出来ない以上、現状維持が最善と受け止められたと言うことです」


 それはそれで無責任……つまり、IMO研究所に責任を押しつけていることになりますよね。はい、魔王城公開とか収益源にしています。だから、現状を変えられても困るのは確かなんですけど。

 だとしたらですね、名前の長い国はどうなるんです。問題の所在が理由と言っていますよね?


「諸悪の根源……と言っても良いと思うのですが。それが、女神パナメーラだからと言うことです。従って国王スは、元の国に送り返しても問題が無いと判断されたと言うことです。さて、問題のある女神をどう扱うか。どこに幽閉するのかと言うのが次の問題となるわけです。そこまで言えば、結論の中身に想像が付きますよね」


 それはなんです、身柄がIMO研究所に預けられると言うことですか。はっきり言って、面倒を押しつけられたんですよね。


「一応、対価が支払われることになっているんですよ。月に1千万円……竜人の管理費と同額ですね」


 そして、責任を押しつけられるのだと。ねえ、気に入らないと言っても良いですよね。勿論、だからと言って強制力は使いませんけど。

 なんです、女神コレクターの立木さん。それとも、エルフコレクターとお呼びしましょうか?


「つまり、私の意見は聞きたくないと言うのですね。でしたら、何も言わずに退席することにします」


 ええっと、ごめんなさいと謝らせて貰います。ちょっとですね、気持ちがささくれ立っていたんです。土下座、必要ですか。そんなものは要らない。

 それで、何を言おうとしていたんですか?


「友池さんの古巣……つまり外務省が頑張ってくれたと言うことです。異世界の拡散防止の観点からすると、1カ所で管理した方が良いと主張したそうですよ。もしも異世界関係者……今回の女神パナメーラもそうですけど、暴走したとき止められるのはここの住人だけなんです」


 でもですよ、あの女神ってたちが悪いと思うんです。だから、ここで預かると、トラブルを起こしそうな気がするんですよ。その対策を考えると、ですね……ええっと、簡単な対策があるんですか?


「ちょっと、圧迫面接みたいなことをしようかなと。諸星さん、セレスさん、アン、クロア、フィーナの5人と楽しくお話をして貰おうかと……違いますね。しばらく、何も話さず同じ場所にいてくだされば結構です。全員できつい眼差しを向けると言うのも、とても楽しそうと言ってはいけませんか?」


 クロアさん、フィオレンティーナさん、フローリアンさんだけでいいと思うんですけど。それからフローリアンさんですけど、立場からしたらパナメーラと同格だと思うんですよ。だとしたら、圧迫面接には向かないと思うんですけど……違うんですか? なんですラズライティシア様?


「うむ、アンなのだがな。なぜか知らぬが、神格が上がっておるのだ。今のアンならば、ヴェルサティスを倒すこともできるのではないかな」


 どうしてって疑問に思っても良いですよね。そうですか、思っても良いが誰も答えを持っていないと言うのですね。最近の変化って、立木さんとしたことだけだよな。いくら何でも、それで神格が変わるって……ちょっと待てよ。

 確かコスモクロアとした後に、神格が上がったと言っていたな。あの時は話半分に受け取っていたのだが、もしかして女神がスルことと神格が上がることに関係があるのか。だけど、まともに考えれば関係ないとしか思えないのだが。


「孝明よ。幾ら考えても無駄と言うのは世の中にあるのだ。恐らくだが、これもその一つに違いはあるまい」


 そうですか、無駄と言いきってくれますか。だとしたら、余計なことを考えるのは止めておきます。ええ、どう考えても俺向きの話とも思えないんです。


「そうでもないと思いますよ。諸星さんだったら、『神格が上がれ』と命令すれば下位の女神だったら神格が上がると思いますから」


 ええっと、俺の強制力ってそこまで強力なんですか? やってみないとわからない。そりゃあ、確かにそうなんですけどね。


 それはそうと、名前の長い国に対する支援ってどうなっています? これは、友池さんに聞けば良いのかな?


「間もなく支援が始まると言う所ですね。食糧が一番足りていない魔帝国には、いち早く日本政府からの支援物資が届いています。従って、魔物が人を食べる恐れが無くなったようです。これから必要なのは、荒れ果てた農地の再建と言うことになるわけです。長いの5と魔帝国には、IMO研究所を通して支援が届く手はずとなりました」


 そうですか、その両国にはウチが関与するんですね。魔帝国はちょっと扱いが難しいですから、ウチが関与するのは当然だと思いますよ。と言うのか、ほかだってウチが関与していますよね。さもないと、移動一つ出来ないことになるんですから。


「こちらに関しては、国連から利用料が支払われることになります。ちなみに、人道支援と言うことで月当たり1億円が提示されています。有効性に疑問はありますが、武器持ち込みほかを監視する監視団とマスコミも移動することになります」


 いえね、有効性に疑問を持ってくれますか。その辺り、もう少しぼかした言い方をしてくれてもいいと思うんですよ。言い方を変えても現実は一緒……それは仰るとおりなんですけどね。

 ところで異世界ネタの商材ですが、長いの5と魔帝国と考えれば良いんですか?


「長いの5に関しては、国王様が認めるかどうかですね。諸星さん、商材に使うことを認められますか?」


 ええっと、俺はまだ国王になっていないんだけど。なんだ朽木君、すでに王妃様が仕切っていると言うのは。それって、なし崩しって言ってる? 魔帝国との戦争を終結させた英雄って、俺のことを言っているのか?


「それ以外に、一体誰がいると言うのだ? それから、カタリナ王女に手を出したんだよな。だったら、相応の責任が付いてくるんだよ。そう言うことだ『王様』」


 い、いや、なんか俺への当たりが強くないか? ただ事実を口にしただけ。そりゃあ、手を出したことは否定できないけどさ。し、仕方ないだろう、カタリナさん、美人でスタイルも良かったんだぞ。


「王女コレクターの性癖を、今更論っても意味はありません。朽木君、報告を引き取って貰えますか?」

「魔帝国は、とても協力的と言っておこう。まあプレオプラス様が前のめりと言うのが理由なんだがな。10傑衆筆頭グリフィス様は、肯定的と言うのが正しいだろう。ダメ押しのために、鴻池氏が10傑衆の皆さんをリゾートに招待する企画を立てていたな」


 そうか、あの人も開き直りが出来たんだな。それで、アトラクションはどうなるんだ?


「10傑衆が魔物を調教する手はずになっている。その調教された魔物の中を、車で観光すると言うのが魔帝国でのアトラクションになる。時々10傑衆が仮想体で現れてくれれば、出し物としては申し分ないと思うぞ」


 魔物の中を車で走る……ねぇ。安全性の問題はどうなっているんだ?


「そっちはだな、一応対策なんか考えて居るぞ。まず魔物なのだが、食い物さえちゃんと与えてやれば、人間を食う恐れはないそうだ。後は車の方に、荷造り紐さんを備えておくことにする。そこまですれば、安全性の確保は問題ないと思うぞ」


 そうか、有能なんだな荷造り紐さん。あの魔物……近くで見たけど、かなりインパクトが大きかったよな。


「鴻池氏なんか、唇まで真っ青になっていたからな。むしろ、インパクトが強すぎる恐れがあるぐらいだ。従って、コースもランクを付けることにした。最上位のハードモードは、先日の迎撃モードと言う奴だ」


 なるほど、配慮の方も考えられているんだな。流石は鴻池さんと言って良いのかな。


「名前の長いの5の方は、復興の進捗次第と言うのがアトラクション化の状況だな。今のままだと、荒野を延々と走ることになってしまうんだ。王都近辺でも、まだまだ戦争の傷跡が生々しいんだよ。時計を早回ししたいのなら、国王様が『復旧しろ』と命じてくれても良いんだぞ」


 やっぱり、俺への当たりが強くないか? 気のせい……本当に気のせいなのか?


「気のせいに決まってるだろう。ここがやっていけるのは、所長の力があるからなんだよ。それはそうとして、例の海外からの招待のことだ。その招待は、当面魔王城とブーランジェリー王国だけで良いんだよな?」


 おかしの国は、準備が整い次第と言う所だな。それを考えると、名前の長い方はもっと先と言って良いと思うぞ。


「それからマミちゃんたちの後任なんだが、立木さんが見つけてきた事務所を使うことにした。この決定に関して、鴻池氏が肩の荷が下りたと言っていたことを補足しておく」


 立木さんが見つけてきた事務所……ああ、あの『753プロ』のことね。別名七五三……確か、中々個性的な女の子が揃っていた覚えがあるよ。それ以上に個性的なのは、事務所の社長……だよな、あの厳つい男性。まさに不器用を絵に描いたような人だったな。


「諸星氏が人のことを不器用と言ってくれるのか。まあ、それはそれとしてこの決定で業界に激震が走ったそうだぞ」


 そりゃあ、今にも潰れそうな弱小事務所だったからね。その潰れそうな事務所が、激戦を勝ち抜いた……訳でもないんだよな。門前払いに近い形で脱落していたんだっけ?


「ああ、門前払いだったようだ。なんと言えば良いのか、鴻池氏も事務所のことを知らなかったぐらいだからな。ただ面接してみたら、大手の息が掛かっていないのが良かったそうだ。どうやら鴻池氏にも、随分とストレスが溜まっていたようだな。後はだな、色々と処分しないといけないことが出来たと言っていたぞ」


 接待攻勢が凄かったとは聞かされたよ。そうか。朽木君にも波及していたのか。一つ質問なんだが、枕営業だったかな。それって、本当にあったのかな?


「ホテルのカードキーで、カードゲームが出来そうだった。それが答えと言うことだ」


 そこまですることかね……と言うのはものを知らない言い分なんだろうな。


「まあ、視聴率お化けの番組だからな。しかもマミちゃんの後釜と言うステータスもあるんだ。なんとしてもと考える奴がいてもおかしくは無いと言うことだ。ただ接待を受ける側が、同じ価値観だと考えるのが間違っていただけだ」


 そう言うことだな。それで、番組の引き継ぎはうまく行きそうなのか?


「その辺り、今時の女子高生……女子大生も交じっていたか。物怖じをしないところは凄いと思うぞ。ただな、あの社長を慕って付いてきた子たちだ。見た目通りと考えると、騙されることになるのだろうな」


 あの社長ね。うん、中々骨のある人だと思ったよ。後は、あそこで手伝いをしている女性。うん、資格マニアの女性のことだよ。彼女も美人だから、纏めて採用しても良かったと思ってるぐらいだよ。


「ほほう、流石は目が高いと褒めておく。実はだな、彼女をまとめ役に入れる方向で動いているんだよ。もっと正確に言うと、彼女をMCに据えることが決定している。アイドルを目指す女の子たちの、お姉さん役と言うのが彼女への配役ということになる」


 それってまんま今の立場だよな。だけど、中々良い配役だと思うぞ。ちなみにこれも、立木さんのバグってる出会いだと思えば良いのかな?


「大町の飲み屋で絡まれただけなんですけどね。どうして、落ち着いて飲ませて貰えないんでしょう」


 それが、バグっていると言う意味だと思いますよ。それに立木さん、大芝教授たちに絡んだんですよね。だったら、因果は巡ると言うことになるわけです。はい、こちらに関しては抗議は受け付けません。




 最近始めたこと……立木さんに、汗を掻くことも必要と言われたんですよね。ただ、そんなことを言われても、何をして良いのかわかりませんよね、普通は。でもですよ、立木さんったら、黙って窓の外を指差してくれたんです。ええ、思わず天を仰いでしまいましたよ。

 その結果ですね、翼人と竜人、ハイエルフにオークとデモンを引き連れてボランティア活動と言うことになりました。もう答えはわかりますよね、はい、山の寒村に付きものの除雪と言う奴です。大谷村は、年齢層が高くなっているんです。ですから、屋根の雪下ろしとか道の雪かきとか、人手が無くて困っていると言うことです。


「しーちゃん、随分と立派になったのぉ」


 村を回るとですね、当然顔見知りが一杯いるわけですよ。その顔見知りの見守る中、連れてきた異世界人に指示をして屋根の雪下ろしとか、玄関周りの除雪をしていったと言うことです。それをですね、大谷村だけじゃ無くて、白鹿村の方でもやったんです。

 いえ、実際に汗を流したのは翼人さん、竜人さん、オークさん、デモンさんなんですけどね。その方々たちに、私がわざとらしく指示を出すんです。ええ、もの凄くわざとらしく感じてしまいましたよ。しかもですね、除雪している間にお茶を飲みながらお話なんかもしたんです。

 そりゃあね、寂しいお年寄りの相手をすることも大切と言うのはわかっているんです。諸星さんからも、地道な活動が大切と言われたのも確かです。


「菅谷先生だって、初めての頃は苦労しているはずだ」


 なぁんて、諸星さんが言ってくれるんですよ。将来議員になるつもりなら、地道な努力を続けろって……言ってることは間違っていないんですよ。間違っていないから、寒空の下村の中を回っていると言うことです。

 その時の問題は、結局集落の力を頼ってしまってること。だって、雪かきしているのは私じゃ無いんですよね。


「小谷さんが連れて回っている。それがすべてだと思いますよ」


 これは立木さんの言葉。確かに、私が連れて回ってるのは確かですよ。でもですよ、この役目は役場の人でも出来ることなんです。そうですか、私が村を代表していると言ってくれるんですね。でもですよ、皆さんは……暇を持て余しているからちょうど良いですか。お年寄りに喜んで貰えるのは、自分のことのように嬉しい。そんなことを言われるとですね、打算で動いている自分が汚く見えてしまうんです。

 ところでこの雪かき、どうしてテレビ局が来てるの? しかも、観光客まで来てるみたいだし。ああ、君たちはボランティアで来たのね。テレビで見て、自分たちも手伝いをしたくなった。そうか、そう言ってくれるんだね。


「ところで、IMO研究所はグッズなんか作っていないんですか?」


 グッズですか、グッズねぇ……だそうですよ上村さん。


「販売予定のグッズなんですけどね、一応村で考えてなんかいたりするんですよ。生写真……セレスさんとかエリシオンさん、ハイエルフ、翼人、魔王様と取り揃えているんですよ。後はですね、クリアフォルダーとかキーホルダー、Tシャツ、パーカーと順次発売予定です。今回ボランティアに参加してくださった方には、季節外れですけどTシャツをお渡しします」


 歓声が沸いたね。今まで、魔王城関連はあったけど、IMO研究所絡みのグッズってなかったもんね。うん、この辺りは朽木君が企画してくれたのよ。ちなみにIMO研究所のシンボルマークなんだけど、本当は山芋なんだよね。ただね、流石に山芋はないと思うのよ。だから、グッズのマークはハイエルフ、翼人、ドラゴンモードの竜人をモチーフにしたりしてします。ただ立木さんの意見で、山芋のシンボルTシャツもあるんだよね。

 それからCMだけど、道の駅とかでも販売しますからね。限定品とかレアものが欲しかったら、大谷村まで遊びに来てね。うん、通販には出さないんだ。

 オークさんたちと写真を撮りたい。勿論構わないわよ……ただ、雪下ろしの作業が終わってからね。大丈夫、翼人さんもハイエルフさんも、ちゃんと撮影に応じてくれるから。ところで上村さん、そのプレートはいつ用意したの?


「朽木さんが用意してくれましたよ」


 そうか、大谷村ボランティア記念としてくれますか。それからゾエさん、フエゴさん。ドラゴンフォームは不許可です。ええ、場所の問題を考えて欲しいんですよ。


「更に大きくなるのは難しいが、小さい方だったら調整が利くのだが?」


 そうなんですか、それって初耳なんですけど。そうですか、初めて言ったんですね。だったら、10m級でも可能ですか? 問題ない、今すぐでも準備は出来る。オッケーです、記念写真の際には、10m級のドラゴンになって貰いましょう。

 それからきつく言っておきますけど、人間の躍り食いをしちゃダメですからね。


 そんな感じて、大谷村、白鹿村を回っています。なんです、大町市からもリクエストがあるんですか。ここまで来たら、どんとこいと言わせて貰いましょう。

 さてさて、大票田へはどうやってアクセスしますかね。松本市とか安曇野市とか……うん、立木さんに相談することにしましょうかね。あの人だったら、きっと思いもよらない手を使ってくれると思うから。




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