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集団拉致

村の特産は異世界です


・集団拉致


 上里集落の2月は、普通なら外に出られない季節と言うことになる。だって、積雪量が3m越えなんだよ。どこまでが敷地で、どこからが道路なのか……うん、全くわからなくなっているんだ。取りあえず屋根の除雪はしているんだよ。スコップ君が頑張ってくれるからね。ただ、道路の除雪は諦めているんだ。だって、幾らやってもきりが無いんだから。だから移動は、もっぱら転移ゲートを使ってやってるよ。

 それから、魔王城公開とブーランジェリー王国ツアーは継続中。ただ雪が凄いので、魔王城の方は営業縮小中……営業?


 それはそれとして、魔王城回りの除雪はスコップ君では無くオークたちが頑張ってくれてます。営業縮小の影響で、時間が出来たからと言っていたな。ただなぁ、城の入り口にあるオブジェは何? 魔神像って、それって普通の雪だるまだよね。まあ、普通と言うには大きすぎるけど。3m越えって……よく潰れないよな。なるほど、魔法で強化しているんだね。うん、やり過ぎだと思うよ、それ。

 それで、隣にある小さいのは? 招待した小学生と一緒に作った雪だるま……もとい、魔神像なんだね。うん、良い心がけだと思うよ。


 最初は豪雪に戸惑っていた魔王様たちだけど、今は銀世界を満喫中。温泉に入って、雪見酒を楽しんでくれてるよ。ところで、魔王城の中に大浴場を作ったって聞いたけど? そうか、そっちは眷属たち用なんだね。福利厚生完備って……魔王様の言うことじゃないと思うんだ。

 こんな感じで、魔王様たちは冬の上里集落に馴染んでいます。ただ、まだスキーには手を出していない。理由は……どうやら靴のサイズが合わないらしい。


 それでスキーなんだけど……立木さんを誘うことにしました。うん、日頃の恨み……じゃなくて、若さからの優越感に浸ろうかなって思っただけだよ。別に、新雪に埋めてやろうなんて考えていないんだからなっ!

 ところで小谷さん、どうして哀れんだような視線を向けてくれるんだ? ようなじゃない、哀れんでいると言ってくれるんだね。


「まあ、良いんですけどね」


 なにか、含みのある言い方をしてくれるんだな。いいかな、俺はスキーも超越したんだよ。勿論、恩恵なんか使ってないぞ。これはだな、俺の運動神経の勝利と言わせて貰おうっ!


「ほほう、スキーですか」


 友池さん、どうかなさいましたか。いえ、立木さんをスキーに誘ったんです。せっかくですから、地元のスキー場を楽しむのも良いんじゃ無いかなって思ったんですよ。なるほど、友池さんたちも参加したいのだと。勿論ウエルカムですよ。俺の華麗なシュプールをお見せいたしましょうっ!


 それでですね、老人グループを率いて大谷村のスキー場へ。そう、ここは俺のホームなんだよ。もうね、勝ったと言ってもいいと思うんだ。


「なるほど、白鹿コルチナスキー場ですか。いやぁ、学生時代以来ですから、40年ぶりと言うことになりますかね」


 えっと、友池さんはこちらに来られたことが有るのだと。はい、40年ぶりと伺いましたが……スキーとかしていたんですか?


「アメリカ大使時代に、カナダまで足を伸ばしていましたね。後は、イタリア辺りでもスキーを楽しませていただきました」


 ええっと、他の方は? そうですか、似たようなものなんですね。なるほど、皆さんしっかりとスキー経験者なんですね。

 それで立木さんは?


「家内と結婚する前は、結構行っていましたね。ただ結婚してからは、呪われたかのようにスキー旅行がドタキャンの嵐になってくれましたよ。子供が生まれてからは……1回ぐらいですかね。それも、日帰りでしかいけませんでした。ですから、先日のスキーが10年ぶり……以上かな。20年ぶりぐらいになるんですよ」


 ほほう、随分とブランクがあったのですね。なるほどなるほど。


「久しぶりに滑ってみて、足腰の衰えをしっかりと感じさせて貰いました。その意味でも、友池さんたちに来て貰って良かったと思っているんです。ええ、私では諸星さんに着いていけませんからね」


 いえいえご謙遜を。どうです、俺と中級辺りでまったりと過ごすと言うのは?


「私に遠慮されなくて良いのですよ。諸星さんほどの体力があるのなら、上級コースじゃないと退屈でしょう」

「そう言うことですので、私たちがお相手させていただきます。シャルロットさん、山頂まで飛ばしていただいても宜しいですか?」


 えっ、なぜここにシャルロットが? おい、ちょっとまて、まだ心の準備がだな。


「逝ったか……」


 シア、なにか違った意味に聞こえますね。そうですか、違った意味で言っているんですね。それはそうと、あなたたちはどうしますか?


「私は、キヨヒコと一緒に遊びたい」

「これに関しては、われもシオンと同じだな」

「そうね、のんびりと雪を楽しむことにしましょう」

「ではですね、4方をあの辺りまで飛ばせば良いんですね?」


 シャルロットさん。ゴンドラ係をしなくても良いんですよ。シアでもシオンでも、インテグラでも転移能力を使えますからね。シャルロットさんは、自由にされて良いんです。


「でもですよ、私はスキーをしたことが無くて、ですね」

「ならば、われらと一緒に来るが良い。なに、キヨヒコがしっかりと基礎から教えてくれるぞ」

「ええっと、お邪魔をしたら怖いかなぁって気がするんです……良いんですか」

「一緒に楽しむのは悪くない」

「そうですか、でしたらりぃぷっ!っと」


 リフト待ちをしていた頃とは、本当に隔世の感がありますね。ではシャルロットさん、転ぶ練習から始めましょうかね。安全に転べて初めて、スキーを楽しむことが出来るんですからね。


 しかしなんだ、あの年寄りたちは。俺より40歳ぐらい年上のくせに、なんであんなに軽やかに滑ることが出来るんだ。しかも俺がへばっているのに、余裕綽々で滑ってくれるんだぞ。どこかおかしいと言ってもいいと思うんだ。しかも、思いっきりうまいって……絶対に間違っているよな。

 苦労をして下まで降りてきたら、立木さんたちの楽しげな声が聞こえてきた。それでわかったのは、俺が求めていたのは体育会系のスキーじゃ無いと言うことだ。キャアキャアと言う嬌声を聞きながら、女性に囲まれて楽しく滑る。俺が求めていたのは、レジャーのスキーなんだよ。


「すみません、今からすぐに飛ばしますからね!」


 いや、俺はそんなことを望んでいないんだからな。だから、望んでいないんだってっ!


「また、逝ったか……」

「なかなか苦労されているようですな。ところで立木さん、そろそろ上級コースに来られてはいかがですか?」

「シアたちはどうしますか? そうですか、自分たちに付き合っていないで楽しんでこいと言ってくれるんですね。でしたらシャルロットさん、私も上まで飛ばして貰えますかね」

「でしたら、友池さんたちと一緒にりぃぷっ! っと」


 立木さんいらっしゃい。そうですか、来てしまったんですね、上級コースに。違う、ここはエキスパートコースと言うのですね。なるほど、確かにエキスパートコースとありますね。

 それは良いんですけど、注意書きがちょっと怖いんです。なんです、上級者以上と言うのは、しかも、自称上級者はお断りと書いてありますよね。俺って、まだ中級にもなっていないと思うんですよ。ですので、転移で下まで戻って……そこで俺を押さないでくださいってぇぇぇぇぇぇっ!


 いえね。若いうちは、思い切りが必要だと思うんですよ。


「そうですな。我々の若い頃は、初めてのスキーでいきなり山頂に行った覚えがあるんですよ」

「奇遇ですね。私も同じ経験をしていますよ」

「それはそうと、諸星さんも頑張って……こけましたか」

「助けに行かないと、自力での復帰は無理そうですな」


 諸星さんは冷静になれさえすれば自力脱出出来るんですけどね。ただもがいているところを見る限り、冷静にはなれていないようですね。仰るとおり、助けに行った方が良さそうですね。やれやれ、精神的にはまだまだと言うことですか。


 久しぶりの新雪……と言うことも無いんだが。なんで、この程度で脱出出来ないんだ。ストックは……手応えが無い。手を突いても埋まっていくだけ……おかしいなぁ、新雪なんてとっくに克服したはずなんだが。ええっと、こう言うときは、落ち着いて……落ち着いて、どうすれば良いんだっけ?

 そう思っていたら、誰かが足を引っ張ってくれた。ひょっとして、友池さんたちかな? どうして、立木さんが助けてくれるんですか?


「どうしてと言われてもですね……諸星さんが埋まっていたからとしかお答えようがないんですよ」


 俺が埋まっていたと言うのは否定しません。俺が聞きたいのは、立木さんが俺を助けられたと言うことです。なんです、その偶々と言うのは。立木さん、思いっきりブランクが長いんですよね?


「しかも、体力が落ちまくりですからね。ですので、下まで降りたらシアたちとラウンジで休憩することにします。年寄りには、流石にエキスパートコースはきついですね。と言うことで、先に下に降りています」


 ええって……と言うことでじゃないと思うんですよ。ここから、俺に一人で降りて行けと言っていますか?


「その辺り、我々も控えているので大丈夫と保証いたします」


 えっ、友池さんたちも手伝ってくださるんですか。良いんですか、スキーを楽しみに来ているんですよね。構わない、若い者を見守るのは年寄りの務めと言ってくださいますか。そうですか、でしたら遠慮無く転ばせて貰いますです、はい。

 じゃあって……なんで、先に降りていくんです。大丈夫、途中で待っていると言ってくれますか。つまり、そこまで頑張って降りてこいと言っています? ああ、あんなに小さくなっちゃったよ。転移……しちゃいけないのかな?


 おおコウメイか、よく来たなと言ってやろう。どうだ、上級コーストやらは楽しめたのか。なるほど、死ぬ気で滑ってきたと言ってくれるのだな。そうか、大げさなと言ってやることにする。

 キヨヒコか、キヨヒコならシオンを連れて上級コースへ復帰したぞ。なに、シオンがな、上級コースで滑ってみたいと言ったのだ。ああ、われとグラはお留守番だ。なに、そろそろぬしが来るのかなと思ったのだ。


 それから、シズカに色々と聞いておるのだが。ああ、キヨヒコをスキーに連れて来ることだ。そうだな、ぬしは『返り討ちに遭った』のだ。年寄りと思って侮るな……と言うのが今回の教訓と言うことだ。

 おおキヨヒコか、随分と早かったのだな。なにか、ぬしが慌てているように見えるのだが。そうか、われの気のせいでは無いのだな。


「シャルロットさん、友池氏たちを回収後研究所まで戻ってきてください」

「了解しました。可及的速やかに5人を回収しますっ!」

「立木さん、大規模転移って出てますけど?」

「どうやら、こちらから誰かが攫われたようですね。詳しいことは、研究所に戻って確認することにしましょう」


 と言うことでだ。シオンとインテグラ、遅れるでないぞ。ああ、目的地は研究所の大部屋だからな。




 まったりと、本当にまったりとした時間が過ごせていると思います。いきなりなんだ、ですか。いえね、諸星さんが立木さんたちとスキーをしに行ったんです。ええ、前に諸星さんが言っていた奴です。でもですよ、陽佳さん曰く『爆速で滑り降りていった』のだそうですよ。つまり諸星さんには、返り討ちの運命が待ち構えていると言うことです。

 いやあ、現場を見られないが残念と言えば良いのか。だったらお前も行ってこい、ですか。いやですよ、思いっきり寒いから。


 そんなことを考えてお茶を飲んでいたら、スクリーンにいきなり赤い大きなアイコンが。場所は……東京のど真ん中ですね。ジャックさん、何者かが転移してきたとか言うことですか?


「ニュートリノの観測結果を見ると、どうやら逆のようです。ええ、大規模転移、しかもこちらから転移して行ったと思われます」


 つまり、シオンさんみたいな人が居たと言うこと?


「いえ、ニュートリノの観測値が上がっていないんです。それを考えるとですね、攫われていったと考えた方が良さそうです」


 攫われた。しかも大規模転移と行ってくれますか。ああ、自衛隊から連絡が入ったわ。困ったなぁ、こんな時に二人とも居ないなんて。

 上杉さんですか。ええ、大規模転移、しかもこちらから誰かが異世界に転移したようです。立木さんですか、諸星さんに誘われてスキーに行っちゃったんですよ。多分ですけど、すぐに戻ってくると思います、はい。それで、情報は上がってきていますか? そうですか、まだ情報は上がってきていないんですね。


「なにか、状況は掴めましたかっ!」


 ああっ、立木さんが戻ってきてくれた。いえ、この際スキーウエアと言うのはどうでも良いです。上杉さんと繋がっているんですけど、まだ自衛隊にも情報は無いそうです。ところで、諸星さんはどうしているんです? 着替え……場合によって、諸星さんが出動するからと言うのですね。


「ジャック君、転移発生場所の絞り込みは出来ましたか?」

「観測精度が上がりました。東京墨田区の公立高校が発生地点に該当します!」

「あなたたちが攫われたときとの類似性が高いと言うことですか」


 立木さんが難しい顔をしているのは、それだけ状況が悪いと言うことですね。ええ、これまで帰ってくる方を気にしていたんです。でも『帰ってくる』ためには、こちらから攫われていくことが先にあるんですよね。


「上杉さん。情報の更新はありましたか?」

「今のところ……いや、情報が更新された。第一報として、授業中に都立地蔵坂高校で1クラス分生徒が消失した」

「大規模転移現象、1クラス分の生徒消失……ですか。ファンタスティック・フォーとの共通点が多いですね」

「だけど、魔王は俺たちが倒しましたよっ!」

「あなたたちの行った世界と同じとは言いませんよ。ただ、状況はあなたたちと同じぐらい悪いと言うことです」


 状況が悪いのはわかりますよ。ただ、その判断理由はなんなのですか?


「陽佳ちゃんたちは、少数精鋭だったんです。それに対して、今回はかなりの数が連れ去られているんですよ。つまり、使い潰す兵隊として攫われた可能性が高いと言うことです。加えて言うと、敵、敵と言っておきますが、敵の勢力それだけ大きいと言うことです」

「俺たちの時も、召喚された奴らが総力戦で戦いました……」


 ああっ、ジャックとグレゴリーの表情が暗いわ。トラウマ……で良いのかな、トラウマが刺激されたんでしょうね。立木さん、でも、どうしたらいいんですか?


「上杉さん。続報はありますか?」

「2年A組の生徒30名と、授業中の教諭1名が消失したらしい。消失発生からの経過時間は、およそ30分と言うことになる。あまりの異常事態と言うことで、情報伝達が錯綜したようだ」

「現場はどうなっていますか?」

「警視庁が学校敷地を封鎖している。ほかの生徒及び教員は全員帰宅。安全が確認できないため、現場検証は行われていないとのことだ」


 こんなことっ、こんなことってこれまで考えたことはありませんよね。だって、授業中に教師を含めて31名が消えたんですよね。ええ、冷静で居なくちゃいけないのはわかっているんですよ。でもですよ、どう考えても冷静ではいられないと思うんです。


「小谷さん。我々が動揺しても何も問題は解決しませんよ。それから諸星さん、許可が取れ次第現場に行って貰うことになると思います。その時には、シアとシオンを連れていってください……ダイナさんも連れて行った方が良さそうですね」

「転移先を探るんだな」

「第一段階は仰るとおりです。そして第二段階は、戦力を揃えて乗り込むことになります」


 それって、戦争をしに行くと言っていますか? 正確には、拉致被害者保護……ですか。現場での戦闘が予想されるので、戦力を揃えると言うのですね。


「だったら、すぐに乗り込んだ方が良くないですか?」

「問題解決を考えれば、諸星さんの仰るとおりです。ただ、常日頃我々が指摘している『法的根拠』が問題になるんですよ」

「それでも、時間を掛けると状況が悪くなりますよね?」

「行かないとは言っていませんよ。ですから諸星さん、現場近くまでご足労願えますか。諸星さんなら、少しぐらい離れていても現場保全が出来ますよね。はい、転移の痕跡確保の意味で言っています」

「やってみるとしか言い様がないんだが……だが、それが最善と言うのも理解しているつもりだ」


 今日の諸星さん、ちょっと格好良いと言うのは不謹慎ですか。そうですか、気持ちはわかると言ってくれますか。


「上杉さん。これから諸星、ラズライティシア、エリシオン、ダイナの4名を現地近辺に派遣します。依頼があり次第、現場に乗り込むことにいたします」


 宜しいですねって……立木さんも強いな。それから、私が出来ることはありますか? そうですか、菅谷総理の状況確認ですね。確か今って……国会に出席していると思うんですよ。ですからテレビって……MHKに速報が出ていますね。予算委員会の質疑も中断……しましたか。非常事態ですから、仕方がなと思いますよ。

 それで、諸星さんたちは……もう出発したのですね。


「では、こちらは遠征準備をすることにします。ヴェルファイアさん、ガチ戦闘になりますけど対処は可能ですか?」

「相手が不明なのが不安と言えば不安ですが。お菓子の国からも戦力を連れてきます」

「ポルテさん。ハイエルフも突入、制圧部隊を結成してください」

「魔王城攻略の組織が出来ていますので、すぐに編成できると思います!」

「アイゴさん、闇エルフには攪乱任務をお願いします」

「闇エルフ全30名。立木様の命令に従いますっ!」

「最後にインテグラ。始祖竜たちにも働いて貰うことにしましょうか」

「とにかく、数を集めれば良いのね。わかった、キャミを除く全員が準備をするわ」

「上杉さん。自衛隊はどのように対応されますか?」

「自衛隊は、総理からの指示に従うことになる。ただ今回は、人数は多いが拉致事件と言うことになる。従って、最初の対応は警察が行うことになるはずだ」


 確かに、法的には『誘拐』なんですよね。だとしたら、対処は警察と言うことになるわけですか。でも、はっきり言って警察の能力を超えていると思うんです。正確に言うと、こんな機能を持っていないと思うんです。なんです、自衛隊だって異世界機能を持っていないと言うのは。そりゃあ、持っている方がおかしいとは思いますよ。


「それが、法的手続きと言うのは理解しているつもりですよ。そして対処の遅れる責任が、自衛隊にないのも理解しているつもりです」


 そこで私の顔を見ないでくださいよ。はい、政治の責任と言うのは仰るとおりだと思います。こんなもの、法律が整備されている方がおかしいと思うんですよ。それに、こんなものの法案って、どうやって作れば良いんでしょうね。

 ですから、そこで私を指差さないように。立木さん、ひょっとして私を追い出そうとか考えていませんか?


「組織と言うのは、常に流動していくものなのですけどね。まあ、それは将来の課題と言うことにしましょう」


 そうしていただけるとありがたいと思います。いえ、私も必要性は理解出来るんですけどね。それはそうと、立ち上がって……おトイレですか?


「状況が動かないので、今のうちに着替えをするんです。間違いなく、官邸に呼ばれることになりますからね」


 ああ、すぐに記者会見と言う話になりますね。そして立木さんは、報道を担当されていましたね。はい、納得です。それで、私はどうしたらいいんですか? なるほど、ここで指示を出せば良いんですね。その指示って、先ほどの戦力投入と言う奴ですよね。

 ところで、戦力が凄すぎませんか? エリシオンさんだけでも、星を一つ滅ぼしたんですよね。竜人とか始祖竜一族とか……ええっと、戦争を避けるためなんですか。それって、敵わないことを教えると言うことを言っています? なるほど、だから出し惜しみをしないんですね。


「制圧だけなら、諸星さん一人でも十分なんですよ。ただ、諸星さんの能力は地味ですからね。虚仮威しも必要ですから、数を揃える必要があるんです。その意味で言えば、ドラゴンは威圧するのにもってこいと言うことになります」


 ああ、そこで上杉さんの方を見てくれましたか。数を集める、しかも武器込みと言うことになったら、自衛隊の活躍しどころなんですよね。でもですよ、自衛隊の海外派兵って、邦人保護でも法整備が出来ていないんですよ。

 取りあえず、立木さんもお着替えをお願いしますね。だけど、官邸からの連絡はまだなのかな? ところで友池さんたちは、一体何をしているのかな? そうですか、古巣のお尻を叩いているんですね。それは良いんですけど、これって国内問題だと思うんですよ。なんです、米軍を動かすことは可能と言うのは。それって、流石に大事過ぎませんかね。


「過去、米国から大勢の学生が拉致された実績があるんです。ええ、ジャック君、グレゴリー君たちのことを言っていますよ。その実績があるから、米軍を動かす口実が立つんです。しかも拉致された学生たちは、用済みになったところで大勢殺されたと聞いています。なおのこと、軍を派遣する理由になると思いませんか?」


 もの凄いこじつけに思えるのは気のせいですか? どちらかと言うとですね、別の意図を感じるんですよ。そうですか、私の考えは間違っていないんですね。


「米国も、異世界事案に関与したいと言うことです。そしてそれは、更に出遅れている国々も同じと言うことです。従って、世界各国から支援提供の申し出が来るのでしょうね。それを、古巣には正しく仕切って欲しいと思っているんですよ」


 正しく……ですか。総論賛成と言わせていただきますが、正しくの意味が難しいですね。ええ、誰にとって正しいのかと言う意味です。なんですか、その成長していると言うのは。


「正しいと言う言葉は、とても便利に使われる言葉だと言うことです。そして、全く具体性がないと言う意味にもなります。ですので、我々……つまりIMO研究所の利益に反しない限り、日本国全体の利益に結びつくものと言うのが私の期待と言うことになりますね」


 なるほど、先ほどよりは具体性が増したと思います。ただ、それにしてもまだ足りないと思うんです。そうですか、一応自覚していると仰るのですね。そしてこれ以上は、IMO研究所の中でも利益が異なると言ってくださいますか。


「その場合は、諸星氏の利益を優先することになるのでしょうね」


 それが妥当と言うのは認めるんですけどね。あの人って、結構欲が無い人なんですよ……色気か。新しい王女様って言ってもなあ、まだ入れ物を増築していないんですよね。

 そんなことより……電話ですね。そろそろ官邸……つまり、菅谷総理からの依頼ですかね。はい、小谷です。ええ、立木さんがそちらに伺う準備をしています。それとですね、諸星さんたちはすでに現場に到着しているはずですよ。勿論、許可無く中に立ち入る真似はしていませんのでご安心ください。はい、IMO研究所として、依頼さえあれば積極的に関与することを決定しています。


 それから、立木さんが戻ってきました。はい、すぐに記者会見を行いたいのですね。だそうです立木さん、すぐに官邸に向かっていただけますか。




 緊急記者会見が開かれたのは、菅谷総理から連絡のあった10分後のことです。事件発生から考えるととても遅くて、これまでの日本政府の対応から考えれば異例とも言える迅速さと言うのは確かですね。

 ちなみに諸星さんたちですけど、拉致現場に案内されています。そこで何をしているのかと言うと、痕跡の確認と言う奴です。ええ、どの空間に拉致されたのか、現場の痕跡から追跡しようと言うものです。


「ただいまより、内閣総理大臣菅谷道徳より都立地蔵坂高校生徒拉致事件に関する記者会見を行います」


 もの凄い数の記者さんが集まっています。ええ、集まっているのは日本だけじゃありませんね。それだけ、この事件への注目度が高いと言うことになるわけです。私、私ですか、連絡係として総理官邸に行っていますよ。研究所の方は、ファンタスティック・フォーの4人が引き受けてくれました。


「本日午前10時00分。都立地蔵坂高校の2年A組生徒30名。及び現代国語担当教諭1名、合計31名がクラスより姿を消失しております。IMO研究所並びに自衛隊の観測で、同時刻に大規模転移現象発生が確認されました。観測データに従い、31名が異世界に拉致されたと断定することといたしました」


 ああ、フラッシュの嵐になっていますね。そりゃあ、初めて異世界への拉致が認定されたんですからね。しかもこんなに大規模なんですから、注目されるのも仕方がないと思います。


「拉致への対処ですが、残念ながら日本政府に対処能力はありません。従って、日本国としてIMO研究所に対して事件解決への協力依頼を行っています。IMO研究所より快諾いただき、関係者が現場検証に入っていることをここにご報告いたします。なお本事件に対して、邦人保護を目的とした時限法を、国会にて緊急採決を行うことを予定しております」


 えっと、いつの間に法案を準備していたんですか? そりゃあ世論から反対は出ないと思いますけど、中身によっては揉めることになるんですけど。

 やっぱり、質問がでましたか。ええ、おかしな前例を作るわけにはいきませんからね。いつもの反応とも言えるんですけど、今回は重要な意味を持つことになると思いますよ。


「有効期間は本日より1ヶ月とし、捜査権限を民間機関に委託することを目的としています。その場合、民間機関の指揮下に警察機構並びに自衛隊、外務、厚生など関係省庁を置くことといたします。加えて、民間人による武力行使を認めることを含んでいます」


 必要性は認めるんですけど……民間人による武力行使を認めますか。それって、もの凄い問題を含んでいるんですけどね。ああ、その指摘が出てきますよね、やっぱり。


「拉致された生徒たちの安全を考えた場合、時間的猶予がないことが予想されます。時間との勝負である以上、十分な審議時間をとることは出来ません。非常に多くの問題を含んでいるのは承知しております。ですが、日本国は攫われた生徒たちを絶対に見捨てる真似はいたしません! その覚悟を示す意味でも、今は迅速な措置が必要と考えております」


 言い切りましたか。ええ、ある意味劇場型なんですけどね。でも、今の政府に求められていることでもあるんですよね。


「では、これよりIMO研究所副所長の立木氏に説明並びに質問を受け付けて貰うことにする」


 日本政府の決意表明の後に登壇ですか。もの凄いプレッシャーだと思いますよ。私、ええ、絶対に無理とお答えさせていただきます。友池さんだったらどうです? そうですか、勘弁して欲しいと泣きを入れるレベルなんですね。


「それでは、現時点でのIMO研究所の動き並びに把握していることをお知らせいたします」


 そこで、ゆっくりと会場を見回してくれますか。ええ、ここまで来たら認めるしかありませんね。立木さん、宜しくお願いします。


「研究所として、大規模転移検出をしたのは10時ちょうどです。そしてその10分後に、休暇中のメンバーが集結し、対処方針の確認を行っております。そしてその20分後、自衛隊より提供を受けた情報を元に、所長の諸星、エルフのラズライティシア、エリシオン、翼人のダイナが現場付近に急行しています。目的は、大規模転移の痕跡トレースとなります。それに加えて、転移空間固定も目的としております。直接現場に乗り込まないのは、法的な裏付けが無いことが理由になっています」


 法律問題を出すのは、これまで続けてきたことですからね。余計な軋轢を防ぐためにも、IMO研究所が法律に従うことを強調しなくちゃいけないんです。


「先ほど菅谷総理大臣より依頼を受けましたので、派遣した4名は拉致現場に入っております。これは速報となりますが、拉致された先、すなわち生徒たちの居場所のトレースは出来ています」


 安堵の空気が広がりましたね。これで、取り返すことへの希望が生まれたわけですからね。ただ、これで目出度しとはいかないんですよ。


「IMO研究所には、米国出身の4名がいます。彼等は、サマースクール参加中にほかの参加者とともに異世界に拉致されました。全員で30名だったそうです。目的は、魔王との戦いの戦力にするためです。そして魔王討伐がなった後、生き残った10余名が凱旋しました。しかしながら、魔王討伐に尽力した彼等は英雄として迎えられたわけではありませんでした。魔王を討伐できる力を持つ、驚異として排除の対象となったのです。その結果、なんとか逃げ出した4名以外は謀殺されることになりました。30名が拉致され、4名が命からがら逃げ出してきたのです。今回拉致された生徒たちが同じことになるとは断言できません。しかしながら、同じ運命を辿る可能性も存在しているのです。ですから、私たちは一刻も早い救出を目指しています。そのために、最善を尽くすこともお約束いたします。ただ私たちIMO研究所は、どこまでいっても一研究所でしかありません。警察、自衛隊のみならず、皆様のご支援を必要としていることを強調させていただきます」


 あっ、諸星さんから連絡が入りました。拉致された空間への座標固定は完了した。突入準備も出来たと言うのですね。はい、上里集落の準備も出来ていますよ。竜人、翼人、ハイエルフ、魔王様たち、総力戦の準備は整っていますよ。

 と言うことで、立木さんに合図合図と。


「続報が入りましたのでお知らせします。生徒たちが拉致された世界の座標が固定できました。これで、いつでも救出作業を行うことが出来ます。なお、IMO研究所構成員全員の救出に向かう準備も整っています。国会承認が得られ次第、IMO研究所は都立地蔵坂高校生徒及び教師の救出に向かいます!」


 さあて、これで賽は投げられたわけですね。後は、国会議員の皆さんに掛かってくるわけですか。おや、ここで質問ですか?

 なるほど、今回どこまでするつもりかと言うことですね。ええ、この質問でしたら、国会の議決に影響しませんね。


「どこまでの範囲が不明確と指摘させていただきます。その上で回答させていただくのなら、拉致された邦人の奪還までと考えています。現地が戦闘状態であった場合でも、我々は現地の戦闘に干渉はいたしません。なお、攻撃を受けた場合は安全を図るために反撃を行います。ご質問への回答はこれで宜しいですか?」


 ええっと、マスコミは入ることが出来るのか、ですか。そのですね、簡単な任務ではないと思うんですよ。


「現地映像は、自衛隊に協力していただくことを考えております。ただ、リアルタイム中継はご容赦願いたいと思います。映像の提供に関しては、日本政府に対して要求いただければと考えています」


 そこで、菅谷総理に目で合図ですか。ええ、今は一刻も早い議決が必要ですからね。質問に対する回答は、IMO研究所が引き受けるのは間違っていないと思います。




 記者会見から2時間後、諸星さんたちは転移によって拉致された生徒さんたちを追跡。ちなみに追跡メンバーは、諸星さんとエリシオンさん、それに記録係の白船君です。起きた事件を記録する必要があるわけですよ。ただ民間人を連れて行くわけにはいかないんですね。その条件で人を探すと、必然的に白船君になったと言うことです。まあ、当たり前すぎる人選でもありますね。

 いざと言う時の備えとして、白船君が荷造り紐さんを10巻、3千メートルほど携帯して行くことになりました。人数を絞ったのは、見つかりにくさを優先したからです。ただ人数こそ絞りましたが、戦闘と言う意味では最強と言って良いと思います。何しろラズライティシア様では無く、竜人も恐れるエリシオンさんが同行したんです。


 この状態だと、転移先で何が起きているのかわからない。そう指摘してくださるのですね。それはですね、うちの技術者を甘く見た考えと申し上げておきます。まあ、本職が通信系のSEと言う立木さんが居るんですよね。国会での決議を元に、必要な機械を徴集してくれたんです。

 それもあってですね、白船君の撮った映像はリアルタイムで中継されると言うことです。勿論、音声もバッチリと入っていますよ。


 それで国会の方ですけど、これもまた前代未聞の展開となりました。法案提出のために閣議が開かれたのですが、官僚の方が持ってきた資料で即決となりました。開始から終了まで、およそ10分と言う短さです。よほど移動の方が時間が掛かっていないか、そう突っ込みたくなるほどの早業でした。

 そしていきなり衆議院の本会議。菅谷総理が法案提出の趣旨を説明し、野党の皆さんはそれぞれ代表が質問に立ってくれました。ただ質問に立ったと言いましたが、最初にあった懸念事項の表明だけ。政府派遣の民間人による武力行使容認が、今後拡大適用されないようにと言う注文だけでした。


 それで、各党代表さんは最短時間で質問終了。今回の国会は、しっかりとテレビ中継されているんです。従って、ここで時間を掛けるとマスコミ、国民から総攻撃を受けますからね。だから、誰一人として法案成立の邪魔をしなかったと言うことです。

 その結果、満場一致で衆議院を通過しました。


 そして次は、参議院での議決と言うことになります。そしてこちらも、やったことは衆議院のコピペ。野党の参議院代表さんが質問に立って、最短で質問を終わらせてくれました。こちらもまた、満場一致で参議院で承認。即時法案が効力を発揮することになったと言うわけです。

 その結果を受けて、フローリアンさんが小ぶりのゲートを設営。ゲートを通過後、諸星さんが強制力を働かせてゲートの隠蔽をしてくれました。諸星さんの能力を超える人が居ない限り、これでゲートは見つからないことになるわけです。


 そして私たちは、一度IMO研究所に帰還することになりました。どこに居ても情報を取れるのなら、一番動きやすい場所を選択したと言うことです。ここでしたら、突入部隊の確認をすることもできますからね。

 諸星さんが無双すればけりが付きそうな気がしますが、立木さんの意見でよほどのことが無い限り前に出ないことになりました。出し惜しみとは違う次元の話だそうです。

 その代わり、エリシオンさんには『遠慮は必要無い』と言う指示が出ています。でもですよ、本当にそんなことを言って良いんですか? エリシオンさんの魔法なんですけど、ここの所の検討で、かなりパワーアップしていますよね。


 ところでジャックさんたち、この広間に見覚えはありませんか。そうですか、しっかりと見覚えがあるんですね。だとしたら、登場人物の方はどうですか? そうですか、絞め殺しに行きたい奴らが揃っていると言ってくれますか。つまり、攫われた皆さんの運命は見えていると言うことになりますね。

 つまり、諸星さんは遠慮が要らないと言うわけですか。でも疑問なんですけど、皆さんが魔王討伐をしてからさほど時間が経っていませんよね。それを考えたら、戦力を召喚する必要がないと思うんですよ。だとしたら、何を目的に30名の高校生を攫ったんでしょう。


「どうやら、女神様が説明してくれるようですよ」


 女神様って……なにか、タカビーそうな女神様が登場しましたね。それでジャックさん、女神様の役目はなんなのですか? そうですか、恩恵の付与を一人ずつしてくれるんですね。そこで、戦力としてランク付けされるのですか。


「高ランクの戦力は、かなり優遇されることになるんだ。そして低ランク、使えそうに無い能力の場合、かなり雑に扱われることになる。受け取れる恩恵は、個人の資質によると言うのが俺たちの受けた説明だ」


 そりゃあそうですよね。もしも自由に恩恵が与えられるのなら、全員最高の恩恵を与えますもんね。ところでそのカメラはなんですか? なるほど、ここも映像として配信されていると言うのですね。あのぉ、そう言う重要なことは、先に言っておいてくれませんか? 私にだって、心の準備が必要なんですよ。

 ええっと、立木さんなにかご意見があるんですか? 女神様の与える恩恵は、個人差によるものではないと言うのですね。バランスを取る意味に加え、攫ってきたものを踊らせるのが目的なんですか?


「個人の性格を考えて、調子に乗りやすいものに強い恩恵を与えると言うことです。ジャック君、恩恵にランクが付いていませんでしたか?」

「そう言えば、SランクからDランクまでありました。俺とグレゴリーがAランク。リズがBランクでシャルがSランクだったと思います」

「そこでSランクになった者が、ある意味天狗になると言うことです。恐らくですが、操縦のしやすい方法を考えた結果だと思いますよ」


 うまく踊らせるため……と言ってくれますか。タチが悪いと言って良いと思いますよ。それであのタカビーな女神様は……なるほど、生徒さんたちをおだててくれるわけですね。なんです、『選ばれた勇者の皆さん』と言うのは。しかもなんです、『世界をお救いください』と言うのは。そのお願いをするのなら、もう少ししおらしくした方が効果があると思うんですよ。

 ところで、どうして女神様の言葉がわかるんです。なるほど、ラズライティシア様が翻訳魔法を使っているんですね。


 あっ、さりげなく『帰還』を持ち出してくれましたね。なんです、魔王討伐の暁には全員を元の世界に返す方法を探すと言うのは。つまり、今は返す方法がないと言っているわけですよね。『帰りたければ、魔王を倒せ』と脅迫したことになっていますよね、それ。そりゃあ、パニックになりますよ。おっ、一緒に攫われた先生が前に出てきました。まだ若い女の先生だけど、勇気があるんですね。

 『条件を付けずに、全員を元の世界に返してください』ですか。足は震えていますけど、立派な先生だと思います。大人しそうに見えたのですけど、芯はしっかりしているんですね。えっ、今、何をされたんですかっ! 先生が、いきなり倒れこんでくれたのよ。こんな真似はしたくなかった、非常事態だから仕方が無かった……ってね。結局、問答無用と言ってるのと同じよね。しかも先生の運ばれ方、もの凄く雑なものになっているし。


 ところで立木さん。いつまで、このまま黙って見ているんですか? もう、一刻の猶予もならない気がするんですけど。そうですか、ついに突入指示を出しますか。待ってましたと言っても良いと思います。


「これより、生徒30名及び木村教諭の身柄確保を実行します。エクシブ君、シア、可及的速やかに敵戦力を無効化してください。制圧後、敵女神及び国王の連行をお願いします」


 えっ、敵と明言してくれましたか。そうですか、敵なんですね。別に異論がある訳じゃありませんよ。かなり思い切ったことを言ったと思っただけです。

 それで、投入する戦力はどうなっているんですか。エクシブさんとラズライティシア様、それに翼人が40と言うのですね。竜人とハイエルフは投入しないのですか? そうですか、ここからは政治的なことを考えないといけないと言うのですね。


「ですから、制圧は荷造り紐さんを使用します」


 またですかと言っても良いですよね。ええ、私たちの手の内を明かさないことが理由と言うのは理解していますよ。でもですよ、万が一と言うことがあると思うんですよ。だから、荷造り紐さんの投入をするのですか。確かに、荷造り紐さんは竜人たちも捕まえることが出来ましたね。


「諸星さん。あの女神だけは絶対に逃がさないようにしてください」


 あの性格の悪そうな女神ですか。ええ、なにか諸悪の根源と言う気がしますね。諸星さん、絶対に確保してくださいね。




年寄には、意外とスキーが必修科目だったりします。

それから異世界物って、意外と集団拉致……もとい、集団召喚って多いですよね。ただ、大抵誰かがハブられますが。

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