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静かな報告

村の特産は異世界です


・静かな報告


 今が通常国会の会期中と言うのは十分に承知しているんです。だってその会期冒頭で、諸星さんが演説などぶってくれたんです。挨拶の中身ですか? ええっと、『どんなときでも安心挨拶集』でしたっけ? そんなものが役に立つはずがありませんよね。従って、私と立木さん、それから老人クラブが知恵を絞って原稿を作成することになりました。老人クラブとは何か、ですか。ポトマックコンサルティングのお年寄りのことを言っています。

 もうガチガチに緊張しながら、衆参両院で演説をしてくれましたよ。まあ、年齢なりに見えて良かったのではありませんかね。


 国会が始まりましたから、菅谷総理が忙しいのは今更ですよね。その国会対応で忙しい時間を縫って、私がご報告に上がったと言う訳です。身分的には、私はIMO研究所に転籍しているんですけどね。派遣された理由を考えれば、報告は必須だと思っています。

 最初の報告ですけど、どれからすれば宜しいですか? シオンさん……エリシオンさんの件とか、老人5とかの話がありますよね。諸星さんは……最近よくお話をされていますよね。


「そうだな。では老人……老人かぁ。彼等は、私よりは若いのだがね。それで老人と言ってくれるのか。それはそうとして、老人の戦いはどうなったのだ?」


 そう言われてみれば、先生より6人とも年下でしたね。いえ、先生に含むところはありませんよ。それはそれとしてですね、1対5の戦いは立木さんの圧勝でしたね。ただ戦い自体は、誰も目撃者がいないんですよ。指宿で良いんでしたっけ、6人で温泉に行ったんです。ええ、立木ガールズ全員が遠慮した結果です。もうね、一体何を感じ取ってくれたんでしょうね。

 私、私ですか? 誘ってくれたんですよ、芋焼酎も美味しいよって。ほかにも美味しそうなものを、沢山あげてくださいました。本当に食指の動くことを言ってくれたのは確かですね。でもですよ、あんな胃に悪いところに行きたくないんです。幾ら美味しそうでも、美味しく食べられなければ意味がありませんよね。諸星さんも誘われたんですよ。行きたがりの諸星さんでも、今度ばかりは行きたがらなかったんです。それだけ、全員が神経戦になるのを感じていたんでしょうね。はい、そんなものに絶対に巻き込まれたくなんか有りません。だから、どう決着が付いたのかは誰も知らないんです。後から個別に聞いてみたんですけど、誰一人として教えてくれませんでした。


「つまり、言えないようなことで決着が付いたと言うことだな。それでも言えるのは、立木氏恐るべしと言うことか」


 それは思いっきり肯定します。御衣黄さんと武見さんからも、かなりおかしくないかと言われているんです。少しじゃ無いですよ、『かなり』おかしいと言ってくれました。

 その理由なんですけど、あの二人の研究で年末に一つ仮説を立てたそうです。それをですね、立木さんに年明けに検証方法とかを相談しようと思っていたらしいんです。それなのに、お年玉と言ってブーランジェリー王国での調査資料を渡されたのだそうですよ。『相談する前に答えを渡された』と、二人して愕然としたそうです。しかもですよ、実験室レベルでの検証に必要な素材も渡したようです。『頭の中を覗いてみたい』、これは武見さんの感想なんですけどね。御衣黄さんも、とても力強く頷いてくれましたよ。


「それで、完敗した5人はどうしているのだ?」


 5人ですか。とても従順にお勉強なんかしていますよ。ええ、異世界についてのお勉強ですね。『強みを理解しないで、どうやって世界で戦うつもりですか』と、勉強を強要されたのだそうです。ちなみにですね、教材はこれまでの調査レポートと、異世界系の小説や漫画、アニメが使用されています。まず調査レポートで何が起きているのかを理解してから、フィクションの世界との対比をするのだそうですよ。もうですね、違和感バリバリなんですよ。何しろ、老人たち5人が雁首揃えてアニメを見ているんですからね。

 しかもですよ、アニメを見終わったところで議論なんか始めてくれるんです。ええ、アニメで出てきた現象と、実際に観測されている現象との違いとその原因。あの人たちが、大真面目に議論してくれるんです。そう言えば、諸星さんも巻き込まれていましたね。アニメとかで出てくる魔法とか有りますよね。再現して見せてくれ……これは、ラズライティシア様とエリシオンさんも巻き込まれていたんですけど、魔法の再現を迫られたと言うことです。


「何か、間違った方向に進んでいると感じるのは私の気のせいなのか?」


 こめかみを押さえてくれましたね。はい、それは私たちが最近通った道なんです。でも、時々立木さんまで交じって議論しているんですよ。つまり、彼等にとっては正常運転と言うことなんです。

 実はですね、ラズライティシア様とエリシオンさんも最初は嫌がっていたんですよ。それがですね、今はかなり協力的になっているんです。頭の良い人が真剣に議論しているからでしょうかね、魔法としてかなり具体的になっているのだそうですよ。だから、新しい発見があると二人が喜んでいるんです。


「やはり、進むべき方向が違っているとしか思えないな」


 そうですね、今はどうすれば世界に覇を唱えられるかとかまで言い出しているんです。戦争への能動的介入とか聞こえてきましたから、かなり危ない話をしていると思うんです。『局地戦ならすでに敵無し』とか……恐ろしいことを平気で言っているんです。

 中東にですね、翼人兵を送り込むことなんか真剣に検討していたりします。もうね、やりすぎってどれだけ言いたかったか。でもですよ、あの人たちに意見なんか出来ませんよ。立木さんが煽るものだから、ますます熱中しているし。


 力無き外交は無力だぁっ!


 なんて、朝礼で唱えているのが聞こえてきました。大陸間弾道弾の無力化方法ですか、諸星さんの力を使わない方法を大真面目に議論なんかしていました。今現在の課題は、飽和攻撃ですか、それをされたときの対処方法なのだそうです。


「IMO研究所なのだが、一体何を目指しているのだ?」


 IMO研究所の目指すものですか? 研究はですね、人類の老化への挑戦なんですけどね。実のところ、そちらも成果が出つつあるんですよ。まだMS器官の解明は出来ていないのですけど、移植が叶えば人の寿命を延ばせるのだそうですよ。それが、先ほどの話に繋がるんです。

 後ですね、万能細胞を使わないで、直接人の細胞を変化させることも実験レベルでは成功したみたいです。まだ治療への具体的適用は検討されていないのですけど、本山先生曰く『医学の革命が起こる』のだそうです。


「それは素晴らしい成果と言って良いのだが……ICBMへの対処との関係性が全くわからん」


 ですよねぇ、普通はそう思いますよね。ええっとそれはですね……どちらも、外交手段に使えるからだそうです。皆さん、大使として世界の情勢を見てきたんです。だから、各自の把握している問題と、その問題をどうしたら解決することができるのか。テーマを決めて、一つ一つ潰して言っているそうですよ。もうですね、会議室に検討結果を書いた模造紙のロールが山積みになっているんです。

 いつあの人たちが世界征服を持ち出すのか、諸星さんとハラハラしながら見守っているところなんです。


「つまり私は、潰し合いをさせるつもりで、更に凶悪な存在を作ってしまったと言うことなのか?」


 結果だけを見れば、そうとも言えると思いますよ。ただですね、立木さんは今までと全く変わっていないんですよ。相変わらずラズライティシア様たちはデレてるし……そう言えば、とうとうオルティアさんに手を出されましたね。ですので、立木ガールズにオルティアさんも加わりました。

 不思議なのは、背中を押したのがご子息と言うことですね。それもあって、御衣黄さんが危機感を募らせているんですよ。


「数は諸星氏が勝るのだろうが、癖の強さは立木氏側が圧倒しているな」


 それは、仰るとおりだと思います。はっきり言って、面倒で癖の強い人が揃っていると思います。後はですね、色々と優秀な人が揃っていますね。その意味で言えば、諸星さんの奥さんたちが常識的に見えてしまいます。


「セレス嬢が常識的な方に入るのかは疑問なのだがな。それ以外については……小粒であるのは間違いないだろう」


 セレスさんですか。私には、今ひとつセレスさんのことがよくわからないんですよ。いえ、エリシオンさんも、セレスさんを意識されているんですけどね。でも、誰一人として事情を教えてくれないんです。そう言えば、立木さん……慶子さんもですね、もセレスさんを特別視していました。


「立木氏はまだしも、奥方から事情を聞くことは出来ないのか?」


 一応聞いてみたんですよ。そしたら、『内緒です』とはぐらかされてしまいました。それでも言えることは、内緒にすることがあると言うことなんですけどね。ただ、私には何のことか全くわからないんです。

 相変わらず綺麗でスタイルが良くて、諸星さんにベタ惚れで。最初に会ったときから、違いが全く見つからないんですよ。


「5人のことはわかった……今は、見守るしか仕方が無いということだな。私としては、どうやってあの5人を屈服させたのかが興味があるな。それはそれとして、エリシオンだったか、彼女はどうしている?」


 そちらですね、とっても大人しくしてくれていますよ。ええ、ご存じの通り陽佳さんと一緒に奈良に住むことになっています。それもあってですね、二人揃って慶子さんから家事を習っています。たまに覗いてみてるとですね、結構面白いなぁって思えます。ただ、まあ、慶子さんは大変なんですけどね。

 それから、善悪の基準はかなり私たちに近いものに矯正できたと思います。これも、殆ど慶子さんのお陰だと思います。ただですねぇ、立木さんのことを聞くのははっきり言って地雷です。本人はそのつもりはないのですけど、あれは猥談でしか有りません。本当に、可愛らしく文句を言ってくれるんですよ。ただその中身がですね『もういい』被せてくれましたか。


「おおよその予想は付いた。だから、これ以上私を道連れにしようとしてくれるな」


 おや、気づかれてしまいましたか。もうですね、エリシオンさんと話をする際は、全員が地雷を踏まないように注意しているんですよ。裏を返せば、全員が一度は被害に遭ったと言うことです。エリシオンさん、とっても可愛らしいんですよ。だから、やっていられないと言う気持ちが更に強くなるんです。


「これ以上、その話題をするなと命令しておく。それ以外のことだが、特に変化は認められないか?」


 それ以外ですか? 竜人との関係が、多少緊張緩和されたと言う所でしょうか。恐らくですね、するなと言われた話が影響していると思います。後はですね、エリシオンさんには『悪意』と言うものがないんですよ。竜人との関係に関しては、本当に不幸な行き違いが理由になっていたんです。もしも話し合いが行われていたら、星が滅ぶようなことは無かったと言うのが立木さんの意見でした。


「不幸な行き違いが原因で、星が滅んだと言ってくれるのか。彼女には、星を滅ぼす力があると言うのだな」


 先生も、停止現象をご覧になっていますよね。あの現象なんですけど、魔力は大して必要が無いんだそうです。そして、魔力を込めた方が広がる速度が速くなるそうです。先日は時速4kmで範囲が広がっていきましたよね。そのペースで広がっていくと、5千時間もあれば地球を覆い尽くすことになります。5千時間、つまり200日とちょっとで地上に動く物がなくなるんです。

 ちなみにですね、諸星さんとラズライティシア様も同じことが出来るそうですよ。そして3人とも、再起動をすることも出来るのだそうです。


「小谷君、このことは他言無用にしてくれ。こんなことが知られたら、全面戦争になりかねないのだ」


 とても危険なことと言うのは理解しています。理解しているのですけど、例の老人クラブが効果の評価なんかしてくれているんですよ。先ほどの戦争への能動的介入なんですけど、停止現象の活用も手段の一つになっているんです。ちなみにですね、老人クラブからの要請で、魔法の方もバージョンアップしています。具体的に言うとですね、効果範囲を限定することが出来るそうですよ。

 頭を抱えられましたか。ええ、それは私も通った道なんです。ですから、よぉく理由はわかっているんです。先生、『混ぜるな危険』をやってしまったんです。大使時代に歯がゆかったこと、鬱々と溜めたストレス、その諸々を晴らそうとしているようにしか見えないんです。


 時々ですけど、『***をぶっ殺してやれたのに』とか叫んでいるんですよ。誰って聞いてくれますか? いえ、本当に色々な人の名前が出てくるんです。他の人に聞かれたりすると、本当に危ない名前が出ているんです。中には先生が賛同できる名前も出ていましたよ。ええ、烏山死ねぇってのもありましたから。

 叫ぶだけなら微笑ましい……のかなぁ。微笑ましいと言っても良いと思いますよ。ああ、あの人たちも苦労したんだなぁって思えますから。でもですね、エリシオンさんが『始末して欲しいの?』って可愛らしく聞いてくれるんです。勿論、私と諸星さんが全力で止めましたよ。一応お断りしておきますけど、先生の名前は出たことはありませんからね。


「立木氏を敵に回すと、命の心配をしないといけなくなると言うことだな」


 流石にそれは大げさだと思いますよ。基本的には、立木さんは止める側ですから。ただまあ、もしもの時は確実に仕留められるのでしょうね。エリシオンさんだけじゃなくて、ラズライティシア様とかインテグラさんも殺しに来てくれますので。

 そうそう、クロアさんとかフィオレンティーナさんも気をつけた方が良いですね。その二人は誰か、ですか? 真偽の程は定かでは無いんですけど、フローリアンさんとは比べものにならない程高位の神様なのだそうです。


「IMO研の話をしていると、宗教観、いや世界間がが狂ってくるな。そう言うものだと割り切るには、あまりにも生々しすぎるだろう」


 仰るとおりだと思います。ですから、気にしないことをお勧めします。何しろもの凄く高位の神様が、立木さんラブとかファザコンになっているんですからね。神様が『婚活』に現れるのって、どうかと思いませんか?

 やはり頭を抱えられましたか。ええ、理由なんてわかりすぎるほどわかっています。私も疑問に思っているんですけど、神様がやけに人間くさいんです。ちなみに遺伝子を調べているんですが、フローリアンさんの遺伝子は私たちと同じでした。勿論、例のMS器官と言う謎器官の違いはあるんですけどね。ただそれ以外が同じだから、私たち人との間で子作りが出来るんです。本人申告では、フィオレンティーナさんは立木さんとクロアさんのお子さんと言うことです。

 ただですねぇ、ちょっと疑わしいのはセレスさんをおばあさまと呼んでいることですね。そして諸星さんをお爺さまって呼んでいるんです。でもですよ、諸星さん曰くセレスさんは冒険者ギルドの受付で、絶対神様とは見た目が違っているそうなんです。


「そうか、そう言うことなら理解も出来ると言うことだ」


 すみません。どう言うことなのでしょうか? 勝手に納得しているだけだから、気にする必要は無いと仰ってくださいますか。なぜ、皆さん秘密にしたがるのでしょうね。


「老人クラブ……の元気が良すぎる、暴走気味なのは問題なのだろうな。こちらは注意が必要なのだが、それ以外は安定方向に向かっていると考えて良さそうだな。そうなるとだな、新たな異世界との接続、新たな来訪者が訪れないかが問題と言うことか」


 それなんですけどね。先生は、諸星さんから『帰還事業』の話を聞かれていませんか? はい、異世界に連れ去られた方が、こちらに戻ってくる話のことです。そうですか、一応話は聞いているんですね。仰るとおり、日本の政治家として否定できないことだと思います。


「問題は、私の立場として否定の出来ないことだ。そしてそれ以上の問題は、帰還事業と言われるほど国民が連れ去られたことだ。可能であれば、拉致自体を阻止したいところだな」


 それは、とても理解出来る。そして、立派なお考えだと思います。ただですね、異世界に行かれた方にも様々あると言うことです。

 例えばですけど、諸星さんの場合は死亡後に異世界に行っているんですよ。そして立木陽佳さんの場合は、生きたまま拉致されています。ファンタスティックフォーも生きたままでしたね。死んでから連れて行かれた方の場合、善し悪しは有るかも知れませんが救済なんですよ。


「生きたまま拉致されるのだけを考えておけば良いと言うことか……それはそれで、区別が難しいことになるのだな。もしも死後に異世界に行ったのであれば、帰還と言うのもおかしなことになってくれるな」


 ですね。一度、こちらでお葬式もあげられていますからね。諸星さんの事例は、色々と扱いが難しいと思います。それでも、帰ってきたのなら迎え入れないわけにはいきませんよね? ええ、人道的な意味で言っています。


「それを考えた場合、上里集落の拡張を考える必要があると思うのだが?」


 ええ、しっかりありますね。諸星さんも言っていたのですけど、今の場所は拡張性に難があるんですよ。当初の希望である、人目に付きにくいとか温泉があると言う点では問題ないんですよ。

 ただ公開された後でも、大谷村がとても協力的と言うのもポイントが高いと思います。村有地の提供も頂いていますので、残る問題は住居建築だけになっているのも確かです。それでも、かなり下まで進出しないと土地が足りていないのも確かですね。


「ならば、特区として建築に関する縛りを緩くすることを加えよう。君たちならば、おかしな開発をするとは思えないからな」


 信用して頂けますか。諸星さんのセンスを考えた……それって、常識的って言う意味で言っていますか? ええ、否定はしませんよ。その意味で言えば、立木さんも常識的な方ですからね。ただ、色々とバグっているだけです。


「アメリカに逃げられないようにするため。そう口実を付けておけば、国会で揉めることもあるまい」


 そちらに口実を求めてくれましたか。ええ、ギブソン大統領、しっかり移転を提案してくれましたからね。でもですよ、諸星さんは心が動かなかったようです。そうですか、心が動いたことにして欲しいと言うのですね。それはなんです、野党の方たちにも危機感を持って貰うため、と考えれば良いのですね。

 ええ、明言する必要ありません。何でもかんでも口に出すのは間抜けだと立木さんにも言われていますので。




 30日で良いのかしら。こちらの世界に来て、そして救われてからそれぐらいの時間が経っている。それはそうとして、そこでデレてる女神……女神では無く女性形態をした神と言うのね。悪いんだけど、女神とどこが違うのかわからないんだけど。そんなことより、あなたはこうなることがわかっていたの? わかっていた。だから、救われると予告をしたと言ってくれるのね。予言では無く予告と言ってくれるのね。


「もしかして、不満があるのですか?」


 不満……不満と言うつもりは無いわ。だって、この世界に来て、本当に救われたと思っているんだもの。見るものがすべて新鮮で、それにみんながとても優しくしてくれる。食べるものも、とっても美味しいと思っているから。だから、不満なんて……あったわ。


「この上、どんな不満があると言うのです?」


 うん、とっても大きな不満があるの。あのね、私はキヨヒコにも気持ちよくなって貰いたいの。でも、私が奉仕しようとしても、いつの間にか立場が逆転してるのよ。止めてと言っているのに、止めてくれないの。それにキヨヒコは、私にとっても恥ずかしいことも言わせてるの。

 不満と言っても、その程度よ。予め断っておくけど、止めて欲しいと言う意味じゃ無いのよ。だって、とっても幸せだし、もっともっとして欲しいと思ってるもの……思い出した。ほかにも文句の言いたいことがあったわ。同族とは思えない見た目のエルフと、インテグラ、他の人もそうね。私と話をするとき、キヨヒコの話を避けてくれるのよ。普通に話をしていているのに、キヨヒコの話になるとみんな逃げていくの……どうしてあなたも嫌そうな顔をしてくれるのかしら? 神様だったら、私の話を聞いてくれても良いと思うのよ。


「でしたら、私も立木様とのことを話しますけど?」


 そう、あなたの惚気話を聞かされると言うのね。ええ、神様だったら人の迷惑を考えて欲しいのよ。どうして鏡を出してくれるのかしら? 一応断っておくけど、私は事実を口にするだけよ。これは惚気と言う、迷惑な話では無いのよ……あっ、逃げた。


 ねえキヨヒコ、今の女神……そう、クロアと言うのね。クロアったら酷いの。私がせっかくお話ししようとしたのに、いきなり逃げ出してくれたのよ。うん、キスされるのは嫌いじゃ無いわ。ごめんなさい、あなたとキスするのは大好き。だけど、今からお話しようと……だから、口を塞がないで欲しいの。ううん、もっとしてくれていい。違う、もっとして。


 おおっ、クロアでは無いか。久しいな……と言って良いのかな。ああ、シオン事件の時以来だな。それで、今日はどうしたのだ? なるほど、シオンと話をしてきたと言うのか。それでどうだったシオンは……なんだ、その逃げ出してきたと言うのは。もしかして、キヨヒコのことを触れたのではあるまいな。そうか、キヨヒコの話になったと言うのか。

 こちらの言葉で、それを『地雷を踏んだ』と言うのだそうだ。しかしな、ぬしも言い返すことができたのではないか? 惚気と言われた……ああ、確かに惚気には違いないな。だがな、シオンのそれも惚気だろうに。そうか、本人は惚気とは思っていないのだな。ああ、たちが悪いと言うのは認めてやろう。なんだ、われに質問と言うのは?


「いえ、シオンが同族とは思えない見た目のエルフの文句を言っていたのですが。それって、誰のことを言っているのかなと思っただけです」


 そうか、シオンがそのようなことを言っておったのか。なるほど、これは由々しき問題だな。

 それはそうとして、ぬしは知っていてわれに聞いたよな? そうか、ちょっとした憂さ晴らしと言ってくれるのか。お陰で少しだけ憂さが晴れた……感謝すると言ってくれるのか。なあクロアよ、われに溜まった憂さはどうすれば良いのだ? キヨヒコに可愛がって貰えばいい……ただ今は、シオンが独占していると言うのだな。


 暴れていいのか?


 暴れても通用しないと言ってくれるのだな。ああ、ぬしはほぼ最上位の神なのだからな。われ程度では、勝負にならないことぐらいは理解しておるぞ。それでもだな、暴れたくなるときと言うものが人にはあるのだ。

 それはそうとして、ぬしは何故母親の真似をせんのだ? フィオレンティーナに任せれば、こちらに生を受けても大丈夫なはずであろう。そうか、必要無いと言ってくれるのか。なぜと聞いても良いのだよな? なるほど、禁則事項と言ってくれるのだな。




 はいはい、帰ってきましたよぉ。菅谷総理も、国会会期中で忙しいですからね。IMO研究所のことで、あまり時間を使っていられないんですよ。それでですね、帰ってきたらいきなり老人グループに捕まってしまいました。

 もしもし、ちょっと絵面的にきついんですけど。いえ、皆さんがとってもダンディな小父様と言うのは否定しませんよ。でもですね、そうやって迫られると身の危険……貞操方面以外で感じてしまうんです。それで皆さん雁首を揃えて、私にどのようなご用なのでしょうか?


「菅谷総理に報告に行かれたと伺っています。恐らく、我々のことも含まれていると思いますので、ちょっと参考までにお話を伺おうと思ったと言うことです」


 友池さん、そうやって笑顔で迫られると怖いんですけど。ええ、他の方でも事情は一緒ですよ。皆さんの笑顔の下にある顔が、とっても怖いと言うのはよくわかっているんです。


「怖いと言っても、立木氏に蹂躙される程度ですよ」


 そこで、立木さんを出して欲しくないんですけど。あの人、はっきり言って経歴詐欺だと思っていますから。仏顔の下に、絶対に鬼神を隠していると思うんです。

 それはそれとして、さほどお話しすることはないと思うんですけど、はい。


「いえいえ、時の総理大臣への報告ですよ。ことの大小に関わらず、大きな意味を持ってくるものなのですよ」

「とは言え実篤、話をするにも場と言うものも重要だぞ。会議室に、美味しいお茶とお茶菓子を用意しています。そこで、お茶でも飲みながら歓談と参りましょう」


 ええっと有原さん……紅茶とスコーンと言う奴ですよね。いえ、嫌いとは言いませんよ。勿論、ショートブレッドも美味しいと思っていますから。でもですよ。皆さんを前にすると緊張してしまってですね。


「なぁに、我々など菅谷総理に比べれば小者でしかありませんよ」


 そうかもしれませんけど、圧がですね。だから、そうやって圧を強めないでください。わかりました、わかりましたからちょっと離れてくれますか? それからですね、報告なら立木さんも一緒の方がいいと思うんです。


「立木氏は、今京都に行っていますよ。なにやら、新しい実験へのコメントを求められたそうです」

「いやはや、彼は知の巨人の道を歩んでおられますな」


 立花さん、御門さん、流石にそれはないと思うんですけど。ええっと、自分たちが屈服させられた。しかも、一線で活躍する研究者に助言が与えられる。そうですね、事実だけを挙げれば異常と言うのは理解出来るんです。だからと言って、知の巨人と言うのも違うと思うんです。

 そうですか、立木さんは不在なんですね。でしたら、帰ってきてからと言うのは……そうですか、そこまで待てないと仰るのですね。


「もしもお好みでしたら、上等なスコッチも用意できますよ」


 えっ、上等なスコッチですか? いえ、お話してもいいのかなと思えてきました。それでですね、スコッチのあては何があるんですか? 赤牛のローストビーフ……赤牛ってなんですか? 脂肪の少ない、赤身に特徴のある牛なんですね。その方が、ローストビーフに向いている、と。

 ええ、ナッツとかドライフルーツも良いと思いますよ。では、レッツヒアリングタイムといきましょう! スコッチスコッチと。


「なるほど、我々がいつ世界征服を持ち出すか気が気ではないと」

「小谷さん。それは、余計な心配と言って差し上げます」

「そうですな、厨二病……で良かったですかな。そんなものを夢見るのは、よほどの馬鹿か子供ぐらいですよ」


 ええっと、友池さん、朝日さん、理由を伺っても宜しいですか?


「宜しいもなにも、世界征服をしてもいいのですが、問題は世界征服した後なんです。世界を滅ぼすと言うのならいざ知らず、統治……もう少し言うのなら、管理なのでしょうね。征服した世界を管理していくのが面倒極まりないからです」

「旧来の組織に管理させ、その上前をはねると言う方法も存在します。その場合の問題は、征服する意味が無いと言うことです。それこそ、外交で締め上げてやれば良いだけですからね」

「敬吾、締め上げると言う表現は宜しくないぞ。そこは、気持ちよく踊らせてやると言うのが正しいはずだ」

「なるほど、確かに締め上げると言うのは適切ではありませんでしたね。どうせ金を出させるのなら、気持ちよく出させる方が長続きしますな」


 もしもし、皆さんとっても怖いことを言っていませんか? それから質問なんですけど、局地戦への対応とか、大陸間弾道弾への対応とか検討していませんでしたか? それを突き詰めていったら、世界征服に繋がると思うんですよ。


「世界征服をしないのは、先ほど申し上げた理由ですよ。面倒ですし、後から付いてくる手間が馬鹿になりませんからね。武力を使った喧嘩なんて、国同士でやらせておけば良いんです。ただそれが行きすぎないようにするための、抑止力を用意する必要があると言うことです。加えて言うのなら、とばっちりを避ける方法を考える必要があるんですよ。日本だけがぬくぬくしていると、気に入らないとちょっかいを掛けてくる国が周辺にありますからね」


 そうですか、世界征服は面倒を背負い込むことになるから嫌なんですね。面倒と言うのは、確かに理解出来るお話だと思います。でもですよ、資源とか抑えられたら窮することになりませんか?


「その際には、諸星さんにちょっとお力を借りることにします。ええ、不足する物質を生成していただくんです。後はですね、ラズライティシア様、シオンさんをちょっと相手の鉱山に送り込んで、ですね」


 いえ、それ以上は良いです。日本を敵に回したり攻撃、武力だけじゃ無いですよ。それをしたら、大損することを教えてやろうと言うんですよね。そうですか、その理解は間違っていないと言うのですね。それは、手を出されない限り何もしないと言うことを言っていますか?


「わざわざ手を出しにいくのも、面倒だと思いませんか? 一応日本と言う国は、他国との関係はさほど悪くありませんからね。その程度の外交であれば、今でも機能しているんですよ」


 さほどと言ってくださいますか。外交と言うのは、化かし合いだと言ってくれるんですね。第一に考えるのは、自国の利益と言うことですよね。でもですよ、日本はODAとかで外国の支援をしていましたよね。

 なんです、そのやり方にも問題があったと言うのは。西欧諸国でも、同じようなことをしていましたよね?


「ノブレスオブリージュと言う考え方があります。それはそれで、とても尊い考え方と言うのは否定しません。発展途上国への支援に、先進国のノブレスオブリージュの要素があるのは否定しません。ただ一部の国は、援助と言う名の下に権益強化を進めていますけどね。ええ、支援先を借金漬けにする方法です」


 それって、近くの国がやっている奴のことですか。そうですか、でも、色々と押されていますよね?


「目先のことを考えれば、仰るとおりですね。ただですね、独立した国には外国による国内資産を取り上げることが可能なんですよ。勿論、むやみにやれば戦争になりますよ。ただ戦争と言うのも、お金が掛かるし、下手を打つと自滅に繋がってくれるんです。相手を焦土にするのならまだしも、領土にしろ権益にしろ、焦土にしたら得るものが無くなってしまいますよね」


 国連は……紛争には役に立っていませんでしたね。そうですか、皆さんは日本が攻められてもはね除ける方法を考えていたと言うことですね。ええ、核兵器とかを向けられたら……違いますね、脅されただけで何も出来なくなるのは確かだと思います。

 報復で、ラズライティシア様とかエリシオンさんを利用すると言うことですか。専守防衛は日本の国是ですか……本当にそう思っているんですか?


「私たちは、善良な日本国民なのですよ。ですから、憲法の精神から外れたことはいたしません。相手から攻撃されて初めて、最小限の防衛行動をとるだけです」


 あの二人を利用することが、最小限の防衛行動なのですか? なんです、竜人を投入していないと言うのは。大きな破壊力を使わないのだから、最小限の防衛行動だと言ってくれますか。


「停止現象ですけど、解除することが可能ですからね。その際多少の被害は出るのでしょうが、我が国を攻撃した代償として諦めて貰いましょう」

「それからですね。彼女たちの能力に関しては、積極的に公開……勿論、馬鹿正直に全部教えると言う意味ではありませんよ。ただ、停止現象に関するものは、公開することを提案するつもりです。本当なら、誤射でも良いのでミサイルを撃ってくれないかなと思っているぐらいです」


 誤射でミサイル……ですか。いえ、『一発なら誤射』とか20年ちょっと前に新聞社が書いたのは聞いたことがありますけどね。

 それで、『誤射』されたミサイルをどう利用されるのですか?


「女神様の空間接合技術がありましたね。それを利用してですね、発射元にお返しするんです。ええ、誤射なのですからね、大切な資産をお返しするんです」


 なんて屁理屈をと言っても良いですよね。ただ、まあ、攻撃した方が悪いのは確かだと思います。

 つまりなんです、日本を攻撃するのは割に合わないと教えてあげると言うことですか? だとしたら、邦人の誘拐とかは……面倒だけど、そっちは対処の方法がありましたね。


「そう言うことです。尤もいちいちデモンストレーションをするのは、間抜けのすることです。それを補うのが、外交と言うものなのですよ。IMO研究所と言うのは、得体の知れない存在であって良いんです。その得体の知れなさを利用して、各国と話をしていくのが外交なんです。その動きが、外務省では出来ていなかったと言うことです」


 得体の知れない存在と言ってくれますか。でもですよ、かなり積極的にマスコミ公開をしていると思うんですよ。ブーランジェリー王国には、各国の研究者も有料で招待していますよ。得体の知れなさを利用するのなら、公開することは問題のある行為じゃありませんか?

 なんです、公開することで得体の知れなさが増すと言うのは。


「我々が、なぜアニメやコミックを見ていると思いますか? あれはですね、現在IMO研究所で公開されていることが、どれだけ核心に踏み込んだものかと言うのを検証する意味もあるんです。実はフローリアン様ともお話をさせて頂いているのですけど、新しい恩恵を作ることができたと喜ばれておいででした。ラズライティシア様、エリシオンさんも似たようなことを仰っていましたね」


 失礼ですが、今の話って繋がっていましたか? なるほど、繋がっているかと言う部分が私への質問になるのですね。

 ひょっとして、公開されている部分が『結果』に過ぎないと言うことですか? 魔法として構成する核心部分は、確かに公開されていませんでしたね。後は、オルティアさんや武見さんたちのしていることも公開されていませんでしたか。


「そうですね。それも、とても重要な要素であるのは確かだと思います」


 つまり、まだ他にも重要なことがあると言うのですね?


「絶対神でしたか、その存在と多元宇宙の成り立ちと言うものです。ただ、こちらは我々の手に余るんですよ。ですから、立木さんとオルティアさんに任せっきりになっていますね」


 そうですか、皆さんの手に余るんですか。


「立木さんには、仮説らしきものがあるようですよ。ただ、検証の方法がないと仰っていましたね。クロアさんとフィオレンティーナさんでしたか、どうやって口を割らせようかと思案されておいででした」


 あの二人なら知っていそうな気もしますけど……禁則事項で逃げられそうな気もしますね。

 それはそうと、オルティアさんがアシスタントを雇うことは知っていますか?


「ああ、テキサス州立大の学生でしたね。そちらなら、インビテーションレターを用意しましたよ。後はですね、大使館の方に便宜を図るよう声を掛けておきました。多分ですけど、光の速さでVISAが発給されるはずです」


 その辺りは、流石は外交官と言う所ですか。いえ、今お話を伺って、皆さんに来て頂いて良かったと思えるようになりました。


「そうですか、でしたらまだまだと言って良いですね」


 なんです、そのまだまだと言うのは。言葉にしたことに影響を受けすぎている。相手の考えにある根底を理解しないと騙されることになる。ええっとですね、皆さんIMO研究所に賛同して参加されているのですよね?

 なんです、賛同はしているが腹に一物はあると言うのは。負けっぱなしと言うのは性分に合わないと言ってくださりますか。そちらの方はですね、立木さんと個人的に決着を付けて貰えませんか。お願いですから、私を巻き込まないで欲しいんですよ。海千山千の皆さんから見たら、私は嘴の黄色いひよっこでしか無いんですからね。




 御衣黄さん、ちょっと愚痴を言っても良いかな。そうか、出来るなら聞きたくないと言ってくれるのか。なんだ、その想像は付いていると言うのは。そうか、想像が付いてしまうことなんだな。


「これまで、何度理不尽な目に遭遇していると思ってるの?」


 それを言われるとだな、まあ、何度もと言うのが答えになるのだが。それでも、今度のは酷くないか? 分析はまだなんだが、分析できたら世界がひっくり返る話なんだぞ。

 いや、まあ、確かにすでに魔法でひっくり返ってはいるんだが。それでもだな、魔力の根本にアクセスするってのは今まで以上の話だと思うんだ。そのもの凄い話を、オルティアさんじゃなくて立木さんから持ってこられたんだぞ。


「だぁかぁらぁ、程度の差はあっても今まで通りでしょと言っているの。特に今回は、同じ情報が私たちの目の前にあったのよ。それに気づけなかったのは、私たちの問題と言うことになるのよ。嘆くんだったら、ふがいない自分のことを嘆くべきだと思うわ」


 そ、それを言われるとだな。確かにその通りには違いないんだが。違いないんだが、なんでぽんぽんと重要なポイントにたどり着いてくれるんだ? あの人、一体どれだけ先を見ているんだ? それはそうとして、なぜため息を吐いている?


「聞きたくないって言ったのに、結果的に愚痴を聞かされてしまったからよ。そりゃあ、愚痴を言いたい気持ちも理解出来るわよ。だけど、少しも建設的なことじゃないと思うのよ。それに愚痴だったら、私だって幾らでも言いたいことがあるんだからね。ねえ、私の愚痴、聞きたい?」


 すまん。そちらは生々しすぎて……出来れば、じゃないな。正直聞きたくありません。


「だったら生々しくない方の愚痴だけど。例の細胞培養だけど、特製容器を作ったでしょ。しかもシア母さんに、魔力を補充して貰ったじゃ無い。その環境下でやった培養実験なんだけど、もの凄くはっきり結果が出てしまったのよ」


 それはあれか、ラズライティシア様たちの細胞と俺たちの細胞、そして立木さんの細胞を調べた結果だよな。なんかな、もの凄い理不尽を突きつけられた気がするのは確かだな。


「そう、もの凄い理不尽だと思う。だって、私たちの細胞は魔力影響下だとさっさと死んでくれるんだよ。細胞分裂する間もないって、一体どう言うこと? それに引き換え、お父さんの細胞はちゃんと細胞分裂するのよ。しかも、分裂するまでの周期が延びているし……シア母さんたちの細胞と似てるんだけど、あっちはもっと周期が長いんだよね。寿命の長い理由が、これだけで説明が付いてしまうんだけど?」


 確かに魔力の無い環境下だと差が無いんだよなぁ。魔力環境下に置くことで、細胞の振る舞いに差が出てくれる……もの凄いことには違いないんだが、それもまた立木さんが実験セットを用意してくれたんだよな。


「それはそうなんだけど、ちゃんと宿題をこなしてる?」


 魔法による細胞改造って奴か。正直、まだ手が付けられていないんだ。何しろ、やらなくちゃいけないことが多すぎるんだよ。さっき言った魔力の根本へのアクセスだって、出来たらもの凄いことになるんだぞ。なんかもう、能力の限界を超えている気がするんだよ。

 もう一つの問題は、オルティアさんが『キラキラした目』で俺のことを見てくれるんだよ。勿論、色っぽい話じゃ無いんだぞ。さっき言った魔力の根本へのアクセスに関係する話だ。理論構築したいから、さっさと究明しろとせっつかれているんだよ。もう一人……いや、もう二三人俺が欲しいぐらいなんだ。


「だったら、諸星さんにコピーを作って貰う? 倫理的には、問題ありありなんだけど」


 今のはだな、それぐらい忙しいと言う意味で言っているだけだからな。たとえ話をだな、現実の物にしようとしないでくれっ! 絶対おかしいと思うんだよ……なんだ、その類友ってのは。いや、類友の意味ぐらいは知っているぞ。なぜ、それを今持ち出してくれる?

 具体的に指摘して欲しいか、か。いや、なんだ、多少の自覚ぐらいはあるんだぞ。だからまあ、遠慮しておくと言うのが答えになるな。




混ぜるな危険は、どこの世界にもあったりします。

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