USA!USA!USA!
村の特産は異世界です
・USA!USA!USA!
いやぁ、なんと言えば良いのか。凄かったな、タンドラさん。もうね、魔王様が迫力にびびったぐらいなんだよ。ただ立木さんが言うには、かなり気が弱いそうなんだ。でもさ、腕なんか丸太のようにぶっといんだよ。ヒゲなんか生やしちゃって……ほんと、威圧感バリバリだったんだ。
そして宴会では、うん、タンドラさんはかなりモテたね。やっぱり、翼人には精力が有り余っているタイプが良いのかな。だって新規参入組、立木さんには見向きもしないんだからね。
なんだ、その身の程を知っていると言うのは。大きな声では言えないが、見た目の悪いエルフを敵に回したくない。そうだな、大きな声で言ったらまた毟られるからな……ただな聞こえていたようだよ。うん、君たちの後ろでラズライティシア様が笑っているんだよ。
あっ、ダイナたちが土下座をしてくれた。
ところでラズライティシア様、一つ教えてくれませんか。ええ、オルティアさんのことなんですけどね。昨日帰ってきてから、やけに機嫌が良さそうに見えるんですよ。それってやっぱり、温泉に連れて行って貰えたからですか?
「そう思っておくのが幸せだな、うん」
なんです、その含みを持たせた言い方は。そこから先は内緒なんですか。ただ、そのうちわかると言ってくれるんですね。俺だって色々と学んだんですよ。だから、藪を突くような真似はいたしませんっ!
それで逃げたのは良いんですけど、アスカさんなんですけどね。なんで俺、もの凄い形相で睨まれたんですか? それも内緒……内緒ってどうしてです?
「今キヨヒコと話をしておる故、説明ならキヨヒコにして貰うことだな」
なんで立木さんとって聞いて良いよな。そうか、子供の頃から知っていると言うことか。しかしなんだ、本当に顔の広い人なんだな。
「うむ、伊達に経験を積んでおらんと言う所だろうな。流石のわれも、少しおかしいのではと思えてきたところだ」
神話の時代から生きてるんですよね。そのラズライティシア様におかしいって言われるのは、流石に凄いとしか言い様がないんですけど。
はい立木さん、今立木さんのことを話していたんです。ところで、隣の女性はどなたですか? いえ、ちょっと見覚えが無いなぁって思ったんですよ。そうですね、ぐるぐるメガネがちょっと個性的かなと。ええっと……アスカさんなんですか? はい、ちょっと見違えたと言えば良いのか。大丈夫です、これ以上何かを言うと墓穴を掘るのはわかっていますからね。だから、何も言いませんよ、なにも。
「そうやって繰り返すのも良くないのですけどね。それはそれとして、彼女は極度の近眼なんですよ。だったらコンタクトにすれば良いのに、目に物を入れるのは嫌いなのだそうですよ」
はあ、極度の近眼なんですか。なんです、昨日睨まれたのはそれが理由なんですか。ああしないと、ちょっと離れると人の顔も区別が付かない……だから目つきが悪くなったんですか。別に、嫌がられていたわけじゃないんですね。ええ、安心させて貰いました。
ところでお父さん……タンドラさんはどうしたんです? 知らない、綺麗な女の人とどこかに行った……綺麗な女の人。綺麗な女の人ね……誰だろう? 耳とか長くなかったかな?
「耳は長くなかったと思う。ダディ、なんかふらふらと付いて行ったけど」
ふらふらと……ひょっとして、相手は翼人か? それならそれで、不安があるんだけど。ああヴェルファイア、ちょっと聞きたいことがあるんだよ。
ヴェルファイアに確認したら、どうやら相手はオッティなのだそうだ。ところで、オッティはラズライティシア様の講習を受けているのかな。まさか、まさかと言ってくれるのか。そうか、だったら……
確保ぉっ!
大急ぎで探して踏み込んでみたら、幸せそうな顔をしたオッティが居たよ。うん、いつか見た光景って奴だな。タンドラさん? 当然隣で干からびていたよ。
予感がして置いてきたんだけど、アスカさんを連れて来なかったのは正解だったな。取りあえず、回復でも命令するか。それからオッティ、少しは恥じらってほしいんだがな。うん、隠してくれって意味だから。素敵だったって……あのな、世の中には過ぎちゃいけないことがあるんだからな。
そう言うことなのでヴェルファイア。ちゃんと翼人たちに教育するように。そうか、ラズライティシア様に協力して貰いたいと言うのだな。ああ、俺からもお願いをしておくよ。同じことを繰り返したら、今度は俺が毟るからな。うん、連帯責任で全員から毟ってやる。とは言え、アクアさんは除外した方が良さそうだな。だって、そろそろ臨月なんだろう? うん、御衣黄さんが手ぐすね引いて待っているんだよ。臍帯血だったかな、色々と検体を採取するって張り切っていたんだよ。
そう言えばオルティアさんの機嫌が良いのに、御衣黄さんはますます沈んでいた気がするな。うん、この件には立ち入らないことにしているんだ。
翼人たちをラズライティシア様に預け、タンドラさんは立木さんに預けることにした。アスカさん……アスカさんは、なぜかオルティアさんが引き取ってくれた。
「カノジョハ、ワタシノデシニナル」
ええっと……アスカさんが、オルティアさんの弟子……なんですか? どうして、いきなりそんな話に?
「イキナリデモナイ。カノジョハ、シュウリツダイデリロンブツリガクヲマナンデイタ」
つまり、理論物理学の研究者と言うことですか? なるほど、でもそれだけじゃないんですよね?
「カノジョハ、ケンブリッジニリュウガクスルヨテイダッタ。ソウ、ワタシノデシニナルツモリダッタソウダ。デモ、ワタシハコイニイキルタメニニホンニキタ。ダカラ、リュウガクガチュウニウイタラシイ」
恋に生きるためって……異世界に惹かれたからですよね。いえ、それ以上の説明は必要ありません。むしろ、しないでくださいとお願いをします。
「カノジョハ、ナカナカユウシュウ。サシツカエナケレバ、IMOケンデマナバセタイ。テツダイガデキルノハ、ワタシニトッテモメリットガアル」
研究に関しては、オルティアさんは責任者ですからね。特にオルティアさんの分野のことなら、反対はしませんよ。だけど、テキサスって砂漠とかあってとても暑いところですよね? その暑いところの人が、こんな雪国に来て大丈夫なんですか?
なんです、立木さん?
「色々と誤解があるようですが、テキサス州と言うのはとても大きな州なんですよ。面積だけで言ったら、日本の2倍弱ですか。だから、気候も南部と北部ではかなり違ってくるんです。流石に雪は滅多に降りませんが、路面凍結はしょっちゅうありましたね」
それで、アスカさんは? 中北部。ダラス近くなんですね。気候は……内陸なので、夏暑くて冬は寒い。へぇへぇへぇ……
「ロデオってありますよね? あれは、ダラス近くのフォートワースと言う都市の名物です。まあ、そんなところから来たのだと思ってくれれば良いですよ。あとですね……ティアどうぞ」
「リロンブツリガクシャハヒキコモリ」
つまり、どう言うことですか? なるほど、家に篭もって外に出てこないと言うのですね。だから、部屋が暖かくて温泉があれば何の問題も無いと言ってくれますか?
ハハハハハハって、陽気なアメリカ人ってのは間違った認識と言うことですか。
「タンドラなら、まあ、あまり間違っていないんですけどね。ただアメリカ人ってひとくくりにするのは感心しませんよ。日本だって青森と鹿児島、沖縄では人柄って全く違うと思うんですよ。それよりもはるかに広くて、しかも多くの国から来た人たちで構成されているのがアメリカと言う国なんです。一つ一つの州を国だと考えて、その国が集まったのがアメリカだと思ってください。合衆国と言う漢字を当てていますが、本来衆の部分は人では無くて州、つまりステイトが正しいはずなんです。それに人の集まりである衆を当てた……なかなか本質を突いているのではないですか?」
だとしたら、今度行くワシントンはどうなんです?
「ちなみに、ワシントン州と言うのが別にあります。アメリカ西海岸の最北部がワシントン州なんですよ。シタバとかのコーヒーで、シアトル系と言う言葉を聞いたことがありますよね。そのシアトルのある州が、ワシントン州です。そして今度諸星さんが行くのは、ワシントンD.C.です。こちらは東海岸、ニューヨークよりは南にある特別区となっています」
そ、それぐらいの地理なら……ただ、シアトル系は知りませんでした。それはそうとして、あちらの人はどんなタイプなんですか? 知らない……突き放してくれますか?
「そう、何でもかんでも知っていると思わないでほしいんですけどね。近くにオフィスはありましたが……まあ、標準的なアメリカ人だと思ってもいいんじゃありませんか? 深く付き合わなければ、と言う但し書きがつきますけどね。陽気さと言ったら、多分テキサスの方が上だと思いますよ。勿論、個人差と言うのはありますけどね」
だから、あまり先入観を持たない方が良いと言うのですね。
「それはそうとして、出発の準備は出来ているんですか? 具体的には、着替えとかですけど」
それは……うん、セレスたちがやってくれていると思う。だって、大きなスーツケースが運び込まれていたんだ。小柄な女性なら一人ぐらい……いえ、やりませんよ、そんなことは。
「諸星さん、エリザベスさん、セレスさん、ルーテシアさん、ヴェルファイアさん、イセッタさんの6人ですか。まあ、エリザベスさんとセレスさんがいるから大丈夫なのでしょうね」
その大丈夫の意味が気になるのですが。いえ、答えは要りません。俺だって、色々と経験しているんです。ツッコミどころを間違えてはいけないことぐらい、ちゃんと理解しているんですよ。
「経験の方向が間違っている……と言ってはいけないのでしょうね」
集落で生きていく……自分を守るために必要なのは間違いありません!
それはそうと、タンドラさんたちはどうするんです?
「彼等は、明後日成田からDFWに帰りますよ。アスカさんは、日本のVISAを取得して再来日と言う手はずになっています。手続きとかを考えたら、数ヶ月掛かるんじゃありませんかね」
オルティアさんより掛かるんですね。そうですか、政府の扱いが違うと言うのですね。日本政府がその気になったら、帰らなくても手続きが終わってくれるんですか。
「間違いなく、政府は何も知りませんからね。申請を出したら、寝耳に水になってくれると思いますよ」
あの界隈……つまりウチに入り込もうと考えている人たちのことなんですけどね。大きな騒ぎになるんじゃありませんか? だって、考えていなかったルートですよね、これ。
「勝手に騒いでくれれば良いと言うのが答えになりますね。まあ、諸星さんには覚悟しておいてくださいと言っておきます」
なんで、俺の覚悟が必要なんですか? そうですか、週明けから行くアメリカのことと言ってくれますか。あちらで開かれるパーティーで、沢山の売り込みを受けることになるのだと。ええっと、どう考えても俺には対応は無理なんですけど。
「おかしな約束をしない限り、何をやっても良いと思いますよ。事前にお願いをしておくのも良いと思います」
事前にお願い……つまり、大統領にお願いをしろと。あのですね、そんなことが俺に出来ると思っているんですか。はっきり言って、絶対に無理ですから。だったら、小谷『絶対に無理ですっ!』……被せてくれたか。力一杯被せてくれたか。だよなぁ、大統領にお願いなんて、庶民の俺たちには出来ないよなぁ~
「諸星さんを庶民と言って良いのか疑問に思えるのですが……ティアに働いて『ムリ』……ティアも被せてくれたか。ところで、横田には誰が行くことになっていましたか?」
横田には……横田には俺と一緒にアメリカに行く面々。そして菅谷総理と上原外務大臣と……外務省のお役人。こちらは、俺の世話係だったな。集落からは……あれっ、なんで誰も付いてこないんだ? 日本のテレビカメラが入るのに、どうして集落からは誰も付き添いが無いんだ? あれ、あれれれ?
ひょっとして、俺って見捨てられた?
「人聞きの悪いことを言ってくれますね。私たちは、初めから招待リストに入っていなかったんです。まあ、あちらとしては諸星さんを孤立させたかったのだと思いますよ。狙いなんか、今更言わなくてもわかりますよね?」
つまり、俺の性格が分析されたと言うことですか。それを利用して俺にねじ込めば、集落の決定になるから、と言うことですか……はあっ。
「自覚があるのなら、話が早いと思いますよ。ですので、簡単な解決策をお教えいたします」
簡単に解決できるとは思えないのですけど。どうすれば、解決できるんですか?
「採用に関する権限が無いと釘を刺しておけば良いんですよ。だから売り込みを受けても、独断では採用できないと答えれば良いんです。勿論、事実に反しているのは承知の上で言っています」
つまり、俺に売り込んでもダメと公言しろと? スカウトの窓口を一元化している。それ以外は、協力関係にある大学に話をしろと答えれば良いんですね。
「物理学や細胞学のことを説明されても、諸星さんも理解出来ませんよね。それを理由に、断ってくれれば良いんです。判断できない人間への売り込みは、失礼になると思い知らせてあげれば良いんですよ。なんなら、強制力を使ってくれても構いません」
近付いてくるなとか、あっちに行けとかですか。確かに、それが一つの手であるのは確かですね。
「菅谷総理には、小谷さん経由でお願いをしておきますよ」
「私としては、やりたくないんですけどぉ……」
立木さん、小谷さんに何をさせようとしているんです? 大したことはない。ちょっと、釘を刺して貰うだけ。首を刺す相手は、菅谷総理じゃ無くて外務省なんですか?
「今回の目的、つまりDC周辺の停止現象の解決。そして、大統領招待によるバカンス。それ以外のことをさせようとしたら、シオンを外務省に送り込みます」
エリシオンさんを外務省に送り込む……何をさせようと考えているのですか? ちょっと停止現象を……それって、喧嘩を売るようなものじゃありませんか?
「喧嘩を買って差し上げます、ですね。人を都合よく利用しようと言うのなら、その報いを受けてもらうだけですよ」
だから喧嘩を買う……つまり、喧嘩を売ってくるのは相手だと言うのですね。いえ、もの凄い屁理屈に聞こえるのは気のせいですか?
「駄目なところを教えておくのも、ある意味親切なことなんですよ。ここからはダメと教えておけば、その範囲で彼等も努力をしてくれます。ただ、ギリギリ……かなぁ、多分そのちょっと上を狙ってくるので、限界を低めに設定しておくだけのことですよ。ですので、女性の紹介は問題ないことにしておきます」
もしもし、どうして女性の紹介が問題ないんですか? いえ、確かに心の棚は撤廃しましたよ。だからと言ってですね……なんだ小谷さん?
「取りあえず心の棚のことは忘れてください。それに、積極的に増やせと言っているわけじゃありませんよ。ただ、セレスさんとかルーテシアさんを超えられる方がどれだけいるんでしょうね。それを考えれば、制限を付ける必要が無いと思うんですよ」
そ、そうだよな。あの二人に敵う女性なんて。うん、普通に想像が付かないと思うよ。なるほど、だから制限を掛けないと言うのか。なんか、納得できた気がするぞ。
「それから、今更奧さんが増えても困りませんしね」
あのなぁ、俺だって限界と言うものがあるんだぞ。だから二人とも、嘘と声を揃えないように。
週明けの月曜日。俺は空間転移でダイレクトに基地内に転移。本当に良いのかと思ったんだけど、『ここに』と相手から指定されたから仕方が無い。場所は、司令部のある建物の外。俺たちが現れたところで、軍楽隊が盛大な音を鳴らしてくれたよ。
そして司令官に案内されて、建物の中に入ったんだ。もうね、借りてきた猫ってこのことを言うと思うんだ。うん、小物と言われても何も思わないから。だって、自分自身『小物』だと思ってるんだから。
それから立派な部屋に案内され、マスコミの待ち受ける中大統領のお出迎え。一度会ってはいるんだけどね、あの時は非常事態だったんだよ。だからどさくさ……と言うこともあって、あまり緊張もしなかったんだ。うん、今日はツッコミ役がいないからね。それに、この場で突っ込める人っていないと思うんだ。
それはそれとして、そこで歓談……歓談が出来ると思うか? 心の中で、何度も『立木さんヘルプ!』って叫んだよ。でもさ、どうしてその度に『無理』って返ってくるんだろう。俺の中の立木さんの答えなのか?
歓談の間、大統領……メル・ギブソン大統領なんだけどね。ずっと俺の隣に座って、ニコニコと笑ってくれていたよ。そして、俺の奥さんたち……特にセレスなんだけどね。何度か綺麗だって褒めてくれたな。いいのか、ルッキズムって攻撃されても知らないぞ。
「GOPは、そう言うところに寛容なのだよ」
そうなんですか。党によって違うんですね……ええっと、なぜ心の声に回答してくれるんですか? もしかして、口に出していましたか? 口に出さなくてもわかる……大統領って、ひょっとして能力者ですか?
それから日米記者の前で記者会見。日本はね、比較的慣れてきたから問題はなかったと思うんだ。ただね、アメリカの記者さん……はっきり言って、俺には荷が重すぎるんだよ。だからと言うこともない、わけはないな。外務省の人がサポートしてくれたよ。友池さんって言うんだけど、バリバリのエリートさん。将来のアメリカ大使が約束された人らしい。
「IMO研究所の方針は伺っています」
にこりともしないで、俺に囁いてくれたよ。もうね、あそこが縮み上がるんじゃないかと思っちゃったよ。つくづく、俺は国会議員になれないと思ったね。腹芸が出来ないと言えば良いのか、だから立木さん『無理っ!』……心の声に即答しないでほしいんだけどな。
だけど友池さん、うまく質問を躱してくれるんだよ。ちなみに言葉の方は、超越を利用して克服なんかしてたりする。勿論、これはばらしてないんだけどな。
一通り質問に答えたところで、俺たちは出発のため滑走路に案内された。やっぱりエアフォースワンって大きいんだな。それは良いのだけど、何時間乗っていれば良いんです? 12時間、12時間ですか……転移しちゃダメって聞いても良いですか?
そうですか、色々とスケジュールが狂ってくれるんですね。でしたらですね、スケジュールの組み替えと言うのはどうでしょうか。いえ、あちらには予定通り到着するんですよ。日本の出発を遅らせては……と言う意味です。それでですね、12時間の間に上里集落、つまりIMO研究所連施設の視察をすると言うのは。
そうですか、普通なら認められないと言うのですね。だったら仕方が無いですね、12時間我慢することにします。
「諸星さん。それを早合点と言うのですよ。普通と言うのが紛らわしいのであれば、これまでならと言い換えます。多分ですけど、歓迎される提案だと思いますよ。ですが、受け入れの方は大丈夫ですか? 立木さん、小谷さんが頭を抱える気がするんですが?」
確かに……でもなぁ、小谷さんはまだしも、立木さんは底が知れないところが有るんだよ。俺の考えなんか、読まれている気がするんだよな。
「取りあえず、ネガティブリストに入っていませんでしたからね。ですから、文句を言われることはないのでしょう」
ちょっと考えてくれたのは、流石に提案としてぶっ飛んでいたと言うことだろうか。まあ、大統領の予定を、いきなり書き換えると言うのだからな。まともに考えれば、あり得ないことに違いないとは思うよ。ただ、うちと付き合っていくのなら常識を忘れてほしいと思うんだ。ところで、ネガティブリストってなに?
それで友池さん、どうやら踏ん切りが付いたようだな。あちらの責任者……誰? 国務長官。そうか、国務長官も来ているんだ。うん、中々頑張っているんじゃないのかな。あっ、大統領のところに確認に行ったよ。つまり、友池さんが押し切ったと言うことかな。しかしギブソン大統領……アクションの大きな人だな。あのわざとらしい驚き方、流石はアメリカ人と言って良いと思う。
「あちらも納得してくれました。それで、IMO研究所の受け入れは大丈夫なのですか?」
大丈夫かと聞かれたら……うん、なんとかするとしか言いようがいないな。ところで、ここから電話をしていいのかな? そうか、電話をして良いのか。だったら、これから『指示』を出すことにしよう。だって俺、IMO研の代表なんだからな。
それでですね立木さん、なんです、言わなくてもわかっていると言うのは。そうですか、こうなるのが見えていたと言ってくださるのですね。それで、受け入れなのですけど……そうですか、受け入れてくださるのですね。いえ、これで俺の面子も潰れないと言えば良いのか。いえ、本当に感謝しているんですよ。感謝を形で表してほしい。具体的には、引退を認めてくれれば良いと言うのですね。それをするとですね、俺でも身の危険を感じてしまうんですよ。一緒にいなくなる人のことを考えるとですね、流石に飲める話じゃないと思うんです、はい。
と言うことでですね、受け入れの準備は出来ています。ところで友池さん、どうしてそこで笑ってくれますか? そうですか、全部聞こえていたと言うのですね。そのなんと言えば良いのか、お恥ずかしい限りです。
取りあえず受け入れ準備は出来ていますので、こちらの準備ができ次第上里集落に移動と言うことになります。マスコミ、ですか。数を絞ってくだされば、一緒に転移で運ぶことが出来ますよ。人数ですか、2、30人ぐらいと言うことでお願いします。はい、数が多ければ転移能力者を動員しますので大丈夫です。
ああ、諸星さんが緊張しているのがわかりますね。まあ、あの人は小物だから、仕方が無いところはあるのでしょうね。ええ、あの小物臭さのお陰で安心できるんですけどね。
ところで立木さん、忙しそうに見えるのですけど、私の気のせいですか? そうですか、気のせいではないのですね。それならそれで質問なんですけど、なんの準備をされているのですか?
「アメリカ大統領を迎え入れる準備ですけど?」
ポチポチ、どうしてアメリカ大統領をお迎えするんですか? あのままエアフォースワンに乗り込んだなら、12時間後にはワシントンD.C.に着いているんですよ。今更歓迎の準備をしても意味がないと思うんですよ。
「小谷さん。人と言うのは、一度楽を覚えると面倒を避けるものなんです」
すみません、ちょっと意味を理解出来ないんですけど。楽と言うのは……転移能力のことですか。なるほど、転移能力を使えばD.C.まで時間は掛かりませんね。だけど、そんなことをしても良いんですか? いくら諸星さんだって、流石に無理を言わないと思うんですよ。
「そこで小谷さんに質問です。エアフォースワンでの12時間、外務省のエリートと同乗して諸星さんが耐えられると思いますか?」
あの人、エリートって苦手にしていますからね。その意味で言えば、かなりきついのは理解出来ますよ。同時に小物ですから、スケジュールをブッチするのは出来ないと思うんですよ。
なんです、ブッチの必要は無いと言うのは。変更するのは、移動の12時間だけと言うのですね。その12時間を、上里集落で潰すと言うことですか。いや、諸星さんだけならそれもわかりますよ。でも、相手はアメリカ大統領なんです。流石に、そんなイレギュラーが許されないでしょう。
「小谷さん。取りあえずこれまでの常識を捨てて考えましょうか。そもそも、この程度のことで大統領が来ること自体あり得ないことなんですよ。あちらは、できるだけ新しいこと、大統領として活動的なことを示したいと言う動機があるんです。だとしたら、ここに来るのは願っても無いことなんですよ」
例えそうでも、交渉するのは日本政府ですよね。そんなイレギュラーに対応出来るとは思わないんですけど。
「今回の担当者、友池康成と言う人物について調べてみました。友池家と言うのは、代々外交官を輩出してきた名門なのだそうです。そんな名門中の名門の方が、ヒラメ外交に甘んじていることに耐えられると思いますか? そして日本は、異世界と言う強力な外交カードを手にすることが出来たんです。だとしたら、腕の見せ所と考えてもおかしくないと思いますよ」
でもですよ。菅谷総理が許してくれますか……いや、あの人だったら許すかも知れませんね。
「そして上里集落に来るのは、ギブソン大統領にとっても大きな利益になるんです。ここに来て、翼人とかハイエルフとか竜人とかの歓迎を受ける。そしてその絵が、アメリカ中に流される。再選を考えている大統領にとって、これ以上美味しい絵はないと思いませんか?」
改めて言われれば、確かに仰るとおりですね。ところで、諸星さんってそこまで考えていますかね。諸星さんなら、ただ単に移動時間短縮しか考えていないと思うんですよ。そうですか、立木さんもそれを否定しないんですね。
「メリットについては、諸星さんがすべてを考える必要は無いんですよ。そんなものは、サポートする人間が考えれば良いだけのことです。間違いなく、エリート中のエリートである友池氏は、そのことに気づかれていますよ」
それを指摘できる立木さん。異常と言って良いですよね? そうですか、偶々気づいただけと仰ってくれますか。ただ転移利用は、諸星さんの性格を考えれば想像できると仰るんですね。確かに、諸星さんなら無邪気に持ち出してくれそうですね。
それで、受け入れるのはわかりました。具体的には、何をしようと言うのですか?
「大したことは考えていませんよ。ただ竜人とハイエルフ、翼人に歓迎して貰うだけです。後はですね、アンに恩恵を付与したアクセサリーでも用意して貰うぐらいですね。多分ですけど、飛行の恩恵程度で十分だと思いますよ」
その程度でと言うのは、私も集落に染まったと考えて良いんですよね。ええ、ここ以外ならもの凄いことと言うのは理解出来るんです。追加で暗殺対応も考える……ですか。後1期しか出来ないことを考えたら、そこまで必要なんですかね。
ここで恩を売っておくと、菅谷総理がやりやすくなるのですね。了解しました。これでも私は、菅谷先生の秘書もしているんです。だったら、菅谷先生の利益を考え無いといけませんね。
ええっと、電話が掛かってきたんですけど。そうですか、予想通り諸星さんなんですね。もしもし立木さん、引退なんて許されると思っているんですか? 言ってみただけ、ずるずるとこき使われるのを避けたいと思っている。それなんですけど、可能な限り引っ張られるんじゃありませんか。多分ですけど、諸星さんも強制力を使うのを躊躇わないと思うんですよ。
なんです、また一つピースが埋まったと言うのは。そのピースって、誰のことを言っているんです?
「友池康成氏です。家柄も頭も良くて、IMO研の対外関係を仕切るのに適任だと思いませんか?」
ポチポチ、相手は外務省のエリートなんですよ。どうして、IMO研に引っ張れると考えられているのですか? なんです、やりようなら色々とあると言うのは。総理大臣から命令して貰えば、それだけでことが足りるって……あのぉ、本人の意思も考えてあげてほしいんですよ。
なんです、こちらに来たときに勧誘すると言うのは。代々外交を担ってきた家系の出なんですよね。とても引き受けてくれるとは思えないんですけど。
「そうですか、ここで差配を振るうと言うのはアメリカ大使よりもずっと難易度が高いと思いますよ。歴史に名を残すと言う意味で言えば、間違いなく何人かの一人より大きな意味を持つことになると思います。こう言ってはいけないのですけど、アメリカ大使なんて大した仕事じゃありませんよ。勿論、これまで通りならと言う意味ですけどね」
あのぉ、ずいぶんなことを言ってくれるんですね。アメリカ大使って、間違いなく外務省の中のエリート中のエリートなんですけど。世界が安定しているときなら、前例踏襲で終わる仕事と言ってくれますか。でもですよ、今は異世界出現もあって安定しているとは言い難いと思うんですよ。
「だとしたら、その震源はどこにありますか? 騒動の中心が上里集落にあると言うことは、アメリカ大使はその下働きになると言うことになります。ここで外交的な手腕を振るえば、アメリカだけで無くEUや中国、ロシア……BRIC’sですね。その外交に対して大きな影響力を示すことが出来るんです。アメリカ大使より、仕事としてやりがいがあると思いませんか?」
それは、確かにそうかもしれませんけど。形の上では、集落の外交担当ですよね。肩書きとして、アメリカ大使の方が見栄えがすると思うんです。
「それは否定しませんよ。そして、その程度の人物なら来てくれなくて結構とも言えますね。違いますね、来ない方が良いと言った方が良さそうです」
そこまで言ってくれますか。それだけのことと言うのですね。ええ、異世界と言うのが、それだけ大それたものと言うのは否定しませんよ。数百年、数千年の寿命を持つ異世界人。そして魔法と言う技術の出現。産業革命を超える、一大変革を迎えていると言うのは間違っていないと思います。
「その中心にいるのが、諸星さんと言うことです。従って、諸星さんを支える存在が重要と言うことになるんですよ。ティアを含め、学術的には世界的権威を引き込むことに成功しました。そして武見君と言う、次のエースも確保できたんです。ただ彼の場合、後一皮むけてくれればと言うところはありますね。そしてかすみちゃんは、後二皮ぐらいですかね。大きな壁を一つ乗り越えれば、世界的権威になることが出来ると思いますよ。ですから、残るは対人と言うことになるわけです」
なるほど、確かに学術的には理想に近い状態になっていますね。それで対人……つまり、政治的な対応の強化が必要と言うことですか。言われてみれば、政治的な動きをできる人が誰もいませんね……そこで私を指差さないように。ここに来て、自分の力不足を思い知らされているんですからね。違いますね、意識の低さと言った方が良いのでしょうね。
そんなものは、どうにでもなると言ってくれますか。必要なのは、集落の中で存在感を示すこと。表に出て引っ張ることだけを求めているわけじゃ無いと言うのですね。ところで私、集落の中で存在感を示せています? 先にお断りしておきますけど、冷凍マグロは違いますからね。
立木さんが指定したのは、研究所の所長室でした。あそこなら十分に広いし、立派なソファーも置かれていますからね。
最初に半数のSPを転移させて、その後に日米のマスコミを転移させました。最初のSPは、一応安全確認と言うのが理由です。そしてマスコミの待ち構える中、アメリカ大統領メル・ギブソン氏の登場です。流石はアメリカ大統領、存在感が半端ないと思いました。
諸星さん、菅谷総理、そしてアメリカ大統領が座られたところで、私が飲み物を持って登場。いやぁ、もう、緊張しましたね。ガッチガチに緊張しましたよ。お盆じゃ無くてワゴンで良かったと言うのが正直な気持ちです。
ミネラルウォーターで喉を潤したところで、集落構成メンバーのご紹介。立木さんに連れられ、ラズライティシア様、エリシオンさんが転移で登場。ドアを開けないところが、集落の特殊性に対する演出なんだって。ちなみに二人の格好は、コスプレ……で良いのかな。神話の時代から生きてきた大魔法使いと、学生みたいな格好をした賢者の格好をしていました。うん、こうして見ると、エリシオンさんの美少女ぶりが際立ってくれるわね……はっ、滝のような冷や汗がっ!
それで二人の紹介は……立木さんがしてくれるんだ。なるほど、魔法においてはこの二人が最高峰なんですね。それでエリシオンさんが、大統領に謝罪ですか。まあ、ホワイトハウス周辺を停止させてくれましたからね。謝罪ぐらいはしても罰が当たらないと思いますよ。
そこで大統領さんは、度量の大きさを見せることになるわけですね。そうですか、エリシオンさんをホワイトハウスに招待してくれるのですね。ただなぁ、エリシオンさん。絶対に一人で行くとは言わないと思うんですよ。その場合着いていくは立木さんなんだけど、流石に立木さんもホワイトハウス招待は嫌でしょう。あっ、立木さんが外務省の人を見てる。と言うことは、あの人が友池さんだと思えば良いのかな?
それで、大統領をラズライティシア様とエリシオンさんが挟んで記念撮影。これだけでも、かなりの選挙対策になったんじゃないのかな。
それで次は……そう、竜人の10人なんですね。ええ、アメリカの3カ所を襲撃しているんですよ。東富士でも公開しているんだけどなぁ。まあ、人の姿をしている分には大丈夫でしょう。ところで立木さん、友池さんに何を耳打ちしているんですか? 竜人の10人が姿を消しましたけど。
「大統領閣下、窓の外をご覧ください」
ナビゲーターは友池さんですか。それで窓の外は……竜人と始祖竜の揃い踏み。総勢30体のドラゴンが、窓の外に整列してくれてるよ。しかし、よく言うことを聞かせましたね。あちらの……だけじゃありませんね。こちらのテレビクルーもしっかりとびびってくれてるよ。
それで、一体一体姿を消して、人の姿で応接に復帰。一つ疑問なんだけど、これって示威行為になりませんか? 一応歓迎のつもり。出し惜しみをしていないだけと言うのですね。
嘘だよね、それ
それで竜人と始祖竜が全員揃ったところで、大統領にお辞儀。そして一人一人握手をしてから、ドアを開けて退場となりました。次は? 順番から行くと翼人になるんだよね。こちらも転移……誰が転移をさせてるのかしら。男女会わせて総勢40人が、応接の中に出現してくれました。お陰で、広いはずの所長室が狭い狭い。しかも翼を展開してくれるもんだから、更に狭くなっちゃったわよ。
それからそこっ! フェロモンを放たないようにっ! それからギブソン大統領、お持ち帰り可とか質問をしないように。ダメに決まってるでしょうっ!!
それで次はハイエルフの順番ね。うん、出来れば人数を絞ってくれるかな。あと、闇エルフと一緒に入ってこないように。いくら所長室が広くても、全員が入ると窮屈でしょうが無いのよ。
それで、この後は? そう、魔王城に場所を移すのね。で、どうやって?
魔王城への移動は、フローリアンさんがゲートを作ってくれました。そこで魔王様へと謁見。謁見で良いんだよね。オークとデモン、四天王を従えた魔王様が出迎えてくれました。うん、SPの皆さんに緊張が走っていたわね。でも心配は要りませんよ。何しろこの人たちは、カレー大好きの面白い人たちなんです。今更人間なんて、まずくて食えないと言っていました。
たまたま見学に来ていたちびっ子たちを交え、全員で記念撮影となりました。しかしあの子たち、このおじさんがアメリカ大統領ってわかっているのかな? それ以前に、どんな人か理解しているのかしら。うん、引率の先生たちが、ガチガチに緊張なんかしてくれていたわ。
魔王城見学を終えたら、次はブーランジェリー王国ね。それは良いけど、どうして領民とかが集まってるの? そう、立木さんが手配をしていたのね。ビゴさん、立木さんの頼みだったら絶対に断らないと思うし。ああっ、飼い慣らされたワイバーンが歓迎飛行なんかしているよ。
それは良いんだけど、いや良くないか。それとは別に、いつの間にか翼人たちが飛んでいるのよ。しかもカラフルなスモークを持ってって……Welcome Mr. Presidentねえ。準備が良すぎって言ってもいいと思うんだ。と言うか、絶対に悪乗りしてるよね。
それでセレスさん、大統領に何を渡しているのかな? 女神様の恩恵、その手袋……ガントレットって言うのね。そのガントレットに恩恵が付与されているんだ。それでセレスさんが両手を取って……取りあえずスカートと言うのを忘れるけどさぁ。大統領と一緒にお空のお散歩をしてくれました。それで最後は、そう、大統領が単独飛行をしてくれるのね。なんかの映画みたいって、言っちゃ駄目かしら?
それでそのガントレットは? 今回のお土産、お土産ねぇ。そんなもの、あげちゃっても良いのかしら?
ブーランジェリー王国での歓迎を終えたら、最後は所長室で歓談。うん、シャトレーゼ王国の方は、まだ色々と調整が終わっていないのよね。時間の問題だとは思うけど、危険性も取り除いていないしね。諸星さんがいれば、危ないことなんて絶対に無いって断言できるんだけど。
まあ、それはそれとして、所長室で休憩と言うことになりました。しかしまあ、短時間で色々と詰め込んでくれたわね。
「その辺り、マスコミ公開準備が役に立ったと言う所ですよ」
マスコミ公開の準備ですか。でも、ここまで見せなかったですよね。そうですか、準備だけはしておく必要があった。反応を見て、どこまで出すのかを考えていたと言うことですか。しかしまあ、盛りだくさんと言えば良いのか、ちょっと危ないものも含まれていたと言えば良いのか。『手を出したら怖いぞ』って脅しも入っていましたよね。
「単なるおもてなしの精神に則っただけですよ」
うん、絶対に嘘って言ってさしあげます。立木さんが、そんな素直な真似をするはずがありません。
それは良いのですけど、菅谷総理と何か話していませんでしたか? ちょっとした挨拶……それで、納得がいくと思っています?
「そんなことを言われてもですね、本当に挨拶をさせていただいただけですよ。後はですね、友池氏を褒めさせていただきました。あんな優秀な方が、うちの集落にも欲しいなと……まあ、この辺りは社交辞令のようなものですね。後はですね、対外的な折衝……特に外国との関係で苦労しそうだとは話しましたけどね。それからですね、外務省の方にご迷惑をおかけしていることもお詫びしておきました。何しろ竜人、魔王様、更にシオン……それからシャトレーゼ王国のことで多大なる迷惑をお掛けしていますからね」
そうやって、回りくどい話をしてくれますか。なんです、回りくどい話は政治家の常套手段と言うのは。ええ、それを否定するつもりはありませんよ。はっきりと言質を与えないのが、政治家のやり方ですからね。
それで、立木さんは本当に友池さんを狙っているのですか? 将来的には……ですか。だとしたら、喫緊の課題である今はどうなんです?
「友池氏のお父上なんかいいなぁと思っています。確か、外交系のシンクタンクで理事をされていたかと思います。いえ、うちから声を掛ける真似なんかしませんよ。そんなことをしたら、思いっきり足下を見られてしまいますからね。ですから、内閣に面倒を放り投げようと思っているんですよ」
ええっと、あくどいって言って良いですか。だから、親切で言っていると言わないように。どうして、面倒を放り投げることが親切になるんです?
「人を送り込む正当な理由を差し上げたんです。とても親切だと思いませんか?」
そうですか、それを理由にしてくれますか。そうですね、とっても『親切』だと思いますよ。ただその親切って、間違いなく人の足下を見たものですよね。
「それは、見解の相違だと思いますよ。あとですね、日本に人材を求めないと言う方法もあるんですよ。ティア、つまり英国政府経由の伝手もあるんです。これでアメリカとも話が出来るようになりましたからね。日本だけで考えていてはいけないと言うことです。どうです、『親切』だと思いませんか?」
日本を優先したから親切だと言ってくれますか。こう言ってはなんですけど、立木さんって怖い人なんですね。なんです、息子さんに言われて開き直ることにしたと言うのは。北斗さんでしたっけ、一体何を吹き込んでくれたんですっ!
どこかで聞いたような名前が出てきますが、偶然の一致です




