異世界プレオープン
村の特産は異世界です
・異世界プレオープン
月が変われば秋の気配が……まだ見えてないな。うん、9月になっても暑い暑い。ただまあ、上里集落は標高の高いところにある。だからまあ、下界に比べれば秋の気配は忍び寄ってると言って良いと思う。秋、読書の秋とか芸術の秋とか……まあ、色々と呼び方があるよね。その中には、うん、食欲の秋と言うのもあるんだよ。
なんだ、お前たちは食べることばかりと言うのは。仕方が無いだろう、異世界に行っているときには食べることに苦労したんだから。それに、IMO研究所は比較的落ち着いているんだよ。魔王城公開やブーランジェリー王国ツアーも、順調に企画が進んでいるんだ。流石にシルバーウィークには間に合わなかったから、一般公開は10月と言うことになったんだけどな。その前にあるのは、ああ、マスコミ公開と言う奴だよ。ただ今回のマスコミ公開なんだけど、交通整理に思いっきり苦労することになってしまったな。だって、世界各国からマスコミが押しかけてくることになったんだ。リポーター、スタッフ合わせて1万人を超えるマスコミへの対応が求められ……ああ、朽木氏の人相が日に日に悪くなっていくのがわかったよ。だからパッソ、朽木氏を癒やしてくれるかな。その時間も取れないと言うのか? 流石にそれは問題だな。あっ、朽木氏が踊り出したっ!
大変だっ、さっさと取り押さえろ!
朽木氏が壊れたので、誰かが尻拭いをする必要がある。その誰かなのだが……まあ、言わなくてもわかってるよね。うん、困ったときの立木さん。
「なぜ、年寄りを矢面に立ててくれますかね」
それは、あなたが副所長だからです。立木さん、エンターテインメント部門も統括していますよね。従って、これは立木さんの仕事なんですよ。はい、俺は正論を言っていますよ。反論出来るのなら、いくらでも聞いて差し上げます。ただお断りしておきますが、するのは反論を聞くところまでですからね。
「つまり、好きにやって良いと言うことですか?」
立木さんは責任者ですからね。責任者には、裁量と言うものが与えられるんですよ。ですので、公開さえちゃんと出来れば問題はありませんよ。
「了解しました。では、好きにやらせて貰うことにします」
はい、お任せいたします。どんなに小谷さんに冷たい視線を向けられても、俺には絶対に無理な仕事ですからね。そうか、端から当てにしていなかったと言ってくれるのか。自分で言っておいてなんなのだが、それはそれで嫌って気もするな。
「朽木君も、正攻法を使わないからこう言うことになるんですよ」
正攻法を使わないって……そもそも正攻法ってなんですか? なんです、こう言うことはプロに任せるのが正攻法なんですね。そのプロって、誰?
「イベントのとりまとめと言うのは、大手広告代理店が得意としていることなんです。と言うことなので、先方から快諾を貰いましたよ。急なお願いだったので、引き受けて貰えるのか心配したのですけどね。まあ、あちらも待ち構えてくれてたんでしょうね。
なるほど、確かにこれは大きなイベントですね。それだけじゃない、継続したプロモーションも必要になるんですか。あのぉ、立木さんってITエンジニアですよね?
「自分でもITエンジニアのつもりなんですよ。まあ、システムエンジニアもしてましたけど。現場代理人とか主任技術者とか……工事も見てきたのでそちらの知見はあるんですけどねぇ。どう言う訳か、畑違いの仕事ばかり降ってくるんですよ。そろそろ私も潰れたいんですけど、誰が仕事を引き継いでくれるんでしょうね?」
そこで俺の顔を見ないように。なんです、自分の上にいるのは俺だけと言うのは。正論には正論で返した。そろそろ潰れるから宜しくって……
土下座、必要ですか?
「正論をダメとは言いませんよ。何しろ正論なのですからね。ただ、相手の出方も考える必要があると言うことです。まあ朽木君のことは、私の管理に問題があったことは認めます。尻拭いをする……と言うのも可哀想な気がしますが、後は引き受けることにしますよ」
土下座はしませんが、宜しくお願いしますと繰り返させていただきます。
と言う話をした翌日、東京から広告代理店……はい、誰もが知ってる大手の方々が来落……で良いのかな。来村じゃないから来落になるんだよな。
そんなことは良いけど、なんでこんなに動きが早いんです?
「それだけ、彼らが有能と言うことですよ。これだけ大規模なイベントに対して、素人が出来ることなんて限られているんです。だから彼らも、いつ声が掛かるのかを待ち構えていたと言うことですよ」
確かに、経験が無ければ絶対に無理ですね。はい、仰るとおりだと思います。
ところで、広告代理店にはどれだけ支払うんですか? 仕事を考えたら、かなりの額になりますよね。ええっと、どうして不思議そうな顔をするんです? 大きなイベント、例えばオリンピックなんかでも代理店に入るお金のことが話題になりますよね?
「お金を払って仕事をして貰うことは、実は誰でも……は言い過ぎですけど、ごく普通のことなんです。今回は時間が無かったのと足下を見られたのがありますが、一応お金を貰うことになっているんです」
お金を貰う……仕事をして貰うのに、仕事をする相手からお金を貰うんですか? ポチポチ……目が点と言うのはこのことを言ってるのかな? 小谷さん、小谷さんには理解出来た? だよなぁ、普通はかなりの金額を払うことになるよな。
「諸星さんに伺います。この仕事、今回限りのことだと思いますか?」
今回限りかと言われたら……異世界とか魔王城とか、公開を続ける限り続く仕事だと思いますよ。
「では続いての質問。広告代理店にとって、この仕事は美味しい仕事だと思いますか?」
そりゃあ、美味しい仕事だと思いますよ。なにしろ、異世界に関係する広報を一手に引き受けることになるんですからね。美味しいと言われたら、もの凄く美味しい仕事だと思います。
「つまり、それが答えと言うことです。彼らにとって、これは金のなる木なんですよ。そして金のなる木にアクセスできるのは、ただ1社だけと言うことになるんです。どうです、喉から手が出るほど欲しい仕事だと思いませんか?」
それで、お金を払っても仕事をしたいと言うことですか。つまり、それだけの利権……で良いのかな? 利権を得るためにお金を積んだと言うことですね。
「諸星さん、ちょっとマスコミに毒されすぎていますね。これは利権と言うのではなく、ただの権利と言うものですよ。なにしろ私たちは、政府や公務員ではないのですからね。権利を得るために必要なお金を払う……こう説明すれば、別に不思議なことでは無いですよね」
そう言われれば……確かにそう言うことになりますね。なるほど、相手にお金を払わせて仕事をさせる……世の中、とても深いのですね。はい、勉強になりました。
それはそれとして、その広告代理店はどうやって利益を得るんですか?
「チケット販売ですね。これも、彼らにすべてを任せることにしました。ええ、価格の決定を含めて、かなりの権限を与えることにしましたよ。こちらについても、我々には知見もないし、システムも持っていませんからね。その売り上げから利益を引く……彼らも、プロモーションを頑張ると言うことです。まあ、色々と要求も出てくるのですけどね」
その要求と言うのが怖い気もしますが……そうですか、軌道に乗ったところで朽木氏に仕事を戻すのですよね。ところで、どうやってケアをするつもりなんですか? そうですか、ちょっと仕事過多になっただけ。少し休めば、復活するのは間違いないと言うのですね。だったら良いんですけど、再発とかしたりしませんよね。
プロが入ってくれたお陰で、色々なことが決まる決まる。やっぱりマスコミの仕切りって、プロがやるとひと味違うんですね。そうか、彼らは広告出稿に関係していましたね。だとしたら、マスコミに対して強い立場でいられるんだ。
えっ、俺の出番がある。そうか、セレスの出番もあるんだな。その辺り、やっぱり責任者だからかな。見た目も重要……違う、見た目が重要と言ってくれるんだ。それって、俺の見た目を評価してくれたと言うことかな? うん、何かちょっと嬉しい気がする。
それで、公開は……敬老の日にするんですか。えっと、近隣のご老人も招待するんですね。マスコミは、その光景を取材する形をとる。なるほど、色々と考えているのですね。
それで開村式を行う形となる。ええっと、俺たちの住処は集落程度なんですけど。大谷村異世界……なんか不思議な言い方ですね、それ。その開村式で、総理大臣を招待してテープカットをするんですか。来賓は、他には長野県知事、大谷村村長、駐日英国大使……なんで、英国大使が? そうですか、オルティアさんの関係なんですね。
それでこちら側の出席者は? 俺、それからセレス、翼人にハイエルフ……竜人にはドラゴン形態をとって貰う。とにかく出し惜しみはしないと言うことですね。了解しました、全員に指示を出しておきます。
それは良いのですが、公開まで一週間を切っていますよね。各国マスコミのことを考えたら、こんなに急いで良いんですか? 逆、逆ってなんなのですか?
「公開を延ばせば伸ばすほど、仕事が増えてくれるんです。それから、マスコミ公開は1日で終わるものではありませんからね。1ヶ月……で良いのかな。それぐらい掛かると覚悟しておいてください」
そんなにって言って良いですよね。そうですか、相手が多すぎると言うのですね。なんです、もっと早く声を掛けて欲しかった……ですか。はい、仰るとおりと言うのは認めますよ。ただですね、内閣からの内示は最近だったんですよ。
それは理解している。ただ、それ以前から準備を始めておく必要があった。そうですか、後沢から相談はされていたんですね。
「それでも、ロジスティクスが検討されていて良かったと思いますよ。来てみて改めて、交通の便に問題があるのを知らされましたから」
ロジスティクスは、立木さんが問題にしていましたからね。後は、観光客をどう収容するのかと言うことも問題にしていました。なんです、そちらも手を打っていると言うのは。なるほど、周辺の土地につばを付けているんですね。
「ある意味、歴史的なイベントなんですよ。従って、魑魅魍魎が蠢いていると思ってください」
つまり……鴻池さん、御社もその一つと言うことですね。
「それは、今更のお話だと思いますよ。その意味で言えば、今回は安い買い物だったと思います」
安い買い物と言ってくれますか。そうですか、安すぎる買い物と言ってくれるんですね。
「流石は後沢氏ですかね、ただでは転ばない仕掛けをされておいでですよ。それでも、お買い得と言うのが社内の評価なんですよ。ただねぇ、立木さんはこちらの手の内を読んでいるようです。私の顔を見て、『ふんだんにお金を掛けられますよね』なんて牽制されてしまいました」
あの人、立木さんが最後の砦ですから。そうですか、だから取り込むことを考えていると言うのですね。敵だったら、最初に潰すことを考えていた。そのためのマスコミ対策もしていると言うのですか。
「ただ完璧に私人ですからね。マスコミにも攻め手があまりないんです。下手に嫌がらせなんかしようものなら、仕返しが怖いと言う内部評価がされていますよ」
嫌がらせ、ですか。ええ、俺は関係者を守りますからね。最悪、『いなかったこと』にすることも考えていますよ。竜人をけしかける……そんな真似をしなくても、ラズライティシア様が黙っていないと思います。
「とにかく、弊社を選んでいただいた以上、全力を挙げてバックアップさせていただくことをお約束いたします」
こちらこそ。可能な限り、便宜を図ることを約束いたします。
それはそれとして、つかぬ事を伺いますが鴻池さん、ご家族は?
「小学3年の娘がいますが……なぜ、そのような質問を?」
いえ、色々とこちらにも事情があるんです。それでお嬢さんは? そうですか、とても喜ばれていると言うのですね。でしたら、落ち着いたところで遊びに来て貰ってもいいですか? いえ、落ち着く前でも問題ありません。お子様向けのアトラクション……なのかな、それも考えていますから是非モニターと言うことで。
魔王城とブーランジェリー王国公開は、マジで1週間後に開催されることになった。ちなみに公開に関するイベントは、その前日から始まっていたりする。何を見せたのか、か。うん、立木さんが手配をした転移ゲートのお披露目と言う奴だ。
そう、南大谷駅と白鹿駅から、ホワイトプラザホテル前までの転移ゲートってやつ。これを一般人に開放するのだから、歴史的なイベントと言って良いと思う。まあ、この転移ゲート自体は、菅谷総理を招待したときにも公開しているんだがな。
気持ちを盛り上げるためには、プレイベントと言うのが重要になってくれる。折からの晴天の下……言っておくが、俺は気象制御なんかしていないからな。
それはそれとして、竜人10人の飛行でイベントは開始した。それは良いんだが、キャミはまだ子供なんだからな。あまり無理をしなくても……張り切りすぎるなよ。上里集落から離陸した竜人10人は、ゆっくりと旋回しながらホワイトプラザホテルに着陸した。うん、迫力満点と言って良いと思うぞ。それから流石は大谷村住人だな。誰一人として腰を抜かしている奴はいなかったぞ。それに引き換え、テレビクルーは顔を真っ青にしていたよ。うん、お漏らしについては見なかったことにしてあげよう。ついでに無かったことにもした方が良いのか、そうか、その方が良いんだな。
竜人がホテル前に到着したところで、南太谷、白鹿駅からレポーターがゲートを通ることになった。しかし、急な公開なのにスケジュールが調整できたんだな。何しろ一人は、国民的子役から成長した売れっ子の女の子なんだよ。そしてもう一組は、人気グループの男二人。
「ダメ元……ではありませんね。事務所に声を掛けたら、二つ返事で飛びついてきましたよ」
なるほど、それだけプレイベントの注目度が高いと言うことですか。なんです、歴史的アーカイブに残ると言うのは。そうですか、それだけのことなんですね。
3人は、両ゲートを報道陣を引き連れて通過してくれた。そしてホテル前の広場で、がっちりと握手をしてお互いの無事を喜び合った……いや、転移ゲートって首脳が利用した安全なものなんだがな。
はい、そこで女神様登場。ちなみに、この役はフローリアンさんがしてくれた。そして現れた女神様は、3人に女神の恩恵……を与えるチョーカーを授けることになっていた。一応断っておくのだが、体を痛めつけるようなペナルティは外してあるぞ。そして与える恩恵にしても、空を飛ぶ程度のものに制限してある。
それからもう一つ重要な恩恵は……そう、衣装チェンジの恩恵と言う奴だ。だって、これから魔王城に行くんだよ……今日は行かないけど。だったら、二人には相応しい格好をして貰う必要があると思うんだ。と言うことで、勇者と剣士と聖女様と言うのが用意された衣装と言うことになる。
二人の準備が整ったところで、魔王様登場と言うことになる。ただ魔王城ではないので、魔王様には空中に浮かんで貰うことになっていた。
「はははは勇者よ、よく来たな!」
魔王様、練習の成果が出てますね。違う、これが素なんですか。まあ、うまく行っているから構わないか。
「魔王ヴェルサティスっ! お前の悪行もこれまでだっ!」
剣を掲げた勇者様、うん格好良く決まっていると思うよ。それで次は、自力で飛び上がって魔王様へと挑んでいく。
『俺たちの戦いはここからだっ』
と言う所で寸劇はおしまい。この続きは、明日の正式なお披露目と言うことで。それで鴻池さん、今のところ評判はどうです? 上々……違う、視聴率が50%越えと言うんですね。録画視聴率まで加えたら、もっと凄いことになりそうと言うのですか。『女神の奇跡、ぱねぇ』ですか。SNSでも、概ね好評と言うことですね。
次は、翼人とハイエルフの登場ですか。魔王討伐をなした勇者たちを、ハイエルフと翼人たちが迎えると言う筋書きなんですね。翼人の女性が勇者と剣士を両側から抱え、翼人の男性が聖女を……だっこですか。うん、役得だなハイエース。
それで地上に降りたところで、ハイエルフたちが祝福をする。そして最後はキレキレのダンス……ではなく、フォークダンスのような歓喜の踊りで終わるわけですか。 これって、プロモーションにも使えそうな映像ですね。
「プロモーションですけど、それは別のタレントを使う予定です。こう言った時には、売り出し前の子役を使った方が良いんですよ」
全年齢向けのアトラクションですからね。子供を使うのは確かに良い考えだと思います。
ところで伺いますが、『くっ、殺』はどうするんです?
「どうするもこうするも、当面封印しますよ。何しろこれから、厳しい冬に向かっていきますからね。てこ入れの準備として、『くっ殺』は必要なんですよ。ええ、大きなお友達向けですね。ですので、お子様が帰ってからの時間帯と言うことになります」
なるほど、時間帯で出し物を変えると言うのですね。俺も口にしたことですけど、小さなお友達のことを考えないといけませんね。ところで『くっ、殺』よりも扇情的な出し物もあるんですけど……どうします?
「それをやるとですね、来場者の客質が落ちてしまうんです。だから、扇情的……見てみたい気もしますが、公開としては封印ということになります」
そうですか、来場者の質が落ちてしまうのですか。それをすると、最初は良くても集客に影響するんですね。了解です、健全路線で行くことにしましょう。
ちなみに、プレイベントは大成功と言えるものになってくれた。うん、ゲストも絶賛してくれたんだよ。マミちゃん……うん、女優さんなんだけどね。感激のあまりだと思うけど、俺に抱きついてくれたんだ。魔法……じゃなくて恩恵だったか。それで空を飛べたんだから、感激するのも不思議じゃ無いよね。
それで抱きついたマミちゃんは、俺の耳元でおねだりなんかしてくれた。うん、気持ちはわかるけどそれは不許可だな。女神様のチョーカーは、持ち出し厳禁と言うことにしてあるんだ。だから甘えても無駄……心が動いたのは否定しないけどな。
そして翌日は、開村式が開催されることになった。色々と忙しい来賓なのだが、移動に時間が掛からなければやりくりは簡単になる。そしてイベントは、移動の所から始まることになった。菅谷総理は、総理公邸から徒歩でホワイトプラザホテル前まで移動し、異世界技術の凄さをアピールしてくれた。ちなみに英国大使、ロジャース氏も同じく大使館から徒歩での移動となった。
そして俺とセレス、長野県知事、大谷村村長は空から集合すると言う演出である。俺とセレスは、俺の強制力、知事と村長は、フローリアンさんの恩恵を使うことになった。その知事と村長だが、はしゃいで飛び回っていたことは触れないことにする。
そして村からは、山田さん夫妻、田中さん夫妻、田子さん夫妻の6人が招待された。いずれの6人も、年齢は70歳越えと大谷村の今を現したものになっていた。それから追加のゲストとして、白鹿村のペンションに宿泊していた家族も加えられた。こちらはご夫婦に小学生の子供2人の4人家族である。これは、『年寄りばかりでは地味』と言う立木さんの助言にしたがったものである。
ちなみにこの招待に関して、感激した奧さんが失神したと言うおまけが付いていた。その辺り、ハイエルフの二人がエスコートしたのと無縁じゃないと思う。
ちなみに、お年寄り6人はブーランジェリー王国組とした。流石に、魔王城はおどろおどろしすぎると言う配慮からである。だったら小学生は良いのか……か。『勇者、勇者』と跳ね回っていたから、問題はないと思うぞ、多分だけどな。
最初にお年寄り6人だけど、ハイエルフの引率でゲートを潜っていった。目指すのは、裏庭から広いところに移動したパンの国への転移ゲート前。場所の移動と同時に、規模を大きくしたので同時に20人ぐらい通過できるようになっていた。
ここでゲートを潜った後、馬車を使っての王国巡りと言うのがツアーコースとして設定された。取材のマスコミも、当然のように馬車で追いかけてくれた。
だけどなぁ、観光で見せるのが伯爵軍の演習ってのは良いのだろうか。そうか、その方が違いがわかりやすいと言うのだな。しかも魔道士も参加するので、魔法のお披露目にもなってくれる。そしてこれは、セリカが立案したアトラクションと言うのだな。
ところで、北の空から何か飛んでこないか? あれって、見間違いじゃ無ければワイバーンだよな。仕込みって……ワイバーンの餌付けに成功したのか? そうか、賢いのを選んで調教してあるんだな。いつの間にって、言っても良いよな。
それで演習の後は……そうか、エルフの集落に行くのか。ところで、あの建物に見覚えが無いんだが。シアター……いつの間にと言っても良いよな。これもセリカが指示を出したのか。なるほど、秋葉の劇場を参考にしたと言うのだな。つまり、ここでハイエルフが芸を見せるわけだ。ハイエルフだけじゃ無い、人間側からも役者が来ると言うのか。うん、なかなか盛りだくさんだと思うぞ。
なぜ、こちらを私に回してくれますかね。いえ、仕事ですから文句は言いませんよ……すでに言っている、これは文句では無く愚痴なんです。
はい、今回参加いただいたのは石川さんのご家族です。旦那さんが歩夢さん、奧さんが恵美さん、お子さんが達樹君10歳、達実君8歳の4人家族さんです。まずはホワイトプラザホテル前のゲートを通って、廃校跡に作られた神殿へと移動します。大谷興業が頑張ってくれたので、神殿っぽいものの準備が間に合ってくれました。ただこの神殿、結構ぼろけているんですよね。安置されてる女神像にしても、かなり痛んだものになっています。そうですか、これも舞台装置と言うのですね。魔王の暴虐が進み、世界が崩壊し始めているのを現しているわけですね。
それで、ここで女神様が登場。それは良いけど歩夢さん、鼻の下が長くなっていますよ。
「あなたたちが、最後の希望なのです」
ああ、素が良いからとっても似合っていますね。だから歩夢さん、女神様にデレないように。
「勇者達樹、あなたには勇者の剣を、剣豪達実、あなたには神剣を授けます」
流石は女神様、まるで本物に見えますね。えっと、見えるのでは無く本物。間違って魔王様が討たれたりすることはありませんよね? そっか、この程度で討てるのなら、自分は苦労していないと言うのですね。はい、とっても説得力のある答えです。
「賢者歩夢には賢者の杖を、聖女恵美には聖なるティアラを授けます」
これで、勇者達樹君パーティーの結成ですね。なるほど、ここで魔王様が登場する演出なんですね。
「ふははは愚かな女神よ。幼き勇者などで、余を討てるとでも思っておるのかっ!」
空に浮かび上がって巨大化……そんなことが出来たんだと言うのは良いんだけど。ちょっと迫力がありすぎない? うん、女神様にデレてた歩夢さん、しっかりとびびっているんだもの。
「まおうっ、この勇者達樹がお前を滅ぼしてやるっ!」
おっ、達樹君結構やるじゃ無い。うん、びびってるお父さんに比べて見所があると思うよ。
「ならば勇者達樹よ、お前が余の下にたどり着くのを待たせてもらおうぞっ! ふはははははっ」
いい、うん、とっても板に付いていると思う。それで、ここからどうやって魔王城まで? そっか、そこにゲートが用意されてるのね。それで、このゲートはどこに通じているのかな。
今日は特別に、魔王城内部までなのね。なるほど、難易度を思いっきり下げてるわけだ。
「勇者達樹、剣豪達実、お願いです。この世界をお救いください!」
ああ、胸元で手を握るフローリアンさん、似合いすぎてるぐらい似合ってるわ。流石は女神様、こちらも年季が入っているのね。ところで陽佳さん、なんで難しい顔をしているの? 自分たちの時と待遇が違いすぎてる……ええっと、これは演出だから。だから陽佳さん、剣を出さないで……勇者の剣、それはいいけどなんで剣を出せるの? ビール瓶なら良いのかって……それなんだけどね、女神様には効かないんだって。
報道陣を引き連れて、勇者様一行はゲートを潜っていきました。勿論、私も付いて行ったわよ。実は、私も魔王城に入ったことが無かったんだ。その意味で楽しみにしていたんだけど……なんか、装飾がおどろおどろしくない?
ちょっとそこのオーク、まさかと思うけど本物の骸骨とかじゃ無いよね。
「本物ですが、なにか?」
いやぁ、流石に本物はまずいと思うんだ。時間が無かったので仕方が無い、準備でき次第レプリカと置き換えていく。流れてる血は、血に似た液体が間に合ったと言うのね。
思ったほど臭くないのは、掃除が間に合ったと思えば良いの? なるほど、諸星さんが強制力を働かせたのね。うん、これぐらいの臭いなら許容範囲だと思うわ。
おーおーっ、ちびっ子が頑張ってる。それに四天王も、芸が細かくなったわね。達樹君に切られて、腕から血が噴き出しているんだもの。なに、芸じゃ無い。割とマジに血が吹き出ている。ただ予定したことなので、心配は不要と言うのね。
それで最後は魔王様なのね。うん、達樹君と達実君の二人が斬り掛かって言ってくれたわ。それで魔王様が斜めがけに切られて、はい、そこで決め台詞をっ!
「よ、よもや、余が討たれることになるとは。まずは見事と褒めてつかわそう」
いいねぇ、その上から目線の言葉は。如何にも魔王様って感じがするわ。それで、更に台詞があったわよね。
「だがな、勝ったと安心するのは気が早いぞ。余は何度でも蘇り、お前たちに絶望と言うのを教えてやる」
ふははははと高笑いをして、煙を立てて消滅……ホントに消滅してないよね。なるほど、煙幕を焚いてから空間転移をしたのね。
それでこの次は……女神様が光と共に登場するのね。
「勇者達樹、剣豪達実、あなたたちのお陰で世界が救われました。あなたたちには、女神の祝福を差し上げます!」
おおっ、魔王城が明るくなったと思ったら場所が切り替わったわ。それは良いけど、ここはどこ? なるほど、ブーランジェリー王国に転移をしたのね。いつの間にゲートを作ったって、疑問に感じても良いよね。
王国に転移した後は、お決まりのパレードをするのね。うん、エキストラの人たち……国王命令で集められたんだ。まあ、結構楽しそうにしているからいいことにしておこう。エキストラの人たちを交えて魔王討伐のお祭りをするんだ。それは良いけど、このアトラクションいつまで続けるの?
一般の方を招待しての報道公開イベントだけど、概ね好評と言って良いのだろう。なぜ大好評と言わないかと言うとだ、まだ作りかけの部分が多く残っていたからだ。ちなみにこの『作りかけ』なのだが、レプリカが間に合っていない『本物』と言うのは内緒の話だ。うん、本物って意外に地味だからね。
それを除くとだな、詰め込みすぎと言う批判もあったな。ただなぁ、今回の公開はいいとこだけを抽出して公開してあるんだよ。本当なら魔王城の中に転移をしないし、もう少しオークとかデモンとかで苦労をして貰う仕組みになっているんだ。それ以外にも、大きなお友達向けに姫騎士救出イベントとか、返り討ちイベントとかもあったりするんだな。
でも、今回のモニターはお子様だよ。お子様に姫騎士救出は教育上悪いし、いきなりゲームエンドじゃ楽しめないだろう? だから、気持ちよく勝たせてあげたと言うことなんだよ。
その一方で、好評だったのは魔王様と女神様。うん、魔王様には早速ファンクラブが出来たみたいなんだ。やっぱりさ、イケメンって言うのは根強い人気があるよね。それから女神様なんだけど、こっちもファンクラブが出来たそうだよ。やっぱり大きなお友達には、大きなおっぱいと言うのは強力な武器なんだね。
「ただ、なかなか悩ましい問題があるんですよ」
なんです、その悩ましい問題と言うのは。
「いえ、女神様の衣装と魔王様の化粧なんですけどね。健全さと言う意味だと、今でも女神様の露出が大きいのかなと。石川歩夢さん、つまりお父様なんですけど。かなり鼻の下を伸ばされていましたよね。女神様が巨乳美女と言うのはインパクトがあって良いんですけど、家族向けにはもう少し地味な方が良かったのではと思ったんです」
なるほど、ターゲットがお子様だと思うと、確かに問題と言っても良いかもしれませんね。うん、夫婦仲に問題が出たりしたら、リピーターを失うことになりかねませんもんね。
「魔王様の方ですが、格好良すぎると言うのも問題なんです。もうちょっとですね、おどろおどろしい方が討伐対象として相応しいのかなと。ただですね、石川恵美さん、ええお母さんの方なんですけどね。魔王様に、しっかりのぼせ上がっておいででした」
今度は、女神様の逆と言うことですか。その辺り、ライダーものと似た傾向があるんですね。そうですか、あちらはヒーローで、こちらはヴィランなんですよ。いっそのこと、女性勇者の場合は討伐では無くラブロマンスにしてみますかね」
それはそれで面白いのですけど、あまり凝ると入場者を裁けますか? あれっ、鴻池さんが悪い顔をしているよ。
「それなんですけど、一般入場者はオークとデモン止まりにしようかと思っているんです」
ええっと、一般以外の入場者ってあるんですか?
「今のテーマパークは、いかに追加料金を払わせるかがポイントになっているんです。従って、人数限定でプレミアムチケットを販売することにするんですよ。そのプレミアムチケットを購入された方だけが、魔王様のところにたどり着けるようにすると言うことです」
プレミアムチケット……ですか。それって、利用者の反感を買いませんか? 地獄の沙汰も金次第……いやいや、流石に儲け第一主義は問題でしょう。止めろとは言いませんけど、もう少し一般入場者への配慮があってもいいと思いませんか?
「配慮ですか……でしたら、ガチャでも引いて貰いますかね。さも無ければ、チケットナンバーで抽出をするとか。午前、午後、夜で一組ずつ特別プログラムに参加できるようにすると言うものです」
つまり、一般入場者に対する救済措置を作ると言うことですね。あれっ、また鴻池さんが悪い顔をしてる。
「いえ、ちょっとしたアイディアなんですけど。一般入場者向けの特別プログラムをですね、プレミアムチケット購入者よりも豪華にすることを思いついてしまいました」
それは別に構わないと思いますけど……それをすると、何か良いことがあるんですか?
「こう言った施設は、リピーターを増やすことが課題になっているんです。一般チケットの特別プログラムが魅力的であるほど、是非とも体験してみたいと思ってくれるんですよ? 諸星さん、魅力的な体験をしてみたいと思いますよね」
そりゃあ、思いますよ。ええ、体験してみたいですよね。
「なので、体験できるまで何度も来場されると言うことです。しかも特別プログラムを複数種類用意することで、体験して感動された方ほど次を期待して来場されることになります」
そんなにうまく行くのかと言う疑問はありますが、仰ることは理解出来ますね。その場合、別の問題があると思うんですよ。ええ、ここは東京や大阪からかなり遠いですよね。足繁く通うには、その距離が問題になると思うんですよ。
ええっと、どうしてさっきから悪い顔をしてくれてるんですか?
「東京、大阪、名古屋、札幌、博多に特別ゲートを作るんです。勿論、ゲートは別料金にいたします。そうですね、通常の交通費に比べて2倍ぐらいを想定すれば良いと思いますよ」
2倍って、かなり高くありませんか? 違う、安すぎないか心配しているのですね。理由を伺っても宜しいですか?
「特別ゲートを使うとですね、日帰りが可能になるからですよ。散々遊び倒した後でも、特別ゲートならまともな時間で帰り着くことが出来るんです。タイパと言う意味で言えば、まだまだ格安ではないでしょうか」
なるほど、単なる交通費との比較ではないのですね。交通費プラス宿泊費との比較になるわけですか。だったら、通常交通費の2倍でも高くありませんね。ええ、むしろ安いと言って良いと思います。
「ですから、価格設定が重要と言うことになります。ところで一つ諸星さんに伺いたいのですが?」
俺に質問……ええ、なんでしょうか?
「いえ、特別プログラムの出演者にですね、奥様をお願いすることが出来ないかと言うものです。フローリアンさん、つまり女神様なのですけど、その上位女神様としてセレスさんに出演していただきたいなと」
セレスを上位神として、ですか。まあ、キャストとしてなら問題はありませんよ。ただですね、あまり頻度が高いと仕事に影響が出る気がするんです。
なんです、そのレアキャラと言うのは。そうですか、登場回数を絞ることで、レア度が増すと言うのですね。鴻池さん、なかなか阿漕なことを考えるのですね。ただフローリアンさんとは違って、セレスは恩恵を使えませんよ……どうしたんです鴻池さん、なにか、とても微妙な顔をされて。そうですか、それでも問題は無いと言うのですね。後ですね、レアキャラだったら立木さんにも相談してみることにします。意味がわからない……いえちょっと、面白いことになっていたりするんですよ。
鴻池さんのアイディアは、企画書と言う形ですぐにドキュメント化された。そのアイディアの中にあった大都市からの直通ゲートは、大谷村から待ったが掛かることになった。まあ、大谷村としては、間違いなく宿泊施設の実入りが減ることになるんだ。それを考えれば、反対するのも理解出来ることだと思うぞ。
従って、大都市からの直通ゲートは継続検討課題となった。ただ一般チケットのリピーター対策だから、やらないと言う答えはないと思うんだ。従って、大谷村としても対策を考えることになった。
そのほかの検討課題は、同時受け入れ人数である。ブーランジェリー王国は、単なるツアーだから制限は緩くなる。一方魔王城の方は、勇者パーティーが戦うことになっている。従って、同時戦闘数をどれだけにするのかが課題となったわけだ。
「オークが50、デモンが50でしたね」
この会議の中で、今まで静かだった立木さんが初めて口を開いた。うん立木さん、段取的にどうしたら良いと思いますか?
「あまり期待しないでいただきたいのですが……そうですね、オークとデモンで最大10と言う所ですか。後は、四天王がいますので4が追加されることになります。ただプレミアムチケット対応がありますから、その場合は11が最大になりますね。後は、1つのアトラクションに掛ける時間ですが……今日の場合、魔王城では10分程度掛かっていました。インターバルを5分置くと、1時間に最大4と言うことになります。1パーティーを平均5人で組んで貰うとですね、1時間でこなせる人数は最大280人ですね。つまり、1日の稼働を8時間とすると、最大2240人と言うことになります」
そうか、最大で魔王城は1日2240人なのか。なかなかの人数と言って良いのか、それとも少ないと言って良いのか。1日の目標が1万だと考えたら、ブーランジェリー王国ツアーで8000人近く裁かなくちゃいけないんだよな?
「それ以外の問題は、女神様の負担が重すぎることです。魔王城側は分担できますが、今のところ女神様は分担出来ないんです」
それだと、どう言うことになるのか……1日に女神様は2千人以上に恩恵を授けることになってしまう。8時間で2千人……1分間に5人近くになると言うのだな。うん、はっきり言って無理だと思う。
つまり、恩恵を授けるところで問題が出ると言うのだな。鴻池さん、その辺りの見積もりにご意見はありますか? 恩恵を売る形にする……なにか、有り難みが減る気がするんですけど。
「女神様に仕える神官を設定すると言うのはどうでしょう?」
神官ですか……いえ、俺の行った世界にも神官はいたんですけどね。なんか、胡散臭かったと言えば良いのか。なんです立木さん?
「天使様を作るのが1つの案ですね。翼人の方たちなら、天使と言っても十分通用すると思いますよ。それに加えて神官を設定すれば、同時にこなせる人数がぐっと増えると思います」
つまり、フローリアンさんをレアキャラにすると言うのですか?
「レア度順で行くのなら、セレスさんが最レアで次はフローリアンさん、その次が翼人で最後が人間の神官とすればいいわけです」
そうすれば、確かに魔王城側の受け入れ能力一杯まで恩恵を授けることが出来るわけですか。ところで鴻池さん、何か仰りたいことがあるんですか?
「いえ、女神様とか魔王様とか……翼人の方もそうですけど、もっと増員できないのかなと」
もしもし、どうやってって聞いても良いですよね。なんだインテグラ、何か意見があるのか? いや、攫ってくるのも吝かでは無いって……穏やかな話に聞こえないんだが。なんだ、その心当たりがあると言うのは?
「魔王の方はわかりませんが、翼人でしたら経由した世界で見た覚えがあります。試しにですが、そちらの世界と繋げてみるのはどうでしょう?」
どうでしょうと言われてもだな……世界を繋げるなんて簡単に言って欲しくないんだが。なんだヴェルファイア、その世界に興味があると言うのか?
「はい、もしかしたら私たちが住んでいた世界かも知れません。でしたら、仲間を連れて来ることを考えてもいいと思うんです。はっきり言って、こちらの世界の方が住みやすいんですよ。私たちが定住していると教えれば、世界を渡る障害も少なくなると思います」
いやいや、他の世界から人を連れて来るんだよな。パンの国から沢山こっちに来ている……それを否定することは出来ないのだが。そうか、無理強いをするつもりは無いんだな。魔王っぽいのも連れて来るのも可能……キャストを増やさないと、魔王たちの負担も大きすぎるのは確かではある。
どう思います鴻池さん……乗り気ですね。
「ヴェルファイアさんの仰るとおりだと思います。先ほど立木さんが挙げられた数字は、かなりタイトな見積もりだと思うんですよ。短期間なら良いのですが、長期に続けるには魔王様たちの負担が重くなりすぎる恐れがあります。ですので、キャストを増やすと言うのは大いに賛成させて貰います」
「そのキャストを増やす話ですが……」
何かあるのですか、立木さん。
「魔王様に伺ったところ、オークとデモンは増殖可能なのだそうです。そのためには魔王様が魔力を供給する必要があるのですが、少し頑張れば難しくは無いそうですよ」
そうか、オークとデモンが増えれば、キャストに余裕が生まれてくれるな。だとしたら、魔王様にお願いをしないといけない訳か。
「後は、ブーランジェリー王国でのアトラクションを考える必要があります。軍の演習は受けたのですが、一日中演習を続けるわけにはいかないと思います」
それはそうなのだが……後は、ワイバーンの襲来と言うイベントもあるよな。それから、ハイエルフ劇場と言うのもあったと思うんだ。なるほど、まだまだ足りないと言うのだな。
それで……田中さん、意見があるのかな?
「ブーランジェリー王国の観光資源を調べてきました。日本とは違った景色、風習をいくつか見つけることができたと思います。ツアーとして、ブーランジェリー王国観光を加えるのも良いかと思います。後はですね、ブーランジェリー王国には40ほどの貴族がいます。何か言いたげにしていましたので、声を掛けてあげるときっと喜んでくれると思います」
「だとしたら、ブーランジェリー王国以外の国はどうですか?」
「そちらは、これから調査と言うことになります。ただ、大いに可能性があると思います」
だそうですよ鴻池さん。嬉しそうに見えますが……そうですか、商材が増えるのが嬉しいんですね。では早速田中さん、木下さんに働いて貰うことにしよう。ところで、田中さん、木下さん。当然見返りを考えた方が良いんだよな。
だよな、やっぱり必要だよな。だったら、その見返りについても調査をお願いして良いかな。人員の追加……追加できるあてがあるのかな。そうか、知り合いを当たってみると言うのだな。誰でも良いとは言わないが……それも理解しているのか。だったら、立木さんに話を通してくれれば良い。
何です立木さん、そうですか、そろそろ朽木さんが立ち直る頃。だったら、追加人員は朽木さんに任せることにしましょうか。
なんか、こうやって作り上げてくのって……楽しいですね。うん、高校時代を思い出すんですよ。
メンタルって、結構厄介だったりします(経験)




