考えが甘かったと言う話
村の特産は異世界です
・考えが甘かったと言う話
今回の話、これまでに比べて控えめだと思ったのは内緒だ。少しも内緒になっていない、明らかに安堵していると言ってくれるのか。まあな、世界的権威がボンボン引っかかるのは胃に悪いんだよ。嘘を吐け……と言われてもだな、割と本気でそう思っているんだよ。
「諸星さん、そう言ったものを超越してますよね」
そりゃあ、超越の恩恵を持っているよ。でも、メンタリティは普通の人間なんだよ。それも嘘って、今日は随分と言ってくれるんだね。そうか、俺が巻き込んだことを怒っているんだ。だって、色々と後沢と話す必要があるだろう。だったら、早い内に小谷さんを巻き込んだ方が良いと考えただけなんだよ。それに小谷さん、立場上は俺の秘書だよね。
ちなみに今回セレスはお留守番。うん、大谷村対応が増えているんだ。その辺り、異世界公開作業が加速しているからなんだけど。加えて言うと、後沢へのサービスもいらないかなって。
東京へは、シャルロットの空間転移で移動をした。糸魚川から新幹線でも良かったのだが、時間の早い方を選択したと言うことだ。それで久しぶり……でもないか、また来たぞ後沢。
「なんか偉そうだな。と言うのは良いのだが、ようこそ小谷さん。孝明の世話をよろしく頼む」
なぜ小谷さんに世話を頼む……いや、答えてくれなくても良い。一応、それなりの自覚と言う奴もあるんだ。それで堀内氏も顔を出すのか? 今日は出し惜しみ……堀内氏をか?
それはそれとしてだ、良いのか、ゲーム会社なんかを買い取ったりして。良いから買った……まあ、そうだろうなとしか答えようがないな。
「そもそも俺が、損をするようなことに投資すると思ってるのか?」
そうだな、そう聞かれれば思っていないと言うのが答えになる訳か。つまり後沢は、サンダーボルトなるスタートアップが儲かると考えているわけだ。
「単体のゲーム……ストレンジワールドなんだが、あのゲームシステムを手に入れるだけでも価値があるな。しかも開発者ごと手に入れられるなんて、100億を吹っかけられても安い買い物と言って良いと思うぞ」
そうか、そこまで評価しているのか。なんだ、その業界でも有名と言うのは?
「有名なものは仕方ないだろう。サンダーボルトの朽木と言う奴は、あの堀内から資金を引っ張り出した手腕が認められているんだよ。だから堀内も、この買収……と言うより傘下に加える方だな。あいつも諸手を挙げて賛成したと言うことだ」
つまり、また立木さんの引きがバグっていたと言うのか? なんか凄いな、立木さん。
「ああ、凄いんだよ。そういう意味では、あの人も安い買い物だったんだがな」
ハロワの求人なんだろう。そうか、ほぼ最低時給だったと言うのだな。あの人、お金に困っていなかったよな。だとしたら、よく来てくれる気になったと思うぞ。なんだ後沢、お前の人徳と言ってくれるのか? なあ後沢、俺に何を言わせたいんだ?
「それから相方の武見と言う男なんだが……はっきり言って化け物だと思うぞ。在学中に書いた論文が、なんと細胞プログラミングに関する考察なんだよ。俺には理解出来ないんだが、細胞の働きをコンピュータプログラムの側面から分析したもののそうだ」
つまりなんだ、うちの研究所向けの人材と言うことか? そうか、やっぱり立木さんの引きが凄いと言うことか。それを考えるとだな、あの人には飲み歩いて貰う必要があるわけか。
「人材確保と言う意味なら、お前の言う通りと言うことになるな。実のところ、立木氏の立ち回り先が分析されているそうだ」
立木さんの立ち回り先って……温泉とか飲み屋とかか? そうか、温泉とか飲み屋なのだな。まあ、オルティアさんや大芝教授、本山教授のことを考えれば、不思議ではないと言えば不思議じゃ無いな。
「ちなみに言っておくが、良くない手合いも引きつけているのを忘れるんじゃ無いぞ。左巻き……違うか、左に振れきった奴とか、元々暴力革命を目指している奴とか……ちょっと宗教系からも狙われていたりするんだよ。朽木たちと会った日でも、駅近くで過激派の奴が交番に出頭してきたそうだ」
わざわざ持ち出したと言うことは、その過激派とやらが立木さんを狙っていたのか? だけど、なんで交番に出頭してきたんだ?
「自分のしていることに気づき、罪を償うためなのだそうだ。菅谷総理から、かなりの構成員を逮捕できたと教えて貰ったよ。なあ孝明、今更なんだが立木氏は普通の人なんだよな?」
立木さんが普通の人って……魔法とか恩恵のことを言っているんだよな。その意味で言ったら、本当に普通の人だぞ。ただ、人脈がこれ以上無いぐらいバグっているだけだ。それから言っておくが、立木さんは普通の人だ。ただな、ガールフレンドは普通とは掛け離れているんだよ。
「つまり、今回の件にそのガールフレンドが関わっていると言うのか?」
その可能性は大いにあるな。たしか、居酒屋に金髪碧眼の美女が現れたと御衣黄さんに教えて貰ったぞ。立木さんが微妙な顔をしていたと言うから、間違いなくなんか関係があるんだろう。御衣黄さん曰く、その女性は神様系なのだそうだ。
「過激派が自首したことに関係がありそうだな」
可能性としてなら、かなり高いと言って良いと思うぞ。それで朽木氏だったか、まだ現れないのか?
「これから場所を移動することになってる。ああ、彼のオフィス……なのかな。それが港区にあるそうだ」
そうか、相手のオフィスに乗り込むと言うのだな。了解した、だったら少し気を引き締めておくことにするか。なんだ、その無駄と言うのは?
「そもそも、本件でお前に期待していることは何もないんだよ」
そうか、俺への期待は無いのか。無いんだな、ちょっと傷ついたと言っても良いよな。
株式会社サンダーボルトのオフィスと言われたから、どんなところかと思ったんだ。うん、勢いのある会社と教えられたからな。それなりに広くて、大勢の若い奴が働いていると思ったんだよ。
それなのに、案内されたのはどこかのタワマンなんだよ。タワマンだよ、しかも目的地は住居部分なのだそうだ。なんかなぁ、いきなり期待値が下がったと言えば良いのか。がっかりと言っても仕方がないと思うんだ。
「孝明、お前は意外に形に拘る奴だったんだな」
意外か? 俺は、形から入る質なんだよ。そうか、幸せな奴と言ってくれるんだ。
「ちなみに、このマンションの最上階は20億超えだからな」
20億超え……悪いが、相場を全く知らないんだ。そうか、ここら辺りでは高い方なんだな。スタートアップが事務所を構えるような所じゃ無いと言うのか。
それで、目的地は。そうか、その最上階なのか。入り口を考えると、かなりセキュリティは高くなっているんだな。まあ、俺に対しては意味の無いセキュリティなんだが。
その40階……意外に低いと言って良いのか? そうか、空港が近いから高さ制限があるのか。でもこのエレベーター、ボタンが40までしかないよな。つまり、さっき言ってた最上階ってことか? 今更なんだが、金を持ってるんだな。なんだ小谷さん、俺は何かおかしなことを言ったか?
「沖縄で豪遊してきた人の台詞じゃないなと思っただけです」
あれはだな、全部立木さんがアレンジしてくれたんだよ。だから豪遊……確かに豪遊だと思うけど、幾ら掛かったのか教えて貰ってないんだぞ。なんだその6と言う数字は、いや、流石に60万は安すぎると思うんだ。
「一桁違います。ちなみに、ディスカウントして貰ってホテル代は500万ぐらいだったそうです。立木さん、次はもっとディスカウントするとホテルに言われたそうです」
え、あれっぽっちでそんなにしたの? いやいや、たった4泊しかしていないよな。
「孝明がものを知らないのは良いのだが、これから相手先を訪問するんだ。だから孝明、そろそろ間抜け面を直してくれないかな」
間抜け面って……仕方が無いじゃ無いか、しっかりと驚かされたんだからな。そんなことは関係ない、とにかく間抜け面をなんとかしろと言うのか。わかったよ、これから気を引き締めることにするよ。ああ、だから真面目な顔をしたつもりだぞ。こら、どうして小谷さんとひそひそ話をしてくれるんだ?
「まあお前が努力したのは理解した。と言うことで、どうやらお出迎えをしてくるようだ」
そりゃあ、お前が資本家だからな。買われる身として、お出迎えするのは当然だと思うぞ。
はい、諸星孝明と申します……いかん、なんか卑屈になってしまった。立木さんですか、今日は集落でお留守番をしてくれてますよ。
「空振りだったな和志」
ええっと、武見さんでしたか。武見さんは、立木さんが来るのを期待していたのですか? それもあるが、あの時の金髪美人を紹介して欲しい。その金髪美人、俺は顔を見たことがないんですよ。
ところで、サンダーボルトって何人の会社なんですか。見たところ、お茶を入れてくれた女性以外の社員が見当たらないんですが。ひょっとして、リモートワークと言う奴をしているのですか?
「実は、俺たち3人がすべての会社と言うことです。そして、この和志が会社の稼ぎをたたき出している」
詳しいことはわからないんですが、ゲームの開発って普通はチームを組みますよね。なるほど、根幹部以外は外注に出しているんですね。サンダーボルトの稼ぎは、その特徴的な根幹部が理由になっているのだと。
それで、サンダーボルトはどんな形でIMO研と関わるんだ?
「ああ、持ち株会社として株式会社IMOを設立する。そしてその下部に、細胞研究を行うIMO研究所、エンターテインメントを扱うサンダーボルトを置くことにする。魔王城やブーランジェリー王国公開は、サンダーボルト側で面倒を見ることを考えている」
なるほど、エンターテインメント部門ね。それで、サンダーボルトは東京で活動するのか?
「それなんだが、俺たち全員大谷村……で良いんだよな。そちらに移住することを考えている」
大谷村に来るのか? いや、割とマジに驚いているんだが。その社員は……そうか、あの女性だけだったな。彼女は、ど田舎に来るのを嫌がらないのか? なるほど、閉じ込められるのは嫌だけど、今更仕事を離れるつもりは無いと言うのだな。まあ、歓迎させて貰うのだが、後から騙されたと文句を言ってくれるなよ。
ええっと、何さんでしたっけ。那須野さん、那須野さんですか。はっきり言って、大谷村はど田舎ですよ。まあ、空気と食べるものは美味しいのですけどね。ただお断りしておきますが、男性との出会いは期待しないでください。
「ハイエルフの男性って……格好良いですよね」
もしかして、那須野さんってそっち系のひとですか? そっち系の意味はわからないが、オタクでないのは保証できる。ただ、ゲームのテストプレイをして貰っていると言うのですね。
ちなみにゲームのシナリオはどなたが? なるほど公募しているんですね。失礼ですが、お三方は異世界に興味を持ったことがありますか?
「物語としての異世界ならノーだな。ただ現実に存在する異世界であれば、大いに興味があると言うのが答えになる」
なるほど、集落には珍しいタイプと言うことですか。いえ、受け入れ自体は問題ありませんよ。ただ、入れ物の方に問題があってですね。集落のメインからは、離れたところにしか用意できないんです。しかも、年代物の古民家になってしまいます。
これから冬に向かいますから、なんとかしなくてはと思っているんですけどね。
「それなのだが、しばらくこことの間にゲートのようなものを作れないか?」
ゲートですか。それが出来れば、確かにここから集落まで通えますね。了解しました、そちらは考慮することにします。ええ、女神様……フローリアンさんなんですけど、彼女にお願いをすれば作ってくれると思います。
どうかしましたか、朽木さん。
「いや、住んでいる世界が違うと言えば良いのか、さも無ければ想像もしていなかった世界が現れたと言えば良いのか……女神様とかドラゴンとかエルフとか。ゲームとして利用させて貰っているのだが、それが現実のものとなるとまだ頭に拒否反応が残っていると言うことだな」
その気持ち、わからないと言うつもりはありませんよ。ところで武見さんでしたか、あなたは女神様とかどう思いますか?
「海外に行っていたときには、信仰上の神と言う存在に触れることは沢山あった。彼らと話をしていて、神と言う存在が身近に感じたことはある。あるんだが、ただなぁ、居酒屋に現れたのも神様なんだよな。しかもその神様、しっかりと立木さんに甘えていたんだ。神様の大安売りをされてる気がして、なんか違うと思えてしまったのは確かだな。なんか、もっと、その厳かと言えば良いのか、慈愛と一緒に厳しさを持っているのが神様だと思っていたんだ」
なるほど、フィオレンティーナさんでしたか、彼女のせいで神様に対するイメージが崩れたのですね。ちなみに集落には、フローリアンさんと言う女神様も住んでいますよ。はい、勇者の異世界召喚をしてくれた神様なんです。
そう言えばその女神様も、立木さんに色目を使っていますね。
「なんかなぁ、もうちょっと立場を考えて欲しいと思うのは贅沢なのか? あとはだな、女神様の遺伝子も俺たちと違っていなかったんだよな。だとしたらだ、神様と言う存在を再考する必要がある気がするんだ」
なるほど、ところで後沢、何か言いたいことがあるのか?
「奇跡を起こすのが神様なら、孝明も神様のようなものになるよな? いや、ちょっと……違うな、かなり理不尽なものを感じてしまったと言うことだ」
その理不尽と感じたところを詳しく聞いておきたいのだがな。そうか、口にしたくないと言うのか。だったら強制力を働かせてやっても良いんだぞ。
「女神様以上の力を持つ奴が、こんなに俗世に塗れいているんだ。だから、神様の存在を再考するの必要なことじゃないのか?」
俗世に塗れていて悪かったな。俺はだな、元々は一介の市会議員だったんだよ。
「それなんだが、本当に一度死んでいるのか?」
ちゃんと、死亡診断が出ているぞ。それに俺の体は、一度荼毘に付されているんだ。ゼッタイシン様にも、お前は死んだと言われたんだがな。
「つまり、死と言う現象にも再考の余地があると言うことか。よくもまあ、各種宗教が黙っているな」
無かったこと、別物と考えているんじゃ無いのか。そうじゃないと、自分たちの神を否定することになると思うんだ。
「まあ、宗教的意味は、別の奴に任せれば良いんだろうな」
「俺たちがするのは、ビジネスなんだからな。ところで後沢さん、大枠は固まったと思って良いのか?」
「そんなもの、下の奴が詰めれば良いことだろう。まあ、お宅は人がいないからうちの法務に任せることになるんだが。重要なのは、孝明がそちらを受け入れるのかと言うことなんだよ。その辺りはどうなんだ?」
俺の考えが重要なのか? 俺はだな、立木さんが認めた時点で受け入れるものだと考えていたぞ。それに、久々の若い男だからな。うん、今の集落に求められる人材なんだ……どうして引いてくれるんだ?
「何か良からぬことを感じた……まあ、和志の懐は深いから大丈夫だろう」
「女をとっかえひっかえしていた奴に言われたくないな」
「金を持っているとだな、色々な奴が寄ってくるんだよ。ただな後沢さんを見てみろ、結果的に縁遠くなっちまうんだよ」
あっ、わざとだと思うが地雷を踏んでくれたぞ。なんだ後沢、俺に強制力を働かせろと言うのか。うん、具体的にどうしてやれば良い? 二人をホモダチにして欲しい。それって、今更しなくちゃいけないことなのか? 武見さんだったか、どうかしたのか?
「こいつとホモダチ……背筋が凍る気がするんだが」
「なんだ和志、あの熱い夜のことを忘れたのか?」
「掘るんだったら、今日はいない堀内さんを頼るんだな」
そうか、やっぱり堀内氏はそっちで有名なんだ。なんだ後沢、元々お前が言い出したことだよな。そうか、なんか気持ち悪くなってきたと言うのだな。身長を10センチ縮めるので手を打つのか。結構控えめな要求だと思うぞ。10センチ縮めても、朽木氏はお前よりも背が高いだろう。
そうか20センチ縮めろと言うのか?
「土下座をすれば良いのか?」
俺には必要無いぞ。土下座をするのだったら、後沢にしてやってくれ。ところで小谷さん、研究所側のことは任せて良いよな?
「私がすることはないと思いますよ。今だって、誰一人として私のことを気にしませんでしたよね? ところで後沢さん、IMOホールディングスの体制はどうするんです?」
「それなのだが……」
そこで後沢は、俺の顔を見てくれた。どうやら、俺に何か役職を持たせようと言うのだろう。ただな、俺は一介の市会議員だったんだからな。今の研究所長でも、手に余ると言うのが俺の意見になる。
「孝明が何を考えているのか、手に取るようにわかるんだよ。ただなぁ、こいつをトップに据えないと組織が落ち着かないんだよ。だから社長には孝明を据えるしかないと思っている。そこで問題は副社長なんだが……立木氏からは絶対に無理と申告を受けた。逃がすつもりは無いが、流石に副社長は可哀想かと思っている」
逃がさないと言う条件なら、副社長じゃなくても良いのは確かだな。うん、あの人には色々と好き勝手して貰った方が良いと思うんだ。だったらなんだ、相談役? それもちょっと違うと言う気がするな。
「その辺りは、追々考えることにする。何しろIMOホールディングスを作っても、社員の数が少なすぎるんだよ。研究所の一部門にエンターテインメント部門を作っても良いかとも考えているぐらいだ」
会社の規模を考えたら、それでも良いと思えてしまうのだがな。ここの3人が増えて、ようやく8人と言うのが人間側のすべて……すまん、12人だったな。ファンタスティック・フォーを忘れちゃいけなかった。
「だったら、研究所の一部門と言うことにするか。それならそれで、研究所と言うのもおかしな気がするのだが……法人名を変更することも考えるか」
そうだな。確かに研究はしているが、稼ぎ頭は荷造り紐さんなんだからな。これからブーランジェリー王国とか魔王城を公開することを考えたら、研究所と言う名称もおかしくなると思うぞ。
「だとしたら、ホールディングスではないが研究所の上に統合組織を作ることにするか。ただなぁ、組織を作っても登場人物が変わらない気がするんだ」
確かに、登場人物は変わらないな。うん、エンターテインメント部門が増えるだけだろう。
「研究部門長にオルティア女史か。そしてエンターテインメント部門長が朽木氏と言うことになる。だとしたら、社長はお前になるし、小谷さんは秘書と言うことになるんだが……菅谷事務所から転籍は可能か?」
「ええっと、転籍ですか。確かに、今のままならその方が良さそうな気がしますけど。ほら、議員秘書の立場って便利だと思いません?」
「その分、総理との癒着が騒がれることになる。今は色々と押さえているが、そのうちまた吹き出してくれるだろうな」
そうか、それを考えたら小谷さんは転籍した方が良いのか。後沢、お前から菅谷総理に話をしておいてくれるか。こればかりは本人からは言いにくいと思うからな。ところで小谷さん、議員になるのは諦めてないんだよな? そうか、未練があると言うのだな。だったらだな……なんだ、その却下と言うのは。俺はまだ、何も言っていないんだからな。
「記者会見で前に出ろと言うんですよね。台本を喋るのなら良いですけど、私にはまだ荷が重すぎます」
だけどなぁ、国会議員だろう? だったらさぁ……なんだ?
「今の国会議員で、何人の方が上里集落を代表できると思われてます? あれはですね、全く違う能力が求められているんです。間違いなく、立木さんは特殊な才能を持っているんですよ」
断言してくれたか。まあ、国会を見てたらそう言いたくなるのもわかるけどな。それで、転籍自体は認めてくれるのかな? そうか、仕方がないと思ってくれるんだ。だそうだ後沢、菅谷総理との調整をお願いするぞ。
「残るのは立木氏の処遇か……副社長ってことになるのかなぁ」
「立木さん、思いっきり嫌がりそうな気がしますね。諸星さん、土下座をして頼みますか?」
その時は、小谷さんも一緒と言うのを忘れないでくれればな。ところで、どうしてお願い事は土下座がデフォルトになったんだ?
「それは、なんででしょうね。ところで、武見さんはどんな立場に立たれるんですか?」
「おれは、IMO研側の研究員で良いぞ」
「和志には、エンターテインメント部門も兼任して貰う必要がある。システム維持は、外注に任せれば良いのは確かなんだがな」
あのゲームって、結構な収益を上げているんだよな。だとしたら、そちらも手を抜くわけにはいかないと言うのか。
ところで、大谷村から2人ほど出向者を受け入れているんだが。ああ、ブーランジェリー王国ツアー用の人員だ。そうか、彼らはエンターテインメント部門に配属するんだ。だとしたら、公開関係はエンターテインメント部門が取り仕切ることになるんだな。つまり、朽木氏の手腕が生かされると言うことになるわけだ。
「ええっと、そっちも任されるのか……ちょっと、想定外だったな。ただ、役割分担的には納得できるのは確かだ」
ちなみに、大谷村対応もエンターテインメント部門になるんだ。今はセレスとリズが対応しているから、その上に朽木氏が立つことになる。
予め釘を刺しておくが、手を出そうと考えた時点で強制力を働かせるからな。
「ところで後沢さん、今日の予定はどうなってます? もう少し具体的に言うとですね、明日までの予定なんですけど」
「含むところのありすぎる質問なんだが……予定はあるが、組み替えるのは可能と言っておくか」
「朽木さん、武見さんはどうですか……那須野さんも含みますね」
「俺たちは身軽だからな……どうとでもなると言うのが答えになる」
「だそうですよ、諸星さん」
うん、何を言っているのか理解出来るよ。そうだな、久しぶりに大宴会を集落で開くことにするか。
「関係者も増えましたから、一度区切りを付けておく必要があると思いますよ。と言うことなので、堀内さんも誘って貰えますか?」
「あいつ一人を逃がすわけにはいかないな。わかった、首に縄を掛けてでも連れて行くことを約束しよう」
「ところで、どうやって上里集落……だったか。そこまで行けばいいんだ?」
「だそうですよ諸星さん」
ああ、こう言うときこそ空間転移の出番と言うことだな。うん、シャルロットを呼び出すことにしよう。フローリアンさんは、別の機会にと言うことになるな。
と言うことなので、よろしく頼むぞシャルロット。
空間転移の恩恵で良いのか、まさか東京から長野の北部まで移動できるとは思っていなかった。しかも本当に、瞬きするほどの時間で移動をしてくれたんだ。これを見せられたら、なんとしてでも手に入れたいと思うのも不思議じゃ無い。
ちなみに今のは魔法なのか……そうか、魔法じゃ無くて恩恵と言うのか。ところで恩恵と魔法って何が違うんだ? 恩恵は神様に貰った能力で、バージョンアップ不可と言うのか。それ以上のことを聞かれてもわからないと言うのだな。
しかしここは異世界……異世界人が揃っている。いや、そう言う意味もあるのか。ああ、環境として異世界と言ったんだ。どう見ても、俺たちとは違う人間が集まってるよな。ああ、海外協力で行った国々とも全く違っているぞ。ただまあ、生活自体はあちらの方が異世界なんだが。
ところで、翼があるのが翼人で良いのか。それで耳の長いのがハイエルフ……噂通り、全員が美形なんだな。それで、一見普通そうに見えるのが竜人なのか。それはそれとして、ここはどこなんだ? ブーランジェリー王国のポンパドール伯爵家の館。つまり、本当の異世界に来ているのか。どうやって……と言うのは聞いちゃいけないんだな。ああ、今はそう言うものだと受け止めさせて貰うことにする。
それで、これから何を。俺たちの歓迎会、大谷興業の歓迎会も兼ねている。それをなぜブーランジェリー王国でするんだ? そうか、あちらに適当な広い場所が無いからか。流石に魔王城では、食欲が湧かないと言うのだな。一応理由を聞いても良いか? そうか、あそこは魔王様が人間を丸かぶりした場所なのか。悪いな、嫌なことを説明させて。
ところで、あなたは何さんと言えば良いんだ? 耳が長いところを見ると、ハイエルフで良いんだよな。そうかカプチーノと言うんだな。なんか、美味しそうな名前に聞こえるのは気のせいか? いや、どうして別室で味見と言う話になるんだ。遠慮は必要無いって、今から歓迎会があるんだろう? それに、出来たら色々と紹介して貰いたいんだが。
「でしたら、手短にすませましょう!」
手短にって、それでいいのか。そうか、優先順位を間違えていないと言うのか。お~い涼真、お前向きの世界がここにあったぞ。
なんか和志が騒いでいるんだが……冗談抜きで美形が集まっているな。紀子ちゃん、早速男のハイエルフの所に行ってるよ。いいねぇ、ああ言う欲望に忠実なのは。俺か、俺はだな……何さんだっけ?
「パッソと申します。朽木様、今夜はよろしくお願いします」
可愛い系の美人さんだな。ただ、もう少し胸元にボリュームがあると満点なんだが。そうか、あと100年待って欲しいと言うのだな。そっちは良いんだが、100年後には俺は生きちゃいないからな。なぜ、そこで驚いてくれる?
ところで、ここはブーランジェリー王国で良いのか。そうか、パッソさんの故郷と言うのだな。奴隷狩りに追われて、俺たちの世界に来たと言うのだな。ああ、その話は有名だからな。俺でも聞いたことがあるんだよ。
「朽木様は、私たちを見てどう思われますか?」
どうと言われればだな。もの凄く綺麗……可愛いでも良いのかな。できたらお近づきになりたいと思うぐらいだな。その、そこで頬を染められると、ぐっときてしまうのだが。
「もっともっとお近づきになりませんか?」
それは願ってもないのだが。今はまだ歓迎会が始まっていないよな。一応俺たちは、主役と聞いているのだが。その主役がいなくなるのは流石にまずくないか? そうか、歓迎会は簡単には終わらないと言うのだな。だがな、俺は淡泊……そう、あっさりと終わらせる趣味は無いんだ。なんと言うのか、余韻も楽しみたい派なんだよ。だからだ、歓迎会が終わってからでも大丈夫か? そうか、それまで我慢してくれるんだな。
それまでは、別に一緒に居ても良いんだろう? なになに、観光客向けの出し物が用意されている。その一部が、宴会でも披露されると言うのか。それでパッソさん……呼び捨てにしろ。そうか、じゃあパッソも出演するのか?
「はい、歌と踊りをお目にかけるつもりなんです」
そうか、それは楽しみだな。噂では、ハイエルフの踊りは人を超えているそうだからな。それまでは……なんか、うまいものでも食いに行くことにするか。
あらあら、あの二人……三人か。早速ハイエルフに捕まっていますね。まあ、積極的に迫られたら普通の男は拒めないんでしょうね。
それはそれとして、初めまして……紗雪さんで宜しいんですよね。ご主人にはお世話になっています。
「主人がご迷惑をおかけしていませんか?」
ええ、迷惑なんてちっとも掛けられていませんよ。ところで紗雪さん、妊娠6ヶ月と伺っていますけど。こんな宴会に出ていて良いんですか? 安定期に入っているから、無茶をしなければ問題は無いのですね。
つかぬことを伺いますが、紗雪さんはどちらのご出身ですか? いえ、大谷村には、こんな綺麗な人はいないと思いますので。そうですか、東京の出身なんですね。それで納得したと言えば良いのか……どこで旦那さんと知り合われたのですか? いえ、単なる興味本位ですよ。だって紗雪さん、良いところのお嬢さんって感じがしますから。
「夫に騙されたと言ったら信じて貰えますか?」
冗談ですよね。いえ、冗談に聞こえないんですけど。そうですか、冗談なんですね、ちょっとほっとしました。
「どちらかと言えば、買われたと言う方が正確なんです。ちょっと、実家が不幸に見舞われたんです。それで、夫に助けて貰った……ギブアンドテイクの関係なんですけど」
ああっ、ごめんなさい。そう言う重いのはパスさせて貰っていいですか? 無邪気に詮索してごめんなさい。
「いえ、今は幸せなので構いませんよ。でも、最初は色々と酷いことをされて」
ストップストップ、そう言うのは今は無しでお願いします。年齢は私の方が上ですけど、その手のことはさっぱりなんですから。
「でも、今は皆さん優しくしてくださいます。それに、こんな凄い仕事もさせて貰っているんです。お腹が大きくなかったら、私もお手伝いしたいぐらいですね」
紗雪さん綺麗だから、手伝って貰えたら嬉しいんですけどね。でも、出産子育ても大切だと思うんです。それにお二人のお子さんだったら、とっても可愛らしい赤ちゃんだと思いますよ。美人さんになるのかイケメンになるのか、今から将来が楽しみだと思います。
「そうですね。あの人も子供は多い方が良いと言っています。ですから、お手伝いするとしても、もっと先のことになるんでしょうね」
そうですね。是非とも少子高齢化解消に貢献して貰えればと。目指せ野球チーム……流石に多い。せいぜいバスケチームですか。5人なら、貢献として満点だと思います。
それから、顔の怖い人が5人ほどおいでですよね。ええ、大谷興業の若い衆です。別の意味で怖いと言ってはいけないことですか? その、目がキラキラしているんですけど……
「あの5人、組……失礼、会社の中ではテーマパーク好きで有名なんです。ですから、この仕事に関わると聞いたとき、喜びすぎて川に飛び込んだんですよ。ただ泳げないので、しっかり溺れかけたみたいです」
今組って言いましたよね。ええ、組なんですよね、やっぱり。ところで川って……姫川のことですか。そこで溺れかけたって……どんだけ喜んだんです?
「それぐらい嬉しかったと言うことでしょうね。自分たちがこんな仕事をさせて貰っていいのか。色が変わるぐらい、太ももを抓ったとも聞いています」
その辺りは、立木さんが差配してくれたんですけどね。ええ、大谷興業がどんな組織かは一応想像は付いていますよ。
「立木さんですか。夫から聞いたのですが、ふらりと一升瓶を下げて会社を訪問されたそうですね。そこで社長と意気投合して……普通じゃありませんよね、それって」
あの人はですね。人脈がバグっていると言われているんです。ええ、温泉とか酒場で、凄い人とお知り合いになる特技があるんですよ。さっきの二人も、馴染みの飲み屋さんで知り合ったそうなんです。
「大谷興業の事務所……本社に、普通の方は足を踏み入れたりしませんよ。肝が据わっている……と言うのとは違うのでしょうね。お帰りになるとき、組……会社の者が全員頭を下げてお見送りをしたそうです」
ひょっとして、立木さんってその筋の人? 違うよなぁ、大手のIT企業出身なのは確かだし。その筋の人だったら、ハロワで最低時給の仕事に就くなんてあり得ないと思うし。後沢さん、とんでもない人をスカウトしたんじゃ無いのかしら。
俺は……名前か、名乗るような者じゃ無いんだ。勿体ぶるな、か。別に勿体ぶってるわけじゃ無いんだ。魔王様ヴェルサティス様の眷属……こっちの言い方だとオークだったかな、オークその1と覚えてくれれば良いぞ。
なんでオークその1がここにいるのか、か。それはだな、人数を絞って連れて来いと言う命令を貰ったんだ。誰にって……俺たちは魔王様の命令で動いているからな。誰の命令と言われたら、魔王様と言うことになるな。ああ、その先が誰かは知る必要の無いことだろう。
ちなみにだ、この宴には俺たちオークから5匹が参加させて貰っている。数え方は人じゃ無くて匹だからな。まあ、その程度のものと言うことだ。それから、羽の生えた奴……デモンと言うのだが。そっちも5匹ほど連れてきて貰ってきている。
こっちの世界に来てみてどう思うか、か。悪いが、こっちの世界と言うのはどっちのことだ? そうか、ニッポンと言う国の方のことか。だったら簡単だ。ユートピアで良いのか、本当に良いところに連れてきて貰ったと思うぞ。
何しろ毎日風呂に入れるし、もの凄くうまい飯を食わせて貰えるんだ。もうな、これ以上望むのは罰当たり……いや、罰って誰が当てるのかを考えてしまっただけだ。ああ、そそる体をした女神様じゃ、俺たちに罰なんか当てられないからな。
農作業は苦痛じゃ無いかと聞くのか? 俺たちは、体力だけは馬鹿みたいにあるんだよ。その力を持て余しているんだから、農作業をするのは全く苦じゃないぞ。ただなあ、ちょっとだけ暑かったのが気になっただけだ。それにしたところで、お城の環境よりはずっとまともだからな。
後はだな。俺たちも文化的……で良いんだよな。文化的なことに参加させて貰ったことを喜んでいるんだよ。寸劇ってやつだったか、例の『くっ殺』って奴には萌えさせて貰ったよ。だからと言うことも無いんだが、俺たちの一番人気はピアッツァ様なんだよ。
なんだ、その性的にと言うのは。あのなぁ、どうして俺たちが人間の女に欲情しないといけないんだ? 知らないと思うが、俺たちが増えるのに異性……異性と言う考え方も無いんだが。とにかく異性と言うのは必要無いんだよ。そんなものがあるのは、魔王様と四天王、それからデモンの奴らぐらいだな。言っておくが、デモンもおかしな趣味は無いそうだ。ああ、あいつらは同族で増えることが出来るからな。白船と言ったか? お前ら、こっちで作られている物語に毒されすぎだろう。
明るい日差しの下働いて、温泉で汗を流した後に飲む冷たいビール。ああ、思い出すだけでも震えが来ちまうんだ。そして鳥の死骸を切り裂いてから串に刺して焼いた奴。あれもなぁ、本気で絶品だと思うぞ。この味を覚えちまうと、どうして人間なんか食ってたのかと疑問に感じちまうんだよ。だって人間って、固くて臭くてまずいんだよ。ただ問題はだな、あっちの飯はそのまずい人間よりももっとまずかったことなんだよ。
おっといけねぇ、つい話し込んじまった。これから、ビゴ様の所にご挨拶に伺わないといけないんだ。何しろ側室のピアッツァ様に、あんなことやこんなことまでしちまってるからな。そのお詫びと弁解をしておかなくちゃいけないだろう。ああ、俺たちはこう見えても紳士なんだよ。
しかし、なんと言えば良いのか……増えたなぁ~いや、参加人数のことなんだがな。しかも、これでも人数を絞ってなんかいるんだよ。まあ魔王様のところには、50人のオークと50人のデモンとか言うのがいるそうなんだよ。そして四天王と魔王様……ちょっと上が少なすぎる気もするんだが。締めて105人の大所帯なんだよ。だから魔王様の世界からは、女神様を加えると106人が参加したことになるんだ。上里集落の人口としては、いきなり倍増以上と言うことなんだ。
ところでポルテ、ハイエルフは頑張っているのか? そうか、俺に感謝していると言うのか。ただなぁ、あの二人を見つけてきたのは立木さんだからな。立木さんには感謝をしている。ただご子息を連れてきてくれないのがマイナスと言ってくれるのか。うん、これも決まりだから言っておこうかな。
大丈夫かハイエルフ
種を維持するためには、子だくさんじゃ無くてはいけない。産めよ、増えよ、地に満ちよ……どこかで聞いた台詞だな。そうか、こちらの国でハイエルフは数を減らしていたんだな。こうして平穏を手に入れたのだから、次にするのは子孫を増やすことと言うのか。
ところで聞いておきたいのだけど、人との子供でもハイエルフなのか? そうそう、物語に出てくるハーフエルフとかじゃ無いのかと言う意味だ。なんだ、その組み合わせによると言うのは。
「ハイエルフの男性と人の女性の場合、運が良ければハーフエルフ。そうでなければ、ただの人になります。そして人の男性とハイエルフの女性の場合、生まれてくる子供はハイエルフになります。しかも、生まれる子供の殆どは女性なんです。男が生まれるのは……30人に1人ぐらいでしょうか」
つまり、極端に男が少ないと言うことか。そうか、なかなか世の中は不思議に満ちているんだな。
だから、子作りに励む必要がある。確かにそうかもしれないんだが、君たちの寿命って思いっきり長いよな。だとしたら、相手を探す時間も沢山取れると思うんだ。寿命は長いし、子供を作れる期間も長い。ただ受胎できる期間が、人間ほど頻繁に訪れないと言うのか。しかも、いつなら出来ると言うのがわからないのか。
「その辺りは、翼人も同じだと教えていただきました。だから翼人の皆さん、アクアさんの妊娠を喜んでいるんですよ」
いつできるのかわからなければ、いつすれば良いのかわからないと言うことか。もしかして翼人の女性が貪欲なのは、その辺りが理由になっているのか? 違う、もともと翼人は好き者……近くにヴェルファイアはいないよな?
「逆に、ハイエルフは性欲が薄いんです」
もしもしポルテさん。今、なんて言ったのかな? ハイエルフは性欲が『薄い』って言わなかったかな。一体何と比べて性欲が薄いのかな?
「脂ぎった人間の男と比べてですけど」
なぜ、比較対象に特殊な例を持ってくるんだ? そうか、ポルテたちの目に触れる男はその一択だったんだな。あのな、俺を含めて普通の男はがっついていないんだぞ。
「ええっと孝明様。これもお約束だと思うのですけど」
なんだ、そのお約束と言うのは。
「いえ、嘘ばっかりと言うものです。だって孝明様、毎晩私たち相手に励んでいますよね? 間違いなく、脂ぎった人間の男よりも性欲が濃いと思いますよ」
それはだな……それはなんだが……コメントを差し控えさせて貰います。ただ、他の奴らはそんなことはないと思うぞ。
「それぐらい知っていますよ。シエンタなんですけど、私のことを羨んでくれてますから」
シエンタって……なんでシエンタが? それにシエンタの相手って誰なんだ? そうか、白船君なのか。いつの間にと言っても良いよな。だって白船君、アクアさん一筋だったと思うんだ。そうか、アクアさんが連れてきたと言うのだな。おかしいなぁ、俺は一夫多妻を奨励した覚えは無いんだぞ。
なんだ、水は高いところから低いところに流れると言うのは。それはなんだ、楽な方に流れると言う意味で言ってるのか? 違う、摂理に従ってあるがままに生きる方が良いと言う意味。く、詳しいんだな……
「この世界で生きていくんですよ。色々と勉強するのは当然だと思います」
そ、そうなのか、うん、頑張ってくれと言わせて貰うことにするよ。だったらこれから……いやいや、頑張っての意味が違うから。宴会途中で俺が抜けるのは、流石にまずすぎると思うんだ。
色々とフリーダムになっています。いえ、なにがとは言いませんが




