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バグっている話

村の特産は異世界です


・バグっている話


 はい、毎度おなじみ小谷静香です。いや、もうね、立木さんがいないと結構暇だったりするんですよ。それになんと言えば良いのか、集落にもまったりとした空気が広がってくれるんですよね。ちなみにまだ8月なので、集落はしっかり暑かったりします。

 それで集落を留守にしている立木さんなんですけど、温泉旅行……と言うことじゃ無くて、横浜の留守宅を片付けにいっています。築30年近いマンションなのだそうですけど、売るに売れなくて困っているそうです。しかも住んでいないと、住居って傷んでくれるんですよね。だから時々掃除と換気、エアコンとか水回りを重点的にメンテするのだそうです。


 ちなみにですね、私と諸星さんは菅谷総理に呼ばれて東京に行ってきました。何を話したのかと言うとですね、立木さんが予想したとおりパンの国の公開に関することでした。これで日本政府のお墨付きも出ましたので、プロジェクトが加速することになりました。

 それからホテルとの交渉ですけど、村長さんが活躍してくれたお陰で纏まってくれました。ただ本社は東京にあるので、そちらは後沢さんが交渉してくれたようです。後ろがスキー場なので、そちら側の広い敷地に入場施設を作ることになりました。


 ちなみに立木さんの言っていた『おこぼれ』に関する話なんですけど。力業……つまり諸星さんの強制力では無く、抱き込む方向で調整をしたのだそうです。つまり、地場の有力者に建設関係で甘い汁を吸わせてあげると言うことです。

 そのメリットは、様々な調整がうまくいくことですね。まあ、世の中きれい事だけでは回っていかないと言うことです。その綺麗じゃない部分を、他人に押しつけたと考えてくれても良いです。


 それもあって、インテリヤクザ……ごめんなさい、とてもダンディーな人が派遣されてきました。ただねぇ、とても危険な香りがしてくれるんですよね。


「小谷さん、インテリヤクザはないと思いますよ」


 今の苦情は、インテリヤクザ……くどい、大谷興業から派遣された三辻崇史さん。見た目はねぇ、エルフを除けば一番じゃ無いのかな。

 ここにいるときは、とても知的で物腰も柔らかいんだけどね。でもね、結構オラオラ系って言うのを知っているんだ。


「いやぁ、お恥ずかしいところをお見せしてしまいましたね。一応あれも演技だと思ってください。あの方が、色々とうまくいくことが多いんですよ」


 そりゃあ、見た目が良いだけに迫力がありますよね。ええ、オラオラ系の時は、本気でびびってしまいましたので。なんです、私なんてまだまだと言うのは。


「異世界で良いんでしたよね。そこから来られた方たちに比べれば、私なんて可愛いものですよ。しかも魔王様でしたか、絶対に争う気にもなりませんよ」


 そりゃあ、あの人たちって最近まで人間を頭から丸かぶりしていましたからね。普通の人間じゃ、逆立ちしたって太刀打ちなんか出来ませんよ。もうね、比較する方が間違っていると思いますよ。


「人間側だって、自衛隊の方が沢山いるじゃ無いですか。私は素人、あちらはプロですからね。こちらもまた、比べるのが間違っていると思います」


 それで三辻さんに伺いますけど、集落で序列を付けるとどうなりますか?


「序列と言うのは? 諸星さんがトップですよね?」


 ええっと、そっちじゃ無くて『怖い順』と言う意味ですね。業界の方から見て、敵に回しちゃダメってのを基準にしてください。


「それもまた難しいんですけどね。例えばセレスさんですけど、敵に回せないんですよ。何をどう頑張っても、敵にしようと言う気が起こらないんです。これでも色々と女性関係で修羅場を潜っているんですけど……セレスさん相手には絶対に無理と断言できます。怖いとは違うと思いますが、敵に回すことが出来ないと言う意味では一番だと思いますよ」


 セレスさんかぁ……菅谷先生たちも、一番警戒していたりするんだよね。でも、どう言う訳か私にはピンとこないんだよ。


「それから諸星さんですが、敵に回すのは馬鹿がすることですね。さも無ければ、自殺願望があると言っても良いと思います」


 うん、その評価は間違っていないと思うよ。だって、諸星さんって最強だから。注射の針が刺さらないぐらいだから、ナイフで刺しても無駄だと思うし……多分銃で撃ってもダメなんじゃ無いかな。


「それって、本当に人間なんですか? それはそれとして、意外に恐ろしいのが立木さんですね。普通にやり合えば、間違いなく瞬殺できるはずなんですよ。暴力と言う意味では、明らかに素人さんなんですからね。そのはずなのに、なんか怖いんですよ、あの人は」


 結構意外な評価かな。マスコミ向けでは怖い顔をする立木さんだけど、実態は冴えない60過ぎのおじさん……はっ、背中に冷たいものがっ!


「小谷さんの評価なんですけど、冷静に見ればその通りなんですよ。ただオヤジには、あの人だけには手を出すなと強く言われているんです。だとしたら、私もまだまだひよっこと言うことになりますね」


 そうですか、ところで話を変えますけど……


 翼人とかハイエルフをどう思います?


「そうですね、身の程を知っていると言うのがお答えになりますね。あの人たちに手を出すには、まだまだ修行が足りないと言うのがお答えになります」


 修行が必要なんですか? それは、どんな修行なんでしょうねぇ。


「人としての深みと言う奴ですね。何しろ私は、まだ24の若造なんですよ」


 つまり、まだ翼人やハイエルフに手を出していないのだと。でも、翼人だったらフェロモン攻撃ってのがありますよね。彼女たち、三辻さんを誘惑してこないんだ。それもちょっと意外かな?


「それから私、妻がいるんです。紗雪と言う同い年の女性なんですよ」


 えっ、奥さんがいるんだ。それもびっくりだけど、甘いと言ってあげても良いかな。特に翼人なんだけど、奥さんがいる相手も全く気にしないからね。ハイエルフだって……まあ、似たようなものね。


「その、私が言っても説得力がないと思うのですが……上里集落は風紀が乱れていませんか?」


 その辺りは、異世界とは常識が違うと思ってください。何しろ諸星さんなんて、奥さんが10人に増えたんだから。それから説得力の方だけど……うん、全くないと言って良いと思う。


「男として尊敬すると言っても良いのでしょうね。どう考えても、私には無理な相談です」


 ところで一つ伺いたいのですけど……三辻さんから見て、私なんかどう思います?


「小谷さんですか。そうですね、絶対に手を出してはいけない人と言えば良いのでしょうね。住んでいる世界が違う、歩んでいく道が違うと言うのがお答えになります」


 私も、ここ大谷村の出身なんですけどね。住んでいる世界って、とても漠然とした答えだと思いますよ。


「では、少し言い方を変えましょうか。小谷さんは、将来日本を動かすお方なんです。暗い地面を這いつくばっている虫けらの私とは違うと言うことですよ」


 地面を這いつくばる虫と言ってくれますか。それに私が、将来日本を動かす……ねぇ。宴会で飲んだくれて冷凍マグロになってる私がですか。う~ん、どう考えてもそうとは思えないんだけど。


 この話を掘り下げても意味が無いから、話題を変えますけど……南大谷駅と白鹿駅のゲートはどうなってます?


「ゲートですか。あれもまた、私の想像を超えるものだと思っていますよ。ええ、南大谷駅は設置のための仮設建屋を突貫で作りました。白鹿駅の方は、空きビルを今改装中です。ホワイトプラザホテル側のゲートも、駅との連絡通路用の仮設建屋は突貫で用意しました。勿論、双方とも本ゲート用の建物の設計に入っています」


 それで、ゲートはどうなっています?


「すでに設置が終わっていますね。私も試してみたのですけど、本当に想像を超えたものだと思っていますよ。今はテーマパーク好きの若い衆が、何が受けそうか無い知恵を絞っていますよ」


 テーマパーク好きの若い衆ねぇ……うん、想像するのはやめておいた方が良いかな。


「それも、可哀想な気がしますけどね……まあ、見た目のことは忘れるとして」


 三辻さんも、結構酷いことを言っていますよ。それはそれとして、フローリアンさんは大人しく言うことを聞いてくれますか?


「フローリアンさん……女神様のことですね。もの凄く協力的と言えば良いのか、こんなに奇跡を連発して良いのかと心配になってしまうぐらいです」


 三辻さん的には、女神様はどうですか?


「畏れ多いと言うのがお答えになりますね。私みたいな世界に生きている者には、暗い穴の底から見上げるお月様のような方だと思いますよ」


 それって、どこまで本気で受け止めれば良いんでしょうね。まあ、そう言うものだと受け取っておくことにしますよ。なんです、その言い方を考えて見ますと言うのは。


「もう少し説得力のある言い方を考えて見たと言うことです。そのですね、『商品には手を出さない』と言うのはどうでしょう?」


 どうでしょうって……確かに、もの凄く説得力があると思いますよ。そのヤクザ映画と言えば良いのか、それを思い出してしまいました。はい、テレビで見ただけですよ。映画館って……この辺りに無いのは知っていますよね?

 そうですか、学校の上映会ぐらいしか見たことがないと言うのですね。怪獣映画大好き……意外と言っても良いですか? それからですね、竜人さんたちにお願いをすれば、リアル怪獣を見ることが出来ますからね。


「ワイバーンでしたか、私にはあれで十分だと思いましたよ」


 あっ、ブーランジェリー王国にも行っていたんだ。そうですか、なかなか興味深い世界だったと言うのですね。だから、混ぜて貰って喜んでいると言うのですか。生まれてくる子供に自慢できる仕事……もしもし、三辻さんってお子さんがいたんですか?


「今、妊娠6ヶ月になった所なんですよ」


 ああ、インテリヤクザさんの目尻が下がってる。だからインテリヤクザと言うなですか。じゃあ、言い方を変えてマイルドヤンキーと言うのはどうです?

 そうですか、ヤンキーは使いっ走りにしているんですか。やっぱり三辻さんって、怖い人だと思いますよ。




 いい加減始末を考えないといけない……いえ、横浜の家のことなんですけどね。駅に近いので、今ならそこそこの金額で売れることはわかっているんです。殆ど帰ってないことを考えたら、早い内に処分した方が得と言うのもわかっているんですけどね。

 ただねぇ、色々と思い出が詰まっているのも確かなんですよ。子供が住んでくれるのが一番なんですけど、あっさりと否定をしてくれてるんですよね。だから、私たち夫婦が揃っているうちは、売らないでこうして管理をしていると言うことです。ただなぁ、上里集落からだともの凄く遠いんですよね。いえ、女神様のお陰で移動に時間が掛かっていないんですけど。


 しかし、まあ、なんと言えば良いのか。帰ってくる度に、郵便受けが一杯になっているんですよ。勿論、郵便の転送届けは出してありますよ。だから入っているのは、殆どポスティングなんですけどねぇ……

 「イイキニナルナ」って、今時こんな怪文書を入れてくれますかね。こんなものを入れても、ちっとも精神的な負担にならないのにねぇ。後から諸星さんに渡しておきますかね。ええ、彼なら差出人を見つけてくれますから。

 シアですか、彼女でも出来ると思いますよ。ただ彼女に頼むと、その後が大変そうな気がするんですよ。だから穏便に済ませてくれる、諸星さんにお願いをすると言うことです。


「じゃあ、私は先に帰りますね」


 そうだな、残っているのはゴミ出しだけだからな。ああ、集積場ぐらいなら私が出しておくよ。私は久しぶりにろばたのお店に挨拶をしてくるよ。また魚かって言うのか? 日間賀島はね、生のお魚とタコを楽しんだんだ。そうそう、今夜は美味しい干物と日本酒を楽しむことにするんだよ。それにあっちは、落ち着かない宴会だったんだよ。


「マスターさんに宜しく言っておいてくださいね」


 ああ、今度二人で顔を出すことにしよう。多分マスターも喜んでくれるよ。


 1階にあるゴミ集積場に紙ゴミを出せば、定期清掃も終わりと言うことになる。ここから先は、電車を乗り継いで馴染みの飲み屋に直行だ。ただ残念なのは、一人だと食べられるものが限られてくると言うことだな。

 かすみちゃんが暇だったら、生ウニでも食べさせてあげたのにな。それはまた、別の機会を用意すれば良いか。


 目的の駅を降りると、後はちょっと歩けば目指す炉端焼きのお店に到着する。ここまでは、家を出てから1時間と30分……最初の会社に勤めていたときは、結構な頻度で来ていたんだけどなぁ。


「立木さん、いらっしゃい。お嬢さんがお待ちですよ」


 ああ、マスター久しぶりだね。ところでお嬢さんって……私の娘は今海外なんですけどね。なるほど、かすみちゃんでしたか。でもかすみちゃん、京都帰りの予定はまだでしたよね?


「本山先生に、息抜きをしてきた方が良いと言われましたので……」


 本山がそんなことを言いましたか。それはそれとして、まだ注文をしていないんですね。最初はビールで良いですか? そうですか、私にお任せと言ってくれるんですね。じゃあマスター、イェビスを2つとお刺身を適当に切ってください。後は……生ウニのハーフにお魚を見せてくれますかね。


「お父さんは、ここによく来るんですか?」


 ケイコが何か言っていませんでしたか。帰ったら、行って来た方が良いと言われたんですね。なるほど、行き詰まっていると言うことですか。

 難しい話は後にして、取りあえずビールで乾杯することにしましょうか。乾杯の理由ですか、今日一日が無事終わったことでも構わないと思いますよ。ええ、こんなものは気分ですからね。


 それからマスター、妻が宜しくと言っていました。そうですね、今度一緒に来ることにしますよ。それから一つ、彼女が娘じゃ無いことは知っていましたよね。息子の嫁と言わないように、それも知っていて言っていますよね。

 娘を否定するのか、と言ってくれますか。そりゃあ、娘には違いありませんね。仕方ないなぁ、今日は甘やかしてあげることにしましょう。何ですマスター、嬉しそうに見える、ですか。まあね、娘に甘えられるのは、親には嬉しいものなんですよ。




 色々と壁に突き当たっています。そこで私生活と言わないように、否定はしませんし、深刻なことも確かですけど……そうじゃなくてですね、研究のことを言っているんです。

 そんなに簡単に進む研究じゃないだろう……ですか。確かにその通りなんですけどね、ただ問題は突き当たった壁が想像したものじゃ無かったことです。だから本山先生には、『頭を冷やしてきた方が良い』と言われてしまったんです。おまけのようにですけど、お父さんに相談してみたらどうかとも言われましたね。でも、どうしてお父さんなんだろう。お父さんって、細胞学は全くわからないと言っていたんですよ。


 でもお父さんを頼ると言うのは、私には悪い話じゃないと思います。だからシャルロットさんに頼んで集落に帰ってきたんです。はい、お父さんが横浜に行っているのは知っていましたよ。でも、夜には帰ってくると思っていたんです。違いますね、明るいうちに帰ってくると思っていたんです。

 でも帰ってみたら、お母さんしか帰ってきていませんでした。多分それが顔に出たんでしょうね……違う、難しい顔をしていたから……そうですか、お母さんにはわかってしまうんですね。だからお母さんに、ここに行くと良いと教えて貰いました。『ろばたのお店』ですか。お父さん、本当に一人で飲みに行っているんですよね。


「あの人は、本当に一人で飲みに行くんですよ。ただ、時々おかしな人とお知り合いになるだけで」

「オカシナヒトニハワタシヲフクンデイマスカ」


 ああ、オルティアさんが参戦してきた。そう言えば、オルティアさんとも居酒屋さんで知り合ったんだよね。ところでオルティアさん、あれは本当に偶然だったんですか? そうですか、カミのお導きと言ってくれるんですね。

 ええ、深く突っ込むことは止めておきます。なんか、怖そうだから。


 結局シャルロットさんに、お店の前まで送って貰いました。ただシャルロットさん、なぜか逃げるように帰って行ったんですよね。普段なら一緒に飲んでいくのに、今日に限ってどうしたんだろう?

 はい、電話をした御衣黄と申します。その、外から見たらここで良いのかと思ってしまいました。だって、看板もないし、灯りも点いていませんでしたからね。『知る人ぞ知る』お店と言うことで良いんですか?


 そうですね、お父さん……失礼しました、立木さんの隣をお願いします。娘さんじゃ無いですよねって、ええ、口癖になってしまったんです。注文は……お父さんが来てからで良いですか? それまではお水をお願いします。


 コップのお水が空になったぐらいで、お父さんがやってきました。マスターさん、結構茶目っ気のある人なんですね、『お嬢さんがお待ちです』って。


 ここに来たのは、ちょっと本山先生に息抜きをしてこいと言われたので……息抜きなら京都奈良に行ったばかり、ですか。あの旅は、ちょっと品行方正すぎたかなって。ええ、楽しかったのは確かなんですけどね。

 難しいことはひとまず忘れて、取りあえず乾杯と言うことで。


 突き出しはホタルイカと枝豆、煮こごりなんですね。お酒に合う……飲み屋さんだから当然ですね。それからお刺身……とっても美味しそうと言うのも平凡ですか? そうですか、マスターのご実家がお寿司屋さんをされていたんですね。なんです、マグロを切る感触が堪らないって言うのは。いきなり危なく感じるのは私の気のせいですか? いえ、マグロはとっても美味しいと思います。赤身が美味しいって、普段感じたことがないと思います。

 それからこれは何なの? ウニ、いえ、ウニと言うのはわかっていますよ。でも、板ウニって、こんなに沢山載っていませんよね? ここのは特別、これでも小さい方を頼んだの。それで、このウニを掬って海苔にのせて食べるのね。こんな贅沢な食べ方をして良いのかしら?


 ウニ、うまぁ~


 いえ、他のお刺身とかも美味しかったですよ。でもこのウニ、甘くてとっても美味しいと思いました。初めて食べる美味しいウニだし、こんな贅沢な食べ方をしたことは無かったんです。でも、これだったらビールより日本酒の方が良くない? マスターさん、私はのんべじゃありませんよ。酔鯨……美味しいですね。

 ところでそのざるに載ったお魚は何なのですか? そんなに沢山食べられませんよ。違う、ここから選べば良いんですね。すみません、ちょっと集落に染まりすぎたと言えば良いのか。そうですよね、普通は選びますよね。

 と言うことなので、お父さんお願い。


 タラバガニの炭火焼き……集落でも、山岡さんが作ってくれましたね。でも、あの時よりも美味しく感じてしまいます。一緒に食べてるのがお父さんだからかなぁ……光栄だけど、本当にここのは美味しいんですか。炭火焼きの匠なんですね、少しぽっちゃりとした面白そうなおじさんと言ってはいけないよね。

 時鮭も美味しいと思いました。ええ、私の知ってる塩鮭とは別世界の食べ物でした。ふっくらとした焼き上がりは、炭焼きならではと言うことなんですね。はい、確かにじっくりと時間を掛けて焼き上げてくれてましたね。


 今日は飲み方が大人しい……宴会じゃ無いから当然だと思いませんか? それに、こうしてゆっくりとお酒と肴を楽しむのもいいと思うんです。はい、正直に白状します。こういった飲み方って、初めての経験なの。京都は違うのかって、一緒に飲むのはシャルロットさんなんですよ。絶対に、こんな落ち着いた雰囲気にはなりません。


 うん、とっても美味しいなぁ、美味しいと思うわよ。お酒もお魚も美味しいと思ってる。でもお父さん、何も聞かないのね。そう、私が言い出すのを待っていたんだ。ひょっとして本山先生から連絡を貰ってた? そう、それっぽいことは聞いていたんだ。

 実はね、ちょっと壁に突き当たっちゃったんだ。そうか、普通のこととは言わないんだね。やってることが普通じゃ無いからって……どんな研究でも壁に突き当たると思うんだ。


「細胞の分析でしたか。私たちとの差が見つからないあたりでしょうか」


 それも本山先生に聞かれたんですか? 違う、色々と推理した結果と言うのね。常々思ってるんだけど、お父さんちょっとおかしくない? 娘に言われると傷つく……それって今更って言ってもいいと思うんだ。

 それでね、みんなから採取した細胞……魔王様とかからも貰ったんだけどね。遺伝子的には、私たちとの違いが見つからなかったんだ。アクアさんからも貰ったけど、普通の女性と違いが無かったの。アクアさん、今妊娠してるよね。分析が確かなら、普通の赤ちゃん……つまり、翼の無い子供が生まれることになるのよ。


「翼人の子供は、父親に関係なく翼人になると言うことですね」


 そう言うこと。それが本当だとしたら、一体何が私たちと翼人の違いを決めているのかがわからないの。私たちの常識から言ったら、遺伝子……もっと言うとゲノム配置なんだけどね。ゲノムの解析は終わってないけど、ここまでの解析では私たちと違ったゲノムはなかったのよ。

 ごめん、お父さんに相談するようなことじゃないよね。いくらお父さんでも、細胞学は畑違いすぎるもの。


「はっきり言って、畑違いすぎますね。しかも私が余計なことを言うと、おかしな方向に向かってしまう恐れもあるぐらいです」


 うん、私もそう思う。そう思うんだけど、お父さんって発想が異常だから……異常といわれると傷つく。でも、大芝先生たちも『異常』って言っていたのよ。だから、開き直って認めるべきだと思うんだよな。


「開き直ってと言われても……人間のゲノムは99.9%が共通するんでしたか。だとしたら、残りの0.1%に鍵があると普通は考えるのでしょうね。そしてその程度のことなら、かすみちゃんたちは最初に疑っているはずだと思います」


 ええ、最初に疑いましたね。でも同じゲノム情報は、バンクの中から見つけることが出来ました。つまり、個性と言っても人の範囲に含まれていると言うことなんです。


「ですから、普通じゃ無いことを考えて見ることにしました。例えば諸星さんなんですけど、私たちと同じ体のつくりをしているはずですよね。それなのに、極めて異常な力を持たれています。何らかの後天的要素が、人としての成り立ちに干渉している可能性もあるわけです」


 それも考えて見たのよ。見たんだけど、採取した細胞の説明が付かなかったの。もしも後天的要素が形態に影響しているのなら、その記録が細胞に残っていても良いはずなのよ。でも、どこをどう探してもその記録が見つからなかったわ。


「だから手詰まりになってしまったと言うのですね。では一つ、とても荒唐無稽な仮説を提示することにしますかね。その細胞なんですけど、体から切り離された時点で特質を失ってしまうと言うものです」


 体から切り離された時点で特質を失ってしまう……可能性は否定しないよ。否定しないけど、検証のしようがないと思うんだ。だって、分析装置に人ごと突っ込むことは出来ないんだもの。それに、そんな働きをする物質なんて聞いたことがないわ。勿論、聞いたことがないから存在しないなんて言わないわよ。でもね、仮説として実証できないと思うの。


「なるほど、切り離した時点で特質を失ってしまえばそうなりますね」


 そう、だから仮説は仮説でしか無いの。そしてその仮説が正しければ、研究は迷宮入りすることになってしまうわ。繰り返すけど、今は検証のしようが無いんだもの。


「かすみちゃん、研究を始めて6ヶ月……でしたか。随分と諦めが良いんですね」


 でも、違わないと言うことがわかった以上、遺伝子情報からのアプローチに意味がないことになるでしょ。だとしたら、アプローチ手段を変えなくちゃいけないことになるわ。


「確かに、アプローチ手段を変える必要はありますね。でも、それは少しだけ気が早いと思いますよ。ところで隣のお二方、先ほどから聞き耳を立てておられるようですね? 気取ったお店ではありませんが、マナーとしていかがなものかと思いますよ」


 えっ、そんなことがっ。ああ、お隣の男性二人が苦笑しているわ。年齢は、私よりは若いかな。見た目で言えば、結構格好良いって言っても良いと思う。うん、私はお父さん一筋なんだけどね。

 あっ、お父さんがむせた。


「これは失礼な真似をしてしまいました。私、株式会社サンダーボルトの朽木と申します」


 なんで、飲み屋さんで名刺を出してくるのかな。それからお父さん、失礼な人と名刺交換なんかしなくてもいいんだからね。


「それで、こいつが俺の友人かつプログラムの天才武見和志です」

「武見と言います。そ、そのですね、別に盗み聞きをしようとしたわけでは無くて、ですね」


 武見と名乗った人の方が誠実そうに見えるかな。でも、かなり日焼けしてるから、サーファーとかかもしれないし。だったら、結構軽薄なのかな。それから最初の朽木と名乗った人、どこか信用できない雰囲気があるし。だからお父さん、名刺を渡さなくても良いんだからね。


「お二方とも、私たちのことをご存じと受け取っても宜しいですか?」

「立木さんだったかな、あなたはとても有名人でしょ。しかもそんな美人を連れていたら、嫌でも思い出してしまいますよ」

「涼真、ちょっと失礼じゃ無いか」


 やっぱり、武見さんの方が誠実みたい。でもお父さん、どうして二人の相手をしているの? 注意を終わらせたんだから、こっから先はお話ししなくても良いよね。


「朽木さんと仰りましたか。それで、なぜこのような目立たないお店においでになったのですか?」

「口コミが良かったから……どうやら白を切っても無駄そうですね」

「ええ、普通の方がたどり着くようなお店じゃありませんから」


 なんですマスターさん、たまに口コミを見て迷い込んでくる人がいるんですか。でもマスターさんが『迷い込んでくる』なんて言って良いんですか? 事実だから認めるしか無い。外から見ても、お店には見えないだろう……ええ、入るときに勇気が必要なのは確かでした。そうですか、狙ってそうしているんですね。


「売り込みと言ったら信用して貰えますか?」

「ええ、信用しても良いと思いますよ。ただ、話を聞くのかどうかは別だと思いませんか?」

「では、どうやってあなたを追跡することが出来たのか……ですが。種明かしをした方が良いですか……もしもし、どうかしたのか?」


 あれっ、お父さんが顔色を変えてくれた。なんで……あっ、お店の入り口に金髪美人さんがいる。でも、あの人ってクロアさんじゃ無いよね。似てるけど、微妙に違っていると思うんだ。

 ああ、お父さんが天を仰いでる。


「マスター、座敷が空いていましたよね?」

「そうですね、入り口近くの方は予約が入っていませんよ。何人分用意しますか?」


 常連さんだからかな、なんか阿吽の呼吸を感じるわね。でも何人分って、私たちは全員で4人だよね。


「今入ってきた女性を含めて、5人と言うことになります」


 なんかお父さん、急に元気がなくなってくれたわ。うん、今入ってきた人……クロアさんに似た人が理由なんだと思う。もしかして、また神様関係なのかしら。つまり、心当たりがある? それに入ってきた人、なんか嬉しそう。それもちょっと癪に障るかも。

 しかも入ってきた人、本当に自然に混じってくれるし……あ、お父さんの隣を確保されちゃった。じゃあ私は反対側を。


「何さんと呼べば良いのかな?」

「フィーナと呼んでください。本名はフィオレンティーナなんですけどね。母は、お父さんの黒歴史から持ってきたと言っていました」


 上を向いて、それから下を向いて、大きく息を吐き出してくれて。つまり、心当たりがあるってこと?


「後からじっくりと話しましょうか……せっかくの酔いが醒めた気もしますけど。それから朽木さん、没入型ゲームと上里集落は関係性が薄い気がしますよ。売り込みと仰りましたが、何を売り込もうとお考えなのですか?」

「関係性に関して、俺は別の考え方を持っているんだが……それはそれとして、俺が売り込みたいのはこいつ、つまり天才武見和志なんだ。こう見えても、こいつは医者なんかしている……だよな」

「海外協力で医者をしてきたぞ。だから、医者をしているのは間違っていない。まあ、研修義務を果たしただけなんだがな」

「なるほど、医者にしてプログラムの天才と言うことですか」


 お父さん、どうして私の顔を見てくれます?


「まったく、一体誰が黒幕なんでしょうね。それから朽木さん、偶然をさも意図したことのように話すのは良くありませんよ」


 あれっ、お父さん最初違うことを言っていなかった? そうか、最初のは引っかけなんですね。へぇへぇへぇ。


「意図した……そうか、それもばれてしまったのか。ええ、今日は帰国したこいつにうまいものを食わせるのを目的だったんです。この店は、知り合いが魚と酒がうまいと勧めてくれたからなんだが……」

「たまたま隣に座って、私たちの話が聞こえてきたと言うことですか。それでよく、売り込みなんか考えましたね」

「それはだな、和志が興味を示したからと言うのが答えになる」

「その興味が、かすみちゃんで無いことを願って……別に願わなくても良いのかな」


 お父さん、そこは願って欲しいな。


「素敵な人と言うのは否定しないが……話の中身に興味を持った。上里集落と言う以上、異世界人の細胞分析をしていると言うことだろう。その結果が、違いが見つけられずに壁に突き当たった。その事実に対してあなたが仮説……と言って良いのか疑問を感じるのだが、検証できない仮説を持ち出したのには興味を持った」

「なるほど、やはり誰かの意図を感じてしまうのですが……そうですか、あなたは関与していないのですね」


 フィーナさんを見たと言うことは、やっぱり神様系の人なんですね。神様系の人って、みんな見た目が似ているのね。ええっと、私何か変なことを言った?


「それで売り込みですか……具体的に、どのような形で関与されることを考えておいでですか?」

「俺は……興味を持っただけなんだがな。まあ、今は涼真(こいつ)の世話になっている」

「俺はだ、IMO研究所に雇って貰うことを考えてる。そのためなら、サンダーボルトも畳んで良いと思っているんだなぁ、これが」

「なるほど、それぐらい本気と言いたいわけですか」


 そこで、どうして私の顔を見てくれるの? パートナーを見つけたって、人生のってことじゃ無いよね。


「研究のパートナーと言うのも、人生のパートナーだと思うのですけどね」


 あっ、そう言われればそうか。でも、信用して良いのかしら?


「こんなこと、普通の研究者を巻き込めませんよ。だから本山も、それとなく私に話を振ってきたんでしょう」


 お父さん、その決めつけって……なんかいや。つまり私って、普通の研究者じゃ無いってことになるのよね。『優れた研究者』って、今更誤魔化しても無駄だと思うわよ。


「つまり、俺も普通じゃ無いと評価してくれたのか?」

「売り文句を真に受けたわけじゃありませんが、天才プログラマーと言う所に興味を持ったと言うことです。神の……」


 あっ、神のところで言葉に詰まった。うん、その気持ちはとってもよくわかる。クロアさんもそうだけど、うちにはフローリアンさんって女神様までいるんだものね。


「神のトリックを読み解くには、多彩な才能が必要だと思っただけですよ」

「つまり俺を評価してくれたと言うことか。だが、先ほどの仮説……妄想と言った方が近い気がするのだが。いや、検証の方法が存在しないのだからな。だから仮説では無く、妄想と言わせて貰ったのだが。仮説を立てるのはいい、だが検証をどうするつもりで口にしたんだ?」

「かすみちゃん、あなたも検証ができないと思っていますか?」


 うん、その点については私も武見さんと同じ。ええっと、お父さんは違う考えを持っているの?


「かすみちゃんが、まだまだ手札を理解していないのがわかりましたよ。うちには、諸星さんと言う非常識を絵に描いて暖炉にくべた……まあいいか、そんな人がいるんですよ。後はですね、グレゴリー君と言ったら何か思いつくことがありませんか?」


 諸星さんは非常識……何を今更だと思うわ。それからグレゴリーさんって……確か、彼の能力は時間停止能力……時間停止能力ってっ! あっ、それだったら問題が解決できるかもしれない。


「彼の能力は、1分程度の時間停止と言っていましたね。ただ、対象の大きさと時間には因果関係があるとも言っていたと思います。つまり、対象が小さければ停止時間が長くなることも期待できるわけです」


 採取する細胞の時間停止を掛けてから、体から切り離せば良いと言うことね。その状態で観察をしたら、確かに違いを見つけることが出来るのかもしれない。


「時間停止が解けたところで、変化の発生も観察できると言うことか」


 そうね、そのメカニズムも重要だと思う。うん、普通の研究所じゃ、絶対に出来ないことだと思うわ。でもお父さん、どうしてそんなことに考えが及んでくれるの? ちょっと……かなり変だと思うんだけど。


「変と言うのは止めて欲しいんですが……手持ちの札を、広く俯瞰しているからと言うのが答えになりますね。ただ、そこから掘り下げていく能力を持っていないんです。たまたま拗らせた厨二病が役に立ったとでも思ってください」

「立木さん、ゲームの開発にも加わりませんか? その厨二病ってのが重要なんだけどな」


 こらこら、お父さんを厨二病と決めつけないように。否定できるのか……ええっと、経験を積んだ視野の広い人……経験で片付けるのはちょっと無理があるのかな。

 ところでお父さん、どうしてスマホを見てるの?


「後沢氏から連絡がありました。サンダーボルトぐらい買収しても構わないとのことです。堀内氏も、買収には賛成しているようですよ」

「俺としては、大歓迎と言うところだな。ところで、交渉先は後沢氏でいいのか?」

「それ以外に交渉先はありませんよ」

「なら結構っ! 早速交渉をさせて貰う」


 喜んでいるのは、大金が懐に入ってくるからかな。当たり前のことを言うな……確かに、当たり前のことだったわね。


「まあ当たり前のことには違いないんだが……俺には、別の意図もあると言うことだ。俺はな、こいつの才能に惚れ込んでいるんだよ。だから金を稼いで、こいつに好きをさせることを考えていたんだ。これで和志も、新しいステージに進むことが出来るんだよ。俺が一番嬉しいのは、こいつがまた新しいことを見せてくれることなんだよ」


 なんか尤もそうに聞こえるけど。う~ん、武見さんお尻を気をつけた方が良いと思うんだ。なんか朽木さん……、ちょっと危なく思えるから。そうか、武見さんも警戒しているんだ。


「ちょっと待ってくれ、どうして俺がそっちの趣味にされるんだ? 俺はだな、普通に綺麗な女性が大好きなんだぞ。どうだろう御衣黄さん、これから二人で証明すると言うのは?」


 うん、お断りします。間に合っては……いないけど。


 ところでフィーナさん、さっきから一人でお酒を飲んでいますね。美味しいから仕方が無い。そりゃあ、確かに美味しいのは認めますよ。うん、生ウニは絶品だったと思うし。でも、あなたは何をしに現れたの? 内緒……クロアさんと言い、内緒のことが多すぎると思うんだけど。

 それから、いつの間にお肉を注文したんです? 和牛の炭火焼きを最後に藁焼きで仕上げたもの。叩きにしてあるから、おろしポン酢で頂くのですか。とっても美味しそうと言うのは良いんだけど、お話はまだ終わってないよね。あっ、お酒の追加をお願いします。


「そう言いたい気持ちはわかりますけどね。ただここから先は、日と場所を改めてと言うことです」

「それ賛成だな。これ以上は酒を飲みながら話す話じゃ無い。それに、そろそろ落ち着いて飲みたい気分なんだよ。さっきまでは、どうやってとっかかりを作るのかが気になって楽しめなかったんだ」

「そうか、俺は結構楽しめたぞ。それに、久しぶりにうまいものを食えたしな」


 海外……しかも医療協力から帰ってきたんだよね。だったら、久しぶりにと言うのは理解出来るわ。だって医療協力で行く所って、控えめに言っても凄いところが多いから。勿論、私は手を上げなかったわよ。


「凄いところかぁ……凄いところ何だろうな。まあ、腹なんて何度下したか記憶が無いぐらいだ」


 お腹を下した……その程度で済んだ方が凄いと思うけど。テロとかに遭わなかったの?


「テロねぇ、テロかぁ、テロだよな。日常茶飯事と言うのは言っても良いことか? なんかもう、人の命に対する感覚が変わってしまったと言えば良いのか……」


 うんごめん、あまり触れない方が良さそうね。なにお父さん、集落にはうってつけの人材と言うのは。確かに竜人とか魔王様とかいるけど……そうね、うってつけなのかもしれないわね。うってつけと言う気がしてきたわ。うん、うってつけうってつけ。


「ちょっと待ってくれ……なんか、穏やかじゃ無い話が聞こえてきたんだが。俺は、日本に帰ってきてようやく縛られていた緊張が解けてくれたんだぞ」


 大丈夫。上里集落はとってものんびりとしたところだから。ただ、ちょっと構成している人たちが特殊なだけよ。真っ昼間から露天風呂で生ビールを飲んでる魔王様たちとか、カレーの行列に並んでる王妃様とか……ダンスに燃えてるハイエルフとか……変身ポーズを研究している竜人もいたわね。顔色は悪いけど、規則正しい健康的な生活をしているオークもいたわ。

 それにお父さんがいるから、時々温泉グルメにも連れて行って貰えるわよ。エルフの大魔法使いとかロサンゼルスで暴れた竜人もおまけに付いてくるけど。時々女神様……フィーナさんどうかしたの? どうして急にむせてくれたのかな?


「なんか、常識が壊れる場所と言うのはわかった気がするな……そうか、常識を捨てなくちゃいけない場所なんだな。良かったな涼真、お前向きの場所だぞ」

「息をするように非常識な真似をするのはお前の方だろう。俺はだな、これでも常識的に努力をしているんだよ」


 武見さんに対する評価は別として、うん、嘘って断言してあげる。ほら、武見さんもないないって否定してるでしょ。


「やはりあなたとは、場所を変えてじっくりと話し合いをする必要がありそうだ」


 大丈夫よ。少しも誤解なんかしてないから。場所を変えて……多分、ハイエルフのみんなが放っておいてくれないと思うよ。どうしてか……理由がわかる気もするけど……彼女たち、最近若い男を見る目が怖いんだよね。




地場の企業を利用するのは、まあ定番と言えば定番ですね。

ちなみにこれで、主要メンバーが揃いました。

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