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上里集落の日常

村の特産は異世界です


・上里集落の日常


 社会見学から帰ってきたら、集落は真夏になっていた。いや、暦を考えれば不思議なことじゃないんだがな。と言うより、出発前から真夏だったのだが。

 ちなみに高地にある上里集落でも、真夏にもなればしっかりと暑くなる。ただ救われるのは、下界の蒸し暑さからは解放されることだろうか。とは言え、暑いものは暑いとしか言いようがないのだけど。

 当然のように、上里集落では本宅には文明の利器エアコンが完備されている。そして第二の方にも、エアコンが付いていたりする。その辺り、建物の年式が理由となっていた。どう言うことかと言うとだ、文化財的な第一の方にはエアコンは付いていなかったと言うことだ。昔は、そこまで暑くなかったと言うのが小谷さんの説明だった。

 従って第一の住民……ハイエルフとか竜人とかが、日本の暑さにダレることになる。と普通は考えるが、普通じゃ無いのが揃っているのが上里集落と言うことになる。


 うん、魔法って便利だよね


 暑いのなら涼しくすれば良い。だったら、魔法を使えば難しくない。うん、その魔法万能主義って嫌いじゃ無いよ。確かにね、涼しくする魔法って幾つかあるのは知ってるから。それに無理をして我慢する必要が無いのも、十分にわかっているんだ。

 でもさぁ、どうして俺に頼ってくれないのかな。頼ってくれれば、『涼しくなれ』と命じてあげたんだよ。勿論、部屋の方にだけどね。そうすればさ、無駄に魔力を使わなくてもすむと思うんだ。


 それから魔王様、魔王様が冷房の効いた部屋でダレているのはどうかと思うんです。スイカ万歳って……種を飛ばしながら言わないで欲しいんですけど。あなたの部下……オークでしたか、そのオークを使って立木さんが何かしていたのを知っていますか?


「うむ、露天風呂とやらの整備をしていたな。露天風呂、あれはとても良いものだ」


 つまり、もう入ったと言うことですか。入っただけじゃ無い、生ビールも堪能している。屋外、露天風呂、生ビール最高って……そりゃあ、最高でしょうね。ところで伺いますが、どうして俺を誘ってくれなかったんですか? そうですか、話が行っていると思っていたのですか。俺が顔を出さないのを不思議だとは思わなかったと言うことですね。


「気が利かなかったことは謝罪しよう。そしてお詫びの印に、かき氷なるものをご馳走するぞ」


 そんなもので釣られる……なんです、その巨大なかき氷は? 高さが1m以上あるよな?


「うむ、テレビでやっておったのを参考にしたのだ。尤も、谷山殿が作ってくれたのだがな。これをだな、外で食べるのがまた堪らなくうまいのだ」


 そりゃあ、かき氷は体を冷やすためのものですからね。冷房がガンガン効いたところで食べるものじゃないと思いますよ。それから言っておきますが、流石にこれは大きすぎると思います……一口で半分無くなりましたね。ところで、俺の分は? ご馳走すると言ってくれましたよね?


「なに、慌てるものでは無いぞ。谷山殿が、諸星殿のために特別なかき氷を作ってくれるのだそうだ」


 俺のために特別……ね。何か、良くない予感がするのは気のせいなのかな? 疑われるのは心外だ、ですか。なにかね、被害妄想を抱くようになってしまったんです。

 ところで、その濃い緑色をした物体は何なのですか?


「これは、特製の宇治金時です。上質の抹茶を濃茶にして、それをベースにシロップを作っています。小豆の方は、丹波の大納言小豆を和三盆で味付けしてあります」


 なにか、とても美味しそうに聞こえますね。そうですか、美味しそうでは無く美味しいのですね。では頂きます……


 頭にキーンときたぁっ!


 これこれ、これがかき氷の醍醐味なんですよ。ああ、こめかみに痛みが走ってくれたよ……おかしいな、俺は超越の恩恵持ちなんだよな。どうして、氷でダメージを受けるんだ?


「諸星殿、頭痛を感じたときには頭を冷やすと良いそうだ」


 なるほど、確かに痛みが治まったな。だがな、どうして魔王がそんなことを知っているんだ? なに、谷山さんに教えて貰った。

 それはそれとして、この宇治金時は世界が違うな。うん、この抹茶のほろ苦さと小豆の甘さがベストマッチじゃ無いか。ところで谷山さん、その手に持っている容器は何ですか? 練乳、練乳ってなんですか?


「まあ、騙されたと思って試してみてください」


 そうやって掛けられると……なにか見覚えがあるような……しかし、これはっ!


「ええ、宇治金時ミルクです。抹茶の苦みと練乳の甘さが極上だと思いませんか?」


 思います思います。これぞ、夏の醍醐味と言う奴ですね。それで魔王は、イチゴミルクに走っているんですね。四天王たちは……メロンとかブルーハワイですか。こうして見ると、日本の夏って良いですね。そうか、魔王たちも夏を楽しんでいるのだな。

 ところで魔王様、一つ教えて貰いたいことがあるんだ。なぜにピアッツァさんがそこにいるんだ? しかもビキニアーマーって、ビゴの側室だと考えたらモラル上問題があると思うんだ。


「うむ、魔王城公開に向けたリハーサルを行っておったのだ。白船殿の提案なのだが、例の『くっ殺』を満場一致で採用することになったのだ。アクトロスも頑張っておるので、なかなか真に迫った素晴らしいものとなっておるぞ」


 それでビキニアーマーですか。そこで一つ提案なのですが、がっちりとガードをするのも面白いと思うのですよ。どう言うことかと言うとですね、堕ちていく姿の淫靡さと言う意味では最高だと思うんですよ。

 いかん、どう言う訳か息が荒くなってきた。もしもし、どうして全員で冷たい視線を向けてくれますか?


「そのだな、魔王城公開と言うのは一般向けのアトラクションだと聞かされておるのだ。諸星殿の言うことは、傾聴すべき意見と言うのを認めるのは吝かでは無いのだぞ。実は、余も同じことを考えたのだ。バリエーションとして試してみたのだが、その中で一番興奮できたのが令嬢の格好をするものだったのだ」


 そうか、魔王様も色々と考えているのだな。なるほど、それだけ真剣にやっていると言うのか。確かに、立木さんの言う通りの存在と言うことか。

 ところで、どうして全員が軽蔑したような視線を向けてくれたのだ?


「うむ、立木殿から『対象の年齢層を考えろ』と指摘されたのだ。大きなお友達にはこれでも良いが、小さなお友達にはモラル上問題があるのだそうだ。コロナ殿、セリカ殿もその説明に納得されておられたな。その問題のある提案を諸星殿がされたので、なるほどと全員が考えたと言うことだ」


 そうか、そんな事情があったと言うのか。それで幾つか教えて貰いたいのだが、なぜ『なるほど』と全員が納得してくれたのかな?


「余に、諸星殿が『スケベ』と言わせないで欲しいのだがな」


 しっかり言ってくれてると思うのは俺の勘違いなのか? わざと言った……なあ、俺って何か恨みを買うようなことをしてるのか?


「別に、恨みなど抱いておらんぞ。むしろ、諸星殿には感謝しているぐらいだ……まあ、待つのだ。これはだな、親しさ故の軽口と思ってくれれば良い」


 そうか、俺のことを友人と考えてくれてるのだな。それならもう一つの疑問なのだが、なぜコロナとセリカが話に出てくるのだ?


「なぜと言われてもだな……見学を希望されたからとしか答えようがない。何しろピアッツァ殿は、ブーランジェリー王国の国民なのだからな」


 そうか、そう言う意味なのか。確かに人を派遣したのだから、確認に来るのは間違っていないな。てっきり俺は、二人にいかがわしい格好をさせたのかと思ったんだ……なぜ、そこで視線を逸らす? そうか、強要したつもりは無いと言うのだな。つまり、二人にいかがわしい格好をさせたことは否定しないと言うことか?


「ば、バリエーションを試したと言ったと思う。その話をしたらだな、お二方から是非ともとお願いされたのだ。諸星殿の奥方である以上、余は逆らうことは出来ないのだ」


 俺の奧さんだから、希望を最大限に叶えたと言うのか?


「う、うむ、そう言うことになる」


 それで、その結果はどうなったのだ?


「それなのだがな、ピアッツァ殿よりも更に扇情的になってくれた。どうやら、高貴な女性を汚すことへの禁忌がスパイスになったようだ。ピアッツァ殿が悪いとは言うつもりは無いぞ。ただな、どうしても戦士の振る舞いが抜けてくれぬのだ。ちなみに、バリエーションの一つとして女神にも登場して貰ったぞ」


 そうか、色々と試してくれているのだな。しかも女神……フローリアンさんも参加しているのか。どうやら、関係の改善はうまくいっているのだな。

 それはそれで、俺は大いなる不満を感じているんだ。ああ、怒りを覚えていると言っても良いかもしれない。


 なぜ俺を誘わない?


 つまりは、そう言うことだ。どうして、そんな楽しそうなことに誘ってくれないんだ。あくまで試行錯誤の段階なので、リーダーの手を煩わせるわけにはいかない。なあ、その言い訳って立木さんの受け売りだよな。


「諸星殿の不満も理解出来るのだがな。ただな、偶々面白そうだったからとも言うことが出来るのだ。他にも色々と試行錯誤しているのだが、見ない方が良かったものも沢山あったのだぞ。そんなことのために、諸星殿の貴重な時間を浪費するわけにはいかぬだろう」


 俺の貴重な時間……結構暇にしていたのだがな。そうか、偶然暇にしていただけで、元々リーダの仕事じゃ無いと言ってくれるのか。良いんだぞ、俺の我が儘に付き合うつもりは無いと言っても。

 だから、どうしてそこでひそひそ話をしてくれるんだ?


「いや、なに。自覚をされておるのなら、無理難題を言わないで貰いたいと思っておるだけだ」


 自覚……いや、キミたちが考えていそうなことを口にしただけなんだがな。それが出ること自体、自覚している証拠と言ってくれるのか。こう言ってはなんだけど、結構遠慮がなくなったと思うよ。いや、良いことだとは思っているけどね。


「これは白船殿からの提案なのだがな。魔王と恋仲の勇者を連れてきて貰えないだろうか。うむ、ナイスバディの魔王とイケメンの勇者と言うものだ。アクトロスとエクシブ殿で試してみたのだが、今ひとつ本物感が足りなかったと言えば良いのか、悪くはなかったのだぞ。悪くはなかったのだが、王妃様陵辱に比べて萌えるものが足りなかったのだ」


 そうか、エクシブたちも試したのだな。ところで、今とっても気になるキーワードを言ってくれたな。なんだ、王妃様陵辱と言うのは。陵辱したのか? コロナを陵辱したのか?


「シチュエーションのことを言っておるだけだ。流石に、余もそこまで命知らずでは無いのだからな。モデルとしてコロナ殿には協力いただいたが、寸劇はピアッツァ殿で試してみたのだ」


 ピアッツァにしても、ビゴ……つまり義弟の側室なのだがな。それはそれとして、エクシブまで巻き込んだと言うのか? そうか、結構乗り気だったと言うだな。

 それで、具体的に何がいけなかったのだ?


「白船殿の言葉を借りるのなら、アクトロスは悪女属性を持っているのだそうだ。白船殿の言によると、魔王と勇者の恋は、純愛属性こそ相応しいらしい。アクトロスを配役すると、純愛系の雰囲気が出せないと言われたのだ」


 その意味で言えば、エクシブも純愛系にはフィットしないと思うぞ。うん、本人には言えないのだがな。

 ただ言いたいことは理解出来るのだがな。なぜ、魔王と恋仲の勇者を連れて来いと言う話になるんだ? それって、別の世界から連れて来いと言う話だよな。なんだ、その話は聞いていると言うのは?


「可愛い系のエルフなのだが、服部殿たちがリクエストした結果ではないのか?」


 誰がそんなことを言った? いや、結果的にリクエストに応えた形にはなったけど、少なくとも俺には決定権はないんだぞ。そのだ、偶然をさも必然のように言うのは止めて欲しいのだがな。

 だから繰り返すのだが、こっちにやってくる奴に俺は関与していないのだからな。それならそれで構わない。白船君たちと一緒に願掛けをすると言うのだな。一応確認しておくのだが、一体誰に願掛けをするんだ? そうか、日間賀島で現れた女神、クロアさんに願掛けしてくれるんだ。魔王様が女神様に願掛けって……


 大丈夫か、魔王


 ああ、新しいバージョンが出来てしまった。うん、嘆くのはそんなことじゃないと言うのだね。しかしなあ、新しい住人が増えると、また国連の決定が長引くことになるんだよ。そう、竜人と魔王様たちの処遇の問題ね。菅谷総理に教えて貰ったんだけど、本当なら決まりかけていたそうなんだよ。その決まりかけていたことが、魔王城の転移で振り出しに戻ったそうだよ。

 交渉に当たっている外務省から、いい加減にして欲しいと苦情が入った……俺にじゃないんだけどな。まあ、気持ちは理解出来るよ。苦労してまとめ上げた結果が、いきなりちゃぶ台返しを食らったんだからな。怒りたくなる気持ちは理解出来るけど、開き直りも大切だと思うんだ。


 俺? 俺は開き直りなんか……今更だがしてる気がするな。うん、だから心の棚も開放することにしたんだ。もうね、世間体も気にならなくなってしまったんだ。でしたら女性を送り込む……ピアッツァ、一体何を言っているんだ? 国王は子だくさんで無ければならない。そう言えば俺、まだ子供がいなかったな。




 また厄介な問題を。国家公安委員長の報告に、俺は思わずこめかみを押さえてしまった。出る杭は打たれると言うが、目立った分だけ敵を作ってしまったと言うことか。

 吉沢君、奴らの動きはどこまで把握しているのだ?


「奴らの定義が曖昧で困るのですが……活動している団体が、両手では足りない程度でしょうか。迷惑系トバーまで加えると、それこそ星の数ほどいると言うのが答えになります」


 そうれはそうなのだろうな。彼らの注目度を考えれば、手っ取り早く稼ぐ方法と言うのは間違っていないからな。ただ迷惑系程度なら、さほど目くじらを立てる必要が無いのも事実と思うのだが。


「仰るとおりです。従って、破壊工作系を洗って貰っているのですが……国外勢力と結びついたりしていて、なかなか把握が難しいと言うのが現状となっています」


 それで、奴らのターゲットは具体的に誰なのだ?


「単刀直入に言うと、御衣黄女史と立木氏です。二人とも普通の人ですし、失われても困らないと考えているのでしょう。裏を返せば、誰も諸星氏に手を出そうとは考えていないと言うことです。竜人やら魔王やら、彼抜きで統率できるとは誰も考えていないと言うことです。その認識は間違ってはいないと思いますけどね」


 なるほど、普通の人である二人がターゲットと言うのか。だとしたら、立木氏が一番狙われやすいと言うことだな。何しろ彼は、過激な行動をとる輩を敵に回しているのだからな。


「しかも、諸星氏に対する警告としてうってつけと考えられています。その辺り、諸星氏の能力、そして考え方が理解されていないからとも言えるのですが」


 彼は、アメリカでも片手間で滅ぼすと言ってのけたぐらいだからな。竜人を確保した実力を考えれば、言っていることに嘘はないのだろう。従って、彼の首には幾つもの鎖をかけておく必要があるのだが……それに加えて、行動のコントロールが必要になってくる。

 それを考えれば、立木氏排除は愚策としか言いようがないのだがな。


「鎖と言うのか、安全装置と言った方が良いと思いますがね。それはそれとして、安全装置たり得るのは今のところ二人だけだと考えています」


 その二人と言うのが、立木氏と小谷君と言うことだな。その安全装置を壊そうと言うのは……流石に、見逃すわけにはいかないな。

 ところで小谷君は狙われていないのか?


「彼女の場合、殆ど目立っていませんからね。しかも、あまり集落から外に出ていない。労力が大きい割に、目立った効果が得にくいと言う事情があるんです。それに比べれば、立木氏は温泉やら居酒屋やらに顔を出しているんですよ。自家用車で走り回っているのも知られているので、襲撃の難易度と言う意味ではかなり下がってくるんです」


 その辺りは、記者会見の中でも触れられていたことだな。それで、御衣黄女史の方はどうなっている?


「誰の考えかはわかりませんが、意外にガードが固くなっていますね。長距離移動は、原則として空間転移を使用しています。加えて、京都市内でもほぼ単独行動はしていません」


 誰の意図……か。立木氏だと考えるのは、恐らく穿ち過ぎなのだろうな。


「穿ち過ぎですね。どちらかと言えば、過保護な父親だと思った方が良いと思います」


 過保護な父親か……苦笑が浮かんでしまうのはどうしてだろう。小谷君の報告では、彼女は男女の関係を望んでいると言うではないか。

 それはそれとして、マスコミは騒いでいないのか?


「彼女は美人ですからね。映像として出したいところは沢山あるようです。ただ集落側もそうですけど、後沢氏もガードしていますね。その意味で言えば、集落自体の露出も少なくなっています。マスメディアとしては、もう少し露出を増やして欲しいと言うところでしょうか。尤も、本来研究所に求められることではありませんが」


 IMO研究所と考えれば、全くもってその通りと言うことになるのだろうな。そして異世界との架け橋と考えれば、マスコミの要望も理解出来ると言うことになる。確かに、上里集落の露出は極端に少なくなっているな。しかも思い出したように、しかも脈絡も無くマスコミサービスをしてくれている。流石に愛知の出来事は、やり過ぎだろうと言いたくなるぐらいだ。

 なんだ吉沢君、他に気になることでもあったのか?


「いえね、予想外に大谷村の元気が良いんですよ。パンの国……ブーランジェリー王国なんですが、国連の決定が出次第ツアーが募集されるようです。こちらも国連の決定次第ですが、魔王城を利用したアトラクションも計画しています。後沢氏、堀内氏が背後にいるのですが、かなりの資本を投下する用意があるようです」


 異世界ツアーに本物の魔王城を利用したアトラクションと言うのか。経済的な評価として、間違いなくかなりの価値を示すことになるな。何しろ俺も、ブーランジェリー王国に行った時には感動させて貰ったからな。それに魔王城だったか、明らかな違いを感じさせて貰ったと思う。

 ただ、本物と言うのは意外に『地味』な存在では無いかと思っている。その地味な本物だけで、どれだけ人を呼び続けられるかと言う問題があるな。


「確かに本物を感じさせて貰いましたね。それから空間転移……転移ゲートでしたか、もの凄いことには違いないのですが、仰るとおり『地味』と言うのは否定できないと思います。ちなみに有名なテーマパークは、年間2千万近辺の入場者数なんですよ。それに対して大谷村は、1日1万人の計画を立てたそうです。控えめと言えば良いのか、それとも見積もりが甘いと言えば良いのか。その辺り、かなり微妙なところだと思いますよ」


 あそこの規模を考えたら、なかなか強気な見込みじゃないのかな。ただ後沢君たちが絡んでいるとなると、それなりの勝算があると考えられる訳か。


「魔王城だけを見たら、間違いなく過大な期待と言うことになります。ただブーランジェリー王国まで含めれば、必ずしも過大な見積もりではないのでしょうな。一見の客だけでも、相手にするのが世界だと考えれば、さほど難しくは無いのも確かです」


 なるほど、物珍しさだけでも人を集めることが出来るわけだな。ただ、彼らがその程度で我慢するのだろうか。それにしたところで、新たに1万人を受け入れるインフラをどう考えているのだ?


「あの地域は、交通網としては貧弱としか言いようがありませんからね。高速からも遠い……一番近いのが北陸道ですから、かなり大回りをする必要があります。北陸新幹線なら、東京からのアクセスも良いのですが。ただ、降りてからが廃線間際のローカル鉄道です。道も狭いですから、大量輸送には向いていませんね。宿泊施設は……スキー客向けの小さな宿ならそれなりの数があるのですが……それにしても、受け入れ人数には限りがあることになります」


 その辺りのことは、後沢君たちなら色々と考えていることだろう。ただ国連が何を言ってくるのか、それを注視する必要があると考えているわけだ。上原は何か言ってきているか?


「表の顔と裏の顔が違いすぎているのだそうです。表では雄弁……違いますな、過激な主張が結構あるようです。特に竜人で被害を受けた国からは、自由にさせすぎだと強く言われているそうですよ」


 それで、裏の顔はどうなっている?


「様々な取引が持ちかけられていると言うことです。その辺り、英国首相の公式訪問も理由になっているようですな。しかも英国は、優秀な科学者を集落に送り込んでいますからね。出遅れを焦る国々がそれなりにあると言うことです」


 上里集落は、ある意味新技術の宝庫と言うことだな。それを考えれば、一枚噛みたいと考えても不思議はあるまい。ただあの閉鎖性……と言っても良いと思うのだが、閉鎖性が売り込みをやりにくくなっているのも確かだろう。


「それで、先ほどの話にも繋がってくると言うことです」


 先ほどの話だと。一体、どれのことを言っているのだ?


「立木氏が狙われている話です。過激な思想を持つ者たちにって、彼は排除すべき敵なんですよ。ただ研究所との繋がりを求める者にとって、彼は手っ取り早いコンタクト先になると言うことです。マスコミで言われている『人脈がバグっている』と言うのは、オルティア女史の例でも証明されたわけですからね」


 その方面だと、立木氏排除は好ましくないことになるのか? だとしたら、排除する者と守る者の間で抗争が行われていることになるのだが……明らかに、排除側の組織が弱すぎるな。


「守る側は、ある意味国家ですからね。そして排除側は、時代遅れの過激派です。公安委員長の報告にはありませんでしたが、かなりの数の過激派が潰されているとのことですよ。ただローンオフェンダー対策は流石に困難でしょう」


 ローンオフェンダー……つまり、単独犯のことか。その対策なのだが、集落側は何かしているのか?


「小谷さんの話を聞いている限り、その辺りの危機感を持っていないようです。諸星氏が勘違いテロで刺殺されていることを考えれば、もう少し危機感を持って貰いたいのですがね」


 確かに、彼は市会議員時代に勘違いテロで殺されていたのだな。ならばそれぐらいのことは考えていても不思議では無いのだな。それから立木氏なのだが、本当に気づいていないのか?


「人脈的に異常なところはありますが、彼は元々普通のエンジニアでしたからね。気づいていると考えるのは、流石に買い被りすぎていると思いますよ」


 そうだったな、彼は30年以上ITメーカーで働いていたのだったな。だとしたら、命を狙われると言うことに対する感性など持ち合わせていないだろう。逆に、持っていたらおかしいと言っても良さそうだな。

 それならそれで、彼を守る必要があるのだが。その辺り、誰が動いているのだ?


「ことがことだけに、自衛隊が動いていますよ。それ以外には、公安のテロ対策課が情報収集を行っています。ところで、諸星氏に警告を出しておいた方が良いですかね?」


 警告か……問題を起こさないためと考えれば、警告しておいた方が良いのは確かなのだろうな。ただ警告することで、活動が萎縮されるのもあまり嬉しくないな。


「では、警戒レベルが上がったところで警告することにしましょう」


 つまり、まだまだ守りが綻びていないと言うことだな。だったら吉沢君、引き続き状況を注視してくれたまえ。


「ええ、ここでしくじると内閣支持率にも響いてきますからね」


 ああ、お陰で前代未聞の高支持率を貰っているよ。だからこそ、政治的に彼らを守る必要があると言うことだ。

 ところで、国連を無視すると何が起こる?


「国連を無視……ですか。それは、魔王城やブーランジェリー王国公開のことを言っていますか? だとしたら、騒がれはしますが何も起こらないと言うのが上原大臣の分析となっています」


 ならば、内々に後沢君に伝えてくれ。うむ、特区の試行を開始するとな。


「公開許可を閣議決定しますか?」


 ああ、国連の決定が遅々として進んでいないからな。断片的に公開されるだけでは、国民にもフラストレーションが溜まることだろう。


「アクセス手段はどうします? JRに耳打ちをしておきますか?」


 大糸線の本数及び編成拡張が必要と言うことだな。うむ、その辺りは任せることにする。


「では、大久保大臣に指示を出しておきますよ。さて、後は閣議決定はいつにしましょうね」


 それなのだが、シルバーウィーク前に済ませておきたい。彼らのことだ、試行と称して受け入れを開始してくれる頃だろう。


「なるほど、彼らはとても軽いフットワークをしていますからね。了解しました、野党の方にも根回しをしておきますよ。後は、マスコミにもリークをしておきますかね。なかなか、面白いことになりそうですな」


 ああ、間違いなく面白いことになるな。それを考えれば、烏山は惜しい機会を逃したことになる。まあ、器では無かったのだろうな。


「これからは時間が勝負となりますので、これで失礼させて頂きます。ところで後沢氏には、私の方から声を掛ければ宜しいですか?」


 それも任せる……会食を入れることが可能か?


「でしたら、早速調整することにしますよ。ちなみに会食ですが、諸星氏も招待しますか?」


 呼んでおいた方が間違いなく話が早いのだろうな。だとしたら、堀内氏も招待しておいてくれ。うむ、ここは一気呵成にいくところだからな。




 そこそこ大きな団体になったこともあり、情報共有及び意思統一の重要さは高まっている。と言うことなので、IMO研究所でも幹部会議などと言うものが開かれている。まだ建屋が建築中と言うこともあり、幹部会議はプレハブの事務棟で行われているのだが。

 幹部会議と言う以上、出席者は幹部と言うことになる。従って所長の俺を筆頭に、副所長の立木さん、オルティアさん、研究主任の御衣黄さん、秘書の小谷さんとオブザーバーのラズライティシア様と言うのが出席者になる。


「本日の議題は2つほどあります。そのうちの一つが、魔王城及びブーランジェリー王国の公開に向けての取り組みとなります」


 副所長なのだから、司会は立木さんの仕事となる。この辺りは、同じ副所長でもオルティアさんでは無理だからな。

 ちなみに俺たちの前には、お取り寄せのお菓子が置いてあったりする。ちなみに今日は北海道のチーズケーキだそうだ。そしてそれに合わせるのは、集落から安曇野に向かう途中にあるハーブガーデンのハーブティーとなっていた。ちょっと酸味のある赤いお茶が、クリームチーズの甘みとベストマッチと言っても過言では無い。この辺りのチョイスは、ケイコさんの見立てとなっていた。


「大谷村も頑張ってくれているようですが、アクセスに関する問題は残ったままです。従って、女神様の力を借りて転移ゲートを各所に設けることを考えています」


 女神様って……フローリアンさんのことかな。力を借りてと言うのか、立木さんが頼めば絶対に嫌とは言わないよな。何しろ女神様、立木さんに……なぜ、そこで睨んでくれます?


「諸星さん、余計なことは考えないように。ちなみに転移ゲートは、JRの白鳥駅、南大谷駅に設置します。糸魚川を対象外としたのは、大谷村の収益を考えてのことです。女神様と話をしたのですが、その気になれば東京との間でもゲート開設が可能だそうです」


 それをすると、大谷村の経済効果がなくなるからな。一緒にやってきた、お世話になっていることを考えたら、中抜きは絶対にダメと言うのはわかる。


「ちなみにゲートの出口は、現在大谷村で検討中となっています。廃校となった小学校跡2カ所が候補地として上がっています」


 なぜに廃校跡が?


「広さと雰囲気が理由ですね。前にも言いましたが、魔王城に続く道が『都会』ではいけないんです。加えて言うと、大勢の人が通過できるようにする必要があるんですよ。そのためには、そこそこの広さが必要だったと言うことです。ただ、その前にもう一段噛ませることを考えています」


 ほほう、もう一段噛ませるのね。その理由を聞いても良いですか? なんです、俺はまた何かしちゃいましたか?


「諸星さん、あなたは所長なんですからね。所長ですから、理由を報告しろで良いんですよ。それはそれとして、チケット販売、入場整理、それから雰囲気の盛り上げ等々が理由になります。従って、このホテルに協力貰えないか打診する予定です」


 このホテル……おおっ、なかなかメルヘンなホテルじゃ無いか。しかも、そこそこの規模を持っているよな。でも、協力って、本当にして貰えるのか?


「その辺りは、後沢氏と中林村長にお任せするつもりですよ。別にこのホテルじゃ無きゃダメと言うことは無いんですよ。求めるのは、最初の入り口ぐらい夢を感じさせる場所にしたいと言うことです」


 確かになぁ、最初からしけた場所には来たくないと思うぞ。うん、沖縄に行ったときも、豪華なリゾートホテルではわくわくしたからな。廃校跡じゃ、どう頑張ってもわくわく感は得られないと思うんだ。


「ちなみに、廃校跡にも工夫はするんですよ。ただ、時間が掛かるのが問題だと思っているんです」


 時間が掛かる……ねぇ、でもまだまだ国連の決定って出ないよな。


「そうですね、菅谷総理の情報では紛糾しているのだそうです。それを考えれば、決定が出るにはかなりの時間が掛かるのでは無いでしょうか」


 うん、俺も小谷さんの情報通りだと思う。思うんだけど、立木さんどうかしましたか?


「いえ、お二方とも常識的な方だと感心させていただいただけです。この件に付いて後沢氏、堀内氏とも話させて頂いたのですが、あの二人は違った考えをお持ちのようでしたよ。ちなみに、私の考えもお二人に近いものでした」


 つまり、どう言うことなんですか?


「日本政府が、独断で許可を出してくると言うものです。先日の会見で、特区構想を持ち出されましたよね。その特区に絡めて、先行して公開することを考えていると言うものです?」


 日本政府が、外交ベタの日本政府がそんな思い切ったことをしますかね。外交ベタは否定しないが、真面目に外交をしても意味が無いと言うのですか。それに加えて、外交以上に国民感情を気にしていると言うのですね。つまり、どう言うことなんですか?


「菅谷内閣の支持率は、現在非常識とも言える90%越えなんですよ。そして国民には、異世界に対する強い期待があるんです。政権基盤を盤石にするためには、矢継ぎ早に施策を発表する必要があると言うことです」


 その説明はわかるんですけど、外交問題になったりしませんか? その場合、どんな問題になるのか、か。それはだな……小谷さん、何か思いつくことはあるかな。


「なぜ、そこで私に振ってくれますか。それから外交問題ですけど、日本が得意な遺憾砲ぐらいしかできませんね。下手に経済とか絡められませんし、強い態度をとりすぎると仲間外れにされる恐れもあるんです。本件に関して言えば、日本は圧倒的に強い立場にいるんですよ」


 なるほど、圧倒的に強い立場なんだ。だけど、本当に問題は起こらないのか? はい、立木さん説明をお願いします。


「理系のエンジニアに過剰な期待をしないで欲しいのですけどね」


 わかっていますが、それはそれと言うところで。


「下手に突っ張ると、逆に損をする可能性は出てきますね。従って、落とし所を考えながら、各国と交渉することになります。それから、ここを勝手に公開しても、表では抗議してきますが、裏では様々なお願いをされることになると思いますよ」


 やっぱり立木さんは頼りになるな……なんだ小谷さん、視線が冷たく感じるのだが。


「ええ、ちょっと呆れていましたから。諸星さんって、国会議員を目指していたんですよね。その割にと言えば良いのか、ちょっと考えが浅い気がします」

「まあ、経験が圧倒的に不足しているので仕方がないと思いますよ。それにご両親の教育が良かったのでしょうね。とても健やかに成長されたのがわかるんですよ。ただ健やかに成長すると言うのは、国会議員にはどうかと思うんですがね」

「ちなみに私はどうですか?」


 ああ、小谷さんが興味津々……と言うのか、結構目がマジになっていないか。


「日本の総理大臣が、どの地域から出ているのかを考えて見てください。色々と差し障りがあるので、今はこの程度のことしか言えませんね」


 日本の総理大臣……菅谷総理は東北だったな。でも烏山総理は……北海道か。その前は……山口だったような気がするな。つまり、共通するのは『ど』……なんです立木さん。


「とても微妙な問題なので、それ以上は口にしないようにしてください」


 ええっと、一体誰に気を使っているんでしょうね。

 ええ、はっきり口にするのが問題と言うのはわかった気がします。話を元に戻すと、魔王城、ブーランジェリー王国公開は早まりそうと言うことですね。


「シルバーウィーク前には決定が出ると思いますよ。それもあって、後沢氏たちが慌てているようです」


 シルバーウィーク前って……もう1ヶ月も無いと言うことですか。いくら何でも、早すぎるんじゃありませんか。


「それだけ菅谷総理が、機を見るに敏と言うことです。支持率を上げる施策と言うのは、矢継ぎ早に出す方が効果的と言うことですよ。まあ、珍しく攻めに出られると言うのもあるのでしょうね。加えて言うと、難しく考えても無駄だと諦められているのではありませんか?」


 難しく考えてもダメって……なんだ小谷さん、どうして頷いているんだ。事実だから認めろ、幾ら段取をしてもすぐに意味が無くなってしまう。そうか、これまでの実績がそうだったと言うのだな。


「そのうち、菅谷総理から諸星さんにお呼びが掛かると思いますよ」


 俺に? 俺になのか? だから二人とも、どうして呆れてくれるんだ。


「諸星さん。自分が代表と言うのを忘れないでくださいね。立木さんは、あくまでIMO研究所の副代表でしか無いんですからね」


 そう言われてもだな。色々なことがおんぶに抱っこになっていると思うんだ。そうか、だからこそ俺が行く必要があると言うのだな。それで俺は、セレスを連れて行けば良いのか? 違う、一緒に行くのは小谷さんと言うのか。立木さん、理由を教えて貰っていいですか?


「特区絡みの話をするのであれば、小谷さんが必要と言うことです。残念ながら、諸星さんだけでは法律の話は心許ないんです」


 心許ない、ですか、確かに、小谷さんと俺では経験が違いますね。ええ、小谷さんは菅谷先生の秘書をしていたんですからね。その分、色々な経験をしているんでしょうね。

 つまり、立木さんがお留守番をしてくれるのですね。そうですか、たまにはそう言うことがあってもいいと言うのですね。まあ、大谷村との調整もありますから、立木さんに残って貰った方が良いのでしょうね。


 ところで、今日の話題は2つと言いましたよね。もう一つは何なのですか?


「こちらは、あまり良い話ではないのですけどね。諸星さん、小谷さんには菅谷総理を突っついて貰いたいことでもあるんです」


 良くない話、しかも菅谷総理に関係するのだと……あっ、喉がゴクリと鳴った。


「あまり構えなくても大丈夫ですよ。色々と良からぬ輩が動いていると思いますので、その確認程度と言うことです」


 その良からぬ輩と言うのは? ええっと、とても物騒に思えるんですけど。


「まあ、物騒と言えば物騒ですね。そう言えば、利権利権と叫んでいた活動家がいたかと思います。その利権に関わることなんですよ」


 俺たちが、菅谷総理に利権を与えていると言うことですか? 違う、もっとレベルが低い話。


「上里集落に落ちるお金は、これからどんどん膨れ上がってくるのがわかっているんです。だとしたら、そのおこぼれに与ろうと考える者が現れてもおかしくありませんよね? それで研究所の建築に入っている業者と話をしてみたのですが、色々と危なそうな所から声が掛かっているそうです。中林村長は言葉を濁していましたが、議員から圧力が掛かっているようですね」


 なんか、もの凄く嫌な話を聞いた気がするのですが……そう、嫌な話と言ってくれるのですね。ただ、この程度のことは日本中どこでも珍しくないと言うのですね。それで立木さん、具体的に何か動かれるのですか?


「特に、これと言って動くつもりはありませんよ。勿論、工事に対する査定はきっちりするつもりですけどね。ただそちらにしても、気をつけないと嫌がらせをされる恐れも出てくるんですよ」


 そんなものなのですか? ところで、どうして立木さんはそんな話も知っているんですか? しばらく西の方に居た、その時に工事関係で色々とあったと言うのですね。言ってはなんですけど、経験値もバグっていますよね?


「役に立たないから、色々な部署をたらい回しになったと言うことです。それはそれとして、諸星さんに手を出す馬鹿はいないと思いますよ。狙われるとしたら、私やエリザベスさん、セレスさんと言うことになるのですが……セレスさんは、まあ、返り討ちにしてくれるから大丈夫でしょう。エリザベスさんは、恩恵持ちですから同じく返り討ちにしてくれますね」


 ええっと、セレスとリズが狙われると言うのですか? 疑問なんですけど、どうしてセレスだったら返り討ちにすることが出来るんです? 自分の口からは言えない、立木さん、強制力を使っても良いんですよ。


「多分、諸星さんの強制力でもダメだと思いますよ」


 俺でもダメ……俺以上って、ゼッタイシン様ぐらいしかいないんだけど……


「まあ、色々と考えて見てください。後はですね、ローンオフェンダーって奴でしたか。それと勘違い馬鹿への注意が必要なぐらいです」


 ローンオフェンダーって響きが格好良いんですけど。以前はローンウルフと言われていた。つまり、一匹狼ってことですね。聞こえが良いので、ローンオフェンダーに言い換えをされたのですか。それでも響きが格好良く聞こえますけどね。

 それから勘違い馬鹿、ですか。確かに怖いですね、ええ、トラウマになっているんです。はい、だから対策なんか考えてみることにします。当然、菅谷総理にも話を聞いてみますよ。




世の中、大きな声では言えないことが多かったりするんですよね。

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