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夏の定例会見

村の特産は異世界です


・夏の定例会見


 お風呂に入りたいなぁ~って贅沢を言ってしまいました。だって、年頃……そこっ嫁ぎ遅れと言わないように。これでも、まだ……19だったかな。座敷牢に閉じ込められたので、ちょっと暦がわからなくなっていたりするんです。ところで貴方は誰? どうして、口の尖った面白お面なんか被っているんです? はっきりとは言いませんけど、流石に趣味が悪いのかなと。

 誰だかは秘密。この格好良さがわからないかと言ってくれますか。それが格好良いと思うセンス、心配した方がいいと思うんです。


 余計な御世話、それに19なら嫁ぎ遅れ……ねえ、私に喧嘩を売っています? その喧嘩買って差し上げますから、ちょっと外に出ましょうか。そうですか、出す訳にはいかないと言ってくれますか。ちっ、話に乗ってくれませんか。

 ええ、国王様に逆らったのですから、座敷牢に閉じ込められる程度で済んでいるのは慈悲だと思いますよ。でもですよ、お陰で婚期を逃してしまったんです。どうです、責任を迫っても良いと思いませんかっ!


 いえ、自業自得と言うのはわかっているんですけどね。


 でもですよ、いくら何でも国家反逆罪って酷くありませんか? 私はですね、ただ事実をありのままに主張しただけのことです。だってあののんびりとしたコーメー様が、悪人なんて……違う、魔王ですか。だったら断言しますけど、魔王なんかである訳がないんです。

 だって、あの人のお陰で、救われた人たちが沢山いるんですからね。それに、どう見たって魔王って柄じゃないと思うんです。あの善人顔を見て、魔王と思う方が間違っているんです。


 と言うことを大きな声で言ったら、ですね。お役人様に目を付けられてしまったんです。いえ、扇動なんかしていませんよ。ただちょっと、親しい冒険者の方たちにも協力頂いただけで。そうですか、それが扇動だと言うのですね。だって、一人で騒ぐより大勢で騒いだ方が声が通ると思ったんです。

 ところで、私が幽閉された後。コーメー様はどうなったんですか? 確か勇者エクシブ様と、大魔法使いラズライティシア様に討伐命令が出たと思うんです。なんです、ルーテシアさんにも暗殺指令も出された。それって、流石に可哀想だと思うんです。あの二人って、出来ていたんですよね? ハイエルフは、只人を配偶者に選ばない。ラズライティシア様は、かなり特殊……と言うより、ハイエルフの中では異端と言ってくださいますか。つまり、遠慮は要らなかったと言うことなんですか。まあ、今更手遅れなんですけどね。


 それはそうと、結局どうなったんですか? 相打ち……つまり、コーメー様は亡くなられたのだと。正確には違う。ラズライティシア様が、その身を犠牲にして封印を行ったんですか。つまり、ラズライティシア様までいなくなってしまったんですね。

 それだけじゃない、エクシブ様も道連れになっている。ええっと、ですね。


 正気の沙汰とは思えないんですけどっ!


 どう考えても、犠牲が釣り合っていないと思うんです。エクシブ様とラズライティシア様って、私たちの最大戦力ですよね。そのお二人を失ってしまったら、どうやって邪神の勢力と戦っていくんですか?

 それでコーメー様を封印して、何か敵方に変化はありましたか? 変化はあった、ただし悪い方の変化と言ってくださるのですか。予想は付きますけど、具体的にどう言った問題があったんです。魔物や小鬼の数が増えた。オーガを押さえることが出来なくなったと言うのですね。魔神を押さえるのに、かなりの犠牲を出した。それで、犠牲を出した結果ですけど、魔神の討伐は出来たんですか。そこで目をそらしたと言うことは、討伐できていないんですね。


 ぶっざまぁ!


 言葉に気をつけるように、ですか。でもですよ、私はしっかりと忠告したんです。だぁれも耳を傾けてくれなかったんだから、自業自得と言っていいと思うんです。しかも最大戦力を浪費したって、その結果が今の体たらくですよね。だから『無様』と言って差し上げたんです。

 口を慎め、ですか。口を慎んでも良いのですけど、邪神に押されている状況は変わりませんよ。そりゃあ、無様と言うのを認めても、なんの救いもにならないのは確かですけどね。だってコーメー様、エクシブ様、ラズライティシア様を失ってしまったんです。それで、どうやって邪神と戦うつもりなんですか? 王様がアップしている……それで責任が取れると考えるのが間違っていると思います。だって王様って、エクシブさんより弱いですよね。はい、ラズライティシア様がそう仰っていたんです。それで、エクシブ様の代わりを王様がするとして、誰がラズライティシア様の代わりをされるんですか? 金色のパーティーが再結成される……引退された方々を呼び寄せたと言うことですか。ラズライティシア様の足下にも及んでいませんよね? もう一度言わせて貰います。


 ぶっざまぁ!


 黙れ、ですか。人の忠告を無視した以上、批判を受けるのは義務だと思いますよ。愚かな真似をした以上、愚か者の誹りを受けるのは当然だと思うんです。人に命令する以上、その結果が失敗だったら非難を受けて当然だと思いませんか?

 当然ではない。己の立場をわきまえているのかと聞いてくださいますか。ええ、自分の立場ぐらいわかっていますよ。座敷牢に閉じ込められて、多分ですけど2年になりますからね。だからですね、もう怖いものなんて無かったりするんです。ここで処刑されたとしても、だからどうしたと言う気持ちになっているんです。


 それに、このままだと邪神の手下に蹂躙されてしまうんですよね。それを考えたら、ここで処刑された方がマシに思えるんです。だから私は、遠慮をしないことにした……なんです、元々遠慮をしていないと言うのは。それを否定するつもりはありませんよ。でも、遠慮しないのは間違っていないと思うんです。

 小鬼に襲われるぐらいなら、ここで処刑された方がマシだと思いませんか。それを考えたらですね、言いたいことを言った方が気持ちが晴れるんです。


 あっ、刀を抜きましたね、抜いてしまいましたね。図星を指されて、頭に血が上ったと言うことですか。どうです、私の首を差し出して差し上げましょうか。ほんのちょっとだけ先に女神様に召されるだけですからね、どうせこの国は邪神に滅ぼされてしまうんです。さあさあ、刀を抜いた以上さっさと始末を付けてください!


 すぱっ


 すぱって、私の首はそこじゃありませんよ。どうして座敷牢の鍵を壊してくれるんです? 楽に死なせるつもりはないってどう言うことです?

 職場に戻って、冒険者の手配をしろと命令してくれますか。あのですね、エクシブ様とラズライティシア様はいないんですよ。そりゃあ、あの人たちって、直接王様から命令を受けていましたけどね。ただコーメー様とかルーテシアさんもいないんです。冒険者の手配をしても、何の解決にもなっていないと思うんですよ。


 それはそうと、貴方は誰なんです。下っ端ではあるんですけど、ここは一応準男爵家の座敷牢なんです。どうして、好き勝手できるんですか?

 『余の顔に見覚えがないかっ!』ですか。ええ、そんなお面に見覚えなんかありませんよ。なるほど、お面を取ってくれましたか。でもですよ、下っ端準男爵が王宮に顔を出すことなんかありませんからね。ましてや厄介者の4女が、王宮勤めなんかできるはずがないでしょう。だから『余の顔に見覚えが無いかっ!』なんて言われたってわかるはずが無いんです。


「知ってて言っておるであろうっ!」


 王様の顔は知りませんけど、これでも冒険者ギルドで働いていたんです。金色パーティのことぐらい、似顔絵で見たことぐらいはありますよ。そのリーダーが歳をとった……老けた顔が前にあることぐらい理解しています。

 だったら余を敬え……ですか。嫌ですよ、お陰で私は花の盛りを座敷牢で過ごすことになったんです。今更のこのこ現れて、『余を敬え』なんて言われて、敬って貰えると考える方が間違っているんです。大失敗しておいて、今更敬って貰えるなんて甘えてますよね。

 怒りました? 怒りましたか? でもですよ、私だって怒っているんですからね。敬って欲しかったら、私の2年とコーメー様を返してください。出来ませんよね、ええ、出来ないことはわかっているんです。だから敬ってなんかさしあげません。良いんですよ、手打ちにしてくださっても。言いましたよね、死ぬのが早いか遅いかの違いでしかないって。手打ちにしないんですか、だったら口をつぐみませんよ。


「女神の神託があった。その中には、お前を座敷牢から出せと言うものがあったのだ」


 ほほう、女神様ですか。それで、女神様が何をしてくださるんですか? まさかとは思いますけど、ラズライティシア様たちを連れ戻してくださるとでも言うのですか?


「その交渉をしてくださるそうだ」


 交渉ですか。女神様が交渉するって、誰とするのか疑問に感じても良いですよね。なるほど、別の世界に転移しているんですか。その世界から連れ戻すための交渉をする。なぁんか、成功する気がしないんですよね。

 それで、私を座敷牢から出してくれるんですね。そこで一つ言いたいんですけど、私って2年ぐらいここに閉じ込められているんです。出てこいと言われて、出て行ける身体だと思っているんですか? はっきり言いますけど、まともに歩けなくなっているんです。後はですね、身体ぐらい拭いていますけど、お風呂も水浴びもしていないんです。だからですね、思いっきり臭くなっているんですよ。ええ、近付かない方が身のためと言って差し上げます。そうですか、酸っぱい匂いがすると言ってくれるんですね。


 乙女に恥を掻かせるなっ!


 迷宮ではよく嗅ぐ匂い……それが慰めになると思ってるんですか? もうですね、ひと思いに楽にしてくれてもいいと思うんですよ。それからですね、仮にも王様だったら私なんか抱っこしちゃいけません。痩せちゃったし、胸だって萎んでしまったんです。こんなものは、使用人にさせれば良いことなんです。


「これが、余として示せる誠意と思ってくれれば良い」


 女に恥を掻かせることを誠意と言ってくださいますか。そこからずれていると言うのを理解していただきたいと思うんです。




 魔法都市特区を発表してから、最初の定例会見がやってきた。もうね、人が集まりすぎって言って良いかな。だってさ、大谷村、白鹿村のホールを合わせても足りなくなっちゃったんだ。だから大町市のホールも借りました。全部で5千人、5千人って凄すぎないか?

 それで司会は、いつもの立木さん。なんでこんな人数を前に、しかも殺気だった人を前に落ち着いていられるんだろう。なるほど、それだけ場数を踏んだと言ってくれますか。


「ただいまより、IMO研究所の8月度定例会見を開催いたします。予めお断りいたしますが、魔法都市特区に関する発表はありません。同時に、魔法都市特区に関する質問も受け付けません。この会見は、あくまでIMO研究所としてのものであるのをご理解願います」


 早速釘を刺しててくれたね。だけどさ、この程度の釘で止めることが出来るとは思えないんだよ。

 それで、開会の宣言が終われば俺の出番。うん、所長としての挨拶と言う奴だよ。まあね、魔法都市発表に比べればプレッシャーが少ないのかな。それで挨拶、うん、挨拶だよ。発表の中身には踏み込まないからね。ますますIMO研究所は発展していく。その程度のことしか言わないからね。


 それで次は……うん朽木君だね。この辺りは、いつもの順番と言うことだよ。


「IMO研究所エンターテインメント部門の発表をさせて貰う。まず『今日の異世界に行こう!』だが、おかげさまで安定した視聴率を稼いでいる。また海外においても、上々の評判になっている。それもあって、来年の契約交渉に入っているところだ」


 そっかぁ、『今日の異世界に行こう!』は相変わらずドル箱になっているんだな。それで次は、魔王城とかブーランジェリー王国ツアーなのかな。


「IMO研究所では、トベでの映像配信も行っている。相当の再生数になっているので、地味に収益源になっていたりする。ちなみに、アイカのイメージビデオは10億再生を超えている。ちょっと疑問に感じるのだが、春夏秋冬(フォーシーズンズ)とのコラボ映像が100億再生に届こうとしている」


 えっ、あのコラボって宴会でやった奴だよね。なんで、あれの再生回数がそんなことになるの? 藍香ちゃんがミニスカートで踊っている。しかも一緒に踊っているのが真冬ちゃん……世界中で満遍なく再生されていると言うのか。


「まあいい、確かに貴重な映像であるのは確かだからな。それ以上に疑問なのは、アイカとマネージャーをしている円香の映像が2番目と言うことだ。これ、オリジナルじゃないんだがな。それが再生回数が50億回越えっておかしくないか? ちなみにこれも、宴会で披露された歌だからな。それはそうとして、春夏秋冬(フォーシーズンズ)のイメージビデオはコンスタントに5億再生を記録している。従って、トベからの収益は現時点で50億円を軽く超えている」


 えっ、トベだけでそんなことになってるの? これだけでさ、他の芸プロと提携なんかしなくても良いぐらいだよな。


「最後に魔王城並びにブーランジェリー王国公開だが、5月からの累計入場者が150万人を超えた。そしてこれは9月からの話なのだが、おかしの世界の公開を開始する。更に12月からは、名前の長い世界の公開も予定している。9月からは1日3万人、12月からは1日4万人規模の入場者を見込んでいる。まだ計画中だが、名前の長い世界のアトラクションを見て貰おうか」


 おおっ、これって10傑衆率いる魔物たちだよな。しかも10傑衆の仮想体も披露してくれるのか。なんか凄いって言って良いかな?

 うん、集まった記者さんたちにも好評なようだね。ちょっとざわめきが大きくなってくれたんだよ。そりゃあね、作り物じゃない迫力があるんだから当然だよね。


「名前の長い世界の方だが、一般公開の前に報道陣への公開を考えている。ああ心配するな、日本限定なんてしみったれたことはしないからな。それからどことは言わないが、わびの入っていない地区の報道関係者は招待しないことが研究所としての方針になっている」


 ええっと、あれってまだ引っ張るの? もう陥落していると思うんだ。だってさ、友池さんから色々と教えて貰っているんだよ。日本政府に、各国特使がひっきりなしに陳情に来ているんだって。

 なるほど、喧嘩を売られたのはIMO研究所と言うのだね。謝罪ならIMO研究所伝統の土下座が必要……あのさ、各国首脳に土下座をさせるのは流石に問題が大きいと思うよ。


「以上でエンターテインメント部門の発表を終わらせて貰う。今日は時間が取れるので、あまり多くはないが質問を受け付けることにしよう」


 それで、最初の質問は……ねえ、これって狙ってるよな。どう見ても日本人じゃ無い人、ヨーロッパ系の人が立ち上がってくれたんだよ。


「ワビノハイッテイナイチクトイッタガ、ドノヨウニワビレバユルスツモリナノカ」


 しかも質問を片言とは言え日本語でしてくれたよ。もうね、ここまで来ると完落ちしてるよね。


「どのようにすれば良いのか、か。それを頼った時点で、無責任だと言わせて貰う。もしも俺が、適当な例を出したとしよう。それがどんなに酷いものでも、その例がスタンダードになってしまうのだぞ」


 そうなんだよなぁ。自分たちのしたことを分析し、ちゃんと話をする必要があると思うんだよ。落とし所? それを考えるのは、ウチじゃないって友池さんに言われたんだ。


「名前の長い国の報道陣への招待枠はどれぐらいあるのですか?」


 やっぱり、あのド迫力を味わってみたいと言うのだね。ハイエルフも良いけど、あの魔物のインパクトってもの凄いと思うんだよ。


「コロモ自動車の協力で、特殊車両を用意することにした。現状100台……1台あたり定員が20名となっているので、取りあえず1日2千人が限界と言うことになる。車両に関しては、最終的に1千台用意する予定だ」


 これだけで、投資金額が100億円を超えるんだよね。予算的には余裕があるから、無理な投資じゃないんだけどさ。


「他にも聞きたいことがあるとは思うが、エンターテインメント部門はここで終わらせて貰うことにする。まあなんだ、お待ちかねの立木副所長の登場だぁっ!」

「朽木君、定例発表にエンターテインメント性は必要無いのですよ」


 それを否定はしないけどさ。だけどね、みんな手ぐすねを引いて待っていたと思うんだよ。だってさ、こんなことでも無いと立木さんの意見を聞けないんだからね。


「最初にですが、細胞分析について報告いたします。MR器官が多次元構造をしているのはすでに報告しています。その解析のため、制御された魔力を当てて観察を続けました。その結果、かなり詳細な高次元マップを制作することが出来ました。そして魔力の与え方を工夫すると、MR器官が一定時間魔力を保持することも確認することが出来ました。この測定に使用したのは、このたび開発された魔力測定装置となります。これは術式を書き込んだマイクロプローブが、魔力を受けて電気を発生することを利用したものです。現在プロト1を京都に持ち込み使用していますが、今後プローブを改良しさらなる高感度化、及び高耐入力化を図っていくこととなります」


 そっかぁ、ついに測定器まで作ってしまったんだ。これで、魔法が科学の世界に落ちてくることになるんだよな。地味な成果だと思うけど、結構画期的だと思うんだよ。

 それで立木さん、その手袋みたいなものはなんなのですか? VR用の入力デバイス、また変わったものを持ち出したんですね。


「では、ラズライティシア様の細胞を拡大したものを見ていただきましょう。この細胞に与える魔力をですね、こう……制御すると、このようにMR器官が現出し、形を変えることになります。ここで注目していただきたいのは、細胞自体の形状が変わらないことです。正確さを欠くのですが、3次元で表現をすると『こんな』感じになると言うことです」


 あっ、両側の閉じた筒のようなものが投影された。なるほど、断面を変えても外径が変わらないんだものな。だとしたら、こんな感じになってもおかしくないのか。


「そもそも高次元形状を3次元で表現など出来ないのですけどね。従って、これは理解を助ける……誤解させる方が正しいのかも知れませんね。こんなものかなぁと理解するための助けだと思ってください。現在御衣黄が、印加する魔力を変えながら、同じ構造となるように私たちの細胞操作を行っています。これで疑似MR器官を生成し、魔力保持能力が発生するのかを検証することとなります」


 みんな、結構真剣に聞いているようだね。立木さん、時々突拍子もない発表をしてくれるからね。だから、気を抜くことが出来なかったりすんだよ。


「それとは別に、一般の人の細胞に対して魔力を当てた時の現象を覚えておられるでしょうか。一般の細胞に魔力を当てると、あっさりと溶解することが確認されています。こちらは比較的容易に観測できますので、現象の追跡を行っています。溶融しない細胞との差異が解明できれば、人間の魔力耐性を上げることが出来ます。そして魔力耐性を高めた次の段階として、連続して魔力環境下に置く実験を行います。これで細胞の寿命延長が確認できれば、人間の寿命を延ばす可能性が生まれることになるわけです」


 これって、立木さんの細胞が本人同様しぶとく生き延びることを言っているんだよな。人間の寿命に挑戦する研究所の設立目的……最近脱線ばかりしている気がするんだけど。その目的を考えれば、本筋の研究なんだよね。


「人手不足と言うこともあり、御衣黄、武見両名の負荷が冗談にならなくなってしまいました。ですので、ちょっと本山名誉教授のご紹介で、農学部にご協力頂くことになりました。そこでですね、ちょっとばかり乱暴な実験をさせて頂いたと言うことです」


 ああ、あれね。あれもさぁ、オークさんたちを考えたら当然考えて然るべきことだったんだよな。


「先ほど発表したのは、正面から長寿及び魔法の謎に迫る研究です。これから紹介するのは、とても乱暴な方法で寿命を延ばす実験と言うことになります。もったい付けずに言いますが、魔法で直接生物を操作しました。何をしたのかと言うとですね、老化したハツカネズミを無理矢理若返らせたと言うものです。高レベルの隔離施設を使用し、寿命を迎えたハツカネズミの肉体改造を行いました。誰の悪乗りかはわからないのですが、ハツカネズミの脳にも手を加えました。従って、彼、彼と呼ばせていただきますが、私たちの言語を理解し、今は元気いっぱいにケージの中を走り回っています。あまり良いことでは無いのですが、これまで5回ほどケージから脱走していることをお伝えします。それからですね、本件に関して生命倫理を持ち出さないようにお願いします。ネズミ、つまり彼なのですが、一部から『アルジャーノン』と名付けてはと提案がありました。提案がありましたが、大人の事情で却下しました。同じ理由で『ジェリー』も却下しています。今は経過観察のため、飼育を継続しています。繰り返しますが、本件は京都の大学で倫理委員会マターとなりました」


 ちょっとどよめきが……うん、人体改造って色々と禁忌になっているんだよね。だから、ちょっとやり過ぎって言うのも理解しているんだよ。


「以上がIMO研究所の主研究テーマである、人間の寿命に対する挑戦となります。次に報告するのが、治療用魔道具を含めた魔道具の整備状況と言うことになります。こちらですが、医療用魔道具は1万セット、移動用魔道具が5千セット備蓄が出来ました。加えて、魔道具の素材が2万セット製造されています。翼人とハイエルフ、闇エルフを動員することで、1日当たり200セットほど魔道具を作ることが可能となっています」


 過剰在庫……じゃないんだよな。こんなもの、使用を始めたらあっという間に使い切ってしまうんだよ。だから、素材の在庫を積み上げる必要があるんだよ。


「それとは別に、魔法都市特区で使用する転移ゲート用魔道具の製作に入りました。こちらは女神フローリアン、女神パナメーラが製作に当たっています。P2P対応で、現在5百セットほど出来上がっています。あと1ヶ月程で、2千セットに達する予定です。ちなみに、距離制限を掛けていませんので、地球上ならどことでも接続することが出来ます。これは余談になりますが、国際宇宙ステーションも転移圏内になっています」


 おっ、これは予想していなかったのかな。結構ざわめきが起きてるよ。だけどさ、ちょっと考えればわかることだと思うんだよ。


「それから転移の魔道具関係では、ちょっとした小物を作ってみました。言葉で説明するより実演した方が早いので、どなたか実験にお付き合い願えないでしょうか。おや、そこの女性、度胸があると言って差し上げましょう。それで貴方は、Webメディアの主催をされているんですね。それでお名前をいただけますか? 砂塚りあむさんと仰るのですね。では、少しだけ実験にお付き合いいただきましょう。いえ、そこから動く必要はありませんよ。では、荷造り紐さんお願いします」


 ここで荷造り紐さん登場。あっ、警戒してくれたね。うん、以前鬱陶しい記者を排除するのに使用したからね。警戒するのも仕方がないと思うよ。でもね、もう手遅れなんだ。だって荷造り紐さん、闇エルフだって逃げ切れなかったんだからね。

 と言うことで荷造り紐さんが魔道具を持って接近。そして砂塚さんだったかな、彼女に接触したところで転移魔法が発動。無事立木さんの隣に転移してきました。ただね、座っている状態で転移をしてくれたから、現れたところで盛大にコケ……てないな。立木さん、魔法を使いましたね。


「砂塚さん、ご協力に感謝いたします。ところで、立てますか?」


 魔法じゃない、荷造り紐さんが支えてくれたんだ。うん、荷造り紐さんって有能だね。


「これが、短距離転移の魔道具となります。現在IMO研究所には小学生が一人いますので、彼女に防犯ブザー代わりに持たせているものです。これは、親機子機の形式を取っていて、子機を持った人を親機の所に転移させる機能を持っています。現在自衛隊及び消防庁と話をさせていただいているのですが、自衛隊では緊急脱出装置として活用することを考えています。そして消防庁では、被災した方……例えば瓦礫に埋まった方を救出するのに使用できるかと思っています。特に消防庁の場合、荷造り紐さんとセットにすることで、かなり狭い場所まで入っていくことが可能となります」


 結構前から話をしているんだけど、まだマスコミにはオープンになっていなかったんだよね。ちなみに自衛隊及び消防庁からは大好評だったりするんだよ。後は、値付けの問題があるんだけどね。


「ではお席に戻っていただくのですが、せっかくですから一つぐらいは質問に答えましょうか」


 おっ、立木さんにしてはサービスが良いね。それって、砂塚さんが美人……と言うより、超巨乳だからかな?


「ではお言葉に甘えて。魔法都市特区の質問を受け付けないと仰ったのですが、これまで立木さんがマスコミに出ておられないと思います。ですので、ここで一つ魔法都市特区にも絡む質問をさせていただきます」

「質問に答えると言った以上、答えないわけにはいかないのでしょうね。ただお手柔らかにとお願いをさせていただきます」


 お手柔らかに、ねぇ。多分だけど、質問する方が思っていることだと思うよ、それ。


「今回の魔法都市特区で、土地取引に規制が掛けられました。かなり評判が悪いのですが、敢えて規制を掛けた理由を説明願えないでしょうか」

「規制を掛けたのはIMO研究所じゃないと言うのは答えにならないのでしょうね」

「ええ、答えになっていないと思います。規制を掛けたのは国土交通省ですが、その決定に立木さんが関わっておいでだと思います」


 そりゃあねぇ、特区発表で前に出されたのは立木さんだもの。関わっていないと答えるのは、間違いなく無理ゲーだと思うんだ。


「答えは簡単ですね。規制を掛けなければ、大町市がどうなっていくのかが見えるからです。魔法都市構築に、大きな支障を来すと考えたからです」

「海外を含めた資本による土地の買い漁りが発生すると言うことですね。すでに大谷村、白鹿村で類似の事象が発生していると伺っています。それを考えれば、規制を掛ける理由は理解出来るんです。ただその一方、財産権の侵害になりかねない問題でもあると思っています」


 その問題は、割と初めの方に出ていたんだよね。


「未来永劫規制を掛けることはないと思いますよ。それから財産権の侵害、ですか。土地の強制収容を行っていませんので、侵害とまでは言えないと思っています。それからですね、むしろ資産価値向上に貢献していると考えているところもあります」

「資産価値向上、になるんですか?」

「投機的な動きが理由で魔法都市構築に支障が出た場合、その地域、場合によっては大町市自体を構想から除外することも検討しているのですよ。今回の魔法都市特区の目玉は、距離の克服にあります。極端なことを言うのなら、隣接した地域でなくても良いと言うことになるわけです。ただ地方創生の観点から、大谷村、白鹿村に大町市を加えることにしたわけです。ですので、大町市を外すのも難しくはなかったりするんです」


 あっ、いつもの脅し文句が出た。その辺りは、いつもの立木さんと言うことだね。


「つまり、外される恐れがなくなるまで大人しくしていろと言うことですか?」

「有り体に申し上げるのなら、その通りと言うことになりますね。IMO研究所が設立する総合大学ですが、そのキャンパスの殆どは、パンの世界、おかしの世界に構築しています。ここまで言えばご理解抱けると思いますが、入り口となる施設が容易に移転できることを目的としています。現在大町市の木崎湖近くに本部を設けることにしていますが、敷地としては最小限のものになっています」

「つまり、そうやって脅しを掛けているのだと?」

「ご協力いただけるのであれば、最大限の利益を提供するつもりはあるのですよ。ただこちらの足下を見る真似、ごね得を許すつもりはないと言うことです。それを、わかりやすい形で示してあげたと言うことです。この歳になるとですね、様々な公共工事を見てきているわけです。本音と建て前、これは推進する私たちにもあるものです。そして反対する方たちにも同様にあるのを見てきています。そして今回に関して言えば、反対意見には素直に耳を傾けることを考えています。大谷村、白鹿村がとても協力的なんですよ。なので、用地確保がうまくいかない場合は、無駄な手間を掛けずに両村に施設を建設することにします」


 脅すなぁ、脅しているよな。


「なぜ、そのような強硬、で良いんですよね。ある意味高圧的な対応を取られるのですか?」

「大谷村、白鹿村を見ていただければわかるのですが、時間を掛けることに意味が無いのがわかっているからです。私たちは、土地を守ってきた方たちを追い出そうなどと考えていません。ただ少しだけご協力いただけたらと考えているだけです。そしてその代償として、革命的な移動手段を提供させていただくわけです。革命的な医療手段と言うものも含まれています」

「時間を掛けることに意味が無い、のですか。敢えて拙速と言わせていただきますが、急ぎすぎに思えるのは気のせいでしょうか?」

「それは、人によって受ける印象が違うと言うのが答えになりますね。なぜ時間を掛けた方が良いのか、時間を掛けることでどのようなメリットがあるのか。そのメリットが、デメリットを超えるものなのか。その評価のない、『拙速』と言う意見に耳を傾けるつもりは全くないのですよ。意味のある反対なら良いのですけど、反対のための反対を相手にするつもりはないんです」


 反対のための反対かぁ、大規模工事だと当たり前にあるんだよな。


「それから誤解していただきたくないのですが、私たちは反対意見を弾圧……で良いのかな、数の力で押しつぶそうなんて考えていないんです。魔法都市特区で発生した問題、発生しそうな問題、どんどん上げていただきたいと思っているんです。それが、特区と言う形をとる意味でもあるのですよ」

「きれい事に聞こえると言っても良いですか?」

「言っても良いですよ。ただですね、私たち、特区構想に参加した7人の元官僚も含めて、きれい事で終わらせるつもりはないと言うことです。若い頃に彼等が持っていた夢、そして官僚として働いてきて感じたもどかしいもの。諸々の感情を抱えてタスクフォースに参加し、思いをぶつけ合ってきたんです。引退して温泉グルメを考えていた私とは、そもそもの覚悟自体が違っているんです」


 立木さん、引退して温泉グルメってしょっちゅう言ってるよね。でもさ、俺には煙幕にしか思えないんだよ。だって立木さん、面倒なことに率先して首を突っ込んでいるよね。今回のタスクフォースは巻き込まれたところはあるけど、それにしたって種を蒔いたのは立木さんだと思うんだよ。


「覚悟と仰りますか?」

「覚悟ですね。何しろ彼等は、責任のある立場で第二の人生を送っていたんです。藤康なんか、いくつかの団体で役員やら社長やらをしていたんです。その立場を擲って、苦労ばかり背負い込むタスクフォースに参加しているんです。覚悟もなく出来ることではないと思いますよ」

「一躍時の人になった……と言うのは、間違いなく結果論なのでしょうね。安定した立場を捨てるのは、仰るとおり大きな賭けだと思います」

「彼等は、子供の頃から抱いていた夢に向かっているんです。マスコミへの当たりがきついのは、面白半分、後は思想的なものがあるのでしょうかね。本当につまらない茶々、ただ逆張りをしたいだけの輩の相手をしたくないだけです。よく丁寧な説明と言う言葉がありますが、自分に都合の良い説明をしろと言う意味でしかありませんからね」


 ああっ、きつぅ。立木さんらしく、ちらちらと毒を混ぜてくれるよ。だけど、結構長い時間質問に答えているね。これで砂塚さんの媒体が有名になるのかな?


「本当はもっと伺いたいことがあるのですが……周りの視線が厳しくなってきたのでこれで質問を終わらせていただきます。幾つかぶしつけな質問をしたことをお詫びさせていただきます」


 へぇっ、結構礼儀正しい人なんだな。それで……どうかしたのかな小谷さん。


「彼女の持っているWeb媒体なんですけどね。動画で今のインタビューを配信しているんです。リアルタイムですから、切り取りできないので良いんですけどね」


 その辺りは、抜け目が無いって言って良いのかな? それで、インタビューなんだけど、どれぐらいのビューがあるのかな?


「IMO研究所の定例会見なんですけど、トベでリアルタイム配信されているんです。ですので、さほどビューが無いと言うのが実態ですね。ちなみにリアムリアル……ニュースサイトの名前なのですけど、一番ビュー数の多いのは、彼女が水着で番宣している動画だったりするんですよ」


 そりゃあ、あの超巨乳だからね。うん、水着姿をみたいと言うのも理解出来るんだよ。と言うのか、ニュースだったら他でも見ることが出来るからね。

 それで砂塚さん退場……は良いんだけど、そこで指パッチンをしてくれますか。立木さん、エンターテインメント性は必要無いって言っていましたよね。それから砂塚さん、目が潤んだりしていないか?


 それで質問……また外国の人が指名されたよ。もうね、これって狙ってると言って良いよな。


「EUトノカンケイカイゼンヲスルツモリハアリマスカ?」


 色々とハブにしているからね。それを考えれば、興味がそこに向かうのは当たり前なんだろうね。


「関係改善、ですか。それは、私どもから働きかけるようなことなのでしょうか。色々と日本政府とコンタクトしているのは聞いていますが、私たちには何も話がないのですよ。つまり彼等は、IMO研究所を相手にしていないと言う意味になります。菅谷総理からも、彼等が私どもと話をしたいと言う話が伝わってこないのです。ですので、私たちにとって何も変わらないと言うのが答えになります」


 だよなぁ、その辺り朽木君の答えにも繋がっていると思うんだ。


「リアムリアル、でしたか。その代表をされている砂塚リアムさんにお答えしたことですが、デメリット、敢えてデメリットと言わせていただきますが、そのデメリットを一方的に私たちに押しつける議論がなされていた。しかもそのいかれた議論が、デメリットを押しつける方向で纏まりかけていたのです。それを取り下げ謝罪をする……その程度で、信用できる、水に流して貰えると考える方が間違っています」

「ソレハ、IMOケンキュウジョヘノベンギヲシメセトイウイミナノカ?」


 お詫びの印は必要だと思うよ。だけど、それって今までの流れでしかないんだよね。だから立木さんの答えも想像が付くんだ。


「便宜ですか、そんなものは別に要らないと言うのが答えになりますね。便宜であれば、今回英米露中が特区に対して色々と与えてくれています。忘れられているかと思いますが、IMO研究所はとても小さな研究所なのです。ですので、現在受けている便宜でも過剰と言って良いものなんですよ。謝罪すれば良いのかとか、何が欲しいのか言って見ろとか、私たちの受けている印象は最悪なんです。どう言うことかと言うと、謝罪をしても考え方が何も変わっていないからと言うことです。考え方が変わらなければ、またぞろ制裁とか言って要求を通そうとするのが見えていますからね」


 つまりそう言うことなんだよ。数を頼りに自分たちの要求を通そうとする。そのためなら、関係の無い人たちを巻き込んで騒ぎ立ててくれる。その考え方が変わらない限り、関係改善……で良いのかな? 少なくとも、俺たちから関わっていこうとは思えないんだよ。

 じゃあ4大国はって? 少なくとも、変な規制を押しつけてきてないんだ。要求にしても、別に理不尽なものを受けた覚えもないんだよ。その意味で言えば、うまく立ち回ったと思って良いんじゃないのかな。


「魔道具の価格付けはどうなっているのですか?」


 ふつーの質問だね。まあ、興味があるのは理解出来るよ。経済的な話として、これでIMO研究所としての売り上げ……でもなぁ、うちって株式公開していないんだよな。して欲しいと言う話があるのは知っているんだけどね。


「現在価格協議を行っているのは、自衛隊向け緊急脱出装置ぐらいですね。こちらは、年間数百億円程度の商談になると思っています。一方消防庁向けの救助装置ですが、こちらは大幅に価格を抑えることを考えています。と言いますか、こちらで儲けようとは思っていないと言うのがお答えになります。従って、1セットで100万円もしないと思っていただければ結構です。一番高額になりそうなのは、国際線を代替する転移ゲートですね。現状航空機の価格は100億を超えています。大型機の場合、400億ぐらいになっているんです。長距離転移ゲートに関しては、その価格を参考にすることになると思います」

「バスと鉄道の代替についてはどうなっているんですか?」

「バスについては、現状魔道具に対する対価を頂いていないんです。今後展開することを考えれば、早急に価格を付ける必要があるのは確かです。ただ目的が目的ですから、かなりの低価格にしなければと考えているところです。鉄道の方は、JRの収益モデルと合わせて協議しているところです。公共交通ですから、自治体との関係も悩ましいところだと思っています」


 原価、でいいのかな。あまり原価が掛かっていないので、安値で売ってはどうかと聞いたんだよ。ただ仕事とする以上、正当な対価を受け取る必要があると言われたんだ。後は、既存の産業構造に対する影響も考える必要があるとも言われたんだ。魔道具をただでばら撒いたら、それだけで潰れる企業が沢山出るらしいんだ。

 あまりにも沢山になるから、セーフティーネットが追いつかないんだって。そうなると、路頭に迷う人が町に溢れることになるらしい。そんなもの、俺の望んだことじゃないのは確かだぞ。


「予定の時間を過ぎましたので、これでIMO研究所定例会見を終わらせていただきます。なお特区の方ですが、そちらはそちらで報告の機会を作ることを考えているそうです。その特区ですが、IMO研究所が総合大学を設立することをお伝えしています。その詳細について、次回の定例会見で報告することを考えています。なお大学に付属する形で、中学、高等学校も設立いたします。規模については次回、募集要項に付いては次々回当たりに報告することを予定しています」


 大学設立については、オルティアさんが動いてくれているんだよ。そのあたり、古巣に協力して貰っているようだよ。業務提携、なんて話も出ていたりするんだよ。あと、文系だと奈良の大学とかもね。当然東の大学とか京都の大学、名古屋の大学とも話をしていたりするんだ。


 これで定例会見も終わり。うん、わかってるよね。この後は、大宴会が待っているんだ。その辺り、区切りを付けると言う意味があるんだよ。今回のテーマはBBQ……そうか、炭火焼きを行うんだね。食材は? 糖度20度超えのトウモロコシ……あれかぁ、トウモロコシツアーをしたけど、絶品だったんだよな。

 それ以外には牛豚鶏、今日は肉系がメインになるんだね。それ以外には、流しそうめん……ぽちぽち、なんで流しそうめん? いや、涼しげで良いと言うのは認めるよ。認めるけど、なんでと思ってもおかしくないよな。


「山岡さんたちの提案なのだそうです。なにやら、日本の文化を知るため、とかだそうです」


 流しそうめんって、そんなにメジャーな文化だったっけ? 宮崎の人を敵に回す発言。京都や奈良でも盛んに行われている……へぇへぇへぇ。じゃあ、採用と言うことで。他にも冷たい麺シリーズがある……冷やし中華、冷麺、冷やしラーメン、各地の名物を取りそろえたと言うんだね。

 なんか趣向が凝らされていると言って良いかな。マンネリ対策、マンネリ対策って言ってくれるんだ。そこで疑問なんだけど、うちの奴らなんだけど、宴会が出来れば満足しているように見えるのは気のせいなのかな?




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