表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強スキル「リア充爆発しろ」 〜元社畜魔王は、幸薄勇者を倒せない〜  作者: 絵夢


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/19

07.迷宮メイド無双 その1

「……というわけで、魔王様。今回の修理費、冗談抜きで国家予算の半分が飛びました」


カミラが静かに差し出してきた紙を見て、俺は一度、ゆっくりと目を閉じた。


見なかったことにしたい。


「正面ゲートの再建、城壁の補修、爆発による内部設備の損壊――」


「もういい。要点だけ言え」


「古代級の高純度魔石が必要です」


即答だった。


「一般的な物では足りません。迷宮最下層のものが必須です」


「……迷宮か」


「はい。神クラスの迷宮主が居ると噂ですが『終末の迷宮』が最適かと」


ザルドスは警備の立て直しで動けない。カミラも城を離れられない。


自然と、選択肢は絞られる。


「……俺とリリ、か」


「はい」



「頑張ります、魔王様!」


出発前、リリはやけに張り切っていた。


戦闘用にメイド服をカスタムしているいるらしい。


「メイド服の戦闘って、スカートが翻って見えそうで見えない所が良いんですよね!」


「そういう情報はいらない」


即座に切り捨てる。


「……とにかく、はしゃぐなよ。あと足引っ張るな」


「はいっ!」


元気な返事が返ってくる。


……まぁ、俺1人でも何とかなるだろ。



森の中を進むこと数時間。


視界が開けかけたところで、不自然な気配が混じった。


「――止まれ!」


前方の茂みが揺れ、数人の人影が躍り出る。


やたら派手な衣装に、妙に芝居がかった動き。


嫌な予感しかしない。


「俺たちは『愛の略奪者』!」


先頭の男が、隣の女の肩を抱き寄せる。


わざとらしく顔を近づけ、見せつけるように笑った。


「仲睦まじき者から愛を奪い、その証を収集する選ばれし存在だ!」


「……」


思わず黙る。


「……魔王様」


リリが小声で聞いてくる。


「どういう人たちですか、あれ」


「俺に聞くな」


だが男は気にせず続けた。


「安心しろ! 我らは“リア充専門”だ! 魔王様もリア充嫌いで有名だからな! カップルだけ狙っていれば見逃してもらえるって話だ!」


「……は?」


思わず声が出た。


「お前ら、それどこ情報だ」


「え? 有名だろ? 魔王様はリア充爆発させるって――」


「いや、それはそうだけど」


そこは否定しない。


だが。


「なんで“見逃す”方向の話になってる」


「だって同じ思想だろ!? リア充嫌い同士!」


「一緒にすんな」


即答した。



「……というわけで」


俺はリリをちらっと見る。


「下がってろ」


「こいつら、まとめて消す」


爆破しようととした、その時だった。


横を、風が抜けた。


「……え?」


気づいた時には、リリが前に出ていた。


「魔王様の魔力を、こんなところで使わせるわけにはいきません」


静かな声。


そのまま、迷いなく踏み込む。



男が剣を振るう。


だが届かない。


最小限の動きで軌道を外され、次の瞬間には手首を打たれていた。


「なっ――!?」


剣が宙を舞う。


同時に、女の足元が払われる。


体勢が崩れたところへ、的確な一撃。


無駄がない。


流れるように、次の標的へ移る。


気づけば、三人、四人と地面に転がっていた。


何が起きたか理解できていない顔のまま。


最後に残った男の喉元へ、槍の穂先がぴたりと止まる。


「……」


リリは、ほんの一瞬だけ息を整えた。


そして、小さく言う。


「……山賊風情が魔王様の名前を軽々しく語らないでください」


声は強くない。


だが、妙に重かった。


「ひ、ひぃ……!」


完全に腰が引け、そのまま転がるように逃げていく。


他の連中も、我先にと森の奥へ消えていった。



静かになった。


さっきまでの騒がしさが嘘みたいだ。


「……すみません」


リリが振り返る。


「勝手に動いてしまって」


「……いや」


少し間を置く。


「助かったよ、魔力を温存できた」


それに。


(……なんだ今の)


さっきの動きが、頭から離れない。


無駄がなくて、正確で、そして――


妙に、洗練されていた。


城で見ている姿とは、明らかに違う。


「……行くぞ」



森を抜けると、視界が一気に開けた。


岩肌にぽっかりと空いた巨大な穴。


黒く口を開けたそれが、『終末の迷宮』だ。


「……あれが、目的地ですか」


リリが小さく息を呑む。


「そうだ」


俺たちは迷宮の中へ足を踏み入れた。

お読みいただき有難うございます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ