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最強スキル「リア充爆発しろ」 〜元社畜魔王は、幸薄勇者を倒せない〜  作者: 絵夢


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14.トレーニングエクスプロージョンLv.2

ドォォォォン!!


「……っ、またですか!」


玉座の間に、今日だけで何度目か分からない爆音が響いた。


指先が触れる、その直前。

いや、もはや“触れようとしただけ”で、ピンク色の衝撃が弾ける。


王座の装飾は削れ、絨毯は焼け焦げ、壁には細かい亀裂。

訓練どころか、ただの破壊行為だ。


「魔王様、もう限界です」


煙の向こうから現れたのはカミラだった。紙束を抱え悲壮な顔をしている。……多分修繕関連の書類だろう。


その隣でザルドスがいつもの気怠げな表情でカミラにかかる瓦礫を払っていた。


「というわけで」


カミラがにっこり笑う。


「地下に特設の訓練場をご用意しました。対爆魔法で完全補強済みです。今後はそちらで“存分に”どうぞ」


「……助かる」


ただならぬ気配を感じた俺はリリを連れて地下訓練場へ向かう。この威圧感はかつてメイド長が使っていた必殺スキル【無言の圧力】と同質のものに違いない。


だが、最凶の魔王が部下に威圧された訳ではない。

俺は、空気の読める男なのだ…。


背後でザルドスとカミラが【視線で会話】スキルを使っている気がするが、気にしない。


俺は、空気が読める男なのだ。




地下シェルターは、完全な密室だった。


窓はなく、壁は分厚い魔法鉱物。

爆発を前提に作られた空間で、これ以上ない訓練環境だ。


「よし。ここなら遠慮はいらないな」


「すごいですね……なんだか、秘密基地みたいです」


リリがきょろきょろと辺りを見回す。


「早速続きをしよう」


「はいっ、魔王様っ!」


返事はいつも通りだが、どこか気合が入っている。


いや、正直な所さっきから何か違和感を感じている。

が、気にせず続けることにした。


「よし!じゃあまずは手の甲からいくぞ」


リリが、少しだけ緊張した顔で手を差し出す。


白く細い腕。これを見ると、元勇者であんな戦闘が出来るとは到底思えない。

それが俺の前に無防備に晒されている。


(……落ち着け)


ゆっくりと、手を重ねる。


触れる寸前…


ボンッ。


「あうっ!?」


小さな爆発が起こる。


リリの腕が弾かれて、袖が裂け


白い肩が覗いた。


「リリ!大丈夫か!?」


「大丈夫です」


リリは軽く腕を振って、すぐに体勢を戻す。


その顔に、妙な違和感があった。


「その……」


少し迷ってから、口を開く。


「今の、痛いんですけど……なんか、こう……」


言葉を探すように視線が揺れる。


「どうした!?」


やはり、いつもと違う違和感に俺は焦りを感じた。


「慣れて来たと言うか……体の中が……じんわり熱くなる感じがして……」


「……魔王様に……弾き飛ばされるの……なんだか、クセになりそうです……あ…あは、なんちゃって……」





「………………へ?」




リリの纏う空気が変わった。

魔窟の主と対峙した時とも別種の闇の気配。自身でも気付かない生まれ持った気質というのか。


とにかく俺は、魔王になって初めて恐怖した。


「勇者だった頃……囮として魔物に殴られていた時は、ただ痛いだけでしたけど……」



「ハジメに爆破されるのは……なんだか『特別扱い』れてるみたいで……」



「もっと……欲しくなります……」


リリは、破れた服から覗く鎖骨を自分でもどかしそうに指でなぞりながら、熱い視線をハジメに投げかける。



「ま、待てリリ」


「落ち着け。これはあくまでスキルの制御訓練であって、お前をメス豚ドMにする儀式じゃないんだぞ!?」



「いいえ! 魔王様! さあ、もっと! 」


「もっと距離を詰めてください! 爆発しても、私、絶対に離れませんから!」


リリは煤まみれの体でゆらりと動き、今度は自分からハジメの懐へと飛び込んでくる。


「おい、よせ! 近い! 顔が近い!!」



ボンッ! ボンボンッ!! ボフンッ!!!


連続して発生するピンク色の爆発。


室内は煙で真っ白になり、その中から「はぅんっ!」「もっと……もっとですぅ……!」というリリの、あまりに不適切な悲鳴が響いていた。



その頃。


一通り満足したカミラとザルドスは、世話の焼ける魔王と元勇者を確認に来ていた。



扉越しに響く爆音に、耳を押さえるザルドス。


「……なあ、カミラ」


「なに?ザルドス」


少し甘い余韻を感じる口調にザルドスは意識を引戻す。


「二人はどうなってるんだ」


「順調なんじゃない?」


「ただ人目を憚らず、イチャつきたいだけに感じてるのは俺だけか?」


「正しい感覚だと思うわ。あれで隠せてると思ってるのかしら」


「今更自分のスキルで、迷惑かけたとか思い始めたんじゃないか?」


「それはないでしょ。元々リア充が憎すぎて発動したスキルみたいだし、自分が充実すると思ってなかったのよ」


「だから、自分がイチャつく為に能力のトレーニングをしているの」


「とんだ迷惑だな」


「何言ってるのよ。あの能力が制御出来れば、人口も増えるし、国も再建できるわ」


「そうだな…実際、魔王様が変わってから争い事も減ったし、国は安定しているしな」


「それにしても、あの元勇者あんな感じだったかしら?纏う空気が変わったような……」


「………そうだな…」


訓練がしばらく続きそうな事を確認した二人は、

足早に訓練場を後にする。


早く戻って部下たちに、後二時間ぐらいは羽を伸ばせると伝えなくてはならない。

お読み頂きありがとうございます!

リリは何かに目覚めた様ですね。

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