気まずい
7月14日の金曜日。
俺は登校していた。
一人でというのも寂しいものである。
嶋田と無我に恋人のフリをしたっていうことはどちらかが凪と交際したいというのだろう。
高校に到着して、教室に脚を踏み入れると加藤が挨拶してきた。
「おはよー、智史!夏休みはどうするか決まってんの?」
「まだだよ。加藤さんこそどうなんだ?」
「まだだよ、私もね。新浜さんとはシたのか?」
「なんで新浜さんのこと知ってんだ?」
「なんで知らないと思ったの?見たんだから、知ってるんだよ」
肩まで伸ばした黒髪を弄りながら答えた彼女。
「そうか……」
「それで新浜さんとはシたの?」
「シてないよ」
「へぇー。じゃあね」
加藤はそれだけ言って、友達の輪に戻っていった。
俺は自身の席まで歩いていき、椅子に腰を下ろした。
新浜と出来る訳ないじゃないか、あんな存在に。
登校して、教室に脚を踏み入れると、嶋田が挨拶をしてきた。
「おはよう、内島さん……彼氏居たんだね」
「おはよう……そうなんだ。あははは」
私は気まずくなり、苦笑して、その場を切り抜けようとした。
「内島さんっ、彼とはいつからで、どっちから付き合おうって言ったの?」
「あぁー、えぇっとね……それは」
「嶋田くん、やめてあげなさいよ!!困ってるでしょ、なっちょが!しっしっ!!」
阿佐葱が加勢してくれて、片手で払った。
「うぅぅ、ごめんなさい……」
嶋田が残念そうに離れていった。
「私も聞いちゃったんだけど、彼氏出来たの?」
「あぁー、うん……話してなかったね」
「訳ありなの?」
「まぁ、そんな感じです」
「そうかぁ……」
嶋田が無我が登校して、悩み相談に乗ってもらっていた。
「なぁー、駿んー内島さんに昨日のこと聞いたんだけど話しづらそうにしてたんだけど、なんかあると思うかー?」
「話しづらそうにしたのか、ふぅ〜ん。単に那央也が苦手なだけかもよ。もう内島さんは諦めて、他の子にしたらどうよ?距離は縮みそうにないし」
「駿までそんなこと言うのかよ〜!!」
嶋田は項垂れ、諦めきれない様子で内島と阿佐葱に視線を向けた。
俺は沼田に相談していた。
「妹が俺に恋人のフリを頼んできたんだけど、まずいのかな?狙われてる妹は?」
「今のところは何か傷付けられたとかないんだろ?だったら今のところは良いんだろうよ。妹さんが助けを求めてきたら、なんとかするんだろ?それで良いんだよ」
「そうか。ありがとう、沼田」
「おう!なんかまたあったら相談にのるぜ!!」
俺は沼田と別れた。




