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浄化の雫を手に入れろ! 前編

 季節はすっかり夏になった。とは言え、僕らはいつも通りギルドに向かう。すると、副ギルド長のアクチスと受付嬢がいつになく真剣な顔で話し込んでいた。


「おはようございます、アクチスさん。」


 忙しそうだったので、すれ違いに挨拶する程度にしておいた。


「そうだ、なぁ君らは3人ともネオス級だったよな?」

「そうですわ。」

「君たち3人の実力はギルドとしても認めている。それでだ、アーゴン級への昇格クエストを受けてみないか?」


「「「はい、是非お願いします!」」」


 僕らの息はピッタリだった。


「それじゃあ、メナカイト。さっきの話を説明してやれ。」

「え、わ、分かりました。あのまず私はこのギルドの受付嬢をしています、メナカイトと申します。」


 いつもクエスト関連でお世話になっていたが、名前は知らなかった。


「こちらこそお願いします。それで、昇格クエストはどんなものなんですか?」

「オーラムさん達には、ウルズの泉で手に入る浄化の雫を手に入れて頂きたいのです。」

「浄化の雫と言えば、不浄を滅するとされる泉の水だな。」

「はい、イリスさんはお詳しいですね。実はお恥ずかしい話なのですが、私の兄がクエストの最中にヒュドラの毒の呪いに罹ってしまったのです。ヒュドラの毒を取り除くには、浄化の雫しか無いと言われています。お願いします!兄を助けるために浄化の雫を届けていただけませんか?」


「私たちが手に入れることで、お兄さんを救うことが出来るのなら、喜んでそのクエストを受けさせてもらうわ。」

「僕も同意見です。すぐに出発しましょう。」

「ヒュドラの毒は激しい痛みを伴うと聞く、手に入れるのは早ければ早いほどいいだろう。」


 満場一致で受けることになった。


「そうかそうか、受けてくれるか。ただ、ウルズの泉までの道のりは決して楽ではないからな。そうだ、メナカイトも付いて行ってやれ。」


 アクチスの提案に全員驚いている。


「その間の受付は誰がやるんですか!?副ギルド長がクエストの受付やってくださいますか!?」

「俺が?やるわけ無いだろ。ま、それはなんとかなるだろ、知らんけど。そんなことより、浄化の雫を手に入れることだけを考えてりゃいいんだよ。」

「僕たちの昇格クエストなのに、メナカイトさんが一緒にいてもいいんですか?」


「それくらい構わねえよ。というかお前らだけじゃ不安だしな。それじゃ、任せたぞ。」


 そう言って、アクチスは去っていった。


「それじゃあ、ウルズの泉に向かうわよ!」


 ここに、今回だけの4人パーティが結成された。


 ウルズの泉は、ベルセリウの南にずっと進んだところにある。まずは、バラールの森を抜けることになる。


「それじゃあ、しゅっぱーつ!!」「おー!ってあれ?」ウィットの掛け声にメナカイトだけが、反応した。


 バラールの森を進みながら、メナカイトに色々質問することにした。


「メナカイトさんは、ギルドで受付をしてますけど、以前は冒険者をされていたんですか?」


 遠回しに実力を聞いてみた。


「冒険者としてクエストを受けたことはないですけど、冒険者の救助のためにフィールドに向かうことはあるので、皆さんの足手まといにはならないつもりです。」

「オーラムとイリスは、メナカイトさんの実力を知らないだろうけど、本当に強いから安心しなさい。」


「それなら、心強いです。」

「どんな魔法を使うのだ?知っていた方が共に戦いやすいだろう。」


「それなら、ちょうど今から見せるますわ。」


 横から、魔狼の群れが現れた。メナカイトと対峙する格好になる。


「ひれ伏しなさい!!」


 そう言うと魔狼たちは頭を下にし、メナカイトに従った。


「これが、メナカイトさんの魔法ですか?」

「そうですね。私の魔法は、魔物を手懐ける魔法と召喚魔法ですね。このくらいの弱い魔物なら、私に攻撃することは出来ないです。」


 メナカイトの魔法は、群れるような魔物を相手するのを苦手な僕らに合っているだろう。


「召喚魔法を使えるなんて、すごいわね。」

「召喚魔法って珍しいんですか?」

「もちろん珍しいのもあるけど、召喚魔法は、膨大な量の魔力を持っていないと使いこなせないから、扱い手が少ないのもあるわ。」


「でも、召喚魔法を使う冒険者は、私もそうですけど、召喚魔法に関係する魔法しか使えないことが多いですよ。」

「そうだな。召喚魔法を有するものは、その魔法に特化すると言われている。ウィットもそうじゃないのか?」


「僕?なんで、僕が出てくるんですか?」


「オーラムの元素を生み出す魔法は召喚魔法じゃないのか?」


 質問を質問で返さないでほしい。というか、召喚魔法だから他の魔法が僕には使えなかったのか・・・。


「私も、オーラムさんの魔法の話を聞く限り、召喚魔法の類だと思います。召喚魔法は詠唱を必要しないものもありますから。」

「そうなんですね。あと、話は変わりますけど、ウルズの泉ってどんなところなんですか?アクチスさんの話では相当危険って感じでしたけど。」


「ウルズの泉は、世界樹ユグドラシルの根もとにある3つの泉の1つです。ウルズの泉はその浄化作用から悪しき心を持つものは近づけないので、危険な魔物がいることは無いと思います。ですが、本当に危険なのはウルズの泉とバラールの森を繋ぐ、ウルマン沼と呼ばれる場所です。」


「ウルマン沼?」


「はい。ウルマン沼は、”冒険者を喰らう沼”として恐れられています。」


 そんな話をしていたら、バラールの森を抜けた。目の前の沼に美味しく食べられなきゃいいが・・・。


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