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久しぶりの故郷

 暫くすると、サラマンダーの移動係を名乗る小柄な男がやってきた。


「ウォ、ウォルフラムさんから、お話は伺っております。ぼ、僕の名前は、プ、プロメテと言います。あの、その準備のほうは大丈夫ですか??すみませんその、急かすという訳ではないんです。僕の方は、いつでも大丈夫です。」


 違う意味で大丈夫ではなさそうだ。


「それで、どうやってホーナー村まで向かうのだ?」

「こ、こちらに来てください。」


 そう言って、プロメテに開けた場所へ案内される。


「気球ね。これで移動するの?」

「は、はいそうです。それでは早速乗り込んでください。」


 乗り込むと気球は浮き始め、高度を一定に保ったまま、気球は進み始めた。


「飛行魔法ですか、こんなに大きい気球を動かすなんてすごいですね。」


 まだ、5,6人は乗れそうなほど気球に乗れそうだった。


「そ、そんな、僕なんてまだまだですよ。それに、戦闘には全く参加できないので、サラマンダーの皆さんの足手まといになっていますし。」

「飛行魔法を使えるものは多くないのだ、戦えないとは言え、謙遜することではないだろう。」


「それにしても、本当に高いわね!人がアリのようだわ!」


 どこかの独裁者みたいな言い方だな。


「そのプロメテさん、サラマンダーにはクリプトス級とゼノン級しかいないって聞いたんですけど、マグネスもそうなんですか?」

「はい!マグネスさんはクリプトス級の冒険者ですよ。サラマンダーの中では一番新参者なので、僕にも優しくしてくださいますし、実力も高いお方です。お知り合いですか?」

「まあ、少し縁がありましてね。」


 しばらく、風景を眺めていたところにウィットに肩を叩かれた。


「ねぇオーラム、そろそろ話してくれないかしら?」

「何をですか?」


「あなたが、自分の家に帰りたくない理由よ。」


「僕にとっての家はベルセリウにありますし、いつも帰っていますよ。」

「そうじゃなくて、生まれ故郷のホーナー村にある家よ。」ウィットは真剣なまなざしでこちらを見つめる。


「分かりましたよ。ただ、そんな面白い話でもないですよ。」


 そう言って僕は、幼少期にずっと魔法が使えなかったこと、そして魔法が得意だった従弟のマグネスと比べられていたこと、母からのプレッシャーに耐え切れず18歳のときに家を出たことを説明した。


「うぅう、ぐすん。オーラム、あなた大変だったわね。」


 何故かウィットが泣いていた。


「なるほど、そんな過去があったとはな。」


「そ、それじゃあオーラムさんは、マグネスさんのことが嫌いなのですか?」

「嫌いではないですよ。マグネスは口が悪いし、強引なところも多いですけど、思いやりが出来る人だと理解しているのでね。」

「よ、良かったです。マグネスさんは、再びあなたに会いたいと言っていましたから。」


「さ、僕の話はこれくらいにして、ホーナー村が見えてきましたよ。」遠くにホーナー村が見える。5年前と風景がほとんど変わっていなかった。


 僕らは気球を降り、依頼主である村長の家に向かった。ノックをすると、村長のシュティッケンさんが現れた。


「すみません、僕たちヘルハウンドの討伐にきた冒険者なのですが、お話をお聞かせ願えませんか?」


 僕は、狩猟手形を見せた。


「おお!ついに来てくれたか!まぁ中に入ってくれってあれ?お前さんワズワースさんのところの子どもじゃないか?」

「そうです、お久しぶりです村長。まずは、クエストの話からしませんか?」


「ああ、分かった。依頼の内容は、知っての通りこの村の深夜にヘルハウンドが出没しているという目撃情報が寄せられている。これでは村民たちも安心して熟睡もしづらいだろう。そこで、冒険者たちにはヘルハウンドを退治してほしいのだ。」


「分かりましたわ。それでは、夜にこの辺りに現れるヘルハウンドを待ち構えればいいという訳ね。」

「ヘルハウンドは群れる魔物ではないが、足の速い魔物だ。取り逃がさないようにしなくてはな。」


「それで、私たちはどこに泊まればいいの?今日の夜から見回るけど、毎日ヘルハウンドが現れるって訳でもないでしょう?」


「それなら、もうそろそろ迎えのものがくるはずだ。少し待っていてくれぬか?」しばらく待っていると、扉が開かれた。


「冒険者の皆様、長い旅路お疲れでしょう。私の家でどうぞおくつろぎください。」


 そう言って現れたのは、アージェント・ワズワース、僕の父だった。父に連れられて、5年ぶりの家に向かった。


「ただいま、フルミナ!冒険者の人たちを連れてきたぞ。」

「あら、お帰りなさい。」


 父さんにそう言った直後、母は僕に気付いたようで抱きしめられた。


「久しぶりです。母さん。」


 母さんは涙を流しながら、


「オーラム、オーラムなのね。もう会えないんじゃないかとさえ思っていたわ。ごめんなさい。本当になんて謝ったらいいのか分からないけど、ごめんなさい。」


「謝らないでください。もう子どもの頃のことは気にしてませんから。それより、パーティの仲間もいるんですから、もう離してくれませんか?」


 プロメテはともかく、2人に見られるのは少し恥ずかしかった。


「フルミナ、料理を用意してくれているんだろう?早速、食べようじゃないか。」


 母が用意した豪勢な食事をとり、ヘルハウンドを退治する準備を始めた。。


次話はやっと化学の話ができそうです

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