再会と帰郷
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いつも通り、ギルドに向かうと、人だかりが出来ていた。
「また、何かあるんですか?」先日のようにクエスト参加者を募っているのだろうかとウィットに聞いてみた。
「今日は、そういうのじゃないわ。有名人が来ているのよ。」
「有名人?どういうこと?」
「この大陸で2番目に栄えている都市、クライゼンで冒険者をしている人たちで、パーティメンバーにはクリプトス級とゼノン級しかいない実力派のパーティよ。炎魔法の使い手が多いことから、付けられた異名は『サラマンダー』。冒険者をしている人の中では有名だわ。」
「パーティに名前付いてるのなんかアレですね。」言葉を濁しておいた。
「まぁ名前が付けられるくらい有名ってことよ。」
「それで、クライゼンの冒険者たちがなぜ、ベルセリウまで来てるんですか?」
「どうやら、魔物を追ってここまで来たらしい。」
「さ、それじゃあ私たちの今日やるクエストを決めましょうか!」
「そうですね。」クエストボードに向かい、受けるクエストを品定めしていく。
「それなら、良いクエストがあるぜ、オーラム。」すると、後ろから呼びかけられる。
ウィットとイリス以外で、僕のことを名前で呼ぶなんて誰だろうと思って振り返る。
「あのオーラムが、この町で冒険者やってるなんて驚いたぜ。会うのは5年ぶりくらいになるか?」
「なぜ、ここにいるんですか?マグネス。」そこにいたのは、いとこのマグネスだった。
「何故って、俺はサラマンダーの一員だからだよ。」
「オーラムってそんなすごい人と知り合いだったの!?」ウィットが話に入ってきた。
「マグネスは、いとこです。それよりも、受けるクエスト決めましょうよ。」
「だから、クエストは俺が紹介してやるよ。」
「どんなクエストなんですか!?」ウィットが乗り気になっている。
「ちょっとここから遠い場所のクエストなんだけど、」
マグネスが言うには、深夜の農村に現れる魔物を退治してほしいということだった。
「そのクエストを受けるのは僕たちじゃなくてもいいでしょう。他にも冒険者はたくさんいますし。」
「とにかく、ここにクエストの詳細が書いてある。俺たちは今、この辺りから動けないから頼んだぞ。」そう言って、マグネスは仲間のもとに戻っていった。
「それで、どのようなクエストを頼まれたのだ?」イリスにマグネスから貰った紙を渡す。
「ホーナー村の深夜に現れるヘルハウンドを狩れというクエストか。ホーナー村はどこにあるのだ?」
「私も知らないから、この近くにある村ではないわね。」
「ホーナー村に行くには、歩いて2日くらいかかると思いますよ。」僕は答える。
「そんなに遠い場所、行くだけで一苦労ね。」
「確かに、私たちが受けるべきではないかもしれぬな。」
「そんなこと言わないでくれよ、かわい子ちゃんたち。」
全身を白で身にまとった、軽薄そうなおじさんが僕らに声をかけてきた。
「も、もしかして、あのウォルフラムさんですか?」ウィットが声を震わせる。
「こんなお嬢様が、おじさんのことを知ってくれているなんて嬉しいねぇ。」
「誰ですかね?」僕とイリスは知らなかった。
「ああ、おじさんはウォルフラムという冒険者さ。マグネスは、私たちの代わりにクエストを受けてくれると言っていたのだが、違ったのかな?」
「申し訳ないのですが、パーティで相談した結果、受けな「受けます!是非クエストを受けさせてほしいです!」ウィットが僕の言葉を遮った。
「そうか!それはありがたいな。もちろん、元は私たちが受けるはずだったクエストだ。ただでとは言わない。報酬をさらに追加するし、ホーナー村の近くまで、君たちを送り届けてあげよう。」
「本当ですか!?ありがたいです!」
「そうかそうか。では、ニューランズ家のご令嬢、お父上によろしくね。」そう言って、ウォルフラムは去っていった。
「お姉様、いきなり意見を変えてどうされたのですか?」僕も気になっていたことをイリスが聞いた。
「あの人は、サラマンダーのリーダーにして、クライゼンで最も強い冒険者と言われているウォルフラムさんよ。恩は売っておくことに越したことはないわ。」
「そこまで、考えていたのか流石だな。」
「ところで、オーラムはベルセリウからホーナー村に行くのに2日かかるってどうして知っていたの?」
「それは、ホーナー村が僕の生まれた場所だからですね。2日かかったというのは、僕の経験則です。」
「それなら、ちょうどいいじゃない!オーラムもたまには故郷に帰りたいわよね?」
「別に僕は、そんなに帰りたいわけではないですけどね。」
「またまたー、強がっちゃって。でも、オーラムが強がるのなんて珍しいわね。」
紆余曲折を経て、ヘルハウンドを倒すために5年ぶりに故郷に帰ることになった。




