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謎の女の子

 コボルトたちは足元かおぼつかない様子だった。恐らく酒精を飲んだことが無いのだろう。そこにアルコール度数、驚異の100%が口に入れば、どうなるかは明らかだった。


「キキィ!ッキキキィイイキィ!」酔っぱらっておおらかになっているのだろう。コボルトをナイフで切りつける。凄まじい切れ味だった。あの鍛冶師は見た目に似合わず実はすごい職人なのかもしれない。


 2人でコボルトたちの海を超え、女の子のもとまで辿り着いた。


「もう大丈夫よ!お姉ちゃんに任せなさい!」

「いや、ウィットさんが妹で」途中まで言いかけて、凄まじい殺気を感じたのでやめた。


「こいつらは私を追ってい、ゲホッゲホッ。」かなり弱っているようだ。

「私たちじゃ回復魔法は使えないし、どうすれば・・・」


「痛みを抑えるくらいなら出来るかもしれません。」

「あなたは、原子を生み出すことしかできないんじゃないの?」

「そうですよ。有名な鎮痛剤があるんですよ。」そう言って、サリチル酸をアセチル化した化合物を思い浮かべた。


 生成したアセチルサリチル酸を女の子の口に運び、その後水を飲ませた。


「これで少しは痛みが和らぐと思います。もちろん、回復魔法みたいに一瞬で治るわけではないですけど。」


「まずは、私たちでこいつらを倒しきらないとね。」まだ、半分くらいコボルトは残っていた。


 しかし、エタノールのおかげで、酔っ払っていること、そしてここにいるコボルトは武器を持っておらず、その身一つで戦うため、数が多くともダガーやナイフを持つ僕らが倒せない量ではなかった。


「ハァハァ、これで全部やったか」かなり体力を使ったが、もう僕らの周りには魔石しか落ちていなかった。


「これは良い稼ぎになったわね。」2人で魔石を集めた。


魔石を集め終わると、横になっていた女の子が起き上がっていた。


「助けて頂いて感謝する。だが、やつの姿が見えておらん。」

「やつ?やつって誰?」

「このコボルトたちの長がいるはずだ。」


「おいおい、他のやつらはやられちまったァのか??」


 声のするほうを向くと、僕よりも大きいコボルトが立っていた。


「まぁ目的の女は見つけたからいいかァ、他の奴らは見たこたァねえから殺すか。」


「コボルトは知能が低いって聞いてたんですけど、言語を喋るやつもいるんですね。」

「オーラム、こいつは気を付けた方が良いかもしれないわ。あなたが、コボルトの長なの?」


「そうだ。俺はコバールト、コボルト族の長だ。魔王様の命令に従って、そこの女を渡してもらおうかァ。」そう言うとコバールトは剣を抜いた。


「はいそうですかって渡すと思う?妹を守るのはお姉ちゃんの勤めだからね。」その無理がある設定まだ続いていたんだ。


「くらえ、EtOH:エタノール!」エタノールをコバールト目掛けて放とうとしたが、手からは何も出なかった。


「オーラム、どうしたの?」

「前にもあったんですけど、もしかしたら一つの化合物に一定量しかでないのかもしれません。それで、もうエタノールが出せないのかも。」

「使えないわね。まぁいいわ。あたしがあいつの相手をするから、オーラムはその子をおぶって逃げて!」


「でも、ウィットさんを一人で置いていけないですよ!」

「いいから!絶対後で追いつくから、今は行って!」


「逃がすわけねェだろ!」コバールトが僕らとの距離を詰めてくる。すかさず、ウィットがダガーを投げて対抗する。


「オーラム、早く!」

「追いついてこなかったら、一生チビっていじりますからね!」女の子を背負ってその場を離れることにする。」


「再会したら、チビって言った分殴ってやるんだから!」


 来た道を戻り、出口を目指す。歩いていると、女の子が話しかけてきた。


「コバールトは、そこら辺にいる魔物とは訳が違う。あの子はそんなに強いのか?」

「ウィットはネオス級の冒険者ですけど、あのコボルトの長はどれぐらい強いんですか?」

「ネオス級!?それなら、足止めすら無理だろう。あいつは、数々のクリプトス級冒険者を屠ってきた男だぞ。敵う訳がない!」


「な、そういうことは先に言ってほしかったな。申し訳ないけど、僕はさっきのところに戻るから、ここからは一人で出口に戻ってほしい。コボルトはある程度倒したから、もう安全だと思う。」


「待て、今戻っても奴に殺されるだけだぞ!命を無駄にするな!」


「てめぇは命懸けて守ろうとした恩人を見捨てるのか?俺はそんな人間になりたくはないね。」女の子をにらむ。


「いや、そんなつもりで言ったわけでは・・・」

「あ、すみません。でも、僕はウィットさんに助けられたので、こんどは僕が助ける番なんです。それじゃあ。」女の子を置いて、坑道を走り出した。


「なんだァ?もう終わりか?」ウィットの投擲魔法をコバールトは全て躱した。

「私もあんたを倒せるなんて思ってないわよ。でも、時間稼ぎにはなったかな。オーラム、逃げ切ってくれたかしら。」


「ったく、また探す手間が増えたじゃねェか。この鬱憤を晴らすためにお前は簡単には殺さねェからな。もう殺してくれって言わせてやるくらい痛ぶってやるよ。」


「悪趣味な男ね。モテないわよ。」

「つくづく、癇に障るガキだな。」


 コバールトは手持ちのカットラスに魔力を込める。


「俺の魔法は剣に力を付与する魔法だ。あまりにも切れ味が良すぎて手加減すんのが難しいぜ。」


 コバールトがウィットの視界から消え、後ろに位置取った。


「まずは、腕一本もーらいっと。」カットラスが振り下ろされる。その瞬間、ナイフが飛んできて、コバールトは寸前で躱した。ナイフは頬を掠めた。


「おっと、危ねェ。なんだァ?また邪魔者かァ?」

「めちゃくちゃ強いって聞いて戻って来てしまいました。」


「オーラム!あんたなんで戻ってきたのよ!」


「ヒーローは遅れてくるものなんですよ。」


・解説コーナー

 元素の一つであるコバルトってコボルトが語源になっているらしいですね。まぁそれは置いておいて、今回はアセチルサリチル酸について書きたいと思います。アセチルサリチル酸と言っても聞いたことない人が多いかもしれませんが、アスピリンと言えば知っている人は結構多いんじゃないでしょうか?アスピリンはアセチルサリチル酸の商標名で、代表的な鎮痛剤ですね。日本では誰でも知っているバファ◯ンの主成分でもあります。このアスピリンが作られた経緯ですが、鎮痛作用を持つサリチル酸という化合物があったのですが、副作用が強すぎたんですね。そこで、副作用を抑えるために、化学合成を試した結果、アセチル化すると、副作用が抑えられることが分かり、医薬品として幅広く使われるようになったという訳です。このように、化学と医薬品は切っても切れない仲にあるということですね。


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