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ネオス級にランクアップ

 ギルドに戻り、ゴブリンの魔石を受付嬢に渡した。


「はい、確かにゴブリンの魔石、受け取りました。これで、オーラムさんを正式にネオス級として認めます。狩猟手形を少し貸してもらってもいいですか?」


 自分の狩猟手形を渡すと、受付嬢は狩猟手形に魔力を施したようだった。すると、薄紫色の狩猟手形は、オレンジ色へと変化していった。


「はい、これはお返しします。」オレンジ色へと変わった狩猟手形を受け取る。


「これで、私たちのランクも揃ったことだし、色々とクエストが受けやすくなったわね。今までだと、あなたは受けられないものもあったことだし。」

「わざわざ、僕にクエストの難易度を合わせてもらって申し訳ないです。」


「気にしなくていいわ。早く、アーゴン級になれるように頑張っていかなきゃね。」

「はい!そういえば、ウィットさんの投擲魔法ってダガーはどうしてるんですか?」


「どうしてるって、買ってるのよ。あなたみたいに、なんでも生み出せるわけじゃないわ。」

「まぁ、僕も鉄は出せないので、ダガーは作れないですけどね。」


「そうなんだ。でも今日、ゴブリンから逃げるときに5本くらい投げてきちゃって、手持ちのダガーも少なくなってきたし、買いに行こうかなぁ。」


 普段は投げたダガーは回収しているが、ゴブリンに追い回されている状況では、とてもじゃないが、回収は難しいだろう。


「じゃあ、明日一緒に買いに行きませんか?僕も何か武器が欲しいと思ってたんですよ。」

「え!?2人でってことだよね?」

「はい、そのつもりですけど。」

「ま、まぁそんなに一緒に行きたいっていうなら、言ってもあげてもいいわ。」


 待ち合わせの時間と場所を決め、この日は解散した。


 次の日、待ち合わせ場所に行くと、もう既にウィットが待っていた。


「待たせてしまってすみません。まだ待ち合わせの時間まで、30分くらいありますけど、ウィットさん早いですね。」

「べ、別にたまたまよ。ちょっといつもより早く起きただけだから!」


「それにしても、今日はいつもと雰囲気が違いますね。髪も束ねてないですし、服装もいつもの飾り気のない感じとは違いますし。」

「ほら、あれは冒険する時の格好だから、いつもと服装が違うのは当然よ。でも、オーラムは冒険の時と格好が変わらないわね。」


「まぁ防具らしい防具を持ってないんで、冒険のときにする格好っていうのが無いんですよね。」

「でも、これから先、もっと危険な魔物と戦うことになるわけだから、胸当てくらいは買っておいたほうがいいわ。じゃあ、早速防具店に向かいましょうか。」


 勝手に話を進められたが、言っていることは正しいので、近くに見つけた防具店へと向かった。


「いらっしゃい!うちは安くていいもん揃ってるよ!」


 2人で置いてある胸当てを物色する。


「これなんか、良さそうじゃない!」ウィットが指さしたのはアルミニウム合金でできたチェストプレートだった。確かに軽くて丈夫そうだが・・・


「値段高っ!!」30万カイザーなんて、さすがに払えない。そんなものお勧めしないでほしい。絶対買わないから。

「でも良さそうじゃない。もし手持ちが足りないなら、貸してあげようか?」

「こんなお金、ポンポン貸せるなんて、ウィットさんってすごいお金持ちなんですか?」

「え、えーっと、そ、そんな訳ないじゃない!そ、そうね、ちょっと高いわね。」


 ちょっとではないが、まぁいい。結局、僕でも買えそうな胸当ては大体、鉄製のもので、とてもじゃないが、装備して走るのが難しそうなのばかりで機動力と防御力を天秤にかけた結果、しばらくは、機動力優先で、防具は付けないことにした。


「そういえばオーラムは、どうして武器が欲しくなったの?あ!まさか、私の戦い方に憧れちゃったとか?そっかそっか、ま「全く違いますね。」


「ゴブリンたちをエタノールで酔わせた時に思ったんですけど、僕の魔法って相手を弱らせることは出来るんですけど、致命傷を与えるのは難しいんですよね。だから、なにかしらの刃物は持っておいた方が良いのかなと思ったんですよ。」

「確かに、一理あるわね。じゃあ、私がいつもお世話になっている武器屋を紹介するわ。こっちよ」


 ウィットに連れてこられ、人通り少ない路地裏にある下へと続く階段を下る。扉には看板のようなものも無く、一目ではここが武器屋だとは分からないだろう。


 中に入ると、壁一面に刀剣が並んでいる。しかし、店員の姿は見当たらなかった。


「おーい!フェルムさん。いますかー?」ウィットが大声で呼ぶと、奥から大男が出てきた。


「あらやだ!ウィットちゃんじゃないのー!ひさしぶりー元気してたー?私は元気マンマンだぞっ。」


 口紅をしたムキムキのオッサンだった。色々とキツイものがある。そんなにまつ毛を盛らないでほしい。


「フェルムさーん、実はまた手持ちのダガーが少なくなってきちゃったんですけど、新しいの出来てますか?」

「もっちろんじゃないのー。ウィットちゃんのことを想いながらいっぱい作ったぞ。」


 どうやら、定期的にダガーを作ってもらう関係らしい。


「それにしても、この男の子はだあれ?ウィットちゃんの友達?」

「ああ、紹介するね。私のパーティメンバーのオーラムよ。今日は彼の武器探しに来たの。」

「そうなんだー!私は、鍛冶師のフェルム、よろしくねー。」握手を求められる。


「こちらこそ、よろしくお願いします。って痛い痛い痛い!ギブギブギブ!」手を万力のような力で握ってきた。


「あら、あんまり歯ごたえの無い男ね、ちゃんとついてるのかしら?」


 ついてるわ!というか滅茶苦茶、手が痛い。


「えっと、あんまり大きくないサイズの刃物を探してるんですけど。」


 素人の僕に、刀や両手剣といったものが使えるとは到底思えないので、武器はナイフにしようと考えていた。


「あなたは近接で戦うっていうタイプじゃないでしょ?だから、この短剣がいいと思うの。」


フェルムさんが持ってきたのは、シンプルな形状のナイフだった。


「ちょっと試しに振ってみてもいいですか?」

「ええ、もちろんよ。」


 取り敢えず、何度か振ってみたが、良いものかどうかは、僕が刀剣に関して全く知識がないのでわからないが、ウィットのおすすめの店ということで、買う事にした。


「フェルムさん、今日はありがとうございました!またお願いします!」

「また、ウィットちゃんに暫く会えないなんて寂しいわー。いつでも顔見せに来てね!あと、オーラムちゃんは、もっと強くなったらまた来なさい。その時はあなた専用の武器を作ってあげてもいいわ。チュッ。」


 投げキッスは余計だと思った。


 その後、ウィットさん行きつけのあの狭いバーで酒を飲んで、この日は終わった。


・解説コーナー

 少し鉄について触れたので、鉄の話でもしましょうか。遷移金属であり、ほうれん草やレバーに多く含まれている鉄ですが、特徴的なのは色の変化ですよね。黄色だったり青色だったり赤褐色だったりと、授業などで覚えさせられた人も多いんじゃないですかね。よく、鉄でできたものを触ったあと、手が鉄臭いみたいな言い方しますよね。あれって実は鉄のにおいでは無いんですね。人の手に含まれる皮脂と鉄イオンが反応して作られる化合物があのにおいを発しているんですね。


評価、ブックマークの方よろしくお願いします。

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