表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アナザーディメンション  作者: ユリス
四章『デッド オア アライヴ』
10/11

デッド オア アライブ2

 目覚めようとしている意識の中話し声が聞こえる。

「ねぇ! ちょっとやりすぎじゃないの?」

「手加減してたらオレが負ける可能性があったんですから、本気は出さないにしろ普通に戦いましたよ」

「じゃあ、何で目を覚まさないの!」

「あと少しで起きますよ」

「さっきもそのセリフ聞いたよ!」

「勘弁して下さいよ姉御」

「姉御言うな!」

 その会話のおかげ(?)でゆっくりと目を覚ます。

「あっ、姉御目を覚ましましたよ」

「本当!?」

 完全に目を開くと目の前にはエイルの顔がアップで見える。

「うわっ!」

「ひどいよガルム……そんなに驚かなくてもいいのに……」

「いやいや、起きて人の顔が近くあったら誰でも驚くと思うよ」

「そうかなぁ?」

 目を閉じ顎に手を持っていくと考える仕草をする。

「…………」

 エイルの仕草を見つめつつ寝起きの頭で考える。

「そうだ。フリッグにやられたんだった。ってことは、ここは天国? はないか地獄かな」

「どっちでもねぇーよ」

 フリッグは正成に緑色の液体が入ったコップを右手で差し出す。

「どっちでもない? ってことは生きてる?」

 独り言のように言うと、ぼーっと数秒緑色の液体を見つめた後、フリッグからコップを受け取る。

「ったりめーだろ」

「何で?」

「話はそれ飲んでからだ」

 とりあえず、正成は言われた通り緑色の液体を飲んで見る。

「にがっ! ごほっ、ごほっ」

 あまりの苦さに正成はむせる。

「そうだろ、そうだろ。そいつは薬草を煎じたものだからな。残さずに飲めよ」

「えっ? フリッグ!?」

 薬草の苦さで完全に目が覚めたのか話している相手にやっと正成は気付く。

「気づいてなかったのかよ。さすがボンクラだな。いいからそれをさっさと飲め」

 ごくっと生唾を飲むと、一気に飲み干す。途中でむせようとしたが何とか我慢する。

「いい飲みっぷりだな。もう一杯いくか?」

「いえ結構です」

 正成の持っているコップをフリッグは奪い取ると洗い場まで移動する。

「ねぇ、やっぱり驚くことじゃないと思うよ」

「えっ?」

 もうその話は終わっているものとしていたのでいきなり話を戻されて驚きを隠せない正成である。

「さっきの話だよ! もう! 真剣に考えてたのに!」

 エイルが頬を膨らませ両手を上下に振りながら言うと、ツインテールも一緒に揺れてエイルと同じような感情になっているように見える。

「ご、ごめん」

 今度エイルにしてみようかと思うが、エイルに顔を近付けることを考えると顔が赤くなる。

「どうしたの? 急に顔赤くなったけど大丈夫?」

「だ、大丈夫、大丈夫」

「本当に? 起きたばかりだから体調戻ってないのかな。もう少し寝てたほうがいいんじゃない?」

「いやいや、本当に大丈夫だから!」

「そう? ならいいけど体調悪かったらちゃんと言うんだよ」

「ありがとう」

「いいってことよ」

 笑顔でエイルが言う。

「で、起きてからものすごく気になっていることを訊くが、エイル何で俺生きてるの?」

「それはねフリ……」

「姉御、説明はオレがしますよ」

 フリッグが洗い場から戻ってくるとエイルの喋りを遮る。

 正成はエイルから教えてもらいたいが、ここでそんなことを言おうものなら本当にフリッグに殺されてしまうのではないか、と思い絶対に言えなかった。

「えー、私でもいいじゃん!」

「姉御が話すとややこしいことになりそうなので」

「ややこしいって失礼な!」

「すみません。でも、姉御が話している途中でオレが止めに入ることになるのはまず間違いないかと」

 なんとなく正成は分かる気がしてエイルには悪いが苦笑いが出る。

「そんなに言うならどうぞ。ふーんだ!」

「それじゃボンクラ」

「えっ? 本当にそのまま進めるの!」

 驚きの後にエイルがしょんぼりとする。

「姉御。話し進まないのでちょっと置いておきます」

「で、何で俺は生きてたんです?」

「借りがあるからだよ」

「借り?」

 よく分からないといった感じで首を傾げる。

「あいつらのことだよ」

「ゲルドとベリのことですか?」

「ああ、ボンクラには姉御を助けてもらった礼があるからな。そいつを殺すなんてことオレは出来ない」

「なるほど。だから生かしてもらえたんですね」

 エイルを助け出してなかったら確実に死んでいたと考えると寒気がする正成。

「まぁ、そういうことだ。それとまだちゃんと言ってないから言っておくすまかったな。姉御を助けてもらって感謝している」

 目を瞑り頭を下げるフリッグ。

「えっ? いやいやいやいや! 頭を上げてください」

 いきなり頭を下げられてどう対応していいか戸惑う。

 目を開きフリッグは頭を上げる。

「ちゃんと言っておかないとな」

「ってことは、もしかして始めから殺す気はなかったってことです?」

「もちろん」

「じゃ、何でそんなことを言ったんですか……?」

「ああでも言わねぇーとボンクラが本気で戦わないってことがあるだろ」

「……なるほど」

 少し考えてフリッグの言う通りなので納得する。

「それにだ。もし本気で戦おうと思っても負けても大丈夫って分かってたら無意識で最後まで全力でやらなくて諦めるところがあったら嫌だからな」

 フリッグの言葉を聞いて正成は最後の場面を思い出す。

 体力ギリギリで戦っててあの場面で負けてもいいって思ったら最後まで足掻いたかすごく怪しいところ。

「……た、確かに」

「おいおい、これはマジで言わなくてよかったぜ」

 顔を手で覆い残念な感じでフリッグが言う。

「なんか、すみません」

「謝ってんじゃねぇー!」

「ひぃ!」

 大声でフリッグに一喝されてビクッとなった。

「ボンクラは強かった。だが、オレほどではないし、ゲルドが本気でやったらゲルドより弱い。正直なところ何で姉御がてめぇを選んだのかまったく分からねぇーくらいだ」

「それは俺も分からないです……」

 エイルに正成は説明はしてもらったが、他の人でもいいのではないかと今も思ってる。フリッグとの試合に負けてしまいさらに思いは強くなったからフリッグに言う。

「おっ? 私の出番だね! それはね……」

 しょんぼりしていたエイルがぱっと笑顔になり説明しようとするが、

「姉御。もうちょっと大人しくしててもらえますか?」

 フリッグに止められてしまい再びしょんぼりとして体操座りをする。

「フリッグ酷い……後、姉御って言うな……」

 少し心が痛むフリッグ。ここは心を鬼にしないといけない。エイルに話をさせると長くなって止められなくなる

「他に質問あるか?」

「いえ……ないです」

 あるにはあるのだが今はフリッグとの戦いのことについてなのだから違う質問をしたら答えてはくれないだろう。

「じゃ、オレから質問だ」

「はい……」

 何を訊かれるのだろうか不安でドキドキしている。

「ボンクラは戦いの時と今の時とまったくと言っていいほど態度が違っている。わざと弱く見せているのか?」

「いや、これが本当で戦っているときは虚勢を張っているだけです」

「いつでも虚勢張れるようにしろや!」

「み、身がもたないです」

「ちっ……じゃ、あの獣は何だ? あいつからはやばいにおいしかしねぇー」

「あれは俺の中に封印している獣なんです」

「ボンクラが封印? 強そうな獣を? どんなイカサマ使ったんだ?」

「エイルに手伝ってもらって」

 キャラ設定してもらっているので嘘はついていない。

 ガルムは設定上獣の名前でティウが正成の分身の名前である。

 封印してからティウはずっとガルムと名乗っている。自分が一生封印して一緒に生きていく覚悟を持ってガルムと名乗るように決めた。

 ティウが死ぬとガルムも死ぬようにはなっている。自殺をすれば一緒に死ぬのだがしない理由がティウにあって自分の国を救うこと。で、ティウが死なないよう力を貸すガルム。

 正成のプレイしていたキャラ設定をそのまま持ってきている。

 ちなみにエイル曰く「分身でも封印が解かれたら大変なことになるから絶対に気をつけてね」とのこと。

 興味本位で封印を解いてこようとする人もいるだろうからの言葉。

 それを聴いて正成はホンの少しだけだがティウの気持ちが分かる気がした。

「姉御に手伝ってもらっただぁ? なるほど。だから、獣に任せて自分は楽しているのか。ボンクラに少しで……」

「違う!」

 フリッグの言葉を遮って声を上げる。

「あぁ?」

 遮られたことで正成を睨む。

 たじろぎそうになったが自分の好きなキャラを馬鹿にされるのは嫌だった。

 正成自身を馬鹿にされることは我慢できるし仕方ないことだと思っているが、自分の好きなものを馬鹿にされることは許せない。

「確かに獣の力を借りてかなり助けられているし、エイルにも手伝ってもらってありがたいって思ってるが自分の力で獣の力を抑えているし封印できたのも俺がやったことだ!」

 ガルム・ティウの設定ではティウが封印して抑えている。もちろんティウが仲間に助けてもらって封印出来たこともあって正成の言っていることはあながち間違っていない。

「証明できんのかぁ?」

「今度は獣なしで相手してやるよ!」

「言ったな。次は獣なしでやってボンクラ自身の実力見せてもらうぜ!」

「望むところだ!」

「ったく、ボンクラも結構言うじゃねぇーか。いつもそんな感じでいろや。その威勢に免じてさっきの言葉は取り消してやるよ」

 頭を掻きながらフリッグは言う。

「…………あぁ…………」

 熱が冷めて正成は両手で顔を覆いやってしまったと心で嘆く。いじめられていたときもよくあったのだが当然ながら返り討ちにされていた。

『ただいまー』

 ゲルドとベリがハモって言う。

 二人の両手には袋いっぱいの食料。

「おっ、ちょうどいいところに帰ってきたな」

「おかえりー」

 いじけていたエイルが笑顔で出迎える。

『よっこいしょ……』

 ゲルドとベリは荷物を保存庫まで運び下ろす。

「ねぇ二人とも聞いてよ! フリッグ酷いんだよ! 私の話全然聞こうとしないんだから!」

「は、はぁ……それは大変でしたね」

 ゲルドが苦笑いで答える。

「てめぇらご苦労だったな」

 フリッグがゲルドとベリに声を掛ける。

「量が多くて大変でしたよ……」

「あぁ? これぐらいで嘆いてんじゃねぇー!」

「す、すみません」

反射的にゲルドは謝ってしまう。

「ちょっとフリッグ! 今は私が話してたんだから邪魔しないであっち行ってよ!」

 眉を上げ両手をバタバタしながら言う。もちろんツインテールも一緒にバタバタしている。

「じゃ、姉御が料理作ってくださいね」

「えっ?」

「今から下ごしらえしておこうかと思ったのですが、姉御が遠ざけようとするなら出来ないじゃないですか。だから、話し終わったら姉御が作ってくださいね」

 エイルに背を向け正成のところに戻ろうとするが、

「ちょっと待って!」

 声を上げてフリッグの腕を掴むエイル。

「何ですか?」

 フリッグは振り向きエイルを見ると、涙目の上目遣いですごく悲しい顔をしている。

「ごめんねフリッグ。お願いだから……お願いだから作ってください」

「はぁ……分かりましたからその手話してください」

 ため息をついて頭を掻きながら疲れた感じで言う。

「本当に? よかった!」

 先ほどの悲しい顔が嘘のように満面の笑みになる。

 正成はその様子を見て子供が親に物を買ってもらえるようおねだりして、買ってもらえたときみたいだと思うと同時にそんなにフリッグの料理は美味しいのかすごく気になり始める。

「ボンクラと待っててください」

「了解です!」

 エイルは敬礼して正成のところに行く。

「俺っちは手伝ったほうがいいっすか?」

「いや、てめぇもあっちで待ってろ」

「了解」

 ベリは袋から食材をずっと出していてやっと出し終えたところだ。

「もういいぜ。ベリも一緒に待ってていいぞ」

「はーい」

 ベリとゲルドとエイルが正成のところに来て座る。

「危うくフリッグの料理が食べられないところだったよ」

 エイルが右腕で額を拭う。

「まぁ、あんな顔されて言われたら俺も断れる自身はないな」

「あっ、俺っちも」

 断って泣かれでもしたらと考えると絶対と言っていいほど断れる気がしない。正成は人生で初めて女性の涙は怖いなと思う。

「えっ? じゃ今度ガルムに頼むときにやってみようかな」

「わたしもお兄ちゃんにやってみよう」

 女性二人が恐ろしいことを言うので、慌てて正成とゲルドが、

『絶対にやめてくれ!』

 声を合わせて強めに言う。

「えー、いいじゃん」

「ねー」

「全力ダッシュでその場から逃げると言っておく!」

「俺っちも賛成!」

 ビシッとゲルドは手を挙げる。

「ちぇー」

 エイルとベリは不満そうに口を尖らせる。

「さっきの話になるけどフリッグの料理ってそんなに美味しいの?」

 ゲルドとベリに訊く。

「すっっっっっっっっっっっっっっげーーーーーーーーーーーーーー美味しいっすよ」

「いま期待している以上だと思って大丈夫だよ」

 エイルが言っていたことは本当だった。信じていない訳ではないがエイルだけが言っている可能性も無きにしもあらず。真偽を確かめるべく正成は訊いたのだが、

「あぁ! 酷い! 私の事信じてないの!」

 正成の頭を両手でポカポカと軽めに叩く。

「ご、ごめん。他の人の意見も聞いてみたくてつい」

「ついじゃないよ!」

 エイルは腕を組み頬を膨らませる。

「おいてめぇら! あんま期待させるようなこと言うんじゃねー!」

 声が大きかったのかフリッグのところまで話が聞こえていたようだ。

「本当のことだからいいじゃないっすかー」

 ゲルドがフリッグに聞こえるように声を上げる。

「ゲルドてめぇだけ飯抜きな」

「ちょっ! 勘弁して下さい! すみません!」

「分かったら変なこと言うんじゃねーぞ!」

「了解です!」

 フリッグには見えていないのに敬礼するゲルド。

「これで分かったでしょ! もう絶対に疑ったりしたらダメだからね!」

 人差し指を顔の前に立てて不機嫌そうな顔でエイルは言う。

「お、おぅ……」

「気になってたんだけどガルムってどこの国の人なの?」

「日本って言っても分かんないか……どう言ったらいいんだろ?」

 眉間に皺を寄せ考えながらエイルの方を向く。

「別に隠すようなことでもないし、本当のこと言っていいよ」

「えっ? 異世界からって言って通じるの?」

「説明しなきゃ無理」

「わたしそんなに難しいこと訊いてないよね?」

 ベリは二人で話し合っているのがよく分からないといった感じで首を傾げる。

「えっとね。ガルムは私がこの世界とは全く違う世界から連れてきたの」

「違う世界から連れてきたって何で?」

「この世界を救ってもらうためだよ!」

「は?」

 ベリが正成と同じような反応する。

「だ・か・ら! この世界を救ってもらうために連れてきたの!」

「はははははははははははは!」

 ゲルドがお腹を抱えて大爆笑。

「冗談だよね?」

「私は冗談なんて言わないって!」

 頬を膨らませ床を勢いよくダンッと叩く。

「まぁ、そんな反応になるのよね……」

 正成は苦笑いしながら普通の反応ってこうだよなって安心する。

「いやいやいやいや! はははははははははははは!」

 否定しながらもゲルドの笑いは止まらない。

「お兄ちゃんには勝てたけどフリッグさんには勝てないのにどうやって救うの?」

「これから鍛錬して強くなっていくから大丈夫! さらに今日敗北を知ったことで鍛錬に一層磨きがかかってフリッグをもすぐ凌駕してしまうんだからね!」

 自信満々に何故かドヤ顔でエイルは誇っている。

「その自身がどこからくるのか不思議なんだけど……」

「俺も同じく」

 正成が目を瞑りながら頷く。

「私が見込んだ人なんだから自身を持つのは当たり前でしょ! それと、今日負けたから訓練を強化してさらに強くしていくからね!」

 エイルは正成の両方のほっぺを掴むとグイッと上げる。

「ふぇー、ふぁんふぇんしふぇー」

 勘弁して、と言いたかったが上手く言えず変な声になる。

「すごく信頼しているのが分かるからいいね」

 ニコッとベリがすると可愛くて正成の顔が赤くなる。

「はははははははははははははははははははははは!」

「お兄ちゃんはうるさい!」

「ぶふぉ……」

 ベリがゲルドのお腹にエルボーを叩き込んだので、ゲルドは笑いから一転悶え苦しんでいる。

「ガルムはデレデレしないの!」

「いでででででででででで!!!!」

 思いっきりほっぺをつねり上げられて、違う意味で頬が赤くなる。

「それにしても違う世界からねー」

 物珍しそうに正成をベリがジーッと見る。

「異世界だよ。期待しててねベリちゃん」

「き、期待ねぇ……」

 残念そうな視線を正成に送る。

 正成がエイルの手をどけると質問をする。

「さっきからこの世界って言ってるけどアルムヘイムってとこだけじゃないの?」

「何言ってるの! 世界を救うイコールアルムヘイムを救うってことなんだよ!」

 話が大きくなりすぎて、正成はさらに自信がなくなっていく。

「訊きたかったんだけど、この世界を救うって何からなの? ものすごく平和そうに見えるけど?」

「世界を支配しようしている者がいるんだよ! その魔の手から救ってほしいの」

「あぁ、よくあるやつね。人類滅亡させようとしたり洗脳したりして自分のいいような世界にする。後は、世界を滅ぼしてやり直すみたいな?」

「そうそう最後のが当たりだね! 物分りいいね」

「まぁ、異世界の話はいろいろ見てるし」

「ってことで世界平和のため一緒に頑張ろうね。ラブアンドピースだよ!」

 エイルは手でハートの形を作るとブイサインをする。

「お、おぅ……。で、親玉みたいなのって分かってるの?」

「さぁ?」

「探さなきゃいけないのかよ……」

「まぁ、その為にわたしたちがいるんだよ」

 ベリが話に入る。

「どういうこと?」

「国に反逆、抵抗する者たちが集まっている『レジスタンス』わたしたち兄妹はそこにいるの。まぁ、反逆、抵抗って言ってもその国を守ろうと戦ってるってこと」

「おぉ!」

 正成は目をキラキラさせながら聞く。漫画やアニメで知識はあるが実際に存在していることを知ってテンションが上がっている。かっこいいイメージがあるからだ。

「ある程度親玉の目星は付けてるって感じみたいだけど、わたしたちも知らないんだよね」

「残念。どうやって探すかも考えないといけないのか」

「そのへんは『レジスタンス』が頑張ってるけど、全然だね。後フリッグも探すのは手伝ってくれてるよ。修行しながらだけどね」

「あぁ、俺の知力では役に立ちそうにないってことね。フリッグも?」

「そっ、元『レジスタンス』だからね」

「なるほど。だから連れ戻したくてあんなことを……」

「おいベリてめぇは飯を食いたくないようだなぁ!」

 下ごしらえを終えて戻ってきたフリッグに頭を鷲掴みにされベリは冷や汗が止まらない。

「す、すみません」

「謝るなら最初からそんなこと言うんじゃねー!」

「はい!」

 エイル、ゲルド、ベリがイエローカードを貰ったみたいで後二回言われたら本当にご飯抜きになるのではないのかと正成は思ってしまう。だがエイルはレッドカードになっても食べさせてもらえそうだ。

「そこで悶え苦しんでいるやつ。もっと鍛えたほうがよさそうだなぁ。もっと厳しくするぞ」

「や、やだなー。演技だよ演技! 苦しむわけないじゃないっすか。だから厳しくしないで」

 すぐに正座して言い訳をするゲルドだが最後に本音がポロリと出ている。

「ちっ……いいかボンクラ。『レジスタンス』に興味持つなよ。後関わるのはもっとするな」

「えっ?」

 内心興味津々でワクワクが止まらない感じだったが一瞬にして凍りついてしまう。

「関わろうと考えているならボンクラの飯はないと思え!」

 思わぬところで正成にもイエローカード。だが返答によっては一発レッドカードも有り得そうなのが怖い。

「わ、分かりました……」

 正成はしぶしぶ答える。ここまで期待させられてご飯抜きは絶対に避けなければならない。

「どいつもこいつもいらつかせやがる。後ベリ『レジスタンス』のことを簡単に喋るんじゃねーよ! 誰が聞いてるか分からないんだぞ!」

「ガルムになら話してもいいかなって思って。エイルさんが異世界から連れてきた人だし」

「だからって軽々しく喋ってんじゃねー! ボンクラには教える気はなかったがな。まぁ、口止めしてなかったオレもオレだが」

「でも私は教える気でいたよ。この世界のことを知ってもらわなきゃいけないし。早いか遅いかだね。あっ私説明しなくてよくなったからいいことなのかも!」

 左手をパーにして右手をグーにして右手で左手の平をポンッと叩く。

「さて、と。今日の飯は四人分と」

 先ほどのエイルの言葉でフリッグは怒りが頂点まで達したらしい。

 エイルがレッドカードをもらう。

「えっ? 一、二、三、四、五? フリッグ一人少ないよ? もしかして、フリッグ食欲ないの?」

「オレじゃないです」

「じゃ、ベリちゃん?」

「違います」

「ゲルド?」

「違います」

「えっ? ガルムなの!?」

「違います」

「ん? じゃ全員分作るってことなのじゃないの? フリッグ数間違えたらダメだよ。危なかったね」

「姉御ですよ!」

「ええぇ! 私!? 何で!?」

 正成、ゲルド、ベリの三人が苦笑いで見ている。何で自分は入れないのかと思いつつ。

「自分の胸に手を当てて聞いてみてください」

「分かった。……………………………………これで何か分かるの?」

「はぁ……言ったオレが悪かったです」

 ため息をついてフリッグは本気で頭を抱えている。

「なんか気に触るようなこと言ったなら謝るから、ちゃんと私の分作ってよね。ねっ? ねっ?」

 両手を合わせて祈りを捧げるようにフリッグにお願いする。

「分からないのに謝られてもって感じなので……」

「えーっ……本当に? 本当に作ってくれないの……?」

 フリッグの言葉を遮って本気で泣きそうな顔になる。

「最後まで話を聞いてください。オレの料理の手伝いをしていただいたら作ることにします」

「何それ!?」

 すっごく嫌そうな顔をするエイル。

「このままのさばら……いえ、ボンクラたちと一緒に居たらまた変なことを言いそうなので」

 正成が確かにと思いつつ大きく頷く。

「へんなこととか言わないよ! 言った覚えないし! まぁいいか。でも食べられないよりはそれで手を打つしかないね……」

 レッドカードをもらっても正成の予想通り何とかして逃れることが出来ている。まるで、レッドカードが出た瞬間黄色いスプレーで一瞬にして黄色にしてレッドカードをイエローカードにしているみたいだ。

「自覚がないのだからどうしもない……じゃ、姉御は手伝ってくださいね」

 最初の言葉をボソッと言うと、疲れ感じでエイルに言う。

「はーい……」

 エイルはしぶしぶ返事をする。

「ふぁ~あ……」

 正成が大きな欠伸をする。

「まだ寝ててもいいよ。まだきついんじゃないの?」

「そうさせてもらおうかな」

「飯の時間までゲルドとベリは修行だな。付いて来い!」

 フリッグがテンション高く楽しそうに言うと、

『マジで……』

 ベリとゲルドは引きつった顔をしてすごく嫌そうだ。

「あぁ?」

 フリッグが二人を睨みつけると、

『行きましょう!』

 元気よく二人が言うと三人はそのまま家を出て行く。

「フリッグなりに気を使ってくれたんだと思うよ。ゆっくり寝てていいよ。ご飯の時間はちゃんと起こしてあげるから心配しなくて大丈夫だからね」

「了解。ありがとう」

 フリッグのこと怖い人だとばかり思っていた正成は今回のことでいい人の部分を見て上手くやって行けそうな気がしたが、まだ怖い部分の方が勝っているので当分は厳しそうだ。

「じゃ、おやすみ」

「おやすみー」

 正成は眠気が一気にきて数秒で眠りについた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ