流れない時間、留まる思念
残酷表現があります。
苦手な方は閲覧しないことをおすすめします。
埃まみれの階段を上り2階に着いた。
意外と広く、置いてある物は少なかった。
しかし1階と同様物置であるらしく、壁に貼られている紙に、かすれた字で【物置の中はいつでも綺麗に!整理整頓をしましょう】とある。
――何を間違えてしまったのでしょう…――
脳裏に響いた声。自分によく似た声。
辺りを見回すと、1つしかないドアの前に女性が立っている。
――この家の人たちが怪しげな儀式に関わっているのは知っていた。
でも、まさかお父様も関わっていたなんて知らなかった…
今、この屋敷で正気でいるのは、私とあの人…
そして当主様と一族の子供たち、屋敷で働いてくれている人たち。
儀式に関わっている人たちは、もう誰の声も聞き入れない。
一体、何を間違えたのでしょう…――
一瞬目があう。女性は柔らかな笑みを浮かべ、こう言った。
――あなたは、私によく似ている。きっとあなたなら…――
スゥッ、と女性は消えた。その足元には何かが輝いていた。
ラギアは呆然と女性がいた場所を見つめていたが、我に返ると輝くものを手にした。
何かの破片らしい。破片と共に一枚の紙があった。
『これを手にした人へ
あなたはきっとルファイアの人間なのでしょう。
そうでなければここにいるわけがありません。
おねがいがあります。
どうか、この屋敷に巣食った闇を祓ってください。
私を探してください。私は、止まった時間を動かすための“ひかり”を見つけました。
“ひかり”は闇になった人たちを助けられるはずです。
ですが、そのためには儀式が行われる場所へ行かなければなりません。
ルファイアの選ばれた者だけが行ける場所。そのためには、私を探してください。』
「この破片が、“ひかり”?」
銀色の、割れた皿のようなもの。
キラリとした輝きを見せた。
「もう、逃がしません。…メシア様」
後ろを振り返ると、黒いドレスを身に纏った女性がいた。
はっきりとわかる。見える。纏う闇を。
でも逃げられない。
「最後はメシア様です。これで、儀式は完成するのです」
その瞬間、高速で近づいてきた女性に捕まれ、首を絞められる。
「がっ…あ、くぅ…」
息ができない、苦しい。そう思った瞬間。
手にしていた破片が光を放ち苦しさが消えた。
視界に広がる強い光に、ラギアは目を瞑った。




