雷雨
朝、冬坂は早起きして夢日記をつけていた。
今日は雷雨になるようで、もうすでにゴロゴロ鳴っている。
「....今日は会えないな」
冬坂はなんだか、少し不安になった。
すると、マンションのチャイムが鳴った。
冬坂は驚き、玄関に駆け出した。
「夏木....?」
ドアを開けるとそこには、冬坂によく似た、大人の女性が険しい面持ちで立っていた。
「夏木?誰よ」
その女性はズカズカと部屋に入ってきた。
「お姉ちゃん....急に何?」
冬坂はかなり緊張している。手が震えるほど。
「あんた、ちゃんと勉強してるのよね」
そう言うと冬坂の机を覗き込んだ。
「参考書の一つも無いじゃない!やってないのね、このクズ。来年からどうするの」
姉の怒鳴り声に冬坂の目は暗く沈んでいった。
姉は机の引き出しを無理矢理開けた。
「は、ゆ....夢日記?」
「そ、それは....」
姉の怒りは頂点に達し、夢日記を高く持ち上げ、破り捨てようとした。
「だめーー!」
冬坂の大きな声と同時に、雷が鳴った。
姉は夢日記をベッドに投げ捨てた。
大雨が降ってきた。
「まあ、いいわ。8月20日は家に帰って来なさいよ。その日は一年に一回、家族で集まる大切な日なんだから」
冬坂は怯えながらも
「....その日は行けない」
そう言うと、冬坂は雷雨の中マンションを飛び出した。
大荒れの天気の中、夏木は冬坂の夢日記を読んでいた。何度も何度も....。
窓の外を眺めながら
「....今日は会えないな」
すると、スマホが鳴った。
いつもの公園で待ってるね
夏木は家を飛び出した。
公園に着くと、いつもの場所に冬坂が居た。
近寄るとずぶ濡れになっていて、震えていた。
俺の夢日記を大事に胸に抱えながら。
「....冬坂。どうした!?」
冬坂はニコリと笑い
「なーんでもない!」
理由を聞きたかった。
でも、聞かなかった。
「夏木隊長!夢日記と8月20日だけは死守しました」
ちょうど雷が止んだ。
「8月20日って....夏祭り?」
冬坂は立ち上がると夏木のシャツの袖を掴みながら
「そう。夏祭り一緒に行こう」




