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夢信者の夏木くん  作者: すくねる


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9/9

夏の終わりに




暑さも落ち着いてきて、朝晩は少し涼しくなってきた。冬坂と楽しい思い出を作った夏。

それも、もう終わりだ。


今日は8月20日。

冬坂とこの夏、最後の思い出を作る日だ。



俺は少し緊張していた。

買ったばかりの風通しのよい服を着て、意気揚々と夏祭り会場に来たが、こんなことは初めてで、高揚感と不安が入り混じっている。


待ち合わせ時間に少し遅れて、冬坂がやって来た。

「....遅れてごめん。浴衣に手間取っちゃって」


冬坂は紺地に淡い朝顔の柄が入った浴衣を着ていて、髪を少しだけ上げていた。

とても素敵だった。


「そ、それじゃ行こうか....」

俺たちは二人並んで歩き出した。

下駄の音が石畳にカランと響く。


焼きそばの匂い、りんご飴の赤、遠くから聞こえる太鼓の音。

俺は次第に夏祭りの雰囲気に呑まれていった。


「何か食べる?」

俺は冬坂の綺麗なうなじに目をやっていて、応えるのが遅れた。


「だっ、大丈夫。まだお腹空いてないや....」

「じゃあ、私かき氷食べようかな」


そう言って歩き出すと、冬坂の手が俺の手にほんの少し触れた。


気のせい、だよな?


かき氷を買うと、俺たちは、ベンチに腰を下ろした。


「夏も終わりだねー」

「....うん」


俺たちはその後、無言でしばらく一緒にいた。


すると、上空に大きな花火が上がった。


赤や青、綺麗な色の花火が次々に上がり、それはまるで夢のような光景だった。


花火を見つめる冬坂はとても美しかった。


「ねぇ、夏木。アルバイトしようよ」

「え!?、いきなり何?このシチュエーションで」


「お金貯めて、色んな所行って、たくさん夢みたいなことするの」


夏木の瞳に涙が浮かぶ。


「....いいよ!それ、やろう必ず」

「うん....」



こうして、俺たちの夢のような夏は終わった。

夢で繋がった冬坂と俺。

けれども、俺はもう夢の中だけを見てはいない。



                

               おわり

最後までお読みいただきありがとうございました。

世界と少しでも繋がりたい、という思いで小説を書きました。

また書きますので、よろしくお願いします。


                    

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