これ、正夢にしちゃわない!
学校からの帰り道。
冬坂と俺が、自転車に二人乗りしている。
すごく楽しくて、気持ちいい。
解放的な気分で何もかもどうでもいい。
冬坂....。
それが今朝の俺の夢。
「おはよー。朝ごはん食べたか?」
冬坂がコンビニの前で唐揚げを食べながら、爽やかな笑顔でこちらを見ている。
揚げたての油の香ばしい匂いがする。
「おはよう。今日で学校終わりだな」
「おうよ!夏休み遊ぼうぜ〜」
いつの間にか俺は、冬坂と一緒に登校するようになっていた。
「そうそう、今日すげー楽しい夢見た!」
「なになに?」
冬坂は髪をポニーテールに結びながら聞いた。
「ちょっと恥ずかしいから、夢日記は学校で読んで....」
冬坂は大きな胸をぷるんっとさせると
「もしかして....」
「あ....まあ、いいからいいから、放課後な」
すると夏木は自転車で走り去って行った。
夏木は頬が少し赤く染まっていた。
放課後。
校門からぞろぞろと、生徒たちが、解放感に包まれ意気揚々と下校して行く。
その中に冬坂も居た。
「おまたせ!」
「....おう」
夏木は耳が少し赤くなっている。
「....読んだよ。夢日記....」
「....うん」
「思ったんだけど....」
「これ、正夢にしちゃわない!!」
「えっ....えーー!!」
戸惑う夏樹に、冬坂が自転車の後ろに乗ってサドルをポンポンした。
「行こ....」
夏木は緊張しながら自転車にまたがる。
夏木の背中に冬坂の胸があたって、心臓が高鳴る。
「しゅっぱ〜つ!」
夏木は自転車をゆっくり走らせた。
「もっと速く!風を感じたいの」
「....知らねーぞ」
夏木はドンドン、スピードを上げる。
「気持ちぃぃぃー」
二人は気持ち良く疾走して行く。
冬坂は髪をほどいた。
シャンプーのいい香りがする。
「気持ちいいなー。正夢だー!」
「楽しい〜」
二人ならどこまでも行ける気がした。




