平行世界と夏
「今日もあっちーな、だりーな」
茹だるような暑さの中、冬坂はイオンの近くのゲーセンに向かっていた。
冬坂はゲームは好きではないが、ゲーム音が好きなのと、涼しいからという理由でよくこの場所に来ていた。
「早く夢日記見てー」
「これが夢だったら無かったことになるのに....」
スポーツドリンクを飲みながら、夏木はゲーセンに向かって行く。
夏木はゲーセンに到着し、中で冬坂を探した。
するとゲームの筐体の前に座り、うっとりとしながらゲーム音を聴く冬坂が見つかった。
「冬....坂」
夏木は冬坂を見て少し胸がドキドキした。
冬坂は白いワンピースを着て、耳には青い宝石の付いたピアスをしていて、まるで夢の中に出てくる天使の様な見た目をしていた。
かわいい。
「お!夏木〜おはよー」
「おっ....おはよう....」
冬坂は満面の笑みで両手を差し出した。
「汚さないでくれよ。大事な物なんだから」
冬坂は夢日記を夢中で読み始めた。
二人は冷房が効きすぎて、寒くなり外に出て川岸を眺めながら話し出した。
「そんなに楽しい?俺の夢日記」
「うん!超楽しい」
冬坂の目がキラキラ輝いている。
「知らない場所や人たちなのに懐かしいっていう、この夢とかすげー良い!」
夏木も目が輝く
「それ、俺も好き。いや〜わかってるねー」
冬坂は急に賢そうな顔付きになり
「平行世界ってやつでしょ」
「平行世界?」
「今いる世界とは別に、違う可能性を持った世界が同時に存在している。それが平行世界」
夏木は驚く。
「....そんな世界があるのか」
「そう。でも、あくまで哲学とか一部の量子力学の理論や考え方の一つ」
「うぉーー!!」
夏木は突然シャツを引きちぎり、咆哮をあげた。
冬坂は恥ずかしがる。
「そうか!あの夢は平行世界だったんだー。おれは別の世界の別の自分を体験してたんだ!」
冬坂はため息をついた。
「夢を見るの更に楽しみになってきた!」
冬坂はその言葉を聞いた途端、急に暗い表情になった。
「....夢日記、明日も見せて。今日は解散....」




