1回表 【和泉凌視点】
●和泉凌 副主将
県立北仙丈・帯那連合
打順 氏名 背番号 学年 守備位置
1番 芦崎辰海 6 (1年) ショート
2番 久慈正樹 2 (2年) キャッチャー
3番 和泉凌 3 (3年) セカンド
4番 佃夏空 5 (3年) サード
5番 不動静真 1 (2年) ピッチャー
6番 不動大地 10 (1年) ライト
7番 鞍掛秀俊 4 (3年) センター
8番 桧山広海 9 (2年) ファースト
9番 古二田力 7 (2年) レフト
控え 乃生健介 8 (1年)
1回表、北仙丈・帯那連合の攻撃から。
「ふうぅ」
緊張する。3番か。
オレは実力的には、上位打線に入れるほどじゃない。それでも、秀も佃も静真も、オレを3番に推してくれた。静真の前にランナーを貯めるために、塁に出ることを期待されての打順だ。オレはその期待に応えなければならない。
できるだろうか?オレに。
芦崎がバッターボックスに立つ。堂々としたもんだ。
1番バッターの芦崎は、高校に入るまで、まともに試合にでたこともないという話だけど、とてもそうは思えないな。
果敢に初回初球から打っていく。
「ファール」
惜しかった。
見習わないとなぁ。オレに足りないのは、あの豪胆さだ。
「打った!」
運悪く打球はつまって、ショートの目の前に飛んだが、なんとかセーフ。
芦崎は1番バッターという重責をものともしない。球をしっかり見極めている。緊張で選球眼が鈍ることもない。
2番バッターは、久慈。
久慈は芦崎や不動兄弟のような豪胆さはないが、器用さがある。難しい球も打ち返す技術は、静真、佃に次ぐ。
ただ慎重すぎるきらいがあるんだよなぁ。チャンスを逃がしがちだ。
オレも似ているところがあるからなぁ。久慈が打ってくれたら、オレも打てる気がする。久慈、頑張れ!
「よし!行け、久慈」
当たりはしたが、センター前。芦崎が間に合わずアウト。
久慈がセーフ。
鮮やかな守備だな。クリーンヒットを打たなければ、さばかれてしまいそうだ。
ネクスト・バッターズ・サークルを出て、打席に向かう。
静真の敬遠対策のために、オレが3番バッター。アウトになるわけにはいかない。
荷が重いが、やるしかない。
変化球を得意とする投手か。オレは芦崎や久慈ほど器用じゃないからな。無理せず、打てる球を打っていこう。
「ストライク」
スピードはないが、変化球のキレがいい。
落ち着いて、打てそうなら積極的に!
「ボール!」
危なかった。打ちに行こうとしたところで、あんなに落ちる変化球を投げてくるなんてな。
無理に手を出していたら空ぶっただろう。
慎重且つ、大胆に!
「ボール・フォア!」
ま、一打席目にしては、上出来と思っておくか。
「凌!よく見極めた!」
ベンチから秀の声が聞こえてくる。キャプテンになってもどこか子供っぽさが抜けなかったが、今大会はキャプテンしてるよなぁ。みんなを鼓舞して、士気を上げようとしている。見習わないとなぁ。
ワンアウトで、1塁、2塁。
次のバッターは、4番、佃。
佃の実力なら、打てる。
打った!
マズい!セカンドの正面!
セカンドに捕られて、タッチアウト。久慈は3塁まで進んだ。佃もセーフ。
これで、ツーアウト。
次は5番。静真。
申告敬遠で出塁。満塁になった。
一打席目から敬遠か。まあ、でもこの場合は、仕方ないか。満塁のほうが守りやすいし、うちの打線で最も脅威なのが静真だ。勝負するなら、次のバッターにするよなぁ。
6番、大地。
大地は当たれば、大きい。……当たれば。
大地は空振り三振。
スリーアウトでチェンジ。
1回の攻撃が終わってしまった。でも、まあ手ごたえはあったよな。打てない球ではなかった。
これから、これから。
○●
1回裏。守備側。
守備は、安心できる。ピッチャーが静真だからな。
ただ、静真は手ごたえがないと、打たせる投球に切り替えるから、そうなると恐ろしいんだけどな。
さすがに準決勝では、やらないと思いたい。
静真の好投で、一人も塁に出さずに交代。
投手が静真ならそうそう点を取られることはない。オレたちに必要なのは点を取ること。
○●
2回表。
鞍掛、桧山、古二田。
下位打線も打ってはいるが、守備に阻まれてしまう。
ツーアウトだが、古二がランナー1塁にいる。
1番の芦崎が、バッターボックスに入る。
1球目は、ボール。
2球目!打った!……が、弱い。ショートに捕られて、2塁に走った古二が、……フォースアウト。
古二がアウトで、スリーアウトでチェンジ。
みんな打っているのに、あまり飛ばない。ゴロや凡打になっている。
まあ、まだ慣れてないせいかな?




