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兄貴はいつも俺の味方でヒーローだった  作者: みの狸
第三章

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69/73

1回表    【和泉凌視点】

●和泉凌 副主将


県立北仙丈・帯那連合

打順 氏名  背番号 学年 守備位置

1番 芦崎辰海 6 (1年) ショート

2番 久慈正樹 2 (2年) キャッチャー

3番 和泉凌  3 (3年) セカンド

4番 佃夏空  5 (3年) サード

5番 不動静真 1 (2年) ピッチャー

6番 不動大地 10 (1年) ライト

7番 鞍掛秀俊 4 (3年) センター

8番 桧山広海 9 (2年) ファースト

9番 古二田力 7 (2年) レフト

控え 乃生健介 8 (1年)



1回表、北仙丈・帯那連合の攻撃から。


「ふうぅ」


緊張する。3番か。

オレは実力的には、上位打線に入れるほどじゃない。それでも、秀も佃も静真も、オレを3番に推してくれた。静真の前にランナーを貯めるために、塁に出ることを期待されての打順だ。オレはその期待に応えなければならない。

できるだろうか?オレに。


芦崎がバッターボックスに立つ。堂々としたもんだ。

1番バッターの芦崎は、高校に入るまで、まともに試合にでたこともないという話だけど、とてもそうは思えないな。

果敢に初回初球から打っていく。


「ファール」


惜しかった。

見習わないとなぁ。オレに足りないのは、あの豪胆さだ。


「打った!」


運悪く打球はつまって、ショートの目の前に飛んだが、なんとかセーフ。

芦崎は1番バッターという重責をものともしない。球をしっかり見極めている。緊張で選球眼が鈍ることもない。


2番バッターは、久慈。

久慈は芦崎や不動兄弟のような豪胆さはないが、器用さがある。難しい球も打ち返す技術は、静真、佃に次ぐ。

ただ慎重すぎるきらいがあるんだよなぁ。チャンスを逃がしがちだ。

オレも似ているところがあるからなぁ。久慈が打ってくれたら、オレも打てる気がする。久慈、頑張れ!


「よし!行け、久慈」


当たりはしたが、センター前。芦崎が間に合わずアウト。

久慈がセーフ。

鮮やかな守備だな。クリーンヒットを打たなければ、さばかれてしまいそうだ。


ネクスト・バッターズ・サークルを出て、打席に向かう。

静真の敬遠対策のために、オレが3番バッター。アウトになるわけにはいかない。

荷が重いが、やるしかない。

変化球を得意とする投手か。オレは芦崎や久慈ほど器用じゃないからな。無理せず、打てる球を打っていこう。


「ストライク」


スピードはないが、変化球のキレがいい。

落ち着いて、打てそうなら積極的に!


「ボール!」


危なかった。打ちに行こうとしたところで、あんなに落ちる変化球を投げてくるなんてな。

無理に手を出していたら空ぶっただろう。

慎重且つ、大胆に!


「ボール・フォア!」


ま、一打席目にしては、上出来と思っておくか。


「凌!よく見極めた!」


ベンチから秀の声が聞こえてくる。キャプテンになってもどこか子供っぽさが抜けなかったが、今大会はキャプテンしてるよなぁ。みんなを鼓舞して、士気を上げようとしている。見習わないとなぁ。

ワンアウトで、1塁、2塁。

次のバッターは、4番、佃。

佃の実力なら、打てる。


打った!

マズい!セカンドの正面!

セカンドに捕られて、タッチアウト。久慈は3塁まで進んだ。佃もセーフ。

これで、ツーアウト。


次は5番。静真。

申告敬遠で出塁。満塁になった。

一打席目から敬遠か。まあ、でもこの場合は、仕方ないか。満塁のほうが守りやすいし、うちの打線で最も脅威なのが静真だ。勝負するなら、次のバッターにするよなぁ。


6番、大地。

大地は当たれば、大きい。……当たれば。

大地は空振り三振。

スリーアウトでチェンジ。


1回の攻撃が終わってしまった。でも、まあ手ごたえはあったよな。打てない球ではなかった。

これから、これから。


○●


1回裏。守備側。

守備は、安心できる。ピッチャーが静真だからな。

ただ、静真は手ごたえがないと、打たせる投球に切り替えるから、そうなると恐ろしいんだけどな。

さすがに準決勝では、やらないと思いたい。

静真の好投で、一人も塁に出さずに交代。

投手が静真ならそうそう点を取られることはない。オレたちに必要なのは点を取ること。


○●


2回表。

鞍掛、桧山、古二田。

下位打線も打ってはいるが、守備に阻まれてしまう。

ツーアウトだが、古二がランナー1塁にいる。

1番の芦崎が、バッターボックスに入る。

1球目は、ボール。

2球目!打った!……が、弱い。ショートに捕られて、2塁に走った古二が、……フォースアウト。

古二がアウトで、スリーアウトでチェンジ。


みんな打っているのに、あまり飛ばない。ゴロや凡打になっている。

まあ、まだ慣れてないせいかな?




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