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兄貴はいつも俺の味方でヒーローだった  作者: みの狸
第三章

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育て屋      【芦崎辰海視点】

●芦崎辰海


「しまっていこう」


ピッチャー、静真兄ちゃん。

頼もしく思えていた背番号1の背中が、今は……


「今日の試合、守備はやることないと思ってたのに」


キャプテンがピッチャーの時より気を抜くことができない。どの方向にも動けるように、体を揺らしながら打球を待っていなくちゃいけない。

汗が尋常じゃない量、流れ落ちていってる。汗でグローブの中がぬるついてきてるしぃ。


「落ち着いていこう!」


キャプテンの声が遠い。

センターの大地のところに飛んでいかないように打たせるってことは、内野が処理しなくちゃいけない打球が飛んでくるってことで。ショートのオレが大活躍しなくちゃいけないってことだ。

なんで、オレがショートなんだろ?いまさらながら、そんなことを思う。


カキンと音がする。

来た!ゴロなら、余裕っ……と。

ああ!?ボールがっ!なんでそっちに跳ねるんだよぉぉ!!イレギュラー?!

ダメだ!取れない!

グローブに当たった!弾かれたボールは……

よかった。

和泉副将がカバーしてくれてた。それでも、バッターは1塁セーフかぁ。


「芦崎!ナイスガッツ!」


和泉副将が褒めてくれる。捕れなかったけど、まあ、今のは仕方ないよな。

次のバッターが、バッターボックスに入る。

少し浮き上がった打球が、三遊間に。

サードの佃先輩が、ノーバウンドでダイビングキャッチ。崩した体勢のまま、近くにいたオレめがけてグラブトス。セカンドにいる和泉副将に送球。和泉副将がランナーにタッチ。ランナーがベースを踏む。ほぼ同時。

どっちだ?塁審が右の拳を突き上げる。


「ヒズ アウト!」


ダブルプレー!!


「っしゃー!!」


佃先輩とグラブタッチして称え合う。

はー、佃先輩のおかげで救われた。


「ナイスプレー!」


静真兄ちゃんがキラキラした目で、オレたちを見てる。

あの目。子供の頃から、見慣れている静真兄ちゃんのキラキラ目。大地のこと、よくあの目で見てたから、ブラコンの目かと思ってたけど違ったんだよなぁ。

あの目は、育て屋の目。

成長を見守る時に、ああなるんだ。

練習の時なら、あの目で見られるのは、うれしかったけどさ。


「本番で見せる目じゃないから!」


静真兄ちゃんが、ここまで育て屋だったなんて。



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