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兄貴はいつも俺の味方でヒーローだった  作者: みの狸
第三章

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帯那高の2人    【和泉凌視点】


●和泉凌 副キャプテン



「帯那高の2人と、今日から合同で練習することになったから、みんな頼むな」

「おお、やっとですかぁ」

「これで人数そろって練習ができますね」


ヒデが準備をしている部員たちに声をかけると、一斉に返事が返ってくる。

昨年もいっしょに夏の大会に出た2人なので、2年と3年にとってはチームメイトという意識がすでにある。

初顔合わせになるのは、1年生と……


「緊張するぅ。大丈夫かなぁ」

「どうしたんですか?千々和先生」


そわそわしている千々和先生を不思議に思い、声をかける。


「だって、野球素人の私が顧問でしょ?受け入れてもらえるかどうか……。帯那高には責任教師いないみたいだから、必然的に私が大会に付き添うことになるし……」


そういうことか。


「あの二人なら大丈夫ですよ」


顧問になってくれた千々和先生に失礼なことは言わないだろう。

お互い人集めに苦労している弱小部。顧問になってくれる先生のありがたさを理解しているはずだ。

心配があるとすれば、大地かなぁ。

二人が大地を受け入れてくれるかどうか。オレたちは大地が中学生の時から知っているし、静真の弟だからやんちゃな弟みたいな感覚でいるけど……

体育会系の上下関係意識を持っていたら、大地の振る舞いを不快に思うかもしれない。


「連合といっても、近場の帯那高となら放課後いっしょに練習できるから、連合チームとしては恵まれてるわね」

「そうですね。去年も帯那高と連合を組みましたが、中学一緒だった奴がいたりして、あまり他校の部員という感じではなかったんで気は楽です」


帯那高はここから自転車で行ける距離にあるから、放課後の練習もいっしょにできる。

遠いところの学校と連合を組むとそうそういっしょに練習できないため、不利な条件が積み重なっていく。うちは連合チームの最大の欠点、合同練習がしにくいというのがないから有利だ。




••┈┈••


「うーっす、今年もよろしく頼む」

「よろしくお願いします」


佃と桧山が合流。知った顔なのでお互い気楽なもんだ。


「北仙丈野球部顧問の千々和乙葉です。野球好きなだけの素人ですが、全力でサポートしますので困った時は、いつでも声をかけてね」


緊張の面持ちで千々和先生が、二人にあいさつすると。


「帯那3年、佃夏空です!千々和監督!今日から、よろしくお願いします」

「帯那2年、桧山広海です!よろしくお願いします!千々和監督!」


びしりと姿勢を正した二人が、千々和先生に勢いよくお辞儀する。


「監督?!いや、いや、私はそんなたいそうな者じゃなくて!ただのお手伝い教師……」

「鞍掛から、練習を見てくれる先生だって、自慢されてたんで知ってます」


ヒデはそんなことしてたのか。


「いや~、だってさぁ。千々和先生、放課後や休日の練習に付き合ってくれるし、できてない時は教えてくれるし、できた時は褒めてくれるし。自慢したくなるだろぉ」


そうなんだよなぁ。千々和先生がここまでオレたちに親身になって付き合ってくれるとは思ってなかった。

前任の顧問は、気が向いた時だけって感じだったから、そういうもんだと思ってた。


「見るといっても静真くんが組んでくれた練習メニューの手伝いをしてるだけで。だから監督というわけでは……」

「それだって、俺たちからしたら十分すぎます。俺たちもお願いします!」

「ええ、もちろん!手伝いが必要な時にはどんどん声をかけてね」


帯那高は顧問になってくれる先生がいなくて生徒だけで自主練してるといってたからなぁ。

練習に付き合ってくれる先生のありがたさをオレたち以上に知っているよな。

だから、千々和先生が女性だからとか野球経験がないからって、ないがしろにすることはないと思ってたけど……

しょっぱなから、懐きすぎのような気も……


「そうだ!佃、キャプテンか副キャプテンやらないか?」


ヒデが同年の佃に話を持ち掛ける。

こっちだけでキャプテン副キャプテンをだすのもなんだし、佃にどちらかやってもらおうとヒデと話し合っていたんだよなぁ。佃ならオレたちを引っ張っていってくれるだけの野球経験もあるし。


「やらねぇ。俺は気が回らないからな。そのせいで部員も集められなかったし」


佃が自嘲気味に笑む。


「佃先輩のせいってわけじゃないですよ。うちの学校は、生徒数が少ないから、どうしたって集まらない。サッカー部や他の運動部もギリギリで」


桧山の言う通り、帯那はうちより厳しいだろうな。生徒数が少ないというのもあるが、文化部に力を入れていて、運動部は肩身が狭いらしいからなぁ。あの環境で二人は頑張っているよ。


「じゃあ、うちの1年を紹か」


カキーンと耳に響く打撃音に、思わず振り向く。

大地のバッティング練習は、相変わらず豪快だな。……ボールをまた回収しに行かないとなぁ。


「今、打ったの。1年だよな?そっちの1年すげえな」

「静真の弟で不動大地っていうんだけど、まあ、色々驚くことあると思うけど頼むよ」


佃はリトルから野球をやっていて、中学は硬式のクラブチームにいたほど本格的に野球をやってきている。

強豪校の高校に行きたかったが、スカウトされるほどでもなく、受験に失敗してしまい帯那高に流れ着いたと話していた。ここにいる中でもっとも、野球経験があって野球に情熱を持っているといっていいだろう。

だから、ちょっと心配なんだよなぁ。

上級生を上級生と思わない大地の態度を、佃がどう思うか……


「静真の弟か。そういや、似てるな」

「……似てるけど、似てないんだよなぁ」


ヒデが苦笑を浮かべる。

中身も静真に似てたら、どれほど気が休まったか。静真が手綱を握っているから問題行動をするわけじゃないし、まあ、大地はあれでいいんだけど。佃が礼儀とか上下関係とかそういうのを求めるタイプだったら……


「飛ぶなぁ」


佃が大地のところに行ってしまった。


「誰じゃ?」

「帯那高の佃。よろしくな。不動大地」

「ん?他校なんか?なんで、よろしくするんじゃ?」


大地と辰海は中学の時から、野球部に顔を出してはいたけど、帯那高との共同練習の時は参加していないから二人のことは知らない。正式に紹介しないとな。


「1年は初めて会うんだったな。紹介するから、集まってくれ」


辰海と乃生を呼ぶと、部員全員が集まってきた。まあ、いいか。


「今日から夏の大会まで、連合チームでともに戦うチームメイトになる帯那高の」

「3年の佃夏空。よろしく頼むな」

「2年の桧山広海です。今日からお世話になります!よろしくお願いします」


ヒデが帯那高の二人を紹介すると、1年生たちが興味津々といった顔になる。


「1年の芦崎辰海です!よろしくお願いします」

「同じく1年の乃生健介です!よろしくお願いします」


うん、うん、二人はよくできた後輩だよ。挨拶も完璧!


「不動大地じゃ。ワシはここに来て日が浅いけえ、面倒は見てやれんがのう。そこの和泉と古二田は、こまいこともよう知っとる物知りじゃけえ。頼りにするとええ。ワシも世話になっちょるくらいじゃ」


失礼なことは言ってない……。言ってはいないが、普通に挨拶できないもんかなぁ……


「お、おう、芦崎、乃生、大地、よろしくな。和泉、古二田もよろしく頼む」


佃が瞬きが多くなっている。驚いてはいるようだが、不快には思ってなさそうだ。

面白いものを見たといった感じで目を細めてるし。


「わからないことがあった時は、いつでも声かけていいからな」


古二田と笑いをこらえながら、佃と桧山の背を叩く。

よかった。うまくやっていけそうだ。


「それでは、北仙丈と帯那の連合チーム、始動と行きますか」

「「「おう!」」」


キャプテンの掛け声に、みんなが呼応する。

夏の大会はこの10人で戦う。人数が少ない分、チームで協力し合えるようにしていかないとな!


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