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「それなりには通っていますので、詳しいとは思います。」
近東社長は返答を聞き笑顔を大きくする。
「ちょっと頼まれてくれないか?」
「私に出来ることでしたら。」
「こちらの方を出来るだけ人目を避けて上空鉄道に連れて行ってほしいんだ。どうかな?」
("人目を避けて"と言われたが、追っ手に捕まらずに連れて行ってほしいと言うことだろう。出来なくわないと思う、が…)
公太は近東社長の後ろの男を見て言う。
「お召し物が汚れるかもしれませんが宜しいですか?」
貴族の男は微笑んだ。
「構わない。」
(言質はとったし、最悪ホコリまみれになったとしても処罰はされないだろう。)
「では、付いて来て下さい。」
「公太君、頼んだよ。」
公太は近東社長に簡単に挨拶をし、足早に来た道を戻った。
とても離れていたが、遠くにサングラスを掛けた電気街に不釣り合いな男達が人並みを掻き分けて来るのが見え、直ぐ近くの路地へと入る。
(あんな遠くにいるのに気づいたのか。この人どんだけ目が良いんだ。)
大通りと比べて人の往来はまばらで早く歩けるが目には付きやすい。
早足で歩きながら後ろの男に話し掛けた。
「ここから一番近いステーションはAK-5ステーションですが、一目を避けるならその先のAK-6ステーションに行った方が良いと思います。それで良いですか?」
「ああ、任せるよ。」
男の声にはどこかこの状況を楽しんでいるような響きがあった。
路地のまた路地へと入ると人がより少なくなる。
余計な言葉は交わさず、いくつもの路地を抜けた。
中には路地とも言いがたい建物の間を通り抜け、30分程かけAK-6ステーションまで辿り着いた。
◇◇◇
「ありがとう。助かったよ。」
(結構酷い所も通ったから流石に小言くらいは言われると思ったが…
小言どころか微笑みながらお礼を言われてしまった。)
「いえ、お力になれて良かったです。
お召し物は大丈夫ですか?酷い道も通りましたので…」
(服が汚れても良いと許可は取ったが、彼が着ているのは見るからに高級なスーツだ。気にはなる。)
「大丈夫だ。」
不意に男は思い出した様に小さく声を漏らし笑った。
「この歳になってもわくわくするものだね。まるで冒険のようで楽しかったよ。」
(歯を出して笑うと随分若く見えるなー)
太陽の様な笑顔に思わず目を細めながら思った。
「何か君にお礼をしたいんだが…」
「お気持ちだけで十分です。」
(貴族からのお礼…
栄養ドリンクなら喜んで受け取るが、何を渡されるか…逆に怖い。
それに道を案内しただけだ。ここは"丁重にお断りする"一択だろう。)
「ああ、そうだ。これを貰ってくれないだろうか。」
男は公太に中身が見えるようジェラルミンケースを開く。
そこには、サングラスの様な物が入っていた。
「私がプロディースしたもので、近々販売予定なんだ。」
(これは!最新の眼位寛解機器!軽く俺の一月分の給料はするぞ!)




