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サッカーなんて、ただの調教よ  作者: やしゅまる


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15/21

第14話『笑顔の価値、ミオのゴール』


 二戦目の相手は、個の突破力を武器にする攻撃型の強豪、神代かみしろ高校。


「1トップの7番、抜け出しとフェイントがうまい。油断すると一発で崩されるよ」とヒナが事前に警戒を促す。


 前回と違い、今回は相手が引かない。主導権を握りたい支配女学園にとっては厄介な展開だった。


 そのぶつかり合いの中で、焦っていたのはミオだった。


「うわっ、クロス高すぎ!?」「今のドリブル、誰もついてきてないよ〜」


 前のめりになった動き、ちぐはぐな連携、空回り。自分でも気づいているのだろう。ミオの笑顔が徐々に消えていく。


(あれ……なんでうまくいかないの? 私は……いつも通りやってるだけなのに)


 前半30分、相手のエースが裏を突き、あっさりと1点を決められた。


「失点、1……いや、悪くない。ここから“支配”を取り戻せばいいだけ」


 カリンは冷静だったが、その視線はすぐにミオに向いた。


「ミオ。あなた、何を見て走ってるの?」


「え……な、何って、ボールと……ゴール……?」


「嘘ね。それ、あなたらしくないわ。……命令じゃなく、“期待”で動けるのが、あなたの良さでしょ?」


 その言葉に、ミオの目が揺れた。


(期待……私が動くことで、誰かが笑ってくれた。そうだった。私、ゴールのためじゃなく……笑顔のために、走ってたんだ)


 後半、ミオの動きが変わる。無理に突破せず、味方との連携を意識し、空いているスペースを読む。


「ナイスワンツー!」「今の抜け、速い!」


 そして、65分。カリンの浮き球パスをミオが右サイドで追いつく。ゴール前にはフリーの味方が一人。


「これが、私のゴール!」


 軽くインサイドで送り出したパス。味方がスライディングで押し込み、同点!


 ベンチもスタンドも沸いた。ミオはその歓声の中心で、ようやく笑った。


「……私は、ゴールより、みんなの笑顔が見たくて、走ってたんだ」


 カリンが小さく頷いた。「それでいいのよ。あなたは、そういう“役割”なの」


 そして試合終了間際、再びミオのスプリントが生きた。相手DFの油断を突き、クロスを引き出し――


 味方のヘディングが決まり、逆転。


 2-1。支配女学園、連勝。


 試合後、ヒナが静かに呟く。


「“支配”って、命令することじゃない。……きっと、可能性を信じて任せること」


 それに応えるように、カリンがふっと目を細めた。


「期待に応える者が現れれば……支配は、もっと美しくなるのよ」


 選ばれし11人の中で、“役割”が輝き始めていた。


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