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「私は―― 第九十話
「私は
?」
増殖するはずである分体、意識が反応しないことに小早志真理亜は驚いていた。
何が起きている、何が起きずにいる?
そう困惑しているところに一つの声。
「もう何度もやらんでええんよ、こんなん。耳障りやで、自分」
一度聞いたことのある声。
あのマンションで、あの日、笠沼正太を祓いに来た、巫女装束の女の声。
「名乗ったっけ、名乗らんかったっけ? まぁ、ええわ。名前は出てきて会った時にでも名乗ったるわ。とりあえず、こそこそやっとらんと、出て来いや、嬢ちゃん」
乱暴な口調でそう言われると、小早志真理亜の胸倉は突然伸びてきた腕に掴まれる。
抵抗しようにもあまりの力の強さに歯が立たず、強引に引っ張られる。
何処に?
誰に?
小早志真理亜の頭の中は疑問で一杯だったが、それに答えてくれる親切心は引っ張る腕に感じ取ることは出来ない。
「ほな、戦争開始や。こっちの代表は妹やから、お手柔らかに頼むで」




