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六十八話 諸国の勇者

前の投稿から丁度一ヶ月経ってますね・・・。

定期試験があってうんやらかんやらかなり遅れてしまいました、迷惑かけてすいませんm(_ _)m

突如として現れ、帝国側に襲いかかったホウ諸国の精鋭部隊。

一人一人が高い戦闘能力と、自分だけの確固とした戦い方を持っていて、普段は冒険者としての立ち位置で暮らしている。


今回、精鋭部隊の殿は変更が加えられていた。

元々の殿は冒険者のランクで事実上最上位のSSランクだったが、今はサブリーダーとしての立ち位置にある。ちなみに普段はギルドマスターとして働いているようだ。


で、そのSSランクを押しのけて入ったのが何者なのかというと・・・。


――――

大剣を構える少年と、漆黒の鎧に身を包む男・・・ヴァルスが向かい合っていた。

ヴァルスが口を開く・・・いや、鎧でそれすらも目にすることはできないが。

「貴様が勇者か・・・」


少年は言い返した。

「そういう貴方は?」


「私は元闇の四天王ヴァルスだ・・・」

ヴァルスが名前を口にする。

普段は素性を明かさないが、こと勇者との会話ともなれば、話は別のようだ。


「元?」

少年が眉を潜める。


「世代交代、という訳だな。引退前の老体では不満か?」

そう言ってヴァルスが黒いモヤで巨大なハンマーを形成し、騎士の作法のように地面に垂直に構えた。


「いや、そんなことないですよ。あ、紹介忘れてた、俺は田中一助です」

返礼するかのように少年は大剣を斜めに構える。


「そうか・・・。では始めるとしよう」

「『ファーストギア・フェザー』」


ヴァルスは手で印を結び、三人に分身する。

一助は新しく大剣を入手したらしく、その機構を起動していた。


「小手調べから・・・『瞬撃』!」

ヴァルスが走り出したかと思うと、一瞬の内に一助の目の前へと距離を詰めて、ハンマーを振り下ろす。

さらに分身がいるため、一体の攻撃を防げば他の二体に攻撃されてしまう。

ヴァルスとしては、もし自分がされたら正解としては回避になるが、ハンマーが影で出来ているからか、振り出しが早く、避けるのはやや難しいと考えている。


そして、一助は。

「せいッ!『デュアルラッシュ!』」

軽々しく、大剣を横に二振り。所謂、横向きの燕返しである。


ボフンボフン!

二体の影が消え、ヴァルスは太刀筋の鋭さ、そして早さに舌を巻いたが、長年の経験からこの程度では動揺する時間は一瞬たちともない。

ラストの本体はそのまま、慌てずにハンマーを振り下ろす。


「『ファルライザー』!」

それに対し、一助はさらに切り上げ攻撃で対応する。


ハンマーと大剣が衝突し、そしてのけぞったのは、なんとヴァルスの方である。


のけぞりながら、ヴァルスは顔をしかめていた。


(むう、信じられないスピードよ。


今、私が戦慄したのは奴に押し負けたことにではない、そもそもこのヴァルスの長所もまた敏捷性であり、パワーはそうでもないから勇者と打ち合って押し負けても何らおかしくはない。


私が驚いたのは、このヴァルスが『瞬撃』を使ってから攻撃が届くまでの極僅かな間に『デュアルラッシュ』そして『ファルライザー』、計三回も大剣の斬撃をされたからだ。


普通の者ならば、『デュアルラッシュ』の途中、一回目の斬撃をした辺りで瞬撃を食らっている筈だが、一助は『デュアルラッシュ』、さらにもう一スキル『ファルライザー』を放つ時間すらあったのだ・・・。


特技使用後の硬直時間も殆ど解消されていた事も考えると、長時間は知らないが局所的なスピード、いわゆる爆発力は常識を逸脱したモノのようだ・・・。)


さて、一瞬で思考を巡らせたヴァルスに対し、一助は腰に大剣をやり、居合の構えに。

「追撃!『セカンドギア・フィスト』!!!」

そう叫ぶや否や、大剣を腰からバッと振り上げ、数メートルを一気にジャンプで詰めてしまう。

この時、大剣から機械が作動するかのような音がした。


(!今度はさらに素早いッ!)

急いで魔力を練るヴァルス。


「『カタマリ』!!」「『フルパワースマッシュ』!!!」

先程の何倍ものスピードでヴァルスに斬撃が叩きつけられる。

寸前に腕に魔力のガードを纏わせて、防御には成功したが・・・。


(ぐ・・・、これは、左腕は暫く使い物にならんか・・・)

衝撃を受けきれず、ヴァルスの左腕がグチャグチャに折れ、潰れてしまった。


「フー・・・。ここまで耐えたのはすごいけですけど、次で終わりにしてやりますよ」

そう言って一助は大剣を正面に構えた。


その時、ヴァルスは初めてマトモに一助の大剣を直視した気がした。


白い大理石のような太い刀身を持ち、その鍔は蒸気機構のような見た目をしていて、柄は巻いてある布がガッシリとした安定感を感じさせていた。

そして何よりの特徴だが・・・。


(今は、紫と赤のオーラを立ち昇らせているようだ・・・。ギアとかいうスキル使用で色が変わっていたが、単なる付与なのか・・・?

鍔に付いているあの鉄の魔道具のような物を媒体とした武器スキルなのでは?)




「喰らえ!『ウィングブレイク』!」

一助が大剣を振りかぶったかと思うと、大剣から緑の光が迸り、魔力の刀身が形成されると同時に、横に一閃される。


「むん!」

これをヴァルスは素早く地面に這って回避をする。


「うおおおお!!『ウォーリアーブレイク』!」

続いて振り下ろしをしようとした瞬間、ヴァルスが一気に身体に力を込めた。


(最初の三連続斬撃に比べ!特技発動後の硬直があった!)

「隙は逃さん!『スピリットアタック』!!!」


ヴァルスのハンマが途轍もなく短い槍に変化し、突き出される。

無視して一助が大剣を振り下ろす一拍前に、その横から鍔の機構に槍が「ガキッ」という音を立てて突き刺さった。


しかし・・・。

(パワー不足か・・・!ウォーリアーブレイクの方向は逸らせなかった・・・!)


ヴァルスの身体に大剣が叩き込まれた。

が。


「ん!威力が・・・!?」「ぐおおおお!!間に合った!」

一助とヴァルスは同時に、大剣の強化機構が破壊されたことに気がついた。


とはいえ、素の状態でも、大剣を直撃されたヴァルスは大ダメージを受けることに変わりはない。


「このまま決めてやる!『サザンカットソー』!!!」「ぬおおおおお!!!」

渾身の力で大剣を突き出した一助。

しかしそのスピードは格段に落ちていて、避けられずとも、なんとかヴァルスは手で印を組むことに成功した。


 スカッ!

大剣がヴァルスに届いたかと思うと、その部分だけヴァルスの身体が霧になった。

 ドゥーン!!

さらに大剣から光が直線に迸るも、やはり気体になって当たっていない。


そのままヴァルスは急いで距離を取り、背を向けて走りだした。


「くそ!待て!!」

一助は大剣を両手に走り出す。


ヴァルスが使用した技は攻撃を受ける前にそこを気体にして避ける物だが、気体にした部分が多ければ多い程反動でダメージを受けるものであった。

よって一瞬でも気体にした腹は中身の構造がボロボロになっていて、スピードが出ない。


一助はギア部分を破壊され、大剣の重さが一気に戻り、やや遅くなったが、それでも体はノーダメージなので、走ることへの支障は殆どない。


(このままでは追いつかれるが・・・!生憎と間に合ったようだな)

ヴァルスが死を覚悟した時、上空から飛翔してくる影が見えた。


次第に近づいてきたそれは、ヴァルスの仲間、魔族であった。


「遅かったぞ・・・!」「ヴァルス、死にかけではないか・・・」

二人が合流し、一助に振り返る。


一助は、片方が死にかけとはいえ二対一となり一瞬危ないかと逡巡したが、時間を稼いでいれば、味方がじきに敵兵士を殲滅してくれることを考え、再度魔力を練り直した。


やってきた魔族は紫の羽を広げ、叫んだ。


「四天王の前の前・・・元元、血の四天王のサングエ、参る!」


「ホウ諸国の勇者、田中一助!いざ勝負っ!」

ちなみにサングエはイタリア語で血を意味しちゃったり。

実はこの作品に登場する人物の三割はそういう由来があったりなかったりします。

Google翻訳さいつよ。


とはいえ、まぁほとんど忘れてますけどねー。

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