六十四話 神の異変
さて、無事店を出て、何をするか考える。
皆は何をしてるんだっけ?
えぐっちゃんは嬉々と狩りに出かけているだろう。
鎧亜さんとケインさんは光属性・魔法のちょっとした研究だよな。
えぐっちゃんについてったら足手まといだろ?
鎧亜とケインについてっても魔法研究とか出来ないし。
うーん、できることないなぁ。
一人で狩りに行くにしても剣も防具も進化するために預けちまってるから戦闘はほとんどできないし。
「うーん」
悩みながらボーッと街を歩いていると、小さな教会が目に止まった。
寂れているが、なんつーか、独特の建築様式だ。
現代日本とロマネスク様式と和風建築文化がごっちゃになった感じだ。
そこに調和性はなく、混沌とした様子しか感じられない。
置いてあった立て札を見てみると・・・。
『暇神教会 信者募集』
「・・・行ってみるか」
木と鉄とガラスの入り乱れた扉を開ける。
暇神のセンスが悪すぎる。
緊張して、中に踏み入れる。
さてと・・・。
信者募集って言葉のインパクトはあるけど、問題なのは前半。『暇神』の文字だ。
・・・考えない様にしてたけど、ちょっと前から『神託』が使えなくなってしまっている。
その時の最後の暇神からのメッセージは『huuinnsaresou』。
・・・『封印されそう』。
あんまり暇神の環境はその時まで気にしてなかったけど、もしかしたら暇神と敵対している奴もいるのかもしれないし・・・。
その時は、俺から干渉できる訳もないしほっとくことにしたけど、この教会なら、何か得られる物があるかもしれない。
そういう考えで入ったが・・・。
ま、どうせ何もなくても問題ないしな。
何かが減るわけでもない。
さて、困ったことに中に誰もいない。
「誰かいますかー?」
あたりを呼んでみたが、返答はない。
入ってもよかったのか、と今更ながらに後ろめたい気持ちにさらされたが、入っちゃったものはしょうがないだろう。
内装は外見に反し、石造りの普通の教会だ。
しかし、太陽光が遮られているのか、ステンドグラスは色褪せて見えて、内部も暗い。
そのためか。壁にも少しだけ草が生えてしまっている。
・・・気味が悪い、とまでは言わないが、間違っても神聖で明るい雰囲気は感じられないぜ。
建物はそこまで大きくなく、イスがずらずらと並んでいて、最奥に魔法陣の祭壇がある形だ。
すみっこに扉があるから、そこと別の部屋がつながっているのかもしれない。
てくてく歩いていって、魔法陣の前までやってきた。
魔法陣は、ピカピカと青く輝いていた。
それ以外に、特に見るものはなさそうだ。
「なんなんだよ、この建物・・・」
そう文句を言って、魔法陣に触れた瞬間、俺の意識は真っ白に吹き飛んだ。
『――やぁ、界人』
そこにいるのは、誰だ?
『今は無理だろうけど、いつか助けて欲しいんだ』
暇神なのか・・・?
『僕はこの世界に囚われている、死んでいないが封印されている状態さ』
そうだ、ここはどこだろう?
周囲は巨大黒い薔薇に覆われていて、中心に暇神が捕らえられていた。
『僕を殺すために、この世界は僕を抱えて滅亡させられる』
ツタの茨が絡みついて、痛々しい。
『ゲームクリアした時点でSWは神の介入を受け付けるようになる』
『そのタイミングで、魔神として神が攻めて来るんだ』
どうすればいいかわかんないけど、暇神を助けようと思った。
『恐ろしい程強いと思うけど、僕と同じで、システムに縛られているから、頑張れば倒せるはずなんだ』
そこで初めて、自分が浮いていたのに気がついた。
暇神の所に移動できるのか?
『まぁ、魔神と戦う以前の問題で、界人が死んだら意味はないけど』
泳ごうと手をバタつかせると、少し移動した。
・・・いや、意思の力で動いているんだ、これは。
『そのためにご都合主義を付けといたから、問題ないよね?』
そういえばさっきから暇神は何か言っているよな。
ごつ・・・なんだって?意識が朦朧として聞き取れない。
『忠告だけど、風柳って人、地球出身だけど僕は送り出していないんだ』
とりあえず、暇神の目の前まで移動した。
手で触れようとしてみる。
『何者なのか、今の僕じゃわからないから、気をつけておいてね』
キィーーン!
触れた瞬間、脳内に甲高い音がして、頭が・・・。
『・・・またね』
「おああああああああああ!!!」
自分の叫び声で、俺は正気に戻った!!
はぁ、はぁ、今のは何だったんだ!?
魔法陣に触れて、意識が飛んで、何かがあって、それで、甲高い音がして・・・?
くそ、何があったか全く思い出せない!
なんだよこの建物は・・・!
イライラして辺りを見渡すと、そこは空き地だった。
「・・・は?」
しかし、目の前には灰色になった魔法陣が置いてあるだけだ。
――スッと深呼吸。
周りを見渡すが、やはり空き地。
でも・・・あれ?ここは確か教会だったはずだよな・・・?
ん?え・・・?
「な、何がおこってんだよ・・・」
・・・何かが頭からすっぽぬけてる気がするぜ。
俺は、得体の知れない恐怖感と共に、空き地を後にした。
うーん、もうなんだか街をブラブラ歩く気になれないぜ。
「・・・一旦宿に戻ろうかな、一度落ち着くべきだ」
そうすることにした。
やっとこさシナリオが進んだ・・・!
なんだか文章が無駄な厨二病テイストになってますけど、要約すると
教会>おっ開いてんじゃーん
↓
神「助けてちょんまげ」
↓
おれは しょうきに もどった!
↓
界人「もうやだおうちかえる!!!!!」 ←今ここ
です。




