六十三話 魔法屋
魔法屋を探したら迷子になった。解せぬ。
「さて、どうするか・・・。あ、そうだ、王国にいた時もこんなことあったよな」
その時の反省を活かそう。
「ちょっとすいませーん、魔法屋の場所分かります?」
秘技、人に聞く。
交番なんか行く必要はないのDA。
「魔法屋か?確かあっちだぜ?」
「あざっす」
さぁレッツゴー。
――
あった。木造で、年季が入った感じの店がある。看板には魔法陣と、店名であろう文字がある。
『魔法屋 ファイア』
「・・・名前適当か!」
つっこみつつ、中に入る。
店の中はコンビニくらいの広さだ。この世界では結構大きい方だな。
それに反比例して店内に客は殆どいない。
大体がローブを着ていて、商品を手にとってはブツブツ言っている。
感じ悪いなおい・・・。
とりあえず店の奥のレジに向かう・・・と、よぼよぼのお婆ちゃんがいた。
「あ゛ら・・・見゛ない顔だねぇ」
「こんにちは、防具の進化ってここで出来ますか?」
とりあえず要件を聞いてみる。
お婆ちゃんはちょっと考えた後、
「ぞれなら武器防具屋とかの方に゛行っだ方がいいんじゃあな゛いかね?」
そう言ってきた。
ああ、なるほど、鎧とかを想像したのかな?
俺が進化させて欲しいのはパーカーだからな。
「いや、このパーカーを進化させてほしいんです」
「あ゛ら、服の進化なんて珍しい゛ねぇ」
パーカーを渡すと、お婆ちゃんは手に取りジロジロと見回す。
「できそうねぇ。ただちょっと時間かかりそうね゛ぇ」
「どのくらいですか?」
「6・・・いや、3、4日もあれば仕上げられるわ゛ぁ」
「じゃあそれで」
そういえば剣の進化はどのくらいなんだろうな。
いや、きっとそこまで長くはないだろう。
「値段だけど、あたしも慣れちゃあないからね゛、50万Gで」
あら良心的!・・・なのか?
そもそもが相場知らないからなぁ。
剣は80万くらいだろ?それに比べたら安いけど、服と剣が同額かはわからんし。
まあ50万でいいか。
「・・・あ゛んまり商売したことないね?あんた」
「あ、はい」
指摘されてしまった・・・。
当たり前だ、現代日本人舐めんなYO!
お婆ちゃんはやれやれ、と言わんばかりに首を振り、教えてくれた。
「そんな゛んじゃ世の中やってけないよ?相場は45万さ。世界には悪い奴ばっかなんだから、気を付けないと」
「お婆さんみたいな優しい人もいるじゃないですか」
ちょっと褒めてみる。
「あら言ってくれるねぇ。43万でもいいよ」
「おお!ありがとうございます!」
ありがてぇありがてぇ。
へへ、世界には悪い奴ばっかだぜ。
おばあちゃんはニコニコ笑っていた。うーん、見透かされてるのかもしれん。
・・・さて、このまま帰っても良いけど、ちょとと商品でも見てみるかな。
「なになに?上級魔法ギガファイアのオーブx1?なんだこりゃ・・・」
手にとってみる。
形は俺の『オーブ』とそこそこ似ている・・・。
そういえばえぐっちゃんからパスされた奴がこれと同じだった。
てことは砕いたら魔法が飛び出すのか。護身用にどうぞって事だな。
「他には・・・。中級魔法メラファイアのオーブx2?上級より高えな」
オーブ中心の水晶が2つある。
二回使えるのか。
「そして・・・。お、店内の雰囲気ガン無視のガラス張りショーケースに入っているこれは?
どれどれ・・・?初級魔法ファイアの再生型オーブ?」
水晶は一つだけど、虹色に光っている。
説明が下に書いてあるな。
ふむふむ、周囲から魔力を吸収、自動チャージで永遠に使えるらしい。
なんでも、色によってどのくらいチャージされてるのかわかるとか。
そして高い、百万Gだ。つまり一億円。
強盗絶対くるやんこの店、大丈夫なのか?
他のものはないかな・・・。
お、本がある、魔導書って奴かな?
「ええと、初級・火の魔法書?魔導書とは違うのか?」
ページを開けると、英語で火について事細かく書いてあった。
・・・なんだこれ。
何十ページもあるが、これがのほとんど全部が炎についての記述という、意味不明なシロモノとなっている。
しかも、何故か英語。
・・・この世界の『魔法の文字』はいわゆる英語なのかもしれない。
でも偶に見たことのない文字もあるから、流石にまんま英語ではないっぽい。
心なしか韓国語に見えるが、きっと気の所為だろう。
・・・。
さて、この魔法書の使い方だが、書いてある魔法があらかた使えるようになるらしい。
俺でも『ファイアボール』が使える、って事だな。
便利だけど、五千Gと相変わらず高いので買う気はしないぜ。
店内の客が少ないのも、そもそも商品がどれも高いからだろう。
・・・よく見たら壁とかにも薄く文様が刻んである。
強盗対策とか完璧なのかもしれない。
すげーと思いつつ、俺は魔法屋を後にした。




