五十三話 トラブル
「すいませーん」
そういって俺は騎士隊長さんに話しかける。
彼は町の衛兵だったが、王の名を偽る人達に危うく毒殺されていた。
そこにたまたま通りかかった俺が「草生える薬」こと草薬を与えて助けたんだぜ。
その後ファルシュの件をポロッと漏らしたりしたんだけどどうなったんだろ?
「ああ、界人くん、お久しぶりだね。買い物かい?」
「いや、帝国に行くことになったんで観光してたんですよ」
「そうだったのか」
「ハイ。ところで殺人鬼の件、あの後どうなっちゃったんですか?」
「ああ、王宮騎士団の人達に口封じを頼まれたけど、特にそれ以外はなかったよ。コッソリ自分で調べられる範囲で探したけど、もう解決してしまったそうだ。
というか解決させた面子には界人くんもいたんだろう?」
「んー、まあえぐっちゃんほどじゃあないですけど」
「えぐっちゃん・・・『超進化の風竜』か。確かに凄いスピードで成長している彼だけど、君もその影に隠れているだけで、中々上達が早いとは思うよ?」
そういっていきなりダッシュして俺の後ろに回り込む騎士隊長。
・・・・・・動きが早すぎて目に捉えるのもギリギリだぜ。
「ほら、最初あった時は僕がダッシュしたことすら認識できていなかっただろう?たった一週間弱でこの上達は凄い事さ」
う、普通に褒められるとなんて言えばいいかわからないな。
「ところで、あのオーブはどうなったんだい?」
オーブ・・・そういえばあったなそんなの。
折角のチートなのに全く使い方がわからない能力だ。
新型魔力展開といい、オーブといい、俺のユニークスキルはもっと単純でいいと思うぜ。
使い方どころか発動効果もわかんねぇんじゃあなぁ・・・。
「今のところは進展ナシなんですよ」
「そうか・・・。己を知ればなんとやらっていう台詞が帝国にあったと聞いたし、頑張って調べるんだよう」
「そうですね」
帝国の台詞・・・「己を知れば百戦危うからず」だっけ、日本の諺だよな。
となると帝国に日本人がいるっぽいな。
「・・・そうだ、帝国に行くと行っていたね。理由を聞いてもいいかい?」
うーん、あんまり部外者には言うなって言われてるけど今更かなぁ。
・・・いっそのこと超パワフルなこの騎士隊長さんをパーティーに連れっても良い気がしてきた・・・。
ちょっと聞いてみるか、ダメ元で。
「あー、依頼で行くんですけど、騎士隊長さんも来てくれませんか?そしたら詳細も話せるし」
「いやすまない。依頼内容だと話せないもんな。悪いんだけど、僕は騎・・・衛兵としての仕事があるんだよ」
「ですよね・・・無理言ってすいません」
予想はしてたけど、やっぱ無理かぁ。
できれば仲間が少し欲しかったけど。
まぁ、えぐっちゃんと鎧亜さんがいるから大丈夫か。
「そうそう、この町の観光をしていたんだっけ、オススメの場所がある。
少し町の外に出て、西に進むと、紅蓮山と黒金山が一緒に見えるんだ。
道中の魔物は弱いから一人でパッといけると思うよ」
「へー」
紅蓮山と黒金山が何かは知らんけど、行ってみるか。
「お?」
言われた方向に歩いてって、町を出た後直進する。
東の方向とかは知らなかったので通行人に聞いた所、「お前、紅蓮山と黒金山が見たいんだろ?」と教えてくれたぜ。
そして。
「人だかりがあるな、あの辺りか」
アエロ草原を走っていった先には崖の前でたむろしている集団がいた。
ちなみに道中に魔物は全くいなかったぜ。
そこにいたのは町人たち、貧相な農民たち、はたまた豪華な馬車まで。
色々な身分の人達が差別し合うことなくそこにいた。
いや、流石に農民たちは馬車からだいぶ離れていたが。
と、そこで声が上がった。
「おーっ!!霧が晴れたぞーっ!!!」
「やっとか!」「うっひょー!!」「ここまで来たかいがあったぜーッ!」「護衛代とチャラになる程の景色っていうけどどんなもんかな!?」「おいおい、崖から落ちるなよー?」
一斉に景色の方を向く観光者たち。
さて、俺も気になるから見てみるか。
なんと俺の場合、押し合いへし合いをする必要がない。何故なら・・・。
「新型魔力展開っ」
そして一平方メートルくらいの足場に乗って浮かべば・・・!
うっひょー!!確かにこりゃあいい景色だ!!
紅蓮山はあの紅く輝いているやつ、黒金山は多分それに重なって見える超でかい山だろう。
黒金山はあまりに高いのか、雪が積もっていて黒と白の二色になってしまっている程だ。
なるほど、カメラがあったりついつい取っちゃいそうな光景だ。
それにしても・・・。
「おい!だから押すなって!!!」「みたいからしょうがないだろ!?」「わーい」
うるせぇなオイ・・・そう思って見ていると。
「あ!やっべ!!」
あまりに押されすぎて一人だけ男性が落ちてしまっているぞ!?
「またかッ!!『エンチャント:フライ』!」
びっくりした次の瞬間、謎の老人が魔法を発動した。
老人の杖の先から出た光が落ちている男に当たった瞬間、その人がフワッと浮いた。
どうやら空を飛べる魔法のようだぜ。
そのままふよふよと戻ってきた男性。
頭を掻きながら老人に謝罪し始めた。
「あー、助けて頂きありがとうございます。迷惑かけてサーセンっした」
「200G」
「?」
「200Gじゃ」
「!?」
「ホレ!さっさと出さんか!?助けてやったお駄賃じゃ!タダ働きはせんぞッ!!」
まさかこの老人・・・。
「「「金取んのかよ!?」」」
そして二万円という命に比べれば塵に等しいとはいえ、財布には若干のダメージを与えられた男性はがっくりと肩を落とすのだった。
(あのジジイ、いつもそこで金稼いでんだとよ)(浮遊付与なんて使えるんだったらもっといいに仕事にありつけるだろうに)(年だし、冒険が嫌になったってウワサだぜ)
いつもいんのかよ。救えねぇ爺さんだなオイ。
呆れたその時。
「「「「ワァーッ!!!!」」」」
「なっ!?」
後方から数十人に軍勢がいきなり現れやがったッ!!
「敵襲ッ!!!敵襲ーッ!!!!」「一般人は下がれ下がれェ!!」
あちこちの護衛達が剣を構えた。
俺は・・・戦闘に参加してもいいけど、ちょっと様子見で下がるか。
一般人に上空に飛んで逃げる。
さて、あの軍勢と護衛達の戦いが始まったぞ・・・!
「総員・・・構え!」
軍勢から声が上がる。
それと同時に弓を構える軍勢達。
そして一気に弓を撃ちだした。
「ぎゃあああああッ!!」「『リフレクト』くそっ数が多すぎる!」「『岩の棲家が災害から守る』『ろっ』いってぇ!!!」「くそ、魔法を使わせてくんねぇ!!」
護衛達はそこまで腕が立つわけではないようで、一気に大打撃を受けている。
「第二射・・・装填!」
「ひいええええ」「くそ、回復できる奴はいないのか!?」「衛生兵ー!衛生兵ーッ!」
おい大日本帝国人混じってるぞ。
さて、このままじゃ殺られちまいそうだな、助太刀してみるか・・・。
と、近寄ろうとしたとき、軍勢の中から声が上がる。
「発射と行きたいところだが!!この中に豪華な馬車に乗る貴族がいた筈だ!!!そいつらを差し出せば皆殺しは勘弁してやろうッ!!」
一気にざわめく人間たち。
空から見おろしてるから客観的に感じる。
だから、多分差し出しても後で殺されるって察することができる。
この空気を吹き飛ばさなきゃあな。
行くぜ!
「断るッ!どうせ受け取った後殺すだけだろーがッ!!新型魔力!」
俺の前に塊魔力の壁を展開する。全員カバーするために長めだから、一気に魔力が三割持ってかれた。
そして、そこから少しだけ破片を発射。
「ぶっ飛べ!!」
キラー○イーンよろしくわざとらしく右手を押して点火する。
ボンボンボン!
「うおっ」「いってぇ!」「チッ!」
つっても威力は低いから重症にはならないけどな。
だが、ファルシュ戦と同じくらい撃ちまくれば敵8割は再起不能にできる自信はある。
流石ユニークスキルとかいう銘打った名前なだけはあるぜ。
今までとは違って新の使い方を覚えた俺に敵はいないぜ!
「第5策!総員・・・構え!」
ん?
「「「「『エレメントショット』」」」」
そして、流星のように撃ち出された巨大な矢は、俺の障壁を破壊してしまった・・・。
ってなんじゃあそりゃあ!?
「とりあえず点火!!」
壊された壁を爆発させて、『エレメントショット』?を打ち消した。
「第三射・・・装填!」
くそ、また射ってくるか・・・!
そうポンポンと塊魔力の壁を作ってたら魔力がなくなってしまう。
・・・あー、これさっきのでフラグ立っちゃったかな?
おまけ(流行にあやかったみたクソ寒いIf話)
一斉に景色の方を向く観光者たち。
さて、俺も気になるから見てみるか。
なんと今回の場合、押し合いへし合いをする必要がない。何故なら・・・。
「景色は空だからだっ」
・・・それはただひたすらに美しい眺めだった・・・・・・!!
紅蓮星はあの紅く輝いているやつ、黒金星は多分それに重なって見える超でかい流星だろう。
「敵襲ッ!!敵襲-ッ!!!」
は?
突如後ろに現れた軍勢。
なんだあいつr【ズドン!!!】ファーッ!!!???
なんか隕石で潰れた。敵襲ってなんだったんだ・・・。




