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四十話 黒の心臓

さあさあクライマックスですよー。

ちなみに投稿がちょい早なのはたまたまです。

えぐっちゃんを追うため超ダッシュしている俺。

それにしてもこのあたり、ボロボロだな。

床に穴が開いている所もあるし、うっかり落ちる可能性があるかもな。

それにヒビが入っているのもあるから、ちょっと危険かもしれない。


でもさっき戦っていた所は綺麗・・・とはいかなくてもここまで酷くはなかった。

ということは前にここで戦闘があったのだろうか。



それにしても走りにくいなあ。うーん。


あ、障壁の存在を忘れていた。


と、いうわけで障壁張って飛び乗る。

気分はカー○ィのエアライドだ。回転したら落ちるけど。


そして、そのとき。



ボン!!!


「ファッ!?」

いきなり真下の床が爆発した。


罠か?と思って一回止まって床を注意深く観察すると、そこには瓦礫に混じって変な模様のある小石があった。過去にシルフが使ってきた、魔撃石とかいう道具だったっけ?


なるほど、穴が開いてたのはそういう訳だったのか。

あれ?それって過去にここに引っかかった人がいたという事か?


穴は複数あるから、何回か作動したのだろうが、えぐっちゃんが同じ手に何度もかかるとは思えない。

・・・という事は敵が自分のトラップにやられたってこと・・・?


策士策に溺れる、とはまさにこの事である。

それにしても、この石、使えたら便利そうだから落ちているのをなんとか回収出来ないだろうか。


ちょっと色々試してみるか・・・。


手で触るのは論外なので、そっと新型魔力でアームを作って回収してみる。

お、いけそう!


よーし、慎重に・・・!!!



ボフン!!!


・・・・・・。













さてさて、大分時間を食ってしまった。

しばらく移動すると、人の気配があったのでそちらに向かう。そこにあったのは。


「くらいやがれーッ!!!『ホーリーバレット』!」

「ギャハハハ、効かねえって言ってんだよ!!!」


血だらけのケインさんと、謎の男。

周りには大柄の男たちが地に伏している。


そして状況だが、ケインさんが光の弾を打ち出したかと思うと、その男に近づいた瞬間に蒸散した。

あれは一体?と思ったとき、後ろから声をかけられた。


「あ、界人」

「おお、えぐっちゃん!状況は!?」

「さっき戦闘不能のグランツさんを応急処置して、危なくない所まで運んできた。流石に復帰は時間がかかりすぎて無理そう」

「OK、そしたら目の前にいるのはなんだ?」

「『灰勇者のF』、名前はファルシュ。強いけど、能力を見極めれば勝てると思う」

「ケインさんは?」

「戦いが長引いて消耗してる。グランツさんのための時間稼ぎと同時に能力を見極めてもらえればよかったんだけど・・・どうだろう?」


すると肩で息をしながら、ゆっくりケインさんが歩いてくる。

何故かファルシュって男は座り込んでいる。余裕かよ。


「ハァ・・・ハァ・・・くそ、何一つ効かねえ」

「そうか・・・」

「ああ、遠距離攻撃を何回か試したが、気がついたら消されてる」


なんだっけ、約2m内に近づいたらやられるって話だっけ?

「近づいて攻撃はだめなのか?」

と尋ねると、

「ダメだ。それを試そうと近づいたら、奴も近づいてきた。で、嫌な予感がしたのかおっさn・・・グランツが俺を突き飛ばしたんだよ。で、グランツが気がついたら瀕死ってわけだ」


それはどういう原理の攻撃なのか・・・。確かに謎だ。

と、そこでえぐっちゃんが意見を出す。


「そうだ、気がついたんだけど、さっきグランツさんの傷を注意深く見たら、ちょっと服が焦げてたんだよね」

「何?切り傷だと思っていたが?」

「多分パッと見わからないレベルで燃やされたってことだと思う。それにギルドで調べた話でも、奴に殺された魔物には焼かれた痕が少しだけ残っていたっていうから」

「だが、あのとき、一瞬でも俺は炎を視認出来なかったぞ?」

「うーん、だよねぇ」


二人の会話を纏めると、奴の周り半径2mは危険で、超高熱の炎に一瞬だけ炙られる。

・・・あ、そうだ。


「ところでえぐっちゃん」

「どうしたの界人」

「ちょっと思ったん「うガあああアアアアあああ『あ』あ嗚呼ああッ!!!」!?!?!?!?」

「何だ!?気をつけろ、何かする気かもしれねぇ!!」

「お、おう!」


急にファルシュが叫びだした。さっき座り込んだと思ったら、今度は発狂しだす。

何がしたいんだコイツは!?

と、ケインさんの喝で我に返る。何をする気なのか・・・?


えぐっちゃんがそこで奴を指差す。


「あ、二人共見て、奴の額に変な宝石が!?」

言われて注視すると、そこには黒いひし形の水晶のようなものが彼の額に埋まっていた。

ん、体が重いぞ・・・。

「奴のオーラが変わったってことなのか?」


「界人、そうみたいだ」

「話に聞いてた闇の結晶って奴だな・・・」

「風柳、そしたらそれを斬るなりなんなりして破壊するばいいのか?」

「いや、そもそも今まで約2m内に近づく事すら出来なかったんだ、不可能だと思うよ」


「あ、それでさっきの話に戻るんだよ。あくまで仮説だから話半分に聞いて欲しいんだけど」

「界人、手短にね」

「うん。確かえぐっちゃんって『チートバインド』ってスキル覚えてたよね」

「ああ!そういえばあったね」

「それってチート能力を全て無効化するんだよね?」

「そうだけど・・・でも防がれるから意味ないよ」

「いや、その奴の能力を『半径2m以内の物を一瞬で焼き尽くす』と仮定して、もしその炎がチートによるものだとしたら」

「炎が無効化される?」

「まあ、そういうこと」

「うーん、ちょっとそれはどうだろう」


あれ、名案だと思ったんだけどなあ。


「だってこれ、消せるのはチートだけでその炎がただのスキルの炎や物理的な炎、魔法系のモノだったとしたら消せないから」

「えー」

「・・・いやまあ試すだけ試せばいいんじゃねえの?あいつ今発狂してるし攻撃通るかもだぜ『ホーリーアロー』」


会話中に体力を立て直したのか、ケインさんがフォローと共に魔法を放つ。

そしてその魔法の矢は・・・。


消えた。

「!!」

「やっぱり消えるか・・・」

「いや、ちょっと待って」


改めて見るとすごい光景だ。声を失っていると、えぐっちゃんが何かに気がついた。

「魔力の状態を確認したら、さっきの『ホーリーバレット』は若干魔力の残りカスがあったんだけど、今回の『ホーリーアロー』は全く残りカスも残さず消えたんだよ」


「いや魔力なんて見えないんだけど・・・まあいいや、それがどうしたの?」


「界人、魔法ってのは魔力の集合体を打ち出して攻撃するようなもんなんだよ」

「で、それが少しも蒸散せずにまるごと消えたってことは」


えぐっちゃんとケインさんが頷き合う。いやどういうことだよ。


「「吸収されたんだ」」


え、そうなの?あまり恐ろしさがわからない。


「あのね界人、吸収されるってことは」

『ググ、これは光の魔力だな・・・!!!』

「!!」


さっきまで奇声を発していたファルシュが喋り出した。

でも、心なしか声が別の人に聞こえる。


『フン、我が復活するための魔力が、逆に減ってしまったわ!』

「お、お前は一体!?ファルシュじゃねえのか!?!?」


ケインさんが尋ねる。

『今さっき撃ったニンゲンは、貴様だな・・・?』

「おい、質問に答えやがれ!!」

『遙かなる時を経てなお我に仇をなすのか、光というモノはッ!!』


おおう、なんか激怒してる。隣でえぐっちゃんが

「やっぱりあの宝石で能力が炎から吸収に変わったみたいだな」と呟く。


『だがな・・・我は吸収以外にも出来るのだよ、それは闇の集合体から全てを飲み込むブラックホールへの変換だ!!木っ端微塵に消し飛ばしてやるッ!!』

「おい、なんの話をしてやがる・・・うおおおおッ!!!!」

なんか一人語りを始めたかと思うと、今度はケインさんの方に突っ込んできた。

えぐっちゃんが急いで服を引っ張ってこっちに引き寄せたのだが。

「これは・・・!」

若干ファルシュに近かった、鎧の先端が綺麗にえぐり取られていた。


『チッ!!範囲外に逃げおってからに!!何故ニンゲンはいつもいつも、逃げ足が早いクセに楯突こうとするのだ!!!』

「くそ、お前に引っ張られてなかったら即死だったかもしれないぞ・・・」

「やはり奴の能力は、範囲内の空間を抉り取る、って内容だな」

「ど、どうすりゃあ倒せんだよそんなの!?」

『フン!いつまで逃げていられるかなッ!!』



こうして『灰勇者のF』との勝負は第二幕の突入した。

・・・いざとなったら逃げよう、そう思いつつ対峙することにするぜ!

いきなりの敵の人格崩壊。

この人、額に結晶がなかったらただの中二病扱いされると思います。

あとこの✝ダーク✝ファルシュさん、自分のネタばらしとかよくします。

三流悪役って奴ですね!

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