三十九話 障壁の使い道
なんと界人一人での戦闘回。
こんなロマン要素1つも無い奴が戦闘して面白くともなんともないんだろうなぁ。
目の前にいるのは血だらけで倒れている男女。
・・・うん。
「えぐっちゃん、突入方法おかしいよね」
「こいつら面倒な術使うから潰しておきたかったんだよ」
えぐっちゃんと俺こと界人は『灰勇者のF』と王宮騎士二名が交戦状態になったらしいので、やってきたのだが、まさか壁をぶち壊して入るとは予想していなかった。
しかも何故か俺らは傷一つ追っていない。
ん?ちょっと待てよ?
「なんでえぐっちゃんがそんなこと知ってるんだ?」
「黙秘権の行使」
・・・・・・。
まぁ、今は戦闘に介入するのが先だから、深く聞くのは後にしようか。
いま俺らがいるのは大きい廊下のようだ。右と左、どちらに進むかな。
「よし、ここはみg「界人こっちだよ」」
・・・解せぬ。
さてさて、急にえぐっちゃんがミステリアスな感じがする今日この頃だが。
廊下を走っていると数人かが道を塞いでいた。
邪魔だなぁ、話に聞いたスラムの住人って奴?
「界人、突破して」
「え、俺?なんで?」
「急ぎの用だからその隙に進む。終わったら追ってきてちょ」
「え、でも俺が勝てるかもわからn「じゃあねー☆」」
行ってしまった・・・。ええい、もうどうにでもなれ!
「俺、界人が相手してやるぜ!」
「親方、一人抜けましたぜ!」「うーむ、今なら間に合うかもしれない、追うんだ」
「でも目の前にも、もう一人いますぜ」「捨て置け」「へい!」「俺はファルシュさんに伝えてきます」
「じゃあ俺はマジツシの所に」「わかった、いざとなったら魔撃石を使っていいぞ」「え、いいんすk」
「無視すんなあああああああああああ!!!!」
こいつらいつまで話してんだよ、ってかもうえぐっちゃん追う気あんのか?
敵は三人。親方って呼ばれてんのと、子分みたいなのが二人だ。
子分が一人えぐっちゃんを追いに行ったので。
「親方!変なバリアーがあって進めませんよぉ!」
「何!?」
「ククク、この俺を倒さなければそれは解除されんのだ!奴を追うなら俺を倒してから行くんだな!」
我ながら超☆痛キャラっぷり。
因みに変なバリアーとは障壁のこと。塊魔力でなるたけ厚くしたけど、流石に何十回もどつかれたら壊れると思うよ。
でも言わなきゃ気づかれないし大丈夫だろ。
「なんだと?ただのクソガキだと思っていたが、魔法を使うのか!?」
「マジツシですぜ!親分!」「てことはマジツですぜ!親分!」
「魔術だよ!知らねえのに知ってるアピールやめろ!」
なんだろう、このぼっち感。三人で漫才始めやがった。あとこれ魔術じゃないです。
「お前ら気張れよ!なんとかして団内戦力ワースト組から脱却するんだ!」
「最下層かよ!」
「ああ!?バカにしやがって!?!?」
「いやあんたらが言ったんでしょうが!?」
くそ、する気もないが、話にならない。
「ファルシュさんのために頑張ってスラムを守るんだッ!」「「親分!」」
「「「うおおおおおおおおおおおおおお」」」
ん?ファルシュって誰だ?
おっと、そんなことを考えている場合ではない。三人が体をくっつけて突進してきた。
パパッと思考を切り替える。
俺の選択肢は、
1 障壁を張る
2 剣で斬っちゃう
3 会話する
4 避ける
5 現実はry
正直な所、俺はメンタルが弱い。流石に魔物は出来ても人は殺せない。あと腕を狙って頭に当たる可能性もある。よって2は除外。
5は論外として、あいつら頭に血が上ってそうだから3もダメか。
4は失敗の可能性もあるし、ここは1番が最良かな?
試しに障壁を固魔力で張ってみる。
バン!!
「あん?なんじゃあこりゃあ!!」
バン!!バン!! パリーン!!!
うーん、三回目で割れたか。でもただの突進だと割れにくいってのはわかった。
ところでこれ、魔力消費が少ないから、レベルの上がった今なら今までより大量に出せる。
という訳で。
「ていっ」
シュババババババ!!!
「お、親分!」「俺らの周囲に大量のバリアーが!?」「み、見りゃ分かるわ!」
三人の周りを何重にもした障壁で囲む。塊魔力を作るのは意外と消費するので、固魔力を大量にした。
そして囲み終えると、奴らはもう脱出できない。
床はともかく、上の方にもちゃんと障壁は設置済みだ。
さて、ここで塊魔力の出番。
塊魔力で小型ハンマーを5本作成する。
で、あとは顎の下か首の裏を狙って回転させながら殴打させる。
「うおおお!こりゃあ一体!?」「小槌が襲い掛かってくる!」「クソ、避けられねぇ!!」
状況説明どうも。
周囲を囲まれているので思うように避けられないようにした。
ちなみにハンマーを破壊しようとしたら別のハンマーが飛んでくるので、隙はないです。いぇい!
バコッ
「ヘボッ!」
変な声を上げる子分2。どうやら一発首裏に貰ったようだが。
「痛えええ!!」
うーん、気絶はしていないようだ。
べコッ
「うげっ」
でもダメージで動きにキレがなくなった。すぐまた被弾しているのが証拠だ。
そして・・・。
ブコッ
「う~ん」
ついに一人倒れた。気絶まで三発か。
やっぱり『新型魔力展開』は攻撃力にかなり欠けている。今のところは大丈夫だけど、そのうち新しい火力が必要だぜ。
「おい!こんなところで倒れるなぁ!!」「親分ー!!」
子分2を皮切りに皆ダメージを受け始め、結局全員片が付いた。
厚めにした妨害用の壁に自分用の穴を開け、通った後閉じる。
この障壁、自分だけが通れる、というのは中々に魅力だ。
これで奴らの目が覚めても周りの障壁を壊さなきゃならんし、更にその後この分厚い方の障壁も破壊しなくてはならない。
数分間の時間稼ぎにはなるだろう。
障壁は意識すればしばらくその場に残り続ける、という性質があるのは発見だな。
と、言うわけで置いてかれた文句を言うため俺はえぐっちゃんを追っていった。
※この時点で界人は新型魔力の使い道をわかっていません




