四十一話 一対一
クソみたいな敵の暴露。必死に敵の能力を暴いていた意味があんまりなかった。
さて、『灰勇者のF』ことファルシュ。
名前の由来は近寄った魔物が一瞬で灰になったことから。
現在は脳に、貴族から奪った闇の結晶が埋まっている。
それにより近くの敵を一瞬で焼きつくす能力が、吸収する能力に変わった。
しかし、ケインさんの光魔力は吸収すると闇の結晶に逆にダメージを与えた。
そこでファルシュは自分を吸収の能力からブラックホールで物質を削り取る能力へ変化させた。
まとめるとこんな感じか。
「さて、どうする?近づいたら抉られるぞ」
「うーん、遠距離攻撃の『チートバインド』は多分意味ないしねぇ」
「俺の『新型魔力展開』は威力がないし」
喋りながらファルシュから距離を取る。
近づいたら死ぬのはさっきと同じだ。
「あれ、界人のそれってレッドグリズリーに吸収されなかったよな」
「レッドグリズリー?」
「そういえばそうだね。あ、レッドグリズリーってのは魔力を吸収してくる魔物」
「そんなんいるんだ・・・」
と、話しながら、障壁を展開。
一辺1mの半透明の板で叩いてみる。
「どうだ・・・?」
そして、障壁だが・・・。
「ん?ちょっとだけ残っている?」
まるで鉛筆で中を埋めた正方形を、消しゴムで全て消そうとしたような痕だ。
よくわからないって?仕方ないだろ、俺も上手く説明出来ないんだから。
「これはどういうことだぜ?」
「ケイン、これってもしかして」
「ああ、風柳、奴の能力、俺らが想像してたのと微妙に違うっぽいな」
『しばらく攻撃を受けてやったが、この程度なのか?』
「うお、急に喋るなぁ」
『フフフ、やはりニンゲンの力はそんなもの。この我の敵ではない・・・が』
「が?」
おっと、普通に聞き返しちゃった。敵のペースに載せられるなよ、俺。
『やはりこの肉体は微妙だなぁ!時を止めて抉り取る、それくらいしか出来ないのだから!!』
「と、時ィ!?」
いきなりネタばらししやがったぞこいつ。一体何を考えてるんだ?
『フハハ、不可解な顔をしておるなぁ。だが、もともとこの体と我は協力関係なのではないのだよ。
まあ、ボディはそうは思っていないみたいだがな。おっと、話が脱線した』
え?どういうこと?
「界人、気を付けて、こいつ何かする気だ」
ハッ!
えぐっちゃんの忠告で警戒を深める。
危ない、普通に聞いてたわ。
『簡単な話だよ。もうこの肉体を捨てるのだから、そいつがどうなってもいい、という事だ。
別の肉体に憑依すれば、どうせ能力は変わる。ならば教えてやってもいいと言うわけだ』
「で、でも教える事のメリットはあんたにないんじゃ?」
「か~い~と~」
あ、質問しちゃってた。テヘッ☆
『それは簡単な話だ。我から送る、君たちへのチャンス、ただそれだけだよ。ヒトの体で戦う経験はあまりなかったからなぁ。一方的に終わらせてはつまらないだろう。フフフ』
え、舐められてんの?さっき光吸収しただけであんなに激怒してたのに・・・。
なんだか小物みたいに思えてくる。
『では教えよう。こいつの能力は、数秒間時を止める。ただそれだけだ』
クソ強いじゃん・・・。
『が、発動した本人も動けない』
クッソ弱えええええ!!!
『動かせるのは、自分を中心とする半径2mまで届く炎の棒だよ。もっとも私が顕現してからは闇属性に変化しているがな』
「あ、じゃあ『『魂の上書き《パラサイト・ソウル》』』えっ?」
口を開いたら、いきなり奴が額の結晶から魔法を飛ばしてきた。
使ったファルシュは倒れこんでいて、よくみると額の結晶がなくなっている。
その魔法は、端的に言うと真っ黒な空飛ぶ蜘蛛、だろうか。
ケインさんの方向へ行ったと思ったら、何故かそのまま素通りしようとする。
そのとき、蜘蛛が喋った。
『我は光に弱いが、肉体が光属性ならばそれも克服できるとは思わんかね』
!!
「ケイン!!追いかけるよッ!『飛翔』界人はこれ!!」
「おう!!わかった!!!」
「お、俺は!?」
「ファルシュを見張ってろ!『ライトブースト』ッ!」
えぐっちゃんが何か投げつけてきたのでキャッチした後、二人は奴を追っていった。
ま、まさか狙いがグランツさんだったとは・・・。
で、えぐっちゃんが投げつけてきた奴だけど・・・なんだ?
俺の『オーブ』に似てるな。だけど、装飾が違うし、中心の宝石も3つもある。
「あ、鑑定持ってたよな。『鑑定』」
(ΦωΦ)
名前:魔法のオーブ 二発使い捨て
ランク:6
状態/品質:(中身:チートバインドx2)
備考:2つだけ魔法を収納し発動できる道具。砕く事で発動する。使い捨て。
(ΦωΦ)
おお、チートバインドが使えるのか!!
こいつは便利だぜ!!
もしファルシュが起きても大丈夫だな!!
と、思って後ろを見ると。
「あれ、いない!?」
!!嫌な予感がするぜ!!勘に任せて前転する。
そのまま後ろを振り返ると、ファルシュが立っていた。
「ああ、天井に張り付いていたのか」
「ヘっ、何故か裏人格が終わってるが、お前をぶっ殺しゃあいいって事はわかるぜ!!」
え?裏人格?なになに中二病?
「はっ!!焼きつくしてやる!!!」
と言って突っ込んでくるファルシュ。
よし、早速使ってみるか。
「くらえよ、チートバインド!」
と言って片方の宝石を砕く。
するとそこから半透明の紫の手が出てきたので、奴に送る。
「ま~た遠距離かよォ!!!その手も燃やしてやるぜ!!」
と奴が叫んで。
パリーン!!!
奴の周りの空間から割れたような音がした。
そして奴の周りには炎の棒が一本、手を燃やそうとしていたが。
「あ、あれ?時が止まってねぇ!!!」
自分の体が動く事に困惑しているようだ。
ちなみにチートバインドの手は時止めを破壊した時に砕けてるぜ。
「ま、まさかテメーが俺の能力を!!さっきチートバインドとか言っていたなっ!!」
「これでお前は時を止められないぞ!!これなら近づいても大丈夫だな!!」
叫びながら剣を引き抜く。久々に抜いた気がする。まあしょっちゅう抜いてたらヤバイけどな。
そのまま魔力を通し、奴に躍りかかる。
「『スラッシュ』!」「『スラッシュ』!」
!!たまたま同じアーツか!
ガッっと剣を打ちつけあう。
押し勝ったのは・・・!!
「俺の剣だぜ!!」流石はレッドグリズリーからの進化剣、性能が違う!!
魔力も通してあるし、腕力は大きく離れていなかったから、負ける道理はないぜ。
ん、ちょっと剣が欠けているなぁ。スキルで直るといいけど。
よくみたら欠けた所で小爆発が生じている。なんで?
「それにしても、お前基礎技のスラッシュ使ってくる辺りあまり剣のスキル高くねーな?」
ちょっと煽ってみる。
「スラッシュ使ってんのはお前もだろォ!!?!?」
ごもっともです。てかこいつ何かバカの臭いがする。俺が言えたもんじゃないけど。
「だが、今度はそう甘くねぇぜェ!!FOX!!」
と奴が叫ぶと、ファルシュの背後に巨大な狐の幻影が見えた。
まるで幽波絞・・・いや、超次元サッカーの化○と中間のサイズくらいか。
「『狐火』・・・よし、これでいい」
そして奴が紫の炎を剣に纏わせると、狐は消えた。
「今のは?」「もう一つのチートだって言うわけねぇだろォ!!」
言ってますけど。
と、そのまま奴が突っ込んできた。また斬りかかるつもりらしい。今チートバインドを発動しても切られて終わりだろう。残り一発だから慎重に使わないと。
ここはまた打ち合うぜ。
「『ダブルスラッシュ』!!」「『火炎斬り』!!」
奴が一回切る間に俺は二回切るのだ。無理だけどそのくらいの気合で。
ガッ!カーン!!
奴の剣に俺の剣が当たった瞬間、軽くのけぞったが、アーツの力で無理矢理二回目に切る。
それは追撃しようとした奴の剣に当たり、両者軽く吹っ飛ぶ。
また再び距離が離された・・・が。
「なんだよ、お前火炎斬りなんて強そうなの持ってんじゃねえか!」
「火纏わせねえと使えねんだよ!お前だってダブルスラッシュあっただろ!!なんでさっきスラッシュ使ったんだよ!!」
「進化してたの忘れてたんだよ、別にいいじゃねえか!細かい事気にするとモテないぜ☆」
「余計なお世話だよ!!どうせ顔面偏差値50切ってんだから!!!」
「いや、割とかっこいいぜ、お前」
そんなファルシュくんは意外と美形。将来が楽しみだ。
結構忘れがちだけど俺ら13歳の設定だし。奴も俺と同じくらいだろうからな。
「じゃあなんで小学校で俺モテなかったの?」
「知らねぇよ!!バカだからだろ!!」
「帝国時代はモテてたし!!」
「知らねぇよ!!勇者だからだろ!!」
「やっぱりそういう目的だったんだよな・・・」
「しみじみすんなよ!今からそんなこと気にしてどうするんだよ!?!?てかお前俺に負けたらお前そんなん気にしてる場合じゃあ無くなるんだぞ!!」
「だよね!!!」
「バーカ!!!」
なんだこいつは。戦ってたら急に漫才始めたぞ。
・・・まあノッてる俺も俺だけどね。真面目に戦おうか。
界人くんは設定上中1なので、ちょっと遊ばせてみました。
貴重な一対一なのに何をやっているんだ私は。
そんなことよりフ○ギュアヘッズの企業戦が面白いんですよ!!
もうあっちが本当のルールでいいんじゃないかな。
と、登山と中体連と定期が重ねってるのにこんなに遊んでいていいのだろうか・・・。




