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幼馴染の絵梨様は水族館をご所望のようです


 「お待たせ」


 「へいへい」


 「なんかないの?」


 「お綺麗でございます」


 「よろしい」


 せっかくの休日なのに、絵梨に水族館に連れて行けと言われたのは数日前。

 家でのんびりしていると、絵梨から連絡が有り、「水族館行きたい」とのこと。

 

 うちの幼馴染様は水族館を所望しておられる。

 どこぞに要望を叶える者はおらぬかっ!?

 いないか…。

 これは俺に連れてけって言ってるよな…。

 ということで休日を絵梨との水族館デートに。

 これデートなのか?


 何気に絵梨とどこかに二人で行くってのも珍しい。

 付き合ってた頃もほとんどなかったしな。

 行ったことあるのって水族館だけだし…。

 久しぶりの絵梨とのデートを楽しみますかね。











 「入場料出すけど?」


 「俺だって働いてるんだから甘えろ」


 「奏司のくせに生意気…」


 「へいへい。嫌なら後で返してくれればいい」


 絵梨と来たのはマリンワールド。

 市内から近いから便利なんだよな。

 昔も来たし、久しぶりに水族館ってのも面白そうだ。


 「水族館とか動物園って大人になってから来ると違うワクワク感があるよね」


 「わかる。子供のときも楽しめたけど、大人の楽しみ方っていうの?落ち着いて見る感じがいいよな」


 「子供の頃に来たときはこんな大きな水槽なかったよね?」


 「なかったなー。リニューアルしたから俺らの知らないマリンワールドかもな」


 中学のデートはあまり記憶にない。

 初めてのデートで緊張してたし。

 

 「見て、上も水槽だから海の中にいるみたい」


 「おー、すげぇ。水槽割れたらびしょ濡れだな」


 「風情なさすぎじゃない?」


 「サーセン」


 絵梨さんや。

 無意識に俺の手を握ってますよ。

 まぁ、いっか。

 






 「奏司、ここに座ろ」


 「おけーい」


 館内の一通り回り、ペンギンとラッコに癒された。

 いやぁ、ラッコ可愛いわ。

 侮ってました。

 持って帰りたくなったね。


 イルカショーの時間となり、絵梨と観戦することに。

 周りの人は遠くから見てるんだな。

 俺らだけこんな前でいいのか?

 皆さん、前空いてますよー。



 「みなさーん!こんにちはー!」


 ショーが始まった。

 飼育員のお姉さんが元気に挨拶してる。

 俺もちびっこたちみたいに元気に挨拶していい?

 え、ダメ?

 うそん。


 「イルカって頭いいよね」


 「芸を仕込めばできちゃうからな」


 「奏司より頭いいかもね」


 「それは…ないと思いたい」


 「断言しなさいよ…」


 目の前では飼育員のお姉さんとイルカがショーで解除を沸かせている。

 ちびっこたちも嬉しそうだ。

 俺も飼育員のお姉さんみたいにイルカの背中に乗ってみたい。

 気持ちいいんだろうなぁ…。


 「そろそろね…」


 「ん?」


 絵梨が俺から離れていく。

 傘何出してどうした?

 雨降ってないぞ。

 今から雨降るのか?

 今日は一日晴れだったぞ。



 「………」


 「ぷっ…くくく…」


 「お前なぁ…」


 イルカがステージに乗ったついでに水がかかってきた。

 それはもう盛大に。

 通りで皆さん俺の周りにいないわけですね。

 ここ水被る席やんけ!

 ずぶ濡れやんけ!


 「一人だけ助かった気持ちは?」


 「最高」


 「さいですか…」


 絵梨は避難して傘でガードする始末だ。

 俺にその傘を渡そうという考えはなかったのかね?

 大事な幼馴染がびしょ濡れなんですぜ。


 「中学の時も同じことしたよね」


 「…あっ!」


 思い出した!

 中学のときも同じように水被ったやん!

 なんで忘れてたんだよ。

 絵梨も分かってるなら教えてくれよ…。

 知ってると思ってた?

 知らないからこうなったんだろ…。


 え?アナウンスされてた?

 マジか…。

 聞き逃してたわ…。 

 取敢えずタオルプリーズ。


 風邪ひくわ…。

 まぁ、絵梨が楽しそうに笑ってるからいいか。


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