旅仕度
主人公の名前はメメ。本名イデデス=メメント・モリです。
「........」
「ほーら、出来た出来た。可愛いねー。」
全身包帯だらけだし、火傷に塗った油と石膏の粉の感触が気に入らない。それに、こんな姿では、とても格好悪い。
「だけど不思議だね、聖水ってただの水でしょ?どうして火傷なんてするんだろうね?」
「さあ、分かりませんわ...」
にっこりさんは、眼帯を消毒しながらそんなことを言う。消毒した眼帯を私の右の瞼に付けようとした時。
「ガシャン!」
「見つけたぞ!我々から逃げられると思ったのか!……な!」
「ピシュン!」
お屋敷の屋根を突き破り、天使が一人現れたが、出会って数秒もしないうちににっこりさんによって消し炭にされた。
「あーあ。屋根に穴が開いちゃった。修理しないと、」
にっこりさんは、開いた穴から屋根の上へと飛び上がる。
「にっこりさんだと!?落ち着け、今の我々なら...」
「チュンチュンチュンチュンチュン!」
ウグイスの鳴き声の様な音が続いたあと、屋根の上は静かになった。
「ガランガランガランガラン....」
にっこりさんは物凄い速さで、木材や石を使って屋根を元どおりに戻して行った。
「出来た出来た。」
屋根の上から戻って来たにっこりさんは、持っていた眼帯を私に付けると、掃除を始めた。
「............」
「・・・・・・・・・」
静かな時間が過ぎていく。しかし、これ以上お屋敷を壊されてはたまらない。
「出掛けて来ますわ。」
「え?」
何故天使がこんな所に現れる様になったのかを調べなくては。
「いいけど、せめて準備くらいはしてきなよ。」
「ありがとうございますわ。」
私は膝上ほどのスカートと、お父様の使っていた焰衣の首飾りを身に付ける。これでほぼ包帯だけでも風邪を引くことはない。長くなった時のために、豚の血の入った小瓶を8本、携帯魔法陣の中にしまっておく。これで九ヶ月は持つはずだ。
「で、どこにいくの?」
「少し、古い友人の元へと向かってみますわ。」




