↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/7

知らない間に、膨れ上がった利息。 〜Compound interest〜

パーティ中に響いたノックの音。その主は主任の娘ではなく、研究員だった。すぐに主任が反応し、研究員と少し話す。

その間にまた第一事例《ルカ》の携帯端末が震える。



「すみません、出撃です...」



言い淀む主任。

いつもならば、こんな姿を彼女たちの前には見せないのだが。



「えぇー、いまからー?場所は?」



第三事例《シャドウ》のツインテールが彼女の落胆を分かりやすく表現してくれる



「......」



主任は返事をしない。



「...すぐ近くの巨大都市施設《エルドラド》、ですよね...?」



第一事例《ルカ》が、珍しく指摘する。

目を逸らす主任。珍しい反応だ。



「え、えるどらど?」



ついていけず、周りを見渡す第四事例《スリット》。



「主任の娘さんから、連絡が来ました」



第一事例《ルカ》は自分の携帯端末を指で叩く。チャット画面には『始まった』の文字。



「せ、説明になってないんだけど」



第三事例《シャドウ》は、どうやら事の重大さを理解し始めているようだ。



「恐らくですが...私達が、私達だけが処理できると言われている事案《インシデント》は、巨大都市施設《エルドラド》の実験が理由で発生しています」


「友達なのは嬉しいですが、娘の話を鵜呑みにしないでください...」


「主任もその筋に当たりをつけて、研究していましたよね?娘さんから聞いてます」



どんどん主任を詰める第一事例《ルカ》。目を合わせない主任。主任は普段、必ず目を見て話すようにしている分、それが際立つ。



「そんな場所で起こった事案《インシデント》という訳ですか」



完全に任務モードに切り替わって指摘する第二事例《レコーダー》。



「そういうこと、です...」



第一事例《ルカ》の腹を括ったような顔。普段なら絶対に見せない表情である。



「待って、わかんないんだけど」


「も、もしかして、一番大きな戦闘になるってことですか?」



内心気がついていながらも、無意識に誤魔化そうとする第三事例《シャドウ》。なのに、ソコを第四事例《スリット》がついてしまう。



「えぇ...負傷者ゼロは難しいでしょう」



ようやく口を開いた主任。



「全滅の方が有り得るのでは?」



間髪入れない第一事例《ルカ》



「...いずれにせよ、対処しないといけない事案《インシデント》です。やるしかありません」


「......」



主任と第一事例《ルカ》の間が、淀んだ空気に満たされる。



睨みつける第一事例《ルカ》を無視し、準備を進める主任や他の研究員。


仕方なく、4人も準備を始める。



「第二事例《レコーダー》、解っているとは思いますが、いつでも私からの指示が通るように」


「はい。私より他の子たちを見てください。私は大丈夫です」



ここのやり取りはいつもと変わらない。この状況の中、落ち着いて準備が出来ているのは、彼女ぐらいだ。



「心配しないで、主任!みんなで帰ってくるわよ!戦闘向きの私が居るもの!」


「そうですね。第三事例《シャドウ》が居るなら安心です」



快活に話してくれる第三事例《シャドウ》だが、いつもと違う。緊張から来る快活さなのだろう。



「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」


「第四事例《スリット》、もっとゆっくり。深呼吸です」


「は、はいッ」



これまで以上に震えている第四事例《スリット》。正直、連れていかない方がマシな気もするが、彼女の能力が一番強力であり、本人もその自覚はあるようで、弱音は吐かない。吐かないように堪えている、というのが正しそうだが。



「第一事例《ルカ》、頼みました...」


「私、戦闘に関しては、何もできませんよ。この通り貧弱なんですから」



そう言って、コメットに乗る第一事例《ルカ》。

そう、このコメットは、元々激しい運動ができない第一事例《ルカ》の為に用意したものだった。



「接続《リンク》完了です。いつでも」



第二事例《レコーダー》の青い目がほんの少しだけ、光っているように見える。



「...行ってらっしゃい」



振り向きながら手を振る第三事例《シャドウ》。

不安そうにこちらを何度も見る第四事例《スリット》。

見向きもしない第二事例《レコーダー》。

最後に睨む第一事例《ルカ》。


主任は、モニター室で4人を見守ることしか出来なかった...

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。