↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された副隊長は、人と竜が憎み合う世界で“共に生きる国”を築く ~剣より対話を選んだ最強の軍師は、やがて魔王と呼ばれる~  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
35/337

刃の届く場所・夕刻の判断

鐘が一度鳴る間に、雪の峠へ三つの異なる知らせが届いた。竜が教会騎士の追撃から幼い部下を庇い、混乱の中でアレンの剣がその胸へ届く。 日没前に攻める案へ賛同が集まったが、アレンは民家への延焼を理由に待った。勝機を逃す批判を受けても、村を焼く勝利は選ばない。 竜は最期に憎しみではなく警告を残す。黒い血が剣を伝い、アレンの腕へ焼ける紋が走る。


医師は扉越しに聖句を唱え、診察台へ近づこうとしない。病ではなく穢れと決められた瞬間、治療法を探す問いそのものが閉じられていった。


ローディは隊を連れて城門を破ると言った。アレンは首を横に振る。自分を救うために部下を反逆者へ変えれば、教会が語る呪いの証明になってしまう。


竜紋は力を与える祝福ではない。感覚が鋭くなるほど光と音が痛みに変わり、眠りさえ奪う。アレンは異変を隠さず記録し、未知を都合のよい奇跡へ置き換えなかった。


処分を決める会議に本人の席はない。廊下へ漏れる声を聞きながら、彼は王国へ尽くした年月を数えなかった。守った人々を、今度は自分のための戦へ巻き込まないことだけを考えた。


扉の外には、元部下が磨いた剣が一本置かれていた。同行は許されなくても、忘れてはいないという無言の印だった。アレンはそれを腰へ差し、次の朝を待った。


小さな決定だった。それでも、遠くの権威ではなく目の前の暮らしから決めたという事実は残る。誰かの恐怖を利用しない選択が、この大陸では新しい道になっていった。


見届けた者は英雄譚を口にしなかった。水が戻った、薬が届いた、今夜は家族が眠れる。ただそれだけの報告が重なり、アレンへの警戒をゆっくり信頼へ変えていった。


(本文実測:686字)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。