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私は結婚前から邪魔者だったのね!?お金以外は必要とされなかった妻でしたが、貧乏男爵家の再興が私の運命でした——そして嫁ぎ先は王家になりました  作者: 星林 和花
第4章:深紅の季節——9月3日

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64.アーニャSide——永遠の庭

 目を開けた。

 病室のようだ。泣き声がする。


 私が寝ているすぐそばで、リディアとエリスが泣き崩れていた。


 ――あぁ、2人とも大きくなったわ。


「お姉様……」

「お気づきになったのね、お姉様!?」


 リディアとエリスは号泣していたが、私が気づいたことで、嬉し涙に変わったようだ。


「お……お父様」


 私はリディアとエリスの後ろに、年老いた父がいるのを見て、涙が溢れるのを止められなくなった。


 私はイーサンとの逢瀬の後、帰る前に馬車小屋に立ち寄った。細工がばれて、コーチマンの2人が馬車を元通りにしていた。


 サミュエルに二度目のお金を渡したのは、お茶の時間の直前だった。


 ——キャロラインさえいなければ。


 そう、何度も思った。

 

 シーブルック家はいつだって何でも持っていた。イーサンも、キャロラインも。私だけが何も持っていなかった。


 シーブルック家が憎かった。


 亡くなった母の金庫がホーソーン商会のタウンハウスにあるのを見た時、これは好機だと思った。


 ずっと考えていたことを、実行に移すべきだ。そう思った。




 私はホーソーン商会で得た利益で、「永遠の庭」という名の病棟に入ることができた。看護師も医師も一流で、施設も実に贅沢なものだった。


「やぁ、アーニャ」


 毎週のようにやって来てくれるのは、あの人だ。

 イーサン。

 私の最愛の人。


 イーサンは毎週のようにやって来て、私に商売やら色んな話をしてくれる。ブライアコームの人の話とか、ブライトンの街の様子、ロンドン社交界の様子。


 妹たちが仕切れない話をたくさんしてくれる。


 一生、車椅子になった私に、イーサンは愛想をつかさないのだろうか。


「俺は、アーニャに救われたんだ。アーニャのおかげで今俺が生きている」


 イーサンはいつもそう言う。


 イーサン、違うの。

 私は私のせいでこうなったのよ。


 だが、私は今、幸せかもしれない。

 イーサンが帰り際におでこにキスをしてくれる。それだけで例えようもなく幸せを感じるのだから。



 もう、どこへも行けなくてもいい。

 イーサンが、ここに来てくれるのなら。




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