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私は結婚前から邪魔者だったのね!?お金以外は必要とされなかった妻でしたが、貧乏男爵家の再興が私の運命でした——そして嫁ぎ先は王家になりました  作者: 西野 歌夏
第3章:ヘザーの季節——私のタフタドレスではない

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51.アーニャSide——あの日記を取り戻す

 ――みんな、元気なのは日曜礼拝でお見かけして知っているわよ。


 ブリジットが私に驚いた声をあげて、「アーニャお嬢様、キャロラインさんがいらっしゃいましたよ」とアーニャを呼びに行ってくれた。


 ――おぉ、お父様……。


 私は父が「珍しい人がいらしたな」と言いながらも穏やかな笑顔で迎え入れてくれたことに、思わず一雫の涙が溢れてしまって急いで目元を拭った。


 キャロラインのシルクのハンカチで。


 リディアとエリスが私をみて笑顔になった。


 キャロラインはあまりうちに来なかったから、あなたたちとは教会でしかあってないはずよね。


 でも、私の可愛い妹たちは実に幸せそうだった。

 そのことに私はほっとした。


「あぁ、キャロライン」


 私の声がして、私はゆっくり振り向いた。私の顔の女性がそこにいた。


「アーニャ、相談があるの。あなたのお部屋で話せないかしら?」


 私は懇願するように話した。


 私が持っていなかった真新しいドレスに身を包んだ私の顔の女性は、驚いた様子だったが、頷いた。


「相談事があるのね。なかなか会えなくてごめんなさい」


 彼女は謝ってきた。


「いいのよ。この手紙を見てほしいの」


 私は上質なヴェラム紙の封筒を差し出した。


「シーブルックからの手紙……?」

「えぇ、資金供与を停止すると言ってきたのよ」


 目の前のアーニャ・ホーソーンは、黙って手紙を読み始めた。


「お願いがあるの。イーサンが礼拝堂であなたにしたことは本当に過ちよ。もう二度としないはずよ。だから、一緒にシーブルック家に行って、あのことは間違いだったと伝えて欲しいの。イーサン・レッドワイクとアーニャ・ホーソーン嬢の間には何もないとあなたから話して欲しいの」


 私が話すと、私の顔をした目の前のレディは目を伏せた。


「……まず、お茶を持ってくるわ。最近、お茶を私の家でも購入したのよ。あなたの家でよくいただいたでしょう?」


 赤煉瓦の大きなカントリーハウス、シーブルック・ハウスでよく出してもらっていたお茶のことだ。サセックスの港街を見渡す丘の上に建っていたその家は、少女時代の私の憧れの家だった。航海地図のある書斎、倉庫や桟橋につながる家族専用の小道もあり、開放的な雰囲気を漂わせていた。


 不意にその少女時代の記憶が蘇り、私は無言になった。


 目の前の私の顔をしたレディは部屋を出て行った。


 私は素早く引き出しに手をかけた。

 ――お願い、あって。


 開けた瞬間、指先が震えた。いけないことをしているという思いがあった。


 ――あった!


 革表紙の手帳だ。

 その時、廊下で足音がしたと思った。

 私はビクッとして息を止めた。胸の鼓動がやたら大きく聞こえた。

 

 私はもう我慢できなかった。手帳を掴み、そのまま鞄に押し込んだ。



 そのまま、かつて自分の部屋だった部屋を出た。


 食堂に向かった。

 自分の家だった頃のように。

 

 庭の方で多くの人が働いているのが見えたのはその時だ。荷車に荷物を積んでいるようだ。


「おい、キャロラインじゃねえか!」


 私はビクッとして足を止めた。


 ――なぜ、この男は私を知っている?


 目の前に無骨な大男が立っていて、私に懐かしそうに声をかけた。


「ギデオンおじさんだよ」


 そう言われても、全く分からなかった。

 

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