44.野薔薇の棘——ヘザーが咲く頃には
気づけば、夏は終わりに近づいていた。
セント・ジョンズ・ワートの黄色が褪せ始めた頃、ホーソーン・マナーの倉庫には三度目の積荷が運び込まれていた。
私の隣にはいつもグレイがいた。気づけば、それが当たり前になっていた。
毎日グレイがいるわけではないが、ブライアコームの村人たちは、ホーソーン・マナーを訪ねれば、グレイの姿が見えるのが当たり前だと捉えるようになっていた。
8月の倉庫料、9月の倉庫料の合計40ポンドで、屋根は修繕され、壁も修復され、床も手入れが行き届いた。村に現金が周り始め、活気が溢れるようになった。
エリスとリディアの家庭教師を迎え入れることができたことが、私にとっては何より嬉しいことだった。
グレイの強い勧めで、私はベルローズ夫人の店でドレスを仕立てた。2着だ。シーブルックの娘として生きていたら、レッドワイク伯爵夫人として生きていたら、そんな簡素なドレスは着なかったかもしれない。
だが、いつもの蝋燭の火を受けても皺一つできずに光を散らす上質シルク・タフタでもなく、裏地が滑らかなシルクオーガンジーでもない、裾には細く金糸のコード刺繍もないそのドレスは、価値のあるドレスだった。
村から通いで手伝いに来てもらっていた少女は、正式に住み込みとなり、皆と同じように給金を支払えるようになった。
一方で、レッドワイク伯爵家の修繕は一向に進まなかった。
あれ以来、イーサンを見かけることはなかったが、時折、自分の顔をしたレッドワイク伯爵夫人は見かけた。
しかし、私たちは親友だったはずなのに、どういうわけか、ホーソーン・マナーの復興で息つくまもない日々を送る私の元に、親友であるはずの彼女からは何の音沙汰もなかった。
何が起きているのかは分からない。ただ、あの能面のような表情が、時折頭をよぎった。
私は計画通りに、ホーソーン・マナーの復興を進めようと奮闘していた。
ヘザーが咲く頃には、ホーソーン・マナーは別の顔を呈していた。




