表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私は結婚前から邪魔者だったのね!?お金以外は必要とされなかった妻でしたが、貧乏男爵家の再興が私の運命でした——そして嫁ぎ先は王家になりました  作者: 西野 歌夏
第1章:深紅の季節——亡霊の春

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/70

17.メドウスイートの白——ホーソーン・マナーへ

 白磁のような肌、蜂蜜色のハニーブロンドの髪、アーモンド形の薄い緑色の瞳、首筋が長く、優雅に歩く姿勢。鏡を見ずとも、今の私はアーニャ◦ホーソーンだった。


 親友の身体になった私は、グレイを目の前に落ち込んでいた。


 ホーソーン男爵とアーニャの妹2人には、先に披露宴から帰ってもらった。私は親友の結婚式だからと、もう少し残ると言って納得してもらった。


 目的はグレイと話すことだったけれども。


 レッドワイク伯爵家とホーソーン男爵家が見守る小さな共同体のような村は、ブライアコームの村と呼ばれていた。

 

 少女期の幸せな思い出がたくさんある村だ。イーサンとアーニャと私の3人の間には、この一帯で過ごした楽しく美しい思い出があった。


 ブライアコームにはホブズアンドサンズというパン屋があった。その窯から漂う焼きたてのパンの香りは幸せの香りだった。パンを買って、よくレッドワイクチェイスの森で一緒に食べたものだ。


 私とグレイは、ホブズアンドサンズでパンを買い、歩いてホーソーン・マナーまで歩いていた。村中がレッドワイク伯爵家とシーブルック家の婚姻を祝福しており、私たちは結婚式帰りの若者として、結婚式での花嫁の衣装やイーサンの姿について、見てきたことを話すよう求められた。


 アーニャ・ホーソーンも私もこの村での思い出はたくさんある。アーニャの姿で歩き回ることは、村人には違和感のないことだった。


 だが、私が一緒に歩くエドワード・グレイについて、皆の興味が集中するのも理解していた。レディが見知らぬ男性と仲良く歩くのは、よからぬ噂を招く。


 私はキャロラインの幼馴染だとグレイを村人に紹介した。ブライトンの港で、書記の仕事をしているのだと。


「納屋活用の話を持ってきた方よ」と紹介すると、村人たちはグレイがホーソーン男爵家に吉報をもたらす者として、歓迎してくれた。


「今月も2回ほど、その話を持ってホーソーン男爵を訪ねたんですよ」


「ほーっ、いい話だな」

「ほんとね」


 村人たちはグレイをにこにこして受け入れてくれた。



 胸元、首筋の白さ、手の細さ、今の時代の美の基準を全てクリアしている美貌を持つのがアーニャだ。


 没落したホーソーン男爵家の娘であるがために、レッドワイク伯爵家の男子との結婚を認められなかった彼女。


 素朴さと華やかさが共存していながら、恋焦がれている人を私に取られてしまったアーニャ。


 でも、彼女は諦めきれず、イーサンとアーニャの恋は進展して愛に変わった。


 結婚に浮かれる私に隠れて、アーニャとイーサンは逢瀬を繰り返し、結婚式直前には一線を越えた。私が死ぬ3年も前から2人は逢瀬を重ねていた。



 レッドワイク伯爵家があれほど困窮していなければ、イーサンはアーニャを妻にしたはずだ。


 ホーソーン男爵家が困窮していなければ、アーニャはイーサンを夫にできたはずだ。


 それでもアーニャならば、別の選択肢があったはずだ。


 アーニャに求婚した若者たちは少なくなかった。


 比較的裕福な資産家の若者たちがアーニャに夢中だった。彼女に夢中の他の若い殿方との縁談について、私も何度か勧めた。だが、彼女は微笑んで首を横に振った。


 イーサンは家のために愛のない資産家の娘との結婚を手に入れ、同時に最愛のアーニャの全てを手に入れていたことになる。


 アーニャが家のためを考えるならば、裕福な資産家との婚姻を考えるべきだろう。ただ、アーニャに気持ちは理解できた。愛してもいない人の元に嫁ぐのは、私でも耐えられないから。



 私は彼女の気持ちを推し量ることがまるでできていなかったのだ。アーニャの視線で世界を初めて見て、知ってしまった事実に、私は心が押しつぶされそうだった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ