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危うい龍・真太&イヅ~生まれ変わっても第4部   作者: 龍冶


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第19話

 イデのジョギングシューズを買い終わり、舞羅は先に居なくなっていたし、帰るしかない真太とイデである。上り坂をチャリで二人乗りして、ふらふら家に戻っている途中で、ママの車に出くわした。デパートのパートから帰って来るところである。

 そこは団地の中の小道なので、車で真太達の行く手を止めて停車したママは、

「あんた達、結界から勝手に出ないでよ。こっちは預かっている責任があるんだから」

「すみません」

 素直そうに謝るイデ、真太は気にせず気付いた事をしゃべる。

「ママ、今日は早いお帰りだね」

「それがね、パパにおやつのおにぎりを置いておいたのに、無いって言うのよ。自分でおにぎり作ったらって言ったら、あたしが作らなきゃダメって言うのよ。それを食べると力が沸くって言ってね。弱って来たらわがまま言うのよね。ママ、早引けして帰るしか無くてね、でも、そうそう早く帰ってばかりもいられないの。だからーっ、真太。絶対パパのおやつ食べないでね。」

「何、言っているんだよ。俺じゃないよ。あんな、中に具の入ってない塩おにぎりなんか好みじゃないんだ」

「でも知っているじゃない、どんなのか」

「いつも同じの作るよね」

「そうとも限りらないよ。怪しいね、真太。イヅはおにぎりが出来る前に出かけたし、あんたしか居ないじゃない」

「違うってば」

 段々二人が興奮してきたと思ったらしいイデ、

「あのう、お話し中すみませんが、香奈さん。おにぎりは僕が食べました。どうも、御迷惑をかけてすみません。美味しそうで、アボのだと分ってはいましたが、食べてしまいました」

「ええっ、食べたのぉ。シンじゃなくイデ。だから今日は成長していないのね。嫌だー、このままになるわよ。ボディガードに雇われないわ。まるで『ピーの一族』のトキオガーじゃないのーっ」

「何、その『ピーの一族』のトキオガーってのは」

 真太はママは時々、理解できない思考回路になる事があると思いながら聞いた。イデの成長が遅い理由はわかったのだが。

 イデも、

「誰ですか、そのトキオガーって言うのは」

 聞いたことの無い言葉だが、イデはそれが誰かの名だと思ったようだ。さすがの察しの良さだと、真太は感心した。

「そうよね、あんた達が知る筈も無いけど、美奈お婆ちゃんの蔵書の漫画の中にあるのよ、その『ピーの一族』が。トキオガ-は主役のバンパイアで少年の時にバンパイアになって、永久に少年の姿でいるの。お婆ちゃんは大ファンなのよ、その話。あたしも夢中で読んだけどね。だから、イデもそんな感じかなと思って」

 真太は、ママの懸念を消してやることにした。

「ママ、イデは大人にはなるよ、いつかはね。何か食べたら育ちが遅くなるだけで。ボディガードに雇われるのには、間に合わないかもしれないけど」

「真太、今から気を頑張って吸って、きっと間に合わせるから。香奈さん、僕、頑張りますから、心配しないで下さい」

 そんな話をしていると、アボパパが待ちきれずにやってきた。

「そんな所で道草してないで、早くおにぎり作ってよ、ママ。イデ、お前、脳みそ向うに忘れてきたんじゃないか。こうなったらもう、返金しないから。本当は返そうと思っていたんだけどね。皆、育ち上ったら」

「だから、返さなくて良いって言っているのに」


 イデはそれから、毎日外の空気を深呼吸で吸い、何とか真太と同じくらいの体格になったのは一週間過ぎた辺りだった。

 そんな朝、イヅが皆に言った。

「USBBでは、ナイラ様のボディガードを雇う気だけど、募集はしないらしいね。推薦で何人か雇うつもりだな。今日アビが来て、真太とイデを連れて行く気だな。大統領とナイラ様は西アフリカ国のサミットに参加するから、そこに向けての用心だね」

 真太は外国に出かけるのかと思い聞いてみた、

「雇われるのは俺らだけ?」

「6人雇って、交代でガードするそうだよ。公の警備担当者もいるけどね。真太達は、プライベートの時間担当だね。アビから聞いているだろうけど」

 イデは、

「後の4人がどんな奴らか、そこからが僕の仕事だな。何だか忙しそうだな」

「ボディガードが一番危ない奴らだったりして?」

「そうかもしれない。雑魚は僕が片付けるから、真太はナイラに張り付いていると良いよ」

「イデはナイラ様を呼び捨てだね。僕は構わないけど」

 イヅが気になるらしく、あえてそれを指摘するので、真太は、

「シンの一家とナイラ様は親類とか言う話だったな。前世の記憶では」

 と、覚えている事を言うと、イデは、

「随分、詳しいんだな、真太は。シンの時、僕も一度そういう話を親龍達から聞いていた気がするな、そういえば。大露羅達と従兄妹だったかな、ナイラは。真太、お前ひょっとして頭良いんじゃないか、記憶力とか優れているな」

「そうかな、記憶力が無くなるのは、学校のテストの時だけだったのか」

「うん、実戦向きだろうな、真太は」

 真太は、イデがやけに自分を持ち上げるので、なんだか不自然に感じた。きっと舞羅と上手くいっているのだろうと思う。理由が察せられるのは真太だけで、他の皆は違和感があるらしく、

「イデは真太を持ち上げるけど、真太に弱みでも握られたの」

 千佳が言いにくい事を言い出した。と思った真太は、

「千佳は僕の事、相当軽んじているな」

 と、じろりと見た。

「あたしは事実しか認めないのよ」

 火花をちらしはじめた二人だが、イヅの、

「あ、アビだ」

 との一言で、皆、慌ててそれぞれの出かける用意をしだした。

 アビも瞬間移動できるのだろう、いきなり居間に現れて、

「皆さん、お揃いで、おはようございます。朝早くから押しかけて申し訳ありませんが、真太を迎えに・・・そちらのお方は、前世では皆に、シンと呼ばれていたお方ですよね。転生してこられましたか。では、あなたもボディガードに?」

「はい、今はイデと名乗っています。よろしく」

「こちらこそ。これは良い兆候ですね、勝機はこちらに向いて来たようです。あなたが来られるのなら、百人力と言うものです。母も、母方親類一同もとても喜びますよ。では行きましょう。行先は大統領私邸です。着いたらそこからもう、勤務状態となります。契約内容に、納得された場合は、ですが」

「わぁ早いな」

「真太、浮かれないで仕事しろよ」

 アボパパは心配そうだ。やけにひょろ付いている感があるが、真太は以前、パパが言っていた事を思い出す。アビに弱々しそうな状態に見せる、パパの意図は何だろうか。

 真太は首を傾げながら、アビとイデと共に瞬間移動で大統領私邸に到着した。


3月26日、作中の漫画の名変えました。イメージ壊したと叱られる前に変更しました。作者、小心者ですので・・・

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