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危うい龍・真太&イヅ~生まれ変わっても第4部   作者: 龍冶


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第18話

 真太とイデ及びイヅは、一階の居間で雑魚寝した。それでもアマズンの住処よりはましな待遇と言える。アバの生前は、南国の植物を使った大雑把な屋根付きの住処で眠って居たが、それは寝心地の良さにこだわっていたアバだけで、他の龍神は川の中や川岸に龍の姿で寝転がるだけだった。三人、ではなく三龍は、人型で雑魚寝をしていると、早朝アボパパが2階から降りてきた。もう十分眠ったのだろう。彼らの雑魚寝を見て、

「ええっ、眠っている間に何が起こった?皆で死んだから、この家、黄泉にも一軒建てたのか、誰が・・シンがか?二階では異常無かった気がしたが、あー。違う、違う、シンかと思ったが、どこかの赤ん坊をまた連れ込んだのか。俺もいよいよ頭がいかれてきたようだな。寝なおしたいが、今更眠れるのか」

「パパ、僕らまだ眠りたいのに、騒がないでよ」

「これを見て騒がない奴が居るのか。よく見ればシンの魂が入っているぞ。俺の目は節穴じゃあなかったな。転生して来たんだな。あッ、しかし・・・。いや弱ったな。だから俺は嫌な予感がして断りたかったんだ。今更返せと言われてもな、まだ使っていない分しか返せないからな。おい、シン。聞いているのか、大体、借用書とか書いてはいないし。幾らだったか証拠はないからな。今有る現金しか戻せないから」

「五月蠅くて眠れないよ。まだ5時なのに」

 真太は、あくびをしながら文句を言った。イヅも目を覚まし、

「アボさん、おはようございます。この子は僕の継母が、昨日産んだイデです。しばらくご厄介になる事になりました。アマズンに居るのは危ないと老龍神達に言われて、香奈ママには了承してもらいました。よろしくお願いします」

「あ、ママが良いって言っているなら、良いよ。元シンのイデだな。おい、金は千佳由佳が学校を出るまで返さないからな」

「ふわ~、返せとか言ってないのに。僕もその金で育ててくれればいいから」

「お前、ここに居座るつもりか」

「他に何処へ行けるんだよ。あれ、アボはあの毒の影響、あまり無さそうだな。それとも、あまり当たらなかったんだな。上手くかわしたんだね。えへ」

 妙な愛想笑いをする元シンのイデである。

 改めて見ると、どこか前世の容姿も影響している10歳ほどの、ゆくゆくはハンサムになりそうなイデ。真太はあの愛想笑い、前世で振りまいていた技じゃないかと思った。アボパパに使うとは、きっと無意識にやっているんだろうと真太は思った。そうでなければ気色悪い。

 パパも感付いたらしく、

「置いてやっても良いけど、千佳由佳をたらし込むなよ。それにナイラ川のお嬢さん龍神に会わないように気を付けろ。きっとさらわれる」

 はっと息をのむイデ。アボパパの忠告で、表情を無くす。ツンツンモードに変更した。

 アボパパ。根はとっても良い人、じゃなく良い龍神だ。


 イデはそれから辺りの気をどんどん吸って中学生くらいになり、ツンツン中学生っぽくはなったが、三日目の今日から、どういう訳か育ち方が伸び悩み状態なのが気になる所だ。

 そして、今日、イヅはアマズンの会議に呼ばれて行っている。どうやら、次のトップはイヅで決まりでは無いだろうか。気楽に思い至る真太である。

 朝食後、パパは二階でまた寝なおしているので、実際は、ふたりきりで留守番のようなものである。

 暇でもあるし、イデの成長が伸び悩みっぽいのが、だんだん気になってきた真太は、

「シンっぽいイデ、伸び悩み状態だな。病気か?」

「いいや、真太。僕を気にしてくれるのなら、頼みがあるんだけど。僕を桂木家に何気なく連れて行ってくれないかな」

「言っておくけど、全く何気なくないからな。舞羅を引っかける気だろ。その位の大きさが、第一印象ではいい感じだけど。向こうも何気ない感じはしないと思う。全く」

「そうかな」

「きっとシンだと気づくな、舞羅は。雰囲気が同じになった」

「じゃあ早よ、連れて行け。自転車でいいから」

「そりゃ、俺の頭じゃ免許は無いよ。だけど、自転車でいいっていう言い方は、遠慮しているつもりなのかな。そうだ、良い事思いついた。何気なく行きたいのなら、俺とジョギングしていたとか言って走って行こうか。走りには丁度良い距離だよ。何か飲ませてとか言って家に行くのも、何気ない感じがする」

「真太はな」

「そうだな。イデは何気ない感じは無理だな。どう転んでも、元シンのイデの意図は決まっているから。でも、時間が無いよ。もう行くしかない。じゃないとその体格じゃあ、ボディガードに応募しても採用されないよ。せめて俺位なくちゃね。イヅ位も良いけどイデの雰囲気には合わないな」

「真太の解説は理解した。だが、ジョギングシューズは?」

「そうだった。先に買い物だな」

 真太とイデ、近所のショッピングモールへ行った。スポーツ用品は、近場ではここの店舗しかない。目指す店に行きながら、こんなシーンが前もあったと思った。パパと来て、ここで舞羅親子に会った事があると思い出していると、

「ふうん、舞羅は此処に来ることあるんだね」

 と、真太の考えている事が分かるらしいイデである。

 そして、店内のジョギングシューズ売り場へ行こうとする二人に、何と、後ろから舞羅が声を掛けてきた。

「あ、真太じゃない久しぶりっ・・その子誰」

「舞羅だ」

 声の方へ真太は振り向いた。イデも静かに振り向く。真太は何故か鳥肌が立った。イデは今まで真太が見たことも無い、不思議な表情になっていた。

「え、どういう事」

 舞羅は呟きながら、イデを見つめる。

 真太は一応説明した。

「イデって言うんだ。イヅの母親違いの弟で、一昨日生まれて来てね、預かってママの結界の中でしばらく育つ予定だ」

 真太は、後半はここ辺りで言うような事じゃないのに気付いて、小声で言ったが、どっち道、舞羅は聞いてはいないようだった。

 見つめ合う二人、衝撃の出会いである。真太は内心、幼稚園児的精神年齢の自分には、刺激の強い展開になるんじゃあないかとひやひやした。イデはどう見ても限りなく中学生風である。真太はこの場合、何かありそうになれば、自分が止めるべきだと思った。だが、舞羅は、はっとしたように、

「へぇ、一昨日生まれたんだー。あ、今日は友達と来ているの、皆、向こうの売り場で待っていると思うから、またね」

 といって、翻り、立ち去った舞羅。

「どうする、ジョギングシューズは」

「買いに行くよ。何気なく立ち寄るんだろ。ジョギングって、何気ない理由じゃないか。買うのは僕のだけで良くないかな」

「うん、俺は持っているし」



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