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危うい龍・真太&イヅ~生まれ変わっても第4部   作者: 龍冶


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第11話

 真太とイヅはロバートの家に行き、三龍のお嬢さんから逃げて来た事を言うと、悠一はともかく、ロバートから酷く叱責されて、訳が分からず、また真太の家に戻った。イヅはとっととアマズンに帰って行った。


 残った真太は、居間のソファの横になり、この不可解な顛末を思い出していた。

 先程の事である。ロバートの部屋に窓から転がり込んだ真太とイヅ。

 部屋にはロバートと悠一が、相変わらずギターで何らかの音楽を練習していた。

 ドスっという音を出しながら、龍神界から人間界に入って来る二人を見て、ロバートは

「お前ら、まだ大人になっちゃいないのか、玄関ってものが何処の家にも有るんだが」

 何時になく手厳しい事を言い出すロバート、機嫌が悪そうなときは、当たり障りのない話題を提供して、立ち去るべきだったという考えに至った真太だが。

 その時は、それから・・・

「何だよ、しばらく大学でお勉強したら、随分気どった奴になったな」

 真太はそう言って見回すと、彼等がギターで何かを練習をしていたのに気付いた。

 遮られて機嫌が悪いのだと分かったが、せっかく来たのに、その位良いじゃないかと思い、やってきた理由を話す事にする。

「俺ら龍は二階の窓が玄関なんだな、アボもそうしている。それにどうやらアマズンでは大人扱いになったな、イヅも。さっき俺んちにイヅのお相手候補って言うお嬢さん風の龍が三龍もいて、イダパパが言うには、イヅに気に入った龍を相手として選べって言う事だったんだけど。イヅはまだ早いって逃げようとするんだよな。それに、その内の一龍が俺を気に入ったみたいで、俺もびっくりして同じく逃げて来ちまった」

 と馬鹿正直に成り行きを話した真太である。すると、ロバートが、

「なんだとー、このバッカやろーども。何という無作法な奴ら。幼稚園児かっ」

 何故かいきり立ち、一方、悠一はのほほんと、

「四、五歳なら人間で言うとほんとに幼稚園児だからね、ロバート。こいつら、ハーフなんだから、精神年齢とかがズバリそうじゃないのか」

 と言い出した。そういう言われ方も、しっくりこない真太である。

「なんだよう、ロバートは。機嫌悪そうだな。わかった。舞羅に相手にされないならまだしも、大学でもモテなかったんだろうな。俺ら幼稚園児風な奴にだって、その気になれば彼女が出来そうなのに。そう言えば、俺ら今日は気分が乗らなかっただけじゃ無かったかな、イヅ。いきなり彼女候補が現れて、驚いただけだよな」

 しかしイヅは冷静に考えたのか、

「そう思いたいけど、俺らハーフだからな。悠一君の意見が正しいのかもしれない」

 能天気な俺らの会話を聞き、ロバートはぎろりと真太を睨みながら、

「もてなくて悪かったな、真太。お前らが気分が乗らないんだったら、俺に紹介してみろや、その龍を。最近龍神界でも、異種間の交際とか流行っているみたいじゃないか」

 ロバートはそう言い出すが、そんなしゃれた事、真太には出来そうもなく、

「自分の事も無理なのに、ロバートに紹介とか、何と言って話付けるのか、見当もつかないよ」

 と言って断ると、とうとう、

「そんなだったら、とっとと帰れや、ぼけっ」

 と言うので、ロバートは本気でお怒りだと察したイヅに促されて、真太とイヅはとっとと戻って来たわけである。

 先程、玄関と言うものがあるとロバートが言っていたのもあり、玄関から家に帰ってきた真太達は、アボとは顔を合わさずイヅは立ち去り、真太はソファで寝転がって現在に至っている。そして、いつもどおり、眠気が襲って来て、睡眠状態になった真太である。

 うとうとしていると、例のお嬢さん龍達の声が聞こえて、はっと目覚めた真太。そのまま動けず固まって話を聞いた。

「それでぇ、リンちゃんは岡重一輝にずっと部屋に忍び込まれていてぇ、あいつらの実験材料になっていたの。怪物の親にされて、おまけに岡重の奴に騙されてUSBBで暮らそうなんて言われたりしてぇ、気分が上がったけど、そのまま連絡もなくてぇ、気分は急降下よ。結局捨てられたと察したわけっ。ぐすん」

「それは可哀そうな話だね。イインちゃん。はい、ティッシュ」

 パパが相槌を打っている。

「酷い話よねぇ、可愛そうなリンちゃん。ナイラ様に報告して、仇を取ってもらうの。ナイラ様にはやり手の部下の龍が大勢いるのよ、最近は。あ、アビ様もそんな仲間に入っていて、活躍しているからってアボ様にお話ししておいてって、言われていたんだった。・・・(思い出したわ)・・・忘れていた訳じゃないのよ、あたし。話の流れってあるでしょ」

「そうよね、ララン。敵討ちするやり手の部下の話からアビ様の言づてになる訳よねぇ」

「何よナナン、あなたも忘れていたんじゃない。今まで言わなかったでしょ」

「イインははっきり言って忘れていたね。だってアビ様って、あたし達の相手なんかしないのよ。アボ様、聞いてよ。あの方、舞羅って子の事、自分で断っておいて、まだ引きずっているの。舞羅ちゃんが良かったって、ナイラ様に言って叱られているの。舞羅にはおじさん的な歳なのにどうかしているよ。ったく」

「そうかい、イインちゃん。アビはどうかしているよね、うん。でも仕方ないんだよ、舞羅の愛想のよさは尋常じゃないからね。ナイラ様の能力を貰った先祖からの遺伝だからね」

「ふうん、そうなの」

「君達、女の子から見たら、分からないだろうね。ナイラ川の龍はいくぶんか、同じ能力を持っているね。真太やイヅが引っかからないのは、舞羅で慣れっこだからだろうね」

「まっ、あたしは引っかけてないよ。ナナンとラランは引っかけようとしていたけど」

「失礼な。あたしはそんな事していないよ。ラランが真太にやっていたね。引っかからなかったけど」

「引っかからなかったとか、ひどーい」

「お嬢さんたち、自然な態度が感じ良いものだよ。特に若いのには。ひとこと、忠告しておこうかな」

 真太はアボパパの愛想のいい話ぶりを聞きながら、ここはもう真太の安住の地ではなくなったと分かった。おしゃべりが長引いているし、何だか彼女たちは、泊まる気ではないかと思えた。

 そしてあろう事か、

「えーと、それにしても真太とイヅは戻ってないの、アボ様」

「あ、戻ってきたぞ。イヅはアマズンに帰ったが真太は下で昼寝だろう」

「まっ。お昼寝って可愛い。あたしも真太とお昼寝しよっと」

「ララン、ガラじゃないよ。私は真太の寝顔を見てみたいな」

「ナナンこそ思ってもいない事をいうね。目を開けている方が良いだろ。あたしを見て『ラランってかわいい』とか言わないかな」

「言う訳ないね。きっとおばさんって思ってるよ。あたしくらいなら、お姉さんって思っているね」

「イインだって似たような見かけよっ」

「じゃあ、聞いてみようかっ、どう思ってるか」

 真太は慌てて、外に出た。アマズンに行くしかない。


 真太がアマズンに行ってみると、アバが機嫌悪そうにイヅを睨んでいる所だった。真太は察して、『イヅ、アバの昼寝の邪魔をしたな。バカな奴』と思いながら近づいた。

「ちわ、アバさん。今度怪獣が出てきたら、もう俺らでやっつけていいんですよね。魔界がらみと解ったんですから」

 アバはじろっと真太を見て、

「ふん、大きな事を言うが、お前が返り討ちに合うかも、と言う所だな」

「どうして、大した能力は無いみたいでしたよ、あいつ」

「あれは、試験的に造っただけで、これからは本気の大作を作る気だぞ」

「本気の大作って?」

「何か能力を持たせるだろうな。良く見極めてから手を下さないと火傷するぞ。研究所を無断で偵察に行って、実際、火傷しかかっただろう」

「あ、そうだった」

 横に居るイダさんに、

「この前はお世話になりました」

 と言っておいた真太である。

 その後、アバは、

「もう少し眠りたかったのに、ガキがどんどんやって来やがる。お前ら何しに来たんだ。とっとと日の国に戻れ」

「ここに居ちゃだめですか。俺、ちょっと家には戻りにくくて」

「どうして」

 聞きながらアバはニヤッとしたので、もう分かっていると思った真太だが、一応言っておいた。

「あのぉ、イヅの相手候補の筈のナイラ川から来た方たちが、俺に構おうとするので、困るんですよね。イヅ、戻って誰か選んで他は帰ってもらってよ。イヅが決めないから、きっと居座る気だと思うな。嫌なら全員断ってもらわないとね」

「皆、本当は真太目当てだと思うな。僕の側に真太が居るからやって来たんだ。僕は分かっているんだから」

「ええっ、どういう事」

 真太が驚くと、イヅは、

「アマズンの龍神は皆、僕なんかより真太が次のトップに相応しいと思っているよ。そうだろアバさん」

「イヅはそう感じているのか、それならそういう事だろうよ」

「イヅがなるって事じゃなかったっけ」

 真太は思わず言う。すると、今度はイダが、

「イヅは根性が無いと、年寄り連中が指摘してね。実際そうだと皆が分かって、最近は真太が良いと言う意見に戻っている」

「ええっ、パパは何も言ってなかったけど」

「香奈さんの機嫌が悪くなるから、黙っているんだ。そういう事だから黙って真太は次期トップと思っていろ。誰にも宣言する必要は無いからな。アボが言わせないから」

 アバがそう言うので、それで間違いは無さそうだと知った真太である。


 その後アバから、

「三龍はもう真太の家にはいないから帰れ」

 と追い返され、家に戻った真太とイヅ。

「もうここは安住の地ではなくなったのに」

 真太が嘆くと、イヅは気の毒そうに言う。

「パパに何とかしてもらうよ。一応僕の相手ってここでは言われているから」




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