31. 信頼
「ま 、待ってフライヤとニア今どこにいるの!?」
周りを見渡してもグラスとツキユの姿だけで、他の2人の姿が見当たらない。
「本当だ!」
「いつはぐれてしまったんだ……」
「分かんない。でも多分だけど、あの大群を見つけた時にはもうはぐれてたかも知れない……」
「どうする。戻って探して見るか?」
「でも紫色の霧でまともに探す事なんてできないよ……」
そう言いながら後ろを見ると紫色の霧は消えていた。
「消えてるけど……どうする」
「でも、大丈夫かも知れないぜ」
「どうして?」
「ニアがいるからな」
グラスは腕を組む。
「どうしてニアがいるから大丈夫なの?」
「お前らニアが戦っている所を見ていなかったのか?」
「見てたけど……」
「あいつ普段は眠たそうな顔をしてるけど、戦う時になったらちゃと真剣な顔というか目が違うんだよな。それにラーメンと出会う前は一人で行動してたみたいだからな、案外俺らよりも知っているかも知れないしな」
「なぜまだグラスはニアと会ってからそんなに経ってないのになぜそんなに信頼してるの?」
「えーとな 。なぜかって言うと……」
グラスはリーアの質問に少し悩んで、
「そうだな……やっぱりもう“仲間”だからかな。だからリーア、ツキユの事はもちろん信頼してるぜ!! だから連携とか出来るんだろ」
「確かにね」
「だからってそんなに簡単に信頼はしない方がいいよ……」
リーアはいつもりも真剣な様子で言った。
「ま、まあな」
そして少し重たい空気続いたので、
「ところでラーメンは大丈夫かな?」
ツキユは2人に質問を投げ掛けた。
「大丈夫じゃないのか。ルシスさんが一緒にいるしな」
「まぁ、流石にルシスさんが悪人だった、という事はないと思うけどね」
「もちろんだ。オレが一瞬でいい人だと見抜いたからな」
「それなら大丈夫……だと良いね」
その頃森でさ迷っている2人がいた。
「いつの間にか……変な霧から抜けられた、ね」
フライヤがそう尋ねると、ニアは頷く。
「……」
「でも、ニアちゃんはみんなと離れても冷静だね」
「うん……」
さっきから同じような事が続いていた。
なんだろう。話さない人とあまり話さない人が2人だけだと……終わっている。どうすればいいのかな。そうだ、確かニアは食べ物が好きだった記憶がある。
「ニアちゃんは……どんな食べ物が好きなの?」
「何を言っている……全部に決まってる」
「全部? ほらパンとか甘い物とかそういうのないの?」
「特に好きなのはパン……だよ」
思った以上にニアが話に乗ってくれたようでその後食べ物の話をしていると、
「近くに何かいる……」
「う、うん」
ニアとフライヤは身を屈めて、静かにその何かに近づく。そこには角を生やした魔物が何かを探して歩いている。
フライヤは横を見ると既にニアの姿はなく、前を見るとその魔物の後ろに移動していた。ニアは魔物が気が付かない内に首ら辺を切断して魔物は体勢が崩れて留めさす。その光景を見ているだけだったフライヤはニアに近づくと、ニアは顔に付いた返り血を拭く。
「さっきから、思ってたんだけど……ニアちゃんは戦いに慣れてるんだね」
「戦いは任せるんだな……」
そしたら近くから人の声が聞こえてきた。
フライヤとニアは身を屈め、そこに近づくと木に隠れた。
ーー
「なぁいつ着くだ?」
サードがさっきから同じ事を俺に言ってくる。
「だから、さっきからラーメンさんはこのまま真っ直ぐ行けば良いって行ってますわよね。元案内人さん」
「まぁそうだけど……」
「元なんだから、執事はお金を渡さなくて良いわよ」
「かしこまりました」
「え!? それは酷い…….」
ザードは悲しそうな顔で言うと、
「まぁ……しょうがないよぉ」
ラクトがそう言うと、どうしても嫌なのかザードはアリナに交渉している。
「じゃ、じゃあせめて案内した分のお金はください」
ザードはお願いと手を合わせてアリナに頼んでいる。
ザード達が話している中、俺は気にしているものは近くから俺達を見ている2人の影だった。というもの【表示】で青色が付いていたので確実に知っている人のはず、その人はバレていないと思っているのか木に隠れている。しかし【表示】を使わたくてもここから見ると普通分かるはずだが、ザード達は警戒心が無いのか、その事に気づきもしない。
「お前達少しぐらいは周りを警戒しておけよ……」
「なぜ? だってラーメンがいるじゃないか?」
「そうよ」
俺は一つため息をつく。
「まぁ俺がいなくなった後は知らないけどな」
そして俺は顔を隠して2人の隠れているところを見ていない振りで近づいた。しかしそれでもバレてないと思っている見たいので、
「まだ分からないのか。バレてるぞニアとフライヤ……」
ラーメンが言うとニアとフライヤが出てきた。
「ラーメン……?」
「ほ、本当だ……」
「ここで何をしていたんだ? それとリーア達は?」
2人は一向に話そうとしなかった。
なんで話そうとしないんだ、と思っているとザード達も近づいて来た。
「ラーメン、知り合いなのか?」
「この2人は俺の仲間だよ。ほら俺が仲間と離れたって言っただろ?」
「確かに言ってたような」
「ということは3人で向かっていたんですか?」
「いや、違うよ。でもなぜか話してくれないんだよ」
俺はニアとフライヤを見るとニアが、
「はぐれた」
と言った。
「はぐれた?」
「そう」
「で、どうするの?」
「とりあえず……王国を目指してる……」
「いい判断だな。多分リーア達を王国を目指してるだろうからな」
まさかリーア達もはぐれていたとはな。そこでも何かがあったのだろうか。どうもニアとフライヤは答えてくれなそうだ。
「と、ところで……ルシスさんはどこに?」
「……」
珍しくフライヤが俺に話しかけたが俺は少し黙ってしまう。そうしたら関わったザード達も黙ってしまう。
「死んじゃったんですね……」
「と言うよりも、ルシス……じゃなくてライクブリドが俺も騙した。まぁその話は王国に着いたら話すよ」
「じゃあ……その後ろの人達は?」
「それはただ王国まで付いてきている知らない人達だよ」
ザードは悲しいそうな顔で俺の肩を叩いた。
「なんだ?」
「酷いじゃないか……あんなに友情溢れる物語があったのに……」
「そんなのあったけ……?」
「確かに少しもったかもしれないが、せめて知り合いか仲間と言って欲しかったよ……」
「そうか……まぁ、知り合いさん。とりあえず王国を目指そう」
「お、おう」
俺の言葉にフライヤは疑問な顔を向けた。
「王国の場所……分かるの?」
「えーと、ここから真っ直ぐ行けば着くよ」
「それなら、良かった」
実際ライクブリドが言った方向を真っ直ぐに行っているだけだけど、きっと大丈夫……だよな?




